文書は最低西暦を併記、統計からは元号一掃を

文書は最低西暦を併記、統計からは元号一掃を

「明治40年から平成10年まで」などと言われて、それがいったい通算で何年になるのか、即答できる人は少ないだろう。

特に困るのが統計だ。国内統計と海外統計を対比する場合など、政府が発表する統計類はほぼすべてが元号を使用、一方、対比する海外統計は当然、西暦表示である。

また、企業が発表する文書は、役所や証券取引所に提出するものは元号表示、一般向けのものは西暦表示となっていることが普通である。このため、たとえばアナリスト向け決算説明会などで配られる資料は、証券取引所に提出する「決算短信」が元号表示、決算説明会のために作成した資料が西暦表示となっているのが普通だ。作成側も余計な手間がかかるが、読み手をも煩わしくさせるだけで実にバカバカしい。

ある企業のIR(投資家向け広報)担当者に、なぜ決算短信には元号表示を使うのか聞いてみた。すると、「東京証券取引所(東証)が発行した決算短信の雛型が元号表示になっているから」との答え。そこで東証に聞いてみると、「雛型は確かにそうしているが、西暦を使うことを企業に禁じているわけではない」と答えた。

要するに「“お上”の意向を忖度(そんたく)して、無難な道を取る」といういかにも日本的なやり方を、一般企業も東証も選んでいるだけのようだ。
 元号表示のデメリットを列挙してみると次のようになる。

第一に、元号表示は、改元のたびにリセットされるから、暦として最も重要な要素である連続性がない。そのため、歴史、統計、年齢などを扱うときに非常に面倒だ。また、官庁統計をダウンロードして自分のパソコンに保存しておくことも珍しくなくなったが、官庁統計のデータは、年号を西暦に直さなければまったく使いものにならない。

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  • NO NAME597ffdd04791
    パスポートの表示は西暦です。主に外国で使うものですから当然でしょう。その他の官庁関係文書は基本的に全部和暦ですが、日本に居住する外国人に関係する文書はまちまちとなっているようです。たとえば、日本人の住民登録(及びその謄本)は和暦ですが、日本に居住する外国人の登録(証)は西暦です。運転免許証は日本人、外国人とも和暦ですので、今年免許証の更新をする人の有効期限は、ゴールド免許であれば平成34年と表示され、今後5年間はそのまま使うことになりそうです。マイナンバーカードは、生年月日が和暦、有効期限が西暦となっています。在住外国人にもマイナンバーカードを発行することになっており、今後マイナンバーが民間を含め色々な分野で使われることになる可能性を考えると、西暦を使うようにしたのは正しい選択だったでしょう。生年月日を和暦で表示しているのは統一性を書いていますが。
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    2018/5/31 21:16
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