記事の「いきさつ・背景」解説アラカルト

どんなレベルの記事を書いているのか、信頼できるのか心配な方は、
作者のプロフィールなどご覧下さい。個人ですし、バレバレになることを避けるため、
一部控えている肩書きとか実績とかがあります。

まだ個人情報保護法が出来る以前、政府サーバー上に住所電話が掲載されていた過去があり、
いやはや、そんなネット世界の荒波にもまれ、講師をやってた大学はイニシャルだし、すみません。

ところで、サツキマス・サクラマスは海にいる期間の違いと赤色の点のあるなし、他にもありますが、
記事中で出てくる「サクラマス」表記は、「サツキマス」と同様に扱って頂いて結構です。
サクラ=サツキと脳内変換をされ、お読みください。


国土交通省や農水省の発表するサツキマス遡上データと岐阜中央市場の入荷(漁獲)データには、
どんな違いが隠されているのだろうか。ひょっとして、混乱の元は「湖沼型」なのかもしれない。
湖沼型って、どんなヤツなのか?モドリとか呼ばれる半分銀毛した魚との違いはあるのだろうか?

岐阜市場のサツキマス捕獲(入荷)情報リリース
水資源開発公団(独立行政法人水資源機構)公開資料より

▲トン数じゃない、こうやってカウント出来る匹数だという衝撃。

まずは渓魚の種類の基本をマスターした上で周りを見渡すと、妙に「サクラマス」が特別視されている、
そんな気分になると思います。何故か、書籍でも「サクラマス」だけが特別中の特別に。

脳内変換:ここなどのようにお住まいの地域により「サクラマス=サツキマス」と変えて考え下さい。

そんな中、サクラマスの亜種である遡上後のサツキマスがエサを食うという話は
絶滅を何とか防ぎたいと1990年代に研究・発表したもので、当時は凄い衝撃波が一部に流れ、
というのは、丁度、釣りや水産学でも食う・食わないという論争が起きていましたから。

先のリンク先では、ルアータックルが売れ、メインに流行る理由に「エサを食わない説」。
渓流のエサ釣りは、経済的、メーカー的にキツイですから、釣るならルアータックル。
多くのサクラマス・サツキマスのフライ/ルアー・アングラーに転向したキッカケを聞けば、
たぶん、食わない説から始められてるとお返事いただけるでしょう。

これは、バスのキャッチアンドリリースみたいなものですね、今思えば。
利害関係がどこかに有る(かもしれない)ので、議論は繰り返されます。利害関係が無ければ全然です。

私の過去記事は養殖技術で生かされ、自身もNHKと民放が製作した河口堰番組へアドバイス、
一部の水産試験場や僅かの水族館にて有効にされました。

残念ながら釣り業界では殆ど知られていませんが、それは多くの伝聞経路が、
医学系ネタだった理由も大きくあったかとも思っています。読んでも忘れる類ですし。
医学⇒水産への情報は余り流れなくて、まさに縦割り行政の弊害に似て、
類似の専門家同士の協力不足(各界にまたがりますね)も題材の一部にしてあります。

一般アドバイスで最も難しいのは「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」(2月)で、
「瞬膜は魚にあるのか?」と「魚の視覚」の学術解説でした。捏造しないかどうか毎回心配。
あ、失礼しました。いえいえ、どこまで詳しくするかが大問題なのです。

今回、一般的知識で「遡上後から産卵までエサを食べないでエネルギーが持続できるのか?」
「肯定する根拠は?」or「できない理由(実は川でこうやってエサを捕っている証拠がある)」を、
展開の柱として記事に入れ込みました。

元々は”私が書いた記事のその後”を重点的にと考えてたのですが、
一般の渓流誌のバックナンバーでは、今回の原稿のような主張系の記事が少なく、
対行政、対自然破壊等の真摯な記事、それでいて批判ばかりでない山岳の、
自然を奏でる牧歌的なムードを一貫して流していますので、
渓流にそぐわなさそうな表現を変更ないし削除して只の記事にも関わらず悩みました。

また、最近の釣り人の説も全て解答を網羅した展開にしてクローズアップしました。

陸封型もエサを食わなくなる時期がある、それを誘発するのは日照時間と成熟で、
特にメスは卵巣の大きさも加わって胃や腸を圧迫、アユも同様の巨大卵巣なので同じ運命、
遡上魚と共に身がスカスカになって死亡するくだり。実験のあらましと写真も加えて入れました。

