クリニックの「副腎疲労」のページを更新しました。
https://www.konishi-clinic.com/symptoms/adrenal-fatigue.html
慢性疲労症状を訴える方が当院にたくさん受診されます。慢性疲労をきたす病態の一つとして、副腎機能がストレスで一時的に低下している状態があります。これを「副腎疲労」と言います。
日本の標準的な医療では、まだまだ認識されておらず、内分泌内科の専門の先生でも「そんな病気は聞いたことがない」とおっしゃる方がおられます。標準的医療にも「副腎機能低下症」という病気がありますが、これは一度なったら治らない「非可逆的」な病気です。副腎機能は元には戻らないので、基本的には一生、不足している副腎のホルモンを飲み続けなければいけません。その点で、可逆的な副腎疲労とは、原因も病態も異なるのです。
確かに、「副腎機能低下症」と「副腎疲労」とをどのように鑑別していくかは、大きな課題であると思います。一つの時点だけを見ても鑑別はできなくて、治療の全体の経過を見ていかなければいけません。(*1)
ただ、医療者は「可逆性の副腎機能の低下の状態」があるということは知っておく必要があります。
(*1)その意味では、最初から「副腎疲労」なのか「副腎機能低下症」なのかを区別することはできず、治療をしながら経過を見る必要があります。
欧米では、かなり認識が広まってきている
医療関係者の中には、「そんな病態は聞いたことがない」といって否定される方もおられるようです。確かに、大学の授業では「副腎機能低下症」というのは習いますが、「副腎疲労」という疾患概念は習いません。ただ、残念ながら、それは「日本語圏で」知られていないだけなのです。
ちなみに、アマゾンのサイトで、英語で「adrenal fatigue」を検索して見ると324件がヒットしました。
リストを見て見ると、ほとんどが一般向けに書かれたものなので、学術的にどれほど信頼性があるのかは保留しないといけません。全てが科学的な視点で書かれた本ではないので、ヒット数が多いからと言って信頼できるわけではないでしょう。書かれている内容も、すぐに飛びつくのではなく慎重に吟味したほうがいいとも思います。
ただ、それだけの本が英語圏では出ているということは知っておいていいことだと思います。
現代は情報社会であると言われていますが、こと「日本語圏の情報」に限っていうと、知られている情報は極めて、極めて限られています。これを英語圏を含めて広い視野から見ると、まだまだ日本は「情報鎖国状態」であると思わざるを得ないのです。
当院で提供している「分子栄養学的治療」「機能性医学的治療」も、日本では、まだまだ知っている医師も少なく、中には怪しげな「トンデモ系の治療」のように捉えている人がいますが、「英語圏」ではすでに市民権を得ているのです。
日本で導入が遅れているのは、おそらくは、保険診療で安く治療を受けれることが影響しているのかもしれません。欧米では、保険診療というものがないため、自分の健康は自分で守らないといけないという意識が強く、「分子栄養学的治療」「機能性医学的治療」が受け入れられやすい素地があるのだと思います。
何れにしても、日本語圏と英語圏とでは、情報格差は非常に大きいものがあります。
慢性疲労症候群と副腎疲労とは何が違うのか?
当院で治療中の患者さんからこう言った質問を受けることがよくあります。
慢性疲労症候群とは、厚生労働省の障害者対策総合研究事業の対象疾患にも指定されている、れっきとした「病気」です。診断基準も明確に定められていて、この診断基準を満たさない場合はその病名をつけることはできません。
それに対して、「副腎疲労」は、先にも書いたようにまだまだ明確に認知されていませんし、明確な診断基準も定められていません。私は、「副腎疲労」とは、「病名」ではなくて、色々なストレスが原因で起こってくる「副腎が本来の機能を果たせなくなっている一時的な状態」であると考えています。つまり、慢性疲労症候群の診断基準を満たす患者さんの中にも、調べて見ると、原因の一つとして副腎疲労がある場合があるということです。
私がいつも書いている「病気になるプロセス」で説明すると、慢性疲労症候群は一番下流にある「慢性疾患」そのものです。そして、副腎疲労は、「慢性疲労症候群」などのような慢性疲労症状を起こす、中流でおこっている「自己治癒力の低下した状態」なのです。
逆にいうと、副腎疲労で起こってくる「病気」は慢性疲労症候群だけではありません。例えば中高生が朝起きれなくて学校に行けなくなる起立性調節障害という病気があります。これは、正式な病名で「下流」で起こっていうことです。
当院には起立性調節障害と診断され、標準的治療でも改善しなかった患者さんがたくさん受診されていますが、調べて見ると副腎疲労がある場合が多く見られます。一般的には、起立性調節障害は自律神経のバランスが崩れて起こる病気であると認識されていますが、調べて見ると副腎機能も低下しているということです。この場合は、起立性調節障害の原因の一つとして、副腎疲労が起こっているということです。
副腎疲労について知るための良書
副腎疲労については、日本でもようやく本間先生が書かれた本がたくさん出てき始めています。
その中でも、この本がとても参考になると思います。
興味のある方はご一読ください。