提督の憂鬱   作:sognathus
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前回(*第二部第50話「進言」参照)、提督の口から思いもよらない言葉が出ました。
果たして、その理由とは?

間に全く関係ない話が入って、話が飛んだ印象を与えてしまってたら申し訳ないです!


第52話 「トラウマ」

加賀「苦手......?」

 

提督「そうだ」

 

加賀「おっしゃった意味がよく分かりません。苦手というのは女性の部屋そのものが苦手という事なのですか?」

 

提督「ん......そうだな。どうしても入りたくないという意識が働いてしまう」

 

加賀「一体、何故......」

 

提督「士官学校時代の頃の話だ。当時つきあt」

 

バン!

 

 

金剛「大佐ァ! 浮気はダメって言ったヨォ!?」ダキッ

 

羽黒「そ、そうなんですか!? 大佐!」ジワァ

 

名取「そ......嫌ぁ!」ブァ

 

提督「......っ」

 

加賀「3人とも落ち着いて下さい。あと、金剛さん大佐を離してあげて下さい。息ができてないみたいです」

 

金剛「あ」バッ

 

提督「かはっ......はぁ......ふぅ......」

 

加賀「大丈夫ですか?」

 

提督「久しぶりにマズイと思った......」

 

金剛「ご、ゴメンナサイ......」

 

羽黒「大佐、大丈夫?」

 

名取「大佐っ」

 

提督「大丈夫だ。だからそう詰め寄るな」

 

金剛「よかったデス......じゃ、ないヨ! 大佐どういう事ネ!? 誰かと付き合ってるノ!?」

 

加賀「そこは気になっていたところです。どうか詳細を」

 

羽黒「私も知りたいです!」

 

名取「わ、私も......!」

 

提督「話すから皆落ち着け」

 

提督(加賀が3人が不意に部屋に入った事を戒めないとは......。いやな予感がするな)

 

4人「......」

 

提督「まず、俺が何故女の部屋が苦手なのかという話だったな」

 

加賀「ええ、そうでしたね」

 

提督「士官学校時代俺は一人の女性と付き合っていた」

 

金剛「っ、それって......!」

 

加賀「金剛さん、冷静に」

 

提督「その頃の俺も若かったから、彼女も俺もお互いに結婚を前提としたような真剣な付き合いはしていなかった」

 

金剛・羽黒・名取「ほっ」

 

加賀「......それで、もしかしてその彼女の方が大佐が女性の部屋が苦手になった原因なのですか?」

 

提督「そうだ。この先は......所謂、大人の話になるわけだが......」

 

加賀「私に言ってるわけではないですよね」

 

金剛「ワタシは Adult だから問題ないワ」

 

羽黒「わ、わたしだって......」カァ

 

名取「が、頑張ります......」カァ

 

提督「......分かった」

 

提督「若かったとはいえ、もう十代半ばだ。付き合う内にいつの間にか彼女は俺の部屋にもよく来るようになっていた」

 

羽黒「そ、それって......」カァ

 

提督「肉体関係はあった」

 

加賀「......」

 

名取「ひっ!?」

 

金剛「ヘェ......」

 

羽黒「ぴぃ!?」

 

提督「金剛、加賀、何か言いたい事でもあるのか?」

 

加賀「いえ、なんでも。ただ、その彼女の方に先を越されたのが悔しくて腹わたが煮えくり返ってるだけです」

 

金剛「フフ......もうこれはバージンを捧げるしかなくなったネ......」

 

提督「......」(火に油......いや、ニトロが爆発寸前か)

 

羽黒(あ、あの大佐が冷や汗流してる......)

 

名取(うぅ......部屋が凄く狭苦しく感じるよぉ......)

 

提督「まぁ......続けるが、そんな感じで付き合っていて、ある日俺が初めて彼女の部屋を訪れる事があった」

 

加賀・金剛「......」

 

提督(最早、何も言わなくなったか。気のせいか俺を見る目が話を聞く本来の目的から離れている気がする)

 

名取「こ、怖いよ、羽黒さんっ」ギュッ

 

羽黒「わ、私も......て、手、離さないで」ギュッ

 

提督「......彼女の部屋を訪れた時だ、俺の目の前に衝撃的な光景が飛び込んできた」

 

加賀「......淫乱な彼女さんが全裸で性的要求してきたんですか?」

 

金剛「大佐......時間と場所は弁えなないと......ダメヨ?」

 

提督「一方的に色情狂いに断定するな。まだ続きがある」

 

加賀「......どうぞ」ジト

 

金剛「Sが付く言葉は言っちゃダメヨ?」ニコ

 

羽黒・名取「......」ガタガタ

 

提督「お前たちが想像している様な事じゃない、安心しろ」

 

提督「それで、その光景だが。一言で言うと不潔極まりない散らかった部屋だった」

 

金剛・加賀「え?」

 

羽黒(大佐が安心しろって言ってくれてたのに......)

