ヘンな模様のトラウト

★写真多いです。合計5ページの正当派サケ科魚類の謎を解説。


こんにちは。

愛知県小牧市のHと申します。
 
「サツキマス」の検索で貴サイトを発見しました。私自身もUMAには興味が
有りましたので、とても楽しく読ませていただきました。
 
サツキマスについては、私が過去に釣ったマスの胃にアユが入っていた
固体もおり、遡上後も餌を食うものと信じておりましたので、
サツキマスが餌を食う写真には感激しました。そもそも、遡上から産卵まで
6ヶ月くらい餌なしなんてとても信じられませんからね。
 
ところで、UMAともマスとも関係ないですが、2年位前、木曽川水系
谷で妙な魚が釣れましたので写真を送ります。おそらくは、岩魚と
アマゴの雑種と思うのですが。体長は20cm位だったと思います。
パーマークと斑点がとても奇妙です。体形的にはアマゴでしょうか。
また、この魚が釣れた谷の隣の谷では無班岩魚(釣れた瞬間はウグイ
と見間違えそうになります)が釣れたことも有ります。

←背中がカラクサ模様だ。

思わず、釣りキチ三平の「カラクサイワナ」の回を思い出してしまいました。

←綺麗です。ヒレピンの天然もの。

Hさん、情報ありがとうございました。あの餌を食うか食わないか論争の真っ只中で、
私の記事を読んだ某N〇Kがサツキマス特集を放映するに当たって
”食わない説”を急遽取りやめて修正したという伝説が有ります。
なんだかスゴイことをしたはずなのに、私のポッケは寒いままでした。

私が4ページに渡って書いた渓流スペシャル’98の時点で全国に広がったと思ったのですが、
いまだに釣り雑誌でも「食わない」と書いている専門家が居て、資料を当たっていないです。
▲釣り人は仕方がないですが専門家はねー。ちょっと愚痴でした。

それにしても釣り人がかなり見てくださっているようで私は嬉しいです。
怪しい魚を釣ったら、ドシドシご連絡下さいね。さて、本題です。
まずはじめに、普通のアマゴを見てみましょう。(サケ科サケ属・ヤマメの亜種)知らない読者さんは特に
↓写真:佐藤成史著「瀬戸際のさかな達」つり人社

普通のアマゴ。特に背中の模様に注目。

さて、添付されていた写真をチェックしてみましょう!!!
最初は胸鰭に白いライン、それが入っていませんので、サケ科イワナ属ではないです。

ヒレに入る白いラインがイワナの特徴!!!(一般の人は判別不能)

それにしても、私はサカナよりも綺麗な写真テクに目が行ってしまいました(冗談です)。
それにしても綺麗!!!どうも釣り人の皆さんは、写真が上手い人が多いですね。

<飼育したい方へ>

日本の渓流魚は上のように熱帯魚よりも奥ゆかしい美しさがあります。
水槽で飼うには水を冷却しなければいけませんから(夏)装備が大変ですけど、
この美しさを水槽で毎日観るというのは、かなり良い気分になれると思います。
(臆病・機敏な魚達なので餌付けは難しいですけど)

分析

<一般の方向け解説>

サケとマスって違いがあるの?ニジマスはあっても、虹鮭というかニジザケはないですよね?
不思議不思議。カワマスはマスと付いていますが、イワナの仲間。
分類や名前付けなどで混乱するサケ科魚類ですが、
ご存知サケとマスの差は大きいからとか小さいとか…は関係ありません。

昔、名前を設定した人が、この混乱の元を作ってしまったわけで、
なんとかしようにも世間に呼び方が定着してしまって、何ともなら無いのが現状です。

<ちょっと変わったものたちは?>

日本のサケ科魚類では、陸封されたものが多いです。
理由は気温が高いからですが、多くの方がパッと出るのは
イワナ・ニジマス・イトウ・ヤマメ・アマゴ・ヒメマス・サケがメインかな?
海外で有名なのはキングサーモン。日本名はマスノスケ。

他にはカワマス(ブルックトラウト)、オショロコマ(イワナの仲間)、
ゴギ(イワナの仲間)、ブラウントラウト、ギンザケ、カラフトマス…などがいます。
この辺で、ある程度の釣り人は止まってしまいますが、更に続きます。
知っているのは、かなりディープな渓流師(←”たにし”と読んでください)ばかりでしょう。

写真をアップします。たくさんの図鑑から、綺麗な写真を選択しました。
↓4つは佐藤成史著「瀬戸際のさかな達」つり人社

←無班イワナ

無班イワナは、岩魚の幼魚班パールマーク(パーマーク)が無いものです。
アルビノウ(アルビノ)ではない別の突然変異です。
▲魚類のアルビノは、目が赤く、体色が黄色いものが多いです。
ですから、目が黒い…というだけで別のタイプと判断できます。

←無班ヤマメ

無班ヤマメも同様に、アルビノではなく、別の突然変異です。
専門的には「突然変異が固定しつつある固体」といいます。
ほとんどの方は”わけ分かりません”状態でしょうけど、まぁ、よしとして下さい。

