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元・早稲田大学コンゴ探検隊リーダー高野秀行氏Part2 |
冒険野郎の実物像
交差点で手を振っていたのは高野さんだった。
別人であれば笑いネタとして使えたのですが
現実にはそうそうお笑いは起きないです。
携帯電話(私は古いPHS)で交信しながらの待ち合わせでしたからね。
高野さんはTシャツとジーパン。カバンを肩にかけた出で立ちでした。
私も同じような格好にシャツを羽織ったラフな感じ。
二人とも街に馴染む風体をしていました。
一見すると普通に居る兄ちゃんが待ち合わせをしているような光景です。
しかし彼は元探検隊リーダーであり、しかもタイの国立大学の元先生。
ラフな格好の中に顔はやや日焼けし精悍な風貌、
しかし目を見ると優しい光を漂わされるギャップ。
170cm前後の身長でいながら引き締まった筋肉が
Tシャツの下から感じられる男っぷり。
海外でのキケンを潜り抜けた経験が感じ取れる雰囲気をまとわれていました。
幻獣ムベンベを追えを書かれた本人さまイメージとピッタリ。
探検野郎の超VIPとして私は覚悟してお迎えに上がったわけですが、
何故か親しみを持ってしまう人物でした。
しかし、その親しみ易さから時々自分の友人のように感じてしまい、
ついツレ(友人)に対するような言葉使いになったりしてしまいました。
私の尊敬の思考がツレになってしまうとは、
これは反省しなければなりません。
後で分かったことですが高野さんよりプレゼントされた
前出の怪しいシンドバッドを読んで
私の持った妙な親しみ感の理由が判明しました。
同じ海外経験=命がキケンにさらされギリギリで脱出等=が豊富。
仕事と冒険の違いはあるものの、観光地よりも危険地帯へ訪問し、
変に死線を潜り抜けた経験が妙に親しく思えてしまった理由でした。
(作者の海外経験の一部は後半に少しだけ出てきます=ここ)
同じような体験を持つもの同士…だったかなと思います。
「怪しいシンドバッド」の中にインドで監禁されそうになって危機一髪、
高野さんの陥った光景まで目に浮かびます…
またその書籍ムベンベの後日談(3回目に訪問した)に書いてあるのですが、
正体はサイ説にまつわる痛切な批判。
ムベンベの正体がサイの証拠として出ていたもので、 地元の住人にサイの絵を見せたら、みんな、 「これだ!」、「モケーレ・ムベンベだ!」と言った。 というのがあります。 だから、そのやり方はダメだって! 何度、同じことをくり返すんだ。 コンゴ人は「学習能力」が高すぎて困るが、 欧米人は「学習能力」が低すぎて困る。 |
一文を引用しましたが全くの同意、
しかも似たような事を何故か書いていた私は
見解の一致にビックリしたほどでした。
ムベンベの正体をサイとして断定した手段が、そもそもダメだろう…。
絵を見せた為の失敗=村人に先入観を植え付けた失敗。
サイの絵を指して「ムベンベだ」と言ったというのなら、
それ以前のブロントサウルス系を指して「ムベンベだ」と言ったのも
正当としなければならなくなる。
何も無い段階でムベンベの絵を描かせ「サイ」だったら有効だったのにね。
今の段階ではダメダメです。
今の時点ではムベンベとされているものが捕獲されない以外はダメ、
つまり正体が何であっても捕獲以外は何も言えないのが科学的です。
我々は普通の兄ちゃん達でありましたが会話の内容は特異でした。
文章とは違う実物感
時々書いていることですが、文章はその人の知識のホンの一部。
いざ会ってみると印象が異なる事が多くあります。
ネットとは違う部分ですネ。
リアルでは皆さんも自然に行うように言葉を聞きながら、
目の動きや顔色、動作などでその人を観察したりします。
「元気です」と文章で書けば”元気”だけしか伝わりませんが、
「元気と言っていても弱っているだろ」とカラ元気とかは見抜けますよね。
ネットだけに慣れすぎてしまうと本来のコミュニケーション能力を
廃れさせてしまうのではないか?などと心配するところですが、
海外では言葉の微妙なニュアンスが難しいので
総合的に解釈するようになってしまうものかもしれません。
