よくTV局らから依頼が来ると書いてましたが、一般の人が電話で情報提供するのではなく、
ちゃんとしたルートで来てたりします。

この記事はシー・シェパードの名が広まる前に釣り雑誌=磯投げ情報=にて発表した小ネタですが、
その後、まさかあの保護団体が超メジャーデビューを果たすとは思いもよりませんでした。作者も驚き。

分かりにくいニュースを解説してみる
超基本、シー・シェパード攻防戦

日々消費される情報、様々なものが駆け巡っています。

その中でTVや雑誌を含むマスコミには出ない、小さなニュースは天文学的な量があり、
例えば珍しい魚が捕らえられても、中々表に出ることはありません。

水族館へ寄贈するレベル。静岡の隣にある海において、漁獲されたアユカケ↓は、
海との行き来が困難になった昨今、もう剥製展示級の扱いとなっています。
こういう魚は、河口堰が出来ると超えられないので、すぐに絶滅すると考えられています。

生きた深海魚が防波堤で釣り人により発見、TVニュースで報道されるのも時々ありますが、
深海魚でも↓シャチブリなんて無名なものだと、表に出ることも無く人知れず処理されたりします。

←水族館へ寄贈するレベルの
海で漁獲されたアユカケ。
シャチブリなんて深海魚も
いるんですね。

一色町漁協の市場にて、
珍しいものが持ち込まれれば
すかさずチェック。

私宛の年賀状より抜粋
=堀先生 一色町漁協の傍にある
一色さかな村。

堀先生は、水産試験場にて
研究生活の後、漁協へ天下り?
さかな村の責任者として
活躍中でもあります。

そんなニュースも埋もれさすには勿体無いと、今後は率先して取り上げたいと思っていますが、
今回は、よく「いまいち理解が難しい」と質問を受けるようになった、
皆さんもご存知の”10年は続くであろう”大ニュースを解説したいと思います。

10年以上は語られ続けるだろうニュース

どうしてクジラの調査で調査船が攻撃されるのか?

環境保護団体のシーシェパード(主な拠点オーストラリア)から
日本調査船に対する攻撃が激しくなってきた昨今、どうして日本はクジラ科学調査をしなければならないのか?

保護団体等が薬品入りビンを投げつけ主張するように、そんなに悪い事をしているのだろうか?
お世辞にも最近の日本は良い国とは言えないけど、科学的な話をしましょう。

覚えておこう!!!捕鯨科学的調査って?

昔、山間部の伐採、河川の工事・ダム堰建設などでヤマメやイワナが激減し、
通称”渓流危機”が起きました。

海と川を行き来する重要なタンパク源であるサケ科魚類が絶滅秒読みと言うところで、
研究者等が最初は外来のニジマス、次にアマゴの養殖に成功、
増殖して各河川に放流する事業を開始しました。以前説明した3倍体作成もこの一環。

ところが、魚影が増えた河川の増加と同時に、その中で放流を繰り返しても漁獲高が増えなかったり、
逆に成長が悪くなった河川が出てきました。

最初は特例だろうと考えられたものの、ところが税金などを使ってるため、
ちゃんと調べるうちに何件も同じ例がありました。

保護・放流すれば増えるはずじゃないか?、そう考える人が大多数だった養殖関係はじめマスコミ、
一般の方々に衝撃が波紋を広げました(当時・多分)。

何故だろう?放流すれば増えるって言う常識が通用しねーぞ!!!