←ナガレモンイワナ

ごく少数の河川で発見されている突然変異固体。
模様が流れている感じがとってもオシャレです。
イワナを見慣れている釣り人ほど、その違いにビックリする度合いが大きいと聞きます。

←ゴギ(イワナ属)

これの突出した特徴は、頭に模様がクッキリある事です。
普通のイワナと大きく違うところは無く、模様の変わったイワナと区別がしにくいです。
イワナでは、頭に模様がクッキリ出ずに、それが区別の根拠になっています。

広島県太田川上流で天然記念物指定がされています。中国山地方面特産。
←イワメ(アマゴの亜種論議中)

↑写真:森文俊・内山りゅう著「淡水魚」山と渓谷社

ヤマメ・アマゴの無班固体に似ていますが、「突然変異が固定された級のもの」と表現が違います。
特定の狭い水域のみに生息が確認されており、その水域以外では出現していないです。
大変不思議な魚です。メジャーなところでは、三重県の員弁川(いなべがわ)の上流。
狙っても、なかなか釣れないほど少ないです。

氷河期の状態を解明するカギなのだ

・・・・・さて、ということで、サケ科魚類はたくさんの変異固体が存在します。
川の上流で陸封されていますから、人為的でなければ川の移動はほとんどありません。
従って、変異固体や種類を細かく調べる事によって、川の移動が普通に出来た頃の
日本の氷河期時代の状態を調べる資料にもなります。

食用として味もさる事ながら、不思議な魅力が満載なのです。
(…すでに、人為的に他のエリアに放流しまくった為、混乱しちゃいましたが。)

では、Hさんの釣られた固体は何なのでしょう?



作者から、鑑定結果を発表~~

釣ったHさんご自身が推測されていらっしゃる通り、イワナとアマゴの混血と思われます。
サケ科全体で行った人工実験によりますと、かけ合せの良いものと悪いものがいるようで
下に資料をアップしておきました。

←イワナとヤマメの混血

↑↓写真:加藤憲司著「ヤマメ・アマゴその生態と釣り」つり人社

←かけ合わせ実験データ

種類によっては長く生き長らえるもの、直ぐに死んでしまうものとあります。
アマゴはイワナやブルックトラウト(カワマス)と相性が良いようですね。
しかしながら、上流に岩魚が住み、その後ろにアマゴが住むという、
河川での住み分けがわりとシッカリしているサケ科類なのに、どうして交雑するのか?

考えますと、スキー場やゴルフ場の工事によって、住み分けが混乱した状態で
産卵期(秋)を迎えると交雑種が起きうる可能性が高い…と推測できます。

サケ科魚類は、まだまだ変わったものが多いだろうと思います。
それは天然記念物になるような「固定された突然変異」かもしれません。
Hさんの釣られたところでは、今回のイワナ+アマゴ以外に、無班イワナもいたそうで、
ひょっとしたら何か遺伝子異常を起させるものがあるのかもしれませんね。

原子力に使われるウラン鉱脈でも埋まってたりして

▲サイト内解説で「福井県の養殖所が放流して問題になった魚」とは別。
特に直接語句検索でページに来られた方で自然環境派、釣り人は最初から読むようにしてください。
UMAサイトとはいっても総合的な知識が、例えば⇒倍数体、こんなんがサイト内には一杯あるよ。

私は不思議とまだ混雑種を釣ったことがありません。Hさん、ありがとうございました。

こんにちは、大変楽しくサイトを拝見しております。 ロンデンと申します。

私はただのFFMでありますが、 一昨年より、当方のHPメンバーのご協力のもと
鹿児島県内のとある水系のヤマメを釣っております。

この水系は、ある特異な理由により閉ざされた区間があり、
恐らく血が濃いのではないかとメンバー内で推測されておりました。

そんな折、昨年、メンバーの内の一人がこの水系で変わったヤマメを 掛けましたので、
もしかすると貴サイトの資料として使えるのではないかと 思いまして、
メールした次第でございます。

しかし、こういう魚は全国的には珍しくないかもしれませんね。 よろしくご判断のほどを。

画像は・・・ 当方のサイト(鹿児島山女伝説)内の
「bbs3 photo」より「鹿児島」と「釣る」にチェックを入れ検索すると
「9/20 シシガミ様」のタイトルで見ることができます。 (画像クリックで大きく表示)

失礼しました。





表紙アップ

変わったヤマメ(アマゴ)の写真。タキタロウ君かな~?ご存知のように、
陸封されたサケマス類は変異が大きく、それを調査する事によって氷河期の状態研究にも
大きく参考になっているわけですが、お話によると、固定されつつある感じの水域だそうですね。

魅力的ですね。

尾ヒレの乱れ方から、養殖もの(自家で繰り返すと乱れた体形になる)と
最初は推測しましたが、どうも自然界での産卵後のものかな?…と、
9月ごろの釣果、微妙では有りますが、困った…。▲産卵は秋です(知らない方へ)

今後、複数の個体が釣れましたら、ご一報下さい。
さて、元に戻りまして。次はHさんのご感想と撮った他のトラウト写真をご紹介。


読者さんも変わった魚が釣れた場合は、是非ご連絡下さい。
(ブクブク付きクーラーで生かしていると尚ベター。私が飼育・研究します。取りに行きますし)



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