で、過去の噂は生物学専門の学者が言い始めたのか、釣り人でも専門外の方なのか(スポンサー?)、
キャッチアンドリリースの仕方も、何故学者は指摘しないのか、おかしな世界が展開してるぞと、
仮定した質問への回答を入れるだけ入れましたら文字数が爆発してしまいました。

文字数爆発の反省は、また後にするとしまして、内容説明を進めます。

以前、サツキマス餌付けは不可能で冬になると水族館、試験場などでも全滅していましたが、
そのタイミングで四万十川を越える生物相の清流だった長良川に河口堰問題が発生、
絶滅が心配され、旧帝国K大学はじめ各機関が餌付けに頑張りました=失敗。

そこで私が調べると、捕獲後の移動水に殺菌処理してなくてダメ、合併症を起こす初期混泳でダメ、
私が「教授(権威)たち、給料を沢山貰っているのに」と思ってしまった恥ずかしい若気の至り。
このような背景である見苦しい部分は入れていませんが、かなり税金を作った手抜き?(失礼)

初期の「食わない説」は腹をさばいて何も入ってなかったからこそ始まったと思うのですが、
卵巣が発達したらエサは食えませんし(その頃はメスしか海に降りないと言われていた頃)、
それまででもシロザケを調べると腹は空、密集して遡上するのでエサが全部に行き届かないのに、
何故かその状況はスルーされ、「ほら、エサは食わないんだと」と説明され始めました。

「エサを食わない」と証明するには全ての遡上魚を捕獲し腹をサバいてこそできます。
つまり”悪魔の存在証明”といわれる科学者泣かせの類で科学的証明は不可能じゃないでしょうか。

「エサを食う」方は、食っている写真を出せば、
少なくとも「食っている可能性が食わないより高い」証明になります。こちらは科学的。

なのに、渓流業界では、どうして食わないに固執するのだろうか?
食うにした方が、初心者さんも100篇流しとかしないで済むじゃないか?
釣り人口を増やそうとして、逆に減らしてないですか?

私も最初は「食わない」と思っていた一人でしたが、遡上魚を釣って生かして持ち帰り、
水槽で観察すると絶食のマスのフンは半透明の緑色系をしているのに、
(エサを食うアマゴの)普通のフンをしているので「あれ?おかしいな」と考え始めました。
その後、繰り返し遡上魚10数匹からチェックしていき、ヤナにも協力して頂きました。

9月に入ると遡上魚だけでなく尺アマゴ&尺ヤマメの多くが半透明フンになります。
半透明のフンは、たっぷりな身肉を消費して出てくる絶食している魚のフンです。

とまぁ、そんなことで陸封型も同じように食わなくなるし、どうして遡上魚だけが「食わない」と
言われるのか推測すると、釣りをしに行くと河川内の魚影が見えるから狙ってしまうし、
それだけ印象が強く残るという事かと。

つまり、見えない魚だったなら「さぁ食え!!!」なんて何も思わないでしょ?
エサが近くを流れてるのに食いつかないなんて、食わないに違いないと判断するのが自然。

でも、それで断定してしまうのは科学的ではありません。
個人で思うのならOKなのですが、それを周りに科学的なように教えてしまうのは×です。
(すみません、実は私もやってましたのでココをお読みの方は一緒だったんだと思って下さい。)

飼育を試みて餌付け期間も8月までのものと9月以降では平均期間がドーンと違うのと、
9月の遡上魚は水綿病(白いフワフワした付着物)、白点病(1mmの白い粒が体に纏わりつく)を
多くの魚たちが持っています。
チョウ(5mm前後の円盤状の動き回る寄生虫)なんて見た目で分かることも。

病気になると陸封・遡上ともどもエサ食いは減るので、相乗効果で食わない率が高まるんですね。

そして、私が書きたいと思ったのは、ここ数年に更なる妙な変化が出てると感じ調べた結果です。
9月には通常オス・メスが仲良く群泳しはじめるのに縄張り意識の強いものが残り、釣れてくること、
成熟していないメスが居ることです。この形質を持つものは3倍体ですから、河川に放してはダメ、
しかし、割合が多くなっているのでは?ということで昨年2箇所のヤナで漁獲されたサツキマスを
ピックアップして調べると、やはりかなりの%(過半数)を占めている状態でした。

当然、日本全国に広がっている可能性もあり、いや、流通経路の確保が想像できませんが、
サツキもサクラも交雑するとはいえ、まだ広がるには早すぎる気がする。

公的機関の水産課では環境ホルモン(正式名:外因性内分泌かく乱化学物質、約70種)、
こんな専門用語、誰も興味ないって(笑)…などが雌雄にどう影響するかは研究します。
目的は「増殖」のためですが、民間へ移行させたいと考えながら、中々進まないのが現状。

