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【政治】

シナイ自衛官派遣 閣議決定 国会承認不要と判断

閣議後、記者会見する岩屋防衛相=2日、首相官邸で

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 政府は二日、エジプト・シナイ半島でイスラエル、エジプト両国軍の停戦監視活動を行う「多国籍軍・監視団(MFO)」に、司令部要員として陸上自衛隊の自衛官二人を派遣する実施計画を閣議決定した。安全保障関連法に基づく新任務で、国連が統括しない平和維持活動「国際連携平和安全活動」を初適用。国会に承認を求める必要はないと判断した。政府の裁量を幅広く認める安保法の特徴が浮き彫りになった。

 計画概要によると、自衛官は司令部でイスラエル、エジプト両軍との連絡調整を担当する。MFOの要請に基づき、拳銃と小銃を携行する。派遣期間は四月十九日から十一月末まで。安全確保が困難となった場合は撤収するとした。

 岩屋毅防衛相は閣議後の記者会見で「わが国の国際貢献の幅が広がった」と強調。今後の部隊派遣は「全く考えていない」と明言した。防衛省は二日、要員候補の選定などを行う会議を開き、派遣に向けた準備を本格化させた。

 政府は派遣に際し、国会に承認を求めない。安保法は「自衛隊の部隊等」が行う国際連携平和安全活動は「国会の承認を得なければならない」と定めるが、政府は、司令部要員は「部隊等」に該当しないと説明している。「等」に何が含まれ、含まれないかを政府の裁量で決めたことになる。

 安保法は国際連携平和安全活動への参加に関し、国連平和維持活動(PKO)参加五原則の準用に加え、国際機関などの要請を要件として規定。国際機関の条件に「実績や専門的能力を有する」ことを挙げる。

 岩屋氏は三月二十八日の衆院安保委員会で「MFOは国際機関として平和維持に貢献しており、国際的な正当性を有する」と述べた。実績や能力の有無は政府の判断次第。どんな国際機関にも自衛隊を派遣できることになりかねない。

 政府はMFOからの派遣要請についても、二〇一五年秋以降にあったと説明するにとどめ、詳細を明らかにしていない。野党からは安保法成立に合わせたような要請を「不自然だ」(立憲民主党の本多平直氏)と指摘する声が出ている。 (上野実輝彦)

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