その後の研究で、やみくもに放流してもダメ、食物連鎖の底辺のプランクトン量が
すでに河川工事などで限界だったり、魚さんの生息数が放流前から飽和している河川では、
寧ろ効果が出るより、逆に放流をやればやるほど悪くするケースが多々あることが分かりました。

こういう放流の適切さが重要と河川でのサケマス事業で判明したおかげで、
資源量の調査が難しい広大な海にも、やみくもに保護・放流すべきではないという考えが出てきたわけ。

だけど、狭い島国の日本、更に陸水の話だったから放流は適当にしちゃダメと判明したけど、
海の科学調査は現在進行形。よく分からないんですよね。

だからクジラも調査する必要があり、ヒゲクジラと歯クジラの食性の違いからスタートし、
資源量計算も非常に面倒と思う。でも、一歩一歩調べないと。(人間減らせばOKだが)。

プランクトン食のヒゲクジラは類の中では意外と少数派で、超有名なシロナガスクジラ、
ザトウクジラを筆頭に、ナガスクジラ、イワシクジラ、ミンククジラ、セミクジラ、コククジラなどがいます。

ヒゲクジラ亜目は10種、ハクジラ亜目は66種(マッコウなどの普通の歯のやつ)。

それがなければ調査捕鯨なんかもする必要なし。保護すりゃOKだった。
資源を増やそうとしたら逆に減らしちゃったという苦い歴史から来てるのだ。
環境ジャーナリストって人でも知らない事が多い。

しかも、日本よりも欧米の方がサケマス、クジラに対する研究は盛んだったんだよ。
初期に海=サケ、淡水=マスって間違えまくったのは愛嬌として。
オーストラリアも「やみくもに保護や放流をやっても悪くするケースがある」研究結果のことは、
当然、知ってると思うんだけどなぁ。

環境テロ活動に金使うぐらいならボクにお金をください。(←ココ重要)。

まぁ、日本側の科学的な意義を説明するプレゼンテーション能力が低いというか、
啓蒙・広報活動が足りないというのは事実と思う、などとイチ国民ごときに
言われないよう頑張ってもらいたいものです。

サケマスからの話を知らなかった人も「とりあえず保護すれば好いわけじゃなく、
悪くするケースがあるかもしれないから調べないといけない」と覚えておかれるとOKです。

勉強になりました?

この関連ニュースは続くでしょうし、環境保護というかテロというか、
区別が微妙な事件が起こり続けることでしょう。ちゃんと教えない限りは。


科学調査や研究には目的がある。

しかし、間に入る人(マスコミ)が知らない事によって、ボヤけてしまう。
先人の苦労を忘れ、お金は職員のフトコロに入って飲み会や酒池肉林へと消えていくのである。

その方がウケるし。で、どんどん市民はおいてけぼりになっていく。

本来、重要だった話は何処へ行ってしまったのか?

それでは、そんな研究発表のストレートな一例を紹介したいと思います。
現・一色町さかな村の堀淳先生の過去された魚類研究です。

情報元(ご本人・堀先生)⇒私⇒読者の皆様への情報伝達例です。ダイレクトです。

時期    1985年ー1995年
放流場所  中国遼寧省丹東市東溝県にある太洋河に放流
放流魚   サクラマス、外
発眼卵   根室より運ぶ 
放流時期 1986年5月
捕獲    1988年4-8月
写真参照

地図ーー東海黄海の底には低水温の水塊があり、遼東半島から放流した稚魚は
高水温時はこの低水温帯で越夏すると推定した。

魚体ーー体長50cm  体重2.55kg
うろこの判定ーー静岡にある遠洋水産研究所北洋資源部サケ。マス生態研究室に判定を依頼した。

堀先生は、このプロジェクトに10年関わり、毎年8ケ月は中国で中国人と共同生活されながら、
日本から運んだ発眼卵の孵化、飼育、放流をされました。試験は8回(つまり8年の長期出張)。
結果としては、試験は成功したものの、事業としては失敗だったそうです。

中国ではアムール河以外では鮭は全く遡上しませんから、
間違いなく堀先生研究チームが放流したサクラマスと断定でき、
有史以来の出来事と言うことで、当時の新聞にて大きく報道されました。

見たことあった?そう既出ですからね。ゴメン。
(しかし私も取り扱いジャンルが広すぎるなぁ)



表紙     温暖化ニュースって?