成長ホルモン剤の”シネスティン”などの効果も魚体から診たりしました。
シネスティンは緑色した液体で、抜群の効果があるけど悪用を避けるため監視の目が必要です。
(日本では殆ど不法散布に対する厳しい監視はされてない)まさか知識のある業者がいたら怖い。

しかし習性の変化が出てきていると思われます。それが釣り人の噂(新たな説)で出てくるのかなと。
遺伝子を調べるのは(去年生まれたものが)3年経って多くが親になりますから、
その仔魚たちを調べてデータ化し、権威の方々に動いて頂こうと(証拠が無ければ動きませんから)
でも、遅すぎたらダメかもねと思って、とりあえず警告みたいに記事を書こうと思い立った次第です。

しかし、私は「個人で熱くなったって無駄」を経験していましたし、研究してもお金にならない、
経費も自腹分ばかりが出ていきますから、まぁ、業界が違うし、どうでもいいやという気持ちや、
いや、知ってしまった以上、話したい…微妙な感情を持ってしまいました。

自分は環境にはうるさくない性格ですし、他者に向かって「これはこうだ」と説得する熱さより、
面白おかしく理屈を考える研究者系ですので、読む方のご判断にお任せするのが良いと結論つけました。

ちなみに現在水族館で展示されているサツキやサクラは多くが3倍体のようです。内緒系ですが。
ヤナなど食事つきの場所で水槽に入っているアユや遡上魚っぽいのも3倍…ゴホン…です。内緒2です。
天然は地下の大冷蔵庫に入っており、注文が来てから解凍し調理に入ります。

なんにせよ、今回記事を作って感じたのは、少々正直に書くのは無謀だなということで、
軽いネタとして書いたに過ぎない状態になっています。

基本のトラウト学が大部分になリ、「食う」⇒「釣り方も変えれる」⇒「エサもイソメやエビが使える」など、
なんとか興味を沸かせれるかもしれないネタの工夫で膨大な文字数になってしまいました。

この記事は読む対象者を、1-2年前にサクラ・サツキマスを狙い始めた渓流初心者(上)レベルでイメージし、
海堤防でクロダイ程度を釣った経験があり、池でヘラブナなどを普通にこなせる一般中級者さん、
より釣果アップを求めて釣魚図鑑を購入したりする好奇心もある、そんなスタンスの読者狙いです。

全くの初心者さんでは、知っている前提として書いているものも多くありますので、
途中で意味が解らなくなるかもしれない不安、上級者さん(釣具店、釣堀経営など)が読めば、
「へぇ、こんな考え方もあるんだ」程度の興味を満足させれるかなという微妙なレベルです。

サツキ・サクラの夢を見たり頭から渓流が一時も離れないヘビーな方は純粋に面白がるかなと、
忘れがちな基本を含めて書きましたので、難しい文章構成と説明表現で苦心いたしました。

更に上級のメーカー契約宣伝塔のプロ(フィールドテスター上級者)や準上級者さん、
TV・ビデオ出演者などは「へぇ、面白そうだね、知らなかった」と好意的かも。

利害関係のある人なら、中途半端だと「何を言っているんだこの学者風情が」と、
立腹させてしまうかもしれませんし、ネットバトルは、そこかしこにコロがっています。
トラブルを引き起こすなら私は良くても、私の周囲に迷惑がかかってしまうのでは……。

9年目のサイト運営経験から言わせていただけは、クレームはルアー・フライ釣り師からが多かったです。
そりゃ信じてたものが、理屈で覆(くつがえ)されるのだから気持ちは分かります。中にはメーカー社員も。
申し訳ないですが利害・気分で科学を歪曲してはいけません。TV番組捏造と同じくネットだって…。

さて、記事の話に戻りますが、多くの中上級者には「既に知ってるよ」的なものがありますので、
行政皮肉をこめたり、笑いネタも組み込みました。長文を読むのは大変ですものね。

学術解説は正確記述に徹すれば専門用語の羅列、しかも文章が膨大になりますし、
まだ追加する写真や取材をして追記するものがありますが、ほぼ全貌の網羅記事になってます。
サクッと一気に書き上げましたので、第三者的に読み難いかもしれません。

釣行記的であれば、笑いやネタを含ませやすいのですが、
学術系ですと、知らないことばかりだと読者さんにとっては難解でツマラナイ。

しかし、書いてみて分かったのですが、正直、専門用語を使うラクチンさを実感しました。



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