結局「エサの体液が苦手」だけ? 殆どの魚たちは視覚はおざなりですが、聴覚が特に優れ、犬並みの嗅覚をメインとして使用します。 とはいえ、魚群から抜け出た小魚の動きは「食い波」でフワッと動くエサの動きと同じようなもので、 このケースだけは視覚を使っています。ここまでは今回の解説を読んでいなくとも知ってる人は多いでしょう。 で、「エサの傷ついたものは食わないから交換しろ」という話は古今東西、渓流師のお約束ですよね。 ふと思えば、視覚が余り得意ではないはずなのに、目は判別出来るほど良くないのに何故? その理屈を私は「エサの体液が逆に影響しているのでは?」と考えてみました。 実際、シマミミズの体液には刺激毒ありますから、これが原因じゃないか、と思う。 渓流に加え、海釣りもやる方はお馴染みかもしれませんが、イソメやゴカイを使うとき、 わざと傷をつけて針に刺すと、急に(驚くほど)良い感じに釣れ始める時があります。 つまり視覚より嗅覚が優先だと考え、見方を変えてみると「逆の走化性」と推測できます。 走化性とは化学物質に対するもので、走光性は光に寄る習性を指します。 海の魚は多くが「正の走化性」が高い、ヤマメ・アマゴは淡水、サツキ・サクラマスは海から遡上し淡水へ、 淡水だと「逆の走化性」が強くなるのでしょうね。視覚がイマイチなだけにコレが解答かな。 ウグイなんかは釣ると仲間の嫌いな匂いを出し、リリースすると一時的に釣れなくなったりしますし。 生き物には「生得的行動」というものがあります。以下の4つがソレ。 走流性・・・流れに対して向かう(正の走性)とか避ける(負)とかの反応。 走化性・・・科学物質に反応する、寄せ餌をまくと寄ってくる行動とか逃げるとか。 走触性・・・障害物に引っかかって休むとかの反応。 走光性・・・光によってきたり逃げたりする。水温によって反応が違ったり(魚)。 一方"学習"は生物学的用語で「獲得的行動」といいます。 コンビニなんかで夏、バチバチ言ってるのは世間に1番知られている走光性。 光りに寄る昆虫の習性を利用したもの。一方、走化性は一般には全く知られてないですネ。 | =A=前鼻孔、B=後鼻孔 匂いで傷ついたエサを嫌っているという説を考えましたが、 それを確認するために水槽内で(実際の自然とは違うかもしれませんが)鼻栓をしますと、 ミミズを千切ろうが、川虫の足をもぎ取ろうが関係なく食います。 ところが体液は避けるけど、匂いが全く無いエサとなると飲み込みしないですから、 どうやら僅かな臭いを察して食いついているようですし、そう考えるほうが妥当に思えます。 尚、警察犬並みの嗅覚ということは、釣りをしている際、汚いタオルで手を拭いたり、 人工物(ペンキ、接着剤等)を触ったまま(石鹸で)手を洗わずにしたり、 気を抜いて汚い手で針にエサ付けすればエサに匂いが移り、魚は避け釣れないかもです。 うむ、みなさん、エサを触る前に手を洗おうぜ!!! 泥や砂でも好いですよ。 水だけの手洗いは匂いが残存するので石鹸類で洗うこと。無ければ泥で洗おう。 泥は石鹸の役割を多少はしますので、サバイバルで使えるトリビアです。 結論までに長い展開をしてしまいましたが、過去の常識を別の見方もしたら面白いよと説明するには、 初心者から上級者まで読まれる誌面ですから、簡単な解説では「何を言っているんだ」と誤解や反論、 双方向ではないため、ちくいち説明できない問題のため、詳しくしました。 餌の種類や餌選別のノウハウにも触れたいのは山々ですがネタが多すぎて困ります。 ▲エサの匂いを避ける…だなんて信じられない!!! 「匂いに釣られる筈だ」と、釣りをする99.9%の方が疑問に思うはずです。 確かに正解。しかし、それは同じ環境というのが前提じゃないでしょうか。 血液の匂いを何倍にも薄めても嗅ぎ分けるサメを始めとして嗅覚の鋭い魚類は、 私たちですら潮風の香りを感じる海の濃い塩水から淡水へ遡上したら? 疑問に思った貴方、濃い香りのある海と薄い淡水エリア、エサの匂いの違いを解釈ください。 同じ場所に長く居るならまだしも、海←→川を行き来するサツキ・サクラマスなのですから。 そんな所に考察すべき秘密が隠されていると思うのです。 今回の記事を、たわいもないネタ記事と思われるなら仕方がありませんが、 ネタの中にもキラリと光って、目からウロコかもと受け取ってくださると、作者は嬉しいです。 表紙 次へ |