 

名取(本当に信じてなかったんだ......大佐かわいそう)

 

提督「俺は、自分が潔癖症であるつもりはないが、それでも限度というものがある」

 

提督「俺の目に映った彼女のその部屋の有様は、そんな俺の許容を軽く越えるものだった」

 

加賀「......そう、ですか」シラー

 

金剛「う、ウン。それは驚くワネ」

 

名取(二人とも急にしおらしくなっちゃった。安心したのかな)

 

羽黒(現金です......。大佐は、後で私が慰めよう......!)

 

提督「俺は、彼女に断わる事もせず自分に走った衝動に従って、部屋を片づけ始めた」

 

提督「今思えば本当に失礼な事をしたと思う。当然、当時の俺も片づけ終わって我に返った頃には痛烈に後悔と自責の念に駆られて、即座に彼女に謝罪しようとした」

 

提督「すると......」

 

羽黒「すると......?」ドキドキ

 

名取「ど、どうしたんですか?」ドキドキ

 

提督「激しい叱責を覚悟して彼女の方を見ると、そんな予想に反して彼女は嬉しそうに笑っていた」

 

羽黒「え?」

 

名取「そ、それってどういう......」

 

加賀「これは嫌な予感がしますね」

 

金剛「Why? 綺麗にしてもらってハッピーだったからじゃないノ?」

 

提督「確かに彼女はその事で喜んでいた。それは、俺にとっては幸運だった。いや、だと思った。彼女の次の言葉を聞くまでは」

 

『ありがとう! また頼むわね』

 

5人「......」

 

提督「それからというもの、俺は部屋に呼び出される度に彼女の部屋を掃除させられ、ついには家事までやらされるようになっていた」

 

提督「見返りというつもりはなかったのだろうが、事の後に彼女が床に誘ったりもしたのだが、疲労困憊でそんな気分にもなれず、直ぐに帰るだけだった」

 

名取「ひ、ひどい......」

 

金剛「あんまりヨ!」

 

名取「大佐、かわいそう......」

 

加賀「それがトラウマになったのですか?」

 

提督「そうだ。その時から俺の中で女性の部屋は危険な所、という認識が生まれてしまったんだ」

 

加賀「因みにその彼女さんは今?」

 

提督「当然の成り行きだが、関係が自然に消滅した後は本部で働いているはずだ。生活面はアレだったが、優秀な子だったのは間違いないからな」

 

羽黒(良かった! まだ付き合ってるとかじゃないんだ)

 

名取(う、嬉しいと思っちゃうのは......意地悪かな。でも......よかった......)

 

金剛(今は付き合ってないみたいね! でも、先に寝取られちゃってのかぁ......。悔しいなぁ)

 

加賀(出遅れはしたけど、状況は元の通りね。だけど、もう油断はできないわ)

 

加賀「......事情は分かりました。苦労なされたのですね」

 

金剛「だ、大丈夫ヨ! ワタシの部屋はキレイだカラ!」

 

羽黒「わ、私の部屋もです!」

 

名取「散かったりなんかしていません!」

 

提督「皆、すまないな。ありがとう」

 

加賀「大佐、安心するのは難しいかもしれませんが、私達の部屋だけは取り敢えず信じて貰えませんか?」

 

提督「うむ......」

 

加賀「私を、信じられませんか?」ズイ

 

提督「......ふっ、子供じゃあるまいし、何を意固地になっていたんだろうな」

 

加賀「それでは?」

 

提督「ああ。提督として検査には立ち入られせてもらう」

 

金剛「ヤッタネ!」

 

加賀「ありがとうございます」

 

羽黒・名取「検査?」

 

提督「ん? 加賀はともかく、何で金剛は驚かないんだ?」

 

金剛「エ?」

 

加賀「......不覚」

 

羽黒・名取「?」

 

提督「......加賀、金剛。少し話を聞きたいんだが」




龍驤を改二に、金剛を結婚スパート(途中で気力尽きて大望為らず)掛けてたら投稿が遅くなってしまいました。

という事で加賀達の計画はバレてしまいました。
検査自体は加賀と金剛の態度次第でしょう!多分。


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