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2019-04-04

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・(めずらしく昨日の続きであります)
 「持っている力をじゅうぶんに発揮する方法」は、
 「力を出すことと、結果を関連づけない」
 ではないかと、昨日ここで言った。
 モテたい人はモテるようになるという結果を忘れる。
 儲けたい人は儲かるという結果を無視する。
 さて、その続きをもうちょっと説明してみたい。

 ここで、イチロー選手の登場である。
 『文藝春秋』4月号のなかに、
 「平成31年をつくった31人」という特集がある。
 この31人のうちのひとりがイチロー選手で、
 彼について語っているのが、田口壮さんである。
 田口さんは、じぶんがきついスランプに陥ったとき、
 先輩の選手たちに、「バッティングとは何ですか?」と
 聞いて回ったことがあったのだそうだ。
 いっしょに外野を守っていたイチローにも質問した。
 すると、返ってきた答えは一言。
 「失敗するもんです」であったと。
 そのときの田口壮さんも驚いたかもしれないが、
 また聞きのようにしてこのエピソードを読んだぼくも、
 わぁ、そういうことかぁと感心してしまった。
 まず前提(!)に「失敗するもの」がある。
 だから、打席に立ってその失敗に向かっていくわけだ。
 くり返し練習してきたことがうまくはまれば、
 「失敗するもの」という名の「当然の木」から、
 「ヒット」という果実を奪い取ることができる。
 そういうゲームに挑戦しているという発想でいたわけだ。
 前提が「失敗」なのだから、失敗を恐れることはない。
 つまり、モテないが前提、儲からないが前提でいいのだ。
 結果は、うまくいったら儲けものということになる。

 明石家さんまさんの「生きてるだけで丸儲け」や、
 古今亭志ん生の「落語をおもしろくするには、
 おもしろくしねぇことだ」も、同じことだと思う。
 自棄になるとかネガティブに思考しているのではない。
 どっちに転んでも怖くない、と知ることなのだ。
 そしたら、自ら持ってる力はのびのび発揮できるだろう。
 その結果、実力が足りなくて敗れたのなら、
 どうにかして実力をつけなはれ、ということになるよね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
実力をつけるってどういうこと? じぶんで考えなはれ!


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