----N----004----------------
----a-----------------------------
----t-----------------------
----u-Z-o-r-a--------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------
(剛男)父さんが あの子をここに連れてきた理由をちゃんと話そうと思ってな。
(富士子)あの子がいない!(剛男)えっ?
父さんが どっかに連れてったみたい。
えっ どこへ?
なつが おじいさんに連れてこられたのは十勝一の繁華街 帯広の街でした。
帯広にも 闇市がありました。
なつは 少し東京を懐かしく思ったようです。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(泰樹)これ 履いてみろ。(なつ)えっ?
その靴では 仕事の役に立たん。 ほれ。
はい。
どうだ?ブカブカです。
お前の食いっぷりなら すぐに追いつく。
これ くれ。はい 10円。
お前は 東京で働いてたのか?はい。
何してた?靴磨きです。
靴磨き?それなら 妹と一緒にできるので。
靴磨きは いかが~。
オオ…。
ヘイ ガール。(千遥)サンキュー。
サンチュー ベリマッチ!ユー アー ウェルカム。
東京に 兄貴がいると言ってたな。はい。
何してた?闇市で盗みでもしてたか。
盗みはしません!
盗む子は いっぱいいたけどそれだけは やめようって…。
新聞を売っていました。新聞?
新聞の会社に行って10銭で買った新聞を 20銭で売るんです。
それに お兄ちゃんは楽しい人なので…。
(咲太郎)♪「うぬぼれのぼせて得意顔」オ~! ジャパニーズ チャップリン!
♪「東京は銀座へと来た」エノケン!
(拍手と歓声)
進駐軍の人にも 人気があってそれで…。
妹は いくつだ?別れた時は5歳でした。
どこにいる?親戚の家です。
兄貴は?
お兄ちゃんは… 今は孤児院にいます。
バラバラか…あいつも 中途半端なことをしたもんだ。
お兄ちゃんが…おじさんに 私を頼んだんです。
おじさんは 何も悪くありません。
許してあげて下さい。
あの子を ここに連れてきたのは夕見子がいたからだよ。
(夕見子)えっ?父さんは 戦地にいて夕見子のことを思わない日は一日もなかった。
いや 片ときもなかった。
それは あの子のお父さんも同じだと思うんだ。
その人は亡くなって 父さんは生き残った。
でも その人と父さんが反対になっていても全然おかしくはないんだわ。
だから 夕見子となっちゃんが反対になっても おかしくはないんだよ。
そんなことは分かってるさ。
だから かわいそうだとは思ってる。
かわいそうに思えって言ってるわけじゃないんだ。父さんは なっちゃんを見てどうしようもなく夕見子のことを思ってしまったんだ。
夕見子が孤児になって 大人の人から冷たくされていたらと思うと父さんは たまらなかった。
そんなことは絶対に許したくないと思ったのさ。
夕見子を 幸せにしたいと思った。
だから 父さんは 自分のためになっちゃんを連れてきてしまったのかもしれない。自分の気持ちが済むように北海道の こんな所までなっちゃんを連れてきてしまった。父さんは なっちゃんの人生を変えてしまったことになるんだ。
それって 私のせいってこと?
そんなことは言ってないさ。
私が あの子の人生を変えることもできるってことかい?
無理に変えようなんて思わなくていいんだ。
ただ 夕見子は 夕見子のままあの子を受け入れてほしいと父さんは そう願ってるだけだ。
分かったよ。
ありがとう。
おう やっとるか ハハ。
(とよ)お~や 柴田さん お久しぶり。
店は やってるよ。売るもんは な~んもないけど。
(泰樹)闇屋に仕事とられたか。(とよ)うちは 闇で商売したくないからね。
ハハハ…新鮮な牛乳と 卵を持ってきてやったぞ。
相変わらず 恩着せがましい言い方するね。
「持ってきてやった」ってそっちも商売だべさ。
商売にならんでいいから 何か食わせろ。
お~や 珍しいお孫さんと一緒かい!
したら しかたないね。 雪之助!
・(雪之助)は~い。
柴田さん!ハッハ~ いらっしゃい!
孫の夕見子ちゃんや~っと連れてきてくれたんだわ。
お前 何か作ってやんなよ。お~ 夕見子ちゃん! いらっしゃい。
お~い 妙子 雪次郎!柴田さんがな お孫さんの夕見子ちゃん連れてきてくれたぞ。
(妙子)まあ いらっしゃい。(雪次郎)いらっしゃい。
夕見子ちゃん こんにちは。やっと会えたね。
年は 確か 雪次郎と同じだったね。9つでしょ?