日本人同士でも得意な話題から外れるとついていくのが精一杯という言葉、
外人相手なら当然なわけで、それを繰り返していると言葉よりも行動、
そんな観点で人を見るようになったりします。
車の中で会話。
コンゴのテレ湖は本当に言葉では言い尽くせません。 四方八方、ジャングルに囲まれて毎日歩きつづけました。 感覚がマヒしてきます。歩きにくかったし。 湖に到着する直前まで何にも見えませんでした。 本にも書きましたがいきなり眼前にスケールのデカイ世界、 夢のような広い空間、綺麗な湖が突如現れたのです。 何か居るという感じと共に、これなら伝説の一つや二つが出てきても 全然不思議でないと思いました。 |
実際に行かれた方ならではの言葉です。
言葉よりも行動というのは結構重要なことで、
「口は良いけど行動が伴っていない」と普段使います。
言葉が足りなくても、その行動でどんな人物かが想像できる…
海外では「言葉だけ調子良い」人は逆に警戒しなければなりません。
メシを食いに行こう、そこまでは順調。
海外を股にかけ飛びまわった二人。
私もそうとう海外経験が豊富と自負していましたが
話が通じるために嬉しいのなんのって。
クェートでの火災(イラクの侵略前)緊急放送がアラブ語で逃げ遅れた話、
パキスタンでの銃撃(頬がマヒ)少しズレていたら死んでいたという話。
私もしゃべるしゃべる。普段こんな会話はしませんからね~。
お互いのキケン自慢は尽きる事がありません。
助手席に座っているのがあの高野さんだということに感慨深げに浸りつつ、
さぁメシを食べながら色々な話をしようと本題に移らねばならない。
しかし車の中でもベラベラしゃべって止まらない私。
運転が疎かになってしまうことがないよう気をつけなくては。
メシを食べながら
柔らかいイスにドカッと座り、高野さんはタバコを取り出した。
「タバコ良いですか?」
銘柄はマイルドセブンでした。
車の中で吸っても良かったですのに。
火を点け深く煙を吸い込み「ふぅ~」と一服毎に緊張を解かしていく…。
一方、私も今日の為にガラムという必殺アイテムを持っていっていました。
過去インドネシア出張時に経験した強烈なタバコで、
閉鎖空間(喫茶店など)で吸うと迷惑この上ない破壊力を持っているタバコ。
火を点け深く煙を吸い込み「ふぅ~」と一服毎に気持悪くなって行く。
(強過ぎて…)
さて…
以前の金田一シリーズの工藤圭さんの時に失敗した著作本忘れを教訓に、
この時はシッカリ持参していた「幻獣ムベンベを追え」にサインをねだり、
持っていなかった「怪しいシンドバッド」を高野さん本人から頂きました。
←ご本人さまからプレゼントで頂いた。
ここは食事だけにサッサと終え、ジックリ膝を突き合せれる場所が本番。
さぁ移動しましょう。
場所移動に2時間の恐怖
外ではパラついていた雨が本降りになっていました。
冒険話をするにはムードが合います。
雨の音も見事なBGMです。
ゆっくり会話できるのならしゃべっても迷惑にならないお店、
ロイヤルホストとかのファミレスが良いと判断。
しかし食事前の「会話に夢中にならない」心構えは既に忘れられていました。
テレ湖は隕石跡じゃないか?の話から。
テレ湖は不思議でした。 本当に近寄ると乾いていき地面が硬くなって行きました。 湖畔の一部、湿地帯なのに石があること自体が不思議でした。 ほんと重かったですね。 隕石跡の事は広がらなかったようで、 多分、今でも隕石跡としての調査は入っていないと思います。 |
作者「隕石跡として大発見だったかもしれないのに勿体無かったですよね」
はい。 ほんと勿体無いです(遠い目) |
あの重くて不思議な石を村人に取りあげられてしまった残念さが
私の胸をも打ちました。
一方…
NONOさんが特集を組まれたタケシ&所ジョージの
アンビリーバボーの話では「NONOさんの号泣に感動」
しかし知ってる仲間から見ると「オオッッ」
「あの豪快な人物が号泣してしまうとは!!!」
←アンビリバボーで特集が組まれ号泣されたNONOさん。
豪快な人物…。
その描写はヤングチャンピオンで連載されている漫画をどうぞ。
(これをアップしている現在、日本を出発する所まで進んでいます)
▲そういえば私達の写真がない!!!
