池田果厘Ikeda Karin

作品写真:carousel
作品写真:carousel
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carousel

インスタレーション|鉄、木材、モーター、ほかInstallation art|Iron, wood, motor, otherH4000 × W3000 × D3000mm

人がメリーゴーラウンドを見て楽しそうと思う事、私がメリーゴーラウンドを見て苦しいと思う事。
その二つの視点には境目があります。
人に乗られ、同じところをぐるぐる回り、見世物にされている動物たち。
娯楽として、労働力として、食料として、遺伝子操作もされている動物たち。

乗らずにあなたが回した時、タイトルを見て改めて見た時、二つの視点の境目が出てきます。

池田果厘

自分と人の視点や感じ方のズレ、メリーゴーラウンドという楽しい夢を与えてくれる遊具を素直な自分の視点と対比させた考えが面白い。
作品は鉄線を使い素材を上手く活かしている、また、動物の造形がシンプルでとても美しい。
手動で動く事がより作品の魅力を増していた。

空間演出デザイン学科教授 太田雅公

石塚里奈・鈴木四恩Ishizuka Rina, Suzuki Shion

作品写真:Sanatorium
作品写真:Sanatorium
作品写真:Sanatorium
作品写真:Sanatorium
作品写真:Sanatorium

Sanatorium

パフォーマンス|鉄、木材、ほか|3分Performance art|Iron、wood, otherH5000 × W63000 × D10000mm|3min

奇妙な健康器具揃えました。
人は体と心だけでなく、運も健康にすることが出来る。

石塚里奈・鈴木四恩

日本では江戸幕府が終わろうとしていた1852年、米国生まれの菜食主義者で、すぐれた外科医にしてコーンフレークの発明者として名高いジョン・ハーヴェイ・ケロッグ博士は、“健康の殿堂”として自ら開設した「バトルクリーク診療所(サナトリウム)」でその終生を過ごした。一見、石塚と鈴木の作品は、そこで行われていた数々の健康機器の発明品を描いたアラン・パーカー監督の映画を彷彿とさせるが、現代の哀しくも滑稽でさえある健康信奉という名の「病」を背景にしながらも、そこに浮かび上がる人間という存在への、まるで泣き笑いのような愛おしむ視線に満ちている。

空間演出デザイン学科教授 小竹信節

井上博未Inoue Hiromi

作品写真:0から1にすること
作品写真:0から1にすること
作品写真:0から1にすること

0から1にすることFrom Origin to One

木材WoodH4500 × W3300 × D2000mm

場の特徴を取り入れながら、空間構成をしました。
建築でもない、オブジェでもない、椅子でもない、心地よい人の居場所を制作しました。作品の一部は人が座れるようになってしまいます。座った時に、空間の一部になるような感覚を心がけました。
0から1をつくるという過程を大切にするため、自由に変化のつけやすい構造にし、最後まで場に合った形、人に合った形を模索しました。

井上博未

井上博未は、いつも手で考えていた…。
原寸の模型制作を何度も何度も繰り返し、今回の構造形態を見つけていった。
この構造は、モデュール化したパーツを連続させ、その形態に異型の骨格を丁寧に加えて形を保たせた。出来上がった構造体は、場を繋ぎ、人の居場所となり、空虚な空間に環境を形成した。

空間演出デザイン学科教授 小泉誠

勝海麻衣Katsumi Mai

作品写真:still life
作品写真:still life
作品写真:still life

still life

インスタレーション|ベニヤ板、アクリル絵具Installation art|Plywood, acrylic paintH1800 × W40000 × D25000mm

静寂な風が微睡む中、微笑みを返してくれる117人
人間の感情の抱えきれないほどの豊かさを人種、性別、年齢、表情が全く異なった何人もの姿を借りて表現した。

勝海麻衣

「The Principles of Uncertainty 不確実の法則」と名付けられた美しい画集は、「ニューヨーク・タイムズ」に月に一度連載していたマイラ・カルマンの絵日記をまとめたもので、彼女はその冒頭に、気ままに、思いつくままに、好きなものを集めながら始まったと書いた。人が大好きで、ゼミの間常に誰かを描いていた勝海を見る度に、マイラのことを思い起こす。ここに並んだ117名の物静かに佇む見知らぬ人々の微睡みの中を風がゆったりと通り過ぎるように、久しぶりの友人と一緒に歩いてみた。ふたりとも笑顔になった。

空間演出デザイン学科教授 小竹信節

丸野悠太Maruno Yuta

作品写真:石橋楼
作品写真:石橋楼
作品写真:石橋楼
作品写真:石橋楼
作品写真:石橋楼

石橋楼Ishibashiro

模型|スチレンボード、木材、塩化ビニル、プラスチック、ほかModel|Styrene board, wood, vinyl chloride, plastic, otherH600 × W1800 × D1800mm

敗戦後間もなく、三軒茶屋に闇市の名残である三角地帯が形成されていった。夜になれば、賑わいの絶えないドヤ街だ。しかし、同時に再開発の対象地区でもある。更地にした先に、残るのはきっと綺麗すぎる、当たり障りのないビルディングだけだ。そこで、三角地帯が培ってきたストーリーと三軒茶屋の名の由来であるかつての茶寮、石橋楼がホテルとして蘇り、二つが共生する姿を描いた。

丸野悠太

三軒茶屋に今なお残る、戦後に出来たバラック商店エリア 通称「三角地帯」。
市井の人が愛する独特なシズル感は、未来が失ってはならない豊さを蓄えもつ。
丸野はこの豊かさを保持しながら、かつてミッドセンチュリー期の建築ムーブメントであるメタボリズム的な発想を現代に蘇らせ、ユニークかつ軽やかに宿泊施設を計画してみせた。
提案はハードだけに留まらず、使われ方の視点から現存「三角地帯」の持つソフトインフラを活用又融合し、新旧の面白いコントラストを見せる。
“リアリティー/ファンタジー”という対義する概念を融合し、過去と未来を繋ぎ、それぞれの価値を認めるという新しい環境作りの提案である。

空間演出デザイン学科教授 片山正通