いいえ…。(妙子)あれ 違った?
あっ… そうです。 年は9つです。
なかなかの美人でないの。
これで 性格が じいさんに似てなきゃいいんだけどね ハハハ…。
雪次郎 とりあえず仲よくしてやんな。うん。
友達になろうね 夕見子ちゃん。いや…。
(雪次郎)嫌かい…?(とよ)はっきり言う子だね~。
やっぱ じいさんに似ちゃったんだね。
無駄口はいいから 何か菓子出してくれ。
お菓子はねえ これが もうないんだわ。
肝心の砂糖が 手に入りにくいから。
それに 鍋や釜 餡を練るへっついや煎餅焼く型まで供出してしまってそこから集め直さないとね。
この子まで 兵隊にとられて帰ってきたばっかりなんだよ。
うちの婿も帰ってきた。(とよ)ああ そう 戻ってきた?そりゃ いかったね~シベリアに連れてかれなくてさ。
ああ。よかったね 父さん帰ってきて。
あっ… いや お父さんじゃありません。
(一同)えっ?
衝撃的な発言。こりゃまた たまげたこと言う子だねえ。
この子は 孫の夕見子ではない。
えっ 違うの!? だったら 早く言ってや。じゃ 誰?
わしの弟子じゃ。(とよ)弟子?
はい…。自分から挨拶せえ。
あっ 奥原なつです。 東京から来ました。よろしくお願いします。
東京から?東京から疎開してきたの?
違います。
あんた まさかさらってきたんじゃないよね?
何てこと言うんだ…本当に 口の減らんババアじゃ。
あんたに ババアと言われるほど耄碌はしてないよ!
ごめんなさい!
何で お前が謝るんだ?(とよ)何で謝んの?
あの お願いです。喧嘩はしないで下さい。
喧嘩? 何のためにもならん喧嘩はせんよ。
アハハハ… 喧嘩ならもうちょっと言葉を選ぶよ。
ハハハハハ… こりゃ 母さんが悪いわ。
驚いたしょ? 開拓者の1世は もう思ったこと 何でも口に出すから。
これはね じゃれてるだけなのよ。からかってるだけだよ。
柴田さん ちょうどよかった!
この牛乳と卵で 何か いいもん作るわ。
おお 作れるか。ああ 砂糖はないけど蜂蜜が 手に入ったんで試したいもんあったんだわ。
ハハハ… 楽しみにしててや。
♪~
おお。は~い。
おお アイスクリームか! ハハハ…。
うん こりゃうまい!
ハハハ… 全く大酒飲みかと見せかけて甘いもんにだけは目がないときてんだから この人は。
何も見せかけとらんよ。なら 見かけ倒しか。
いいから もう引っ込んでろ。アイスクリームが苦くなる。
はい はい はい フフフフ…。
びっくりこいたか?
俺たちは 何でも 我慢せず言い合う。
そうしなければ 開拓のつらさも冬には 零下30度を超す寒さにも耐えきれんかった。
言い合える相手がいるだけで人は恵まれとる。
はよ食べれ。はい。
うん… うまいか?
はい おいしいです!
甘い… すごくおいしいです!
うちのもんには ないしょだぞ。
はい。
フフフフ…。
それは お前が搾った牛乳から生まれたものだ。
よく味わえ。はい。
ちゃんと働けば必ず いつか報われる日が来る。
報われなければ 働き方が悪いか働かせる者が悪いんだ。
そんなとこはとっとと逃げ出しゃいいんだ。
だが 一番悪いのは人が なんとかしてくれると思って生きることじゃ。
人は 人を当てにする者を助けたりはせん。
逆に 自分の力を信じて働いていればきっと誰かが助けてくれるもんじゃ。
お前は この数日 本当によく働いた。
そのアイスクリームはお前の力で得たものだ。
お前なら 大丈夫だ。
だから もう 無理に笑うことはない。
謝ることもない。
お前は 堂々としてろ。
堂々と ここで生きろ。
いいな。
はよ食べれ。
♪~
その日の夕空は とてもきれいでした。
なつは 上野の闇市で兄や妹と 一緒に見た夕空を思い出していたようです。
なつよ 明日は きっともっと いい日になるぞ。