理由は二人ともデジカメ等(忘れていて)持っていなかったから。
AP通信が流したNEWSの「レガスター隊」は NASA職員じゃなかったようですね…。 |
私も「外注さん」(=外部で仕事を請け負う会社)と聞きました。
と学会系などの否定派で言われていた「レガスター隊」はNASA職員じゃなかった話。
もしも本物のNASA職員だったなら大変失礼になってしまいそうですが…
二人とも資料を確認できないので噂話として雑談。
AP通信社が身元調査はすると思われるので、
元々日本に紹介する時の翻訳のミスかなというのが私の推測。
アニャーニャ博士は胡散臭かったです(笑 |
コンゴ人民共和国・水産省の生物学者マルセラン・アニャーニャ博士の話。
学者ゆえの外交能力の欠如か、否定派に攻撃されて腐ってしまったのか、
外貨獲得の使命に忠実なのか…。
アニャーニャ博士は科学者の肩書きに政治家としてのものもあります。
どこの政治家を見ても裏があるムードがプンプンなので彼だけではない。
こういう”発見”にまつわるものは、学術調査を胡散臭くし、
急ブレーキをかけるのが、その本人になるケースが多いです。
どんな発見事でも発明品でも全てに共通。
コンゴ探検は、そんな考え方を私にも読者さんにも教えてくれたと思う。
そういえば↓あの写真、見事でしたね。 |
そう!!!
そうなんです。作り手だからこそ分かってもらえる工夫。
何気なく挿入されているものでも私は苦労したりするのですが、
(読者さんに如何に解り易く伝えれるかの工夫)
一般的に分かってもらえるというのは滅多にありません。
それをサクっと見抜いて下さったことに感激です。
ウモッカにクリソツなあのトカゲ写真だけでも
探す大変さを想像してくださると分かり易いです。
こんな話、運転しながらでも惹きつけられるではありませんか!!!
結局…
車中での会話に思いっきり夢中になってしまい何回も道に迷い放浪!!!
雨が土砂降りになったことも集中力を高める事に一役買いました。
大変申し訳ない事をしました。
トイレは大丈夫だったのでしょうか!?
(気にしないで下さい)
インドの怪魚ウモッカの話へ突入
←ウモッカとはこの怪魚です(ここ)(C) mocca 2003
色々な会話があっちへ行ったり、こっちへ行ったり。
本題を進めるため、膝を突き合わせれるロイヤルホストへやっと到着。
ここは名古屋から外れた22号線ぞい。
22号線は名古屋から岐阜へ向かう大きな道路です。
名古屋市内では会話に夢中になったおかげでお店が見つからず
(あっても素通りしてしまい、雨の本格的な降りのためぐるぐる)
2時間もドライブをしてしまったのです。
しかし元気ハツラツな二人。
高野さんはまたもマイルドセブンを取りだし火を点け語り始めました。
私も合わせてガラムを取りだし気持悪く…
さて、ウモッカですが、ほんとうに興味津々です。 理性と情熱の融合こそ、UMA探検の核心と思いますが、 みなさんたちは 見事にそれを実践されていると感銘を受けております。 私としては、ややもすれば来年早々、 調査に出かけたいくらいの気持ちですが( もちろん自腹で)、 私は今はプロのライターですし、 一方今回のプロジェクトはあくまで主体は「ウモッカ調査団」だと心得ておりますので、 具体的に情報、金銭、権利などの諸条件について ちゃんとお話をするべきだと思 います。 …すいません、また先走ってしまいました(笑)。 |
いえいえ、全然先走っていません。
熱くなる現在進行形のウモッカ。
高野さんはチャンスがあれば現地へ調査に行きたいという旨と、
どれほど熱い想いを持っているかとかいつまんで話はじめました。
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