元経済ヤクザが明かす、人工知能との「仁義なき投資戦争」の壮絶現場

そして、たどり着いた結論とは

米中はいま、経済戦争の余波を受けてリセッション(景気後退局面)に向けてチキンレースの真っ最中だ。資金の逃避地として日本の金融市場にマネーが流れてくるのか、あるいはアメリカ市場に引きずられて下り坂に入るのか――いずれにせよ、間もなく日本株市場が乱高下する時期がやってくるのは間違いないと私は考えている。

実は、そんな時こそ株式投資の大チャンスだ。しかし現在の株式市場を支配しているのは、人間ではなく忌まわしきAIである。

私は投資集団「猫組」を率いて日々AIを相手に熾烈な株戦争を戦っているが、人工知能アルゴリズムの戦いの果てに、私がたどり着いた投資術は意外なものだった。

これが投資集団「猫組」の投資ルーム。人工知能との激しい戦いが日々ここで繰り広げられている。詳しくは2ページ目以降で解説している

株式市場は荒れる。だから、私の出番だ

昨年末にかけてIMF(国際通貨基金)と世界銀行は、19年の中国の成長率は6.2%になるとの見通しを発表した。これは、天安門事件で経済制裁を受けた1990年の中国と同じ水準だ。また、3月5日に開かれた第十三期全国人民代表大会第二回会議では、首相の李克強氏が今年の実質GDPの成長率目標を、昨年末に中国政府が発表した「6.2%」から「6~6.5%」と引き下げている。

中国の発表だけに数字の信憑性は疑わしいが、何かと「盛る」傾向の多いあの国が、自発的に低めの数値を発表したことは注目に値する。この原因について、李克強氏自ら「米中貿易戦争の影響によるもの」と説明していることから、アメリカの対中政策は確実に効いているということになる。

 

そのアメリカ経済は現在、数字の上では順調だ。中央銀行にあたる連邦準備制度のFRB(連邦準備制度理事会)によれば、18年の成長率が3.0%と他の先進国を大きく上回り、19年の見通しが2.3%。「堅調」と呼べる数字だ。また、昨年の失業率3・7%は、49年ぶりの低水準だ。

だが2月には、自動車ローンを期限通りに返済できず90日以上遅れている人が約700万人いることが報じられた。アメリカで自動車は「足」であり、この数字をもって、低所得者層が見えないところでさらなる貧困に陥っているのではないかという観測も伝えられている。

さらに、地下経済では不穏な動きを伝えるニュースが流れている。

金融大国アメリカにあって、銀行は高いレベルの透明性や健全性が求められる。多くは明かせないものの、昨年終盤からアメリカの一部銀行が、第三国を経由して不良債権をペーパーマネーで補填する動きが観測されている。ペーパーマネーとは、額面に比べて、実質的な価値が極めて低い証券のことを指す。極端に言えば、30万円で1億円の証券を作り出すこともできるのがマネーの世界の実態で、その専門のブローカーもいる。

不良債権の負債分を、「額面だけの証券」で帳簿上の埋め合わせることは、粉飾決算に近い行為だ。私の知る限り、これまでアメリカの銀行は、この荒技を行ってこなかった。あまりに危険で、世界の金融市場を不安定化させるからだ。にもかかわらず、ついに米金融機関が「黒いウルトラC」を行ったことは、不気味なシグナルであるといえるだろう。

2018年、FRBは4回の利上げをしたが、金利は上がらなかった。その大きな原因は、アメリカ国内に投資先がないことだと私は考えている。

これらを合わせれば、米中両国ともに、リセッションに向けてチキンレースを行っているというのが、私が導き出した結論だ。

歴史的にみて、世界の金融市場が低迷した時、資産逃避地として日本市場にマネーが流れ込んでくる傾向がある。一方で日本という国は、アメリカ市場に引きずられて金融市場が冷え込むことでも知られている。米中両国にリセッションの気配が強くなれば、日本市場の株式は乱高下すると考えることができるだろう。

そうした状況こそが、私の得意とする地合い(相場の状態)だ。