どうも、しそです。
今回は、電力会社を辞めた理由⑤についてご紹介します。
(電力会社を辞めた理由④の続編です。)
社有車がFR
電力会社の配電部門では、海から山まであちこちに移動します。
そこに電柱がある限り、電気をお届けすることが、彼らの使命であるからです。
一般の方が想像する電柱は、街中や住宅の道路脇や、住宅の敷地内に建柱されていることが多いです。
ですが、中には想像を絶するような箇所に、建柱されていることが多々あります。
例えば、スキー場の急斜面。
冬季に迂回する道はなく、麓で社有車を降り、スノーシュー(かんじき)を履いて、登山です。
電気が来ていれば、スキーリフトを借りて頂上まで登りますが、停電している場合は完全に人力です。
(重たい工具や電線を担いでの移動は、単純に作業以上に苦しいです。)
そんなレベルである雪山の現場を、配電線事故がなくとも普段から巡視・点検するに際し、あろうことか支給された社有車がハイゼットカーゴ。
(配電部門の殆どの車両が4WDであり、最低でもFFが必須。)
完全に総務のチョンボでありながらも、それでも彼らは絶対に、自らの非を認めません。
結果、既にリース会社と契約済みであることを理由に、車両の入替は一切行われませんでした。
明らかな安全配慮義務違反ですが、これでも事故に遭えば、自己責任。
一般的な企業において、総務の職掌には、職場の安全担当としての責務があります。
ですが、実際に現場に出ることがない彼らには、そもそもの危険に対する感受性が欠落しています。
(このことからも、技術系社員からは、特に嫌われています。)
こんな仕事ぶりであっても、同じ職能等級であれば、給与水準は全くの同一。
(深夜作業、宿直・日直、緊急呼出がない分、年収は若干下がりますが、定時ダッシュが可能。)
万が一生まれ変わって、また電力会社に入社するような事態となれば、絶対に事務系社員を選びます。
SDカードの取得義務
SDメモリカードではなく、自動車安全運転センター(警察庁の出先機関)が主催する、Safe Driver Cardの略称です。
本来の目的は、運転者の無事故・無違反を証明し、SDカード優遇店において割引料金で使えると言う制度です。
申請には1件あたり、630円が掛かります。
社員の自己負担はありませんが、掛けることの社員数。
これだけで、数百万円から数千万円の経費が、毎年掛かります。
これほどの大金を掛けてまで、なぜ強制的に取得をさせるのか。
その答えは、プライベートを含む無事故・無違反の確認を確実に行い、社員を締め出すためです。
電力会社では、ありとあらゆる交通法規に抵触した場合、必ず上長への報告が必要です。
事故や違反を起こし、本人が黙っていても、前述のSDカードの申請によって、後から必ずバレます。
社有車を運転している際は、看板を背負っているため、ある程度の理解はできます。
しかしながらこのやり方は、本人の道徳性を試すための、陰湿極まりない制度です。
思えば、入社2年次。
当時、私が最も心を通わすことができた先輩からは、次の訓えを受けました。
【配電部門で出世したいのならば、労働災害・交通事故・ヒューマンエラー停電だけは何があっても起こすな。】
電力会社を辞めた理由①でも多少紹介しましたが、本来業務は誰にでもできる仕事のため、全く差が付きません。
よって、減点方式に則り、このような方法によって、始末されます。
(一旦トラブルを起こすと、挽回は一切不可能です。)
地方特有の閉鎖的な人間関係も相まって、永遠に陰口を叩かれます。
1秒でも早く、都会に逃げ出したい。
駐車場代は実費
配電部門や営業部門の勤務地は、街中となることが多いです。
自分のペースで仕事ができる営業部門であれば、定時に出退社すれば良いですが、配電部門はそうも行きません。
朝9時からの停電作業があれば、会社には7時前には出社し、現場には8時前には到着しておかなければ、柱上開閉器の切替操作が間に合いません。
地方では、電車(JR・私鉄・地下鉄)の便が悪く、バスも定刻通りに来ません。
帰宅時間も不規則になることから、私有車による通勤を選ぶ人が多いです。
その際、営業所が街中にあることが災いし、事業所の敷地内に駐車場はありません。
(便利なのは、飲みに行く時だけ。)
社有車ですら、信号の長い横断歩道を待ち、別敷地の駐車場まで5分は歩く必要があります。
そんな一等地に駐車場を借りられるはずもなく、一般社員は10分以上は歩く駐車場を借りることが殆どです。
それでも、相場は月額10,000円以上。
冬季には、更に除雪費用が上乗せされます。
単純計算で、月額12,000円、40年間勤務したと仮定すると、生涯の手出しは5,760,000円。
高卒の一般社員でも、退職金が3,000万円から4,000万円と言われている現状を考えても、この分をマイナスすると大きな痛手。
なお、部門によっては、発電所や変電所での勤務となります。
よって、敷地が広いことから、駐車場が無償で提供されます。
最近では、僅かに数千円だけ徴収されるようになった部門もあるようですが、それでも不公平感は否めません。
(街中の変電所であれば、営業所とそう変わらない立地であったりします。)
よって、タクシーで1メーターの距離に住んでいない限りは、自動車や駐車場代に掛ける費用で破産しがちです。
(頻繁に実施される飲み会の際は、ホテル宿泊・運転代行・電車またはバスとタクシーの併用の3択で、更に出費が重なります。)
いかに電力会社の見かけ上の年収が高くとも、可処分所得は減る一方です。
(メーカーの年収②でも多少紹介しましたが、時給換算をすると恐ろしく低いです。)
あ~~、電力を辞めて、よかった。
以上、電力会社を辞めた理由⑤についてご紹介しました。
電力会社を辞めた理由⑥にて、引き続きまとめていきたいと思います。
それでは、また。