提督の憂鬱   作:sognathus
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以前の作戦会議で決定した艦娘の部屋の抜き打ち検査という企みを提督に提案すべく、加賀は秘書をしながら機会を伺っていました。
そしてようやく丁度良い機会が訪れたようです。
上手くいくといいですね。


第50話 「進言」

提督「抜き打ち検査?」

 

加賀「そうです」

 

提督「お前たちの部屋の抜き打ち検査をしろというのか?」

 

加賀「基地内の風紀を正し、維持するのが目的なので、不定期でもこういった事はある程度必要かと」

 

提督「ふむ......」

 

加賀「流石に一日で全員の部屋を回るのは無理でしょうから、適当に決めた部屋を5ないし、3部屋くらいで行うと良いと思います」

 

提督「まあ、検査する部屋の数自体はそれでいいとしてもだ」

 

加賀「なんです?」

 

提督「うちはそんなに規則に違反する物を持っている奴がいるとは思えないんだがな」

 

加賀「そうですか? 辺境の地で物がないと言っても、一応軍の誘致で町はある程度発展していますし」

 

加賀「例えそこで手に入らなかったとしても、今はインターネットでおおよその物は手に入ってしまいますよ?」

 

提督「インターネット自体はここか、電算室でしか使えないようになってるから問題ないんじゃないか?」

 

提督「この部屋は勿論、電算室も基本、俺の許可がないと使えないわけだし。例え使ったとしても履歴はこちらで把握できるようになっているしな」

 

加賀「きょうび履歴の改ざんや削除くらい誰でもできると思いますが」

 

提督「そこまでして何かが欲しいのなら、その時点で俺に相談してくると思うがな」

 

加賀「皆を信用しているのですね」

 

提督「組織というものは軍も例外ではなく結束によって保たれるものだ。ま、その結束もあまり度が過ぎると束縛になりかねないからある程度調整も必要だがな」

 

加賀「そうですね。強い束縛は支配になり得ます」

 

加賀「軍人からしたら規律と見なすこともできるかもしれませんが、それでもその概念に抵抗を感じる子には強いストレスになりかねませんからね」

 

提督「そういう事だ」

 

加賀「では、やはり検査自体は必要ないと?」

 

提督「そう結論するのはやや早計だな。検査自体は俺は悪いとは思ってない。風紀の維持・改善、大いに結構だ」

 

提督「俺は単にお前らが見つかって重大な問題になるような物を勝手に持ち込むような真似はしないと信用している、と言いたかっただけだ」

 

加賀「では、重大でないならある程度軽い物なら見逃すと?」

 

提督「流石に公には公言はできないし、見つけたらあからさまに見逃すわけにもいかないが、まぁ上手く隠してくれればいい」

 

提督「加賀、お前も俺の写真を持っているんだろう? 写ってる本人としてはむず痒いが、それでもそれを見せられなければ俺はそこまで気にならない」

 

加賀「大佐......」

 

加賀「では、私の写真などどうです? 自分の写真が不当に所持されてるのが気になるのでしたら、せめて私とは同じ条件という事で」

 

提督「それは勿論構わないが......普通の写真だろうな?」

 

加賀「......」

 

提督「俺は危うく自分で自分の風評被害を拡散するところだったか」

 

加賀「裸婦はお嫌いですか?」

 

提督「お前の思考は飛び過ぎだ、俺はそこまで劣情の塊じゃない」

 

加賀「仕方ありませんね。では、今度普通のを用意しておきます」

 

提督「ついでに青葉にいかがわしい写真は全て破棄するように言って......」

 

加賀「どうしました?」

 

提督「最初の検査候補は青葉だな」

 

加賀「......」

 

加賀(これはいけない。青葉さんが大佐に好意を持っていないとは思えないけど、それでも最初に部屋に踏み込んでもらうのはあの時会議に参加していたメンバーでないと、ちょっと彼女達に示しがつかないわ)

 

加賀(これは一応、修正を試みないと。できれば最初は自分の所に来て欲しかったけど、ここで我儘を通して順番を狂わしちゃ駄目ね)

 

加賀「それでは青葉さんの部屋は私が担当します。大佐は、金剛さんの部屋などどうです? あそこは4人部屋ですし、大佐も多少は気になる所があるのでは?」

 

加賀の提案という名の修正案に提督は少し歯切れが悪そうにこう答えた。

それは彼女にとって予想外の言葉だった。

 

提督「いや......検査自体ははお前たちに任せる。俺は結果だけを報告してもらえればいい」

 

加賀「大佐......?」

 

加賀(なんだろう、違和感を感じる。私達の企みに勘付いた風じゃない。検査......部屋に入るという行為自体に抵抗を感じている......?)

 

加賀「部屋に、入りたくないのですか?」

 

提督「ん......流石だな。今ので判るのか」

 

加賀「何故です? 私達が大佐に何かしたとは思えませんが」

 

提督「誤解するな。お前たち自身に問題があるわけじゃない。これは俺の個人的な理由によるものだ」

 

加賀「......教えていただけないでしょうか?」

 

提督「まあ、隠す事でもないしな。俺はな」

 

加賀「はい」

 

提督「女の部屋が苦手なんだ」




おっと、ここで衝撃の告白(?)です。
この言葉に隠された提督の本意は?
それに対する加賀の反応は?

次回をお待ちください!


という感じにまたドラマ風にしてみました。
雰囲気を作っといてなんですが、そんな大した理由ではありません。


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