2007年・渓流の憧れの的サツキ・サクラマス最新生態考察 |
面白く?奥の深い世界へようこそ
魚はどんな時に安心してエサを飽食するのか、どんなキッカケで恐れを抱き逃げだそうとするのか。
このような事が分かりさえすれば、我々釣り人にとって最高の釣果を得れるはず。
しかし空気中とは違う水中、”真実の姿”をイメージするのは非常に大変です。
魚に餌をあげますとピューっとやってきてパクって食います。
その光景は、我々には「目で餌を追い食いつく」ように見えます。
しかし、学術的に調べますと、魚はメインである感覚の側線で水中の振動を感じ取り接近、
次にエサの匂いを嗅ぎ取り食いつくとなります。
北海道のサケ遡上路に手を浸してみると、狭い観察用魚道であればあるほど、
遡上数が若干減る程だといいます。サケ博物館・学芸員さんのハッタリなのか真実なのか?
今回の記事は、釣り人にとって過去に聞いた事と違っていたり、
TV・雑誌などマスメディアの既存の主張と違っていたりする内容が含まれています。
特に釣り愛好家は頑固で考えを曲げないという方が多いといわれます。
一般の中小企業や商店のオーナーも、どんな方でも普通に頑固ですが、
貴方・貴女と違う考え・知識が出た、そういう時どうしますか?
多数の方が信じていることを「正解」にするのが普通ですよね。
しかし、その信じている事が間違っていたらどうしましょう?
他人や後輩に威張ってしまってた人ならメンツを潰されたと怒るかもしれませんよね。 ←多々あり(笑
通常は「学術論文」によってしか考えを変えることは不可能に近いです。
しかし研究論文を読んで知識を得る方は、まずいらっしゃらないでしょう。
研究・学術論文⇒政府・団体やマスコミによる編集⇒簡単表現にして一般人へ
この知識の流れが普通ですものね。途中で解りやすく伝えるためのマスコミ等の編集が入りますから、
元の論文から違う解釈で広がってしまうこともあります。
そこで論文を紹介するのではなく、誰もが判断出来るような紹介の仕方を試みます。
「サクラマスがエサを食わない噂」を「エサを食う噂」へ覆す為には、
エサを食っている写真や現物を紹介すればいいわけです。
最低、食っていない見識を食っているんじゃないか?に一石を投じることが出来ます。
お伝えするのに論文は不要。簡単です。
しかし、1997年以前には写真は一切出てこず、餌付け成功事例もありませんでした。
胃の消化酵素が働いていない説が魚類学者から提供されたことはあったようですね。
「エサを食う噂」を「食わない噂」にするには腹を掻っ捌き、何も入ってない写真を出せば好いです。
しかし科学的ではありません。科学にするには河川中のサクラマスを全て捕獲し胃を確認、
100%が何も無く、消化酵素の有無の分析に加え、3倍体(後述)DNAをも分析して初めて成り立ちます。
そんなことは一般釣り人には不可能であり、専門機関でも予算的にも現実的にも不可能、
それゆえ、悪魔の存在証明のごとく科学者泣かせのものです。
サクラマスといったって、そもそも海に降りて遡上した魚なのか、陸封型が成長ホルモン異常などで、
同じようにデカくなったのか、湖沼型なのか、この区別すら容易に判断できる人は少ないですから。
こういうジャンルのものは、下手を打ってしまうと、様々な噂が跋扈する怪しい世界にもなります。
専門学部を卒業したりの科学者でもない人が、科学者のように話をすることもあるし、
オッペケペーの学者がトンデモ説を述べることすら出てきます。我々は困っちゃいますよね。
多くの”説”というのは、あくまで経験則=噂なので科学と混同しないように注意下さい。
とまぁ、出だしから説教臭くなりましたが、約10年前に某雑誌や新聞に出した餌食い写真以来、
ここ10年はハッキリした証拠らしいものは出てこず、噂・伝聞が再開しているようなので、
「しょうがないなぁ」と私が再度立ち上がることにしました(←バカ)。
専門用語を連発すれば簡潔に書けるのでしょうが、どんな釣り人さんへも理解しやすいのが一番、
難解ゆえに起きる読み飛ばしや斜め読みを避ける為、極力一般的な言葉で進めてまいります。
最新の研究・取材・調査で導き出した”私説ファンタジー物語”。
長文の超大作ですが、頭をまっさらにし、ユックリお付き合いください。
自然界で見れるサケ属は4つ/私が研究し始めたキッカケは医学
我々釣り人が現在(日本の)自然界で見れるサケ科魚類には以下の4属がメインです。
1,サケ科イトウ属・・・・・・海川の行き来あり、産卵後も生存、長命、遡上後もエサを食う
2,サケ科イワナ属・・・・・海川の行き来あり、産卵後も生存、長命、遡上後もエサを食う
3,サケ科ニジマス属・・・・海川の行き来あり、産卵後も生存、長命、遡上後もエサを食う
4,サケ科サケ属・・・・・・・海川の行き来あり、産卵後はほぼ100%死亡、短命、遡上後はエサを食わない?
この上の4属の中で、海から遡上してもエサを食い、長命で大きくなるのは上から3つの属まで。
1~3番のサケ科はまぁ普通の生態なので解説を省き、他者さんの記事にお任せしましょう。
で、問題なのは遡上して産卵すれば100%死んでしまうという、4番目のサケ科サケ属です。
釣り人に幅広く人気なヤマメ・アマゴも入っており、海へ降れば顔つきも変わり、
もう誰もヤマメなどと呼びません。サクラマス・サツキマスと尊敬の念を持って呼びます。
タンパク資源としても大変貴重で美味しく、特にサクラ・サツキは特級の地位です。
北海道で有名なシロザケ(普通のサケのこと)よりも格上の水産価値なんですね。
ヤマメ・アマゴの塩焼きの美味さはもちろんのこと、遡上型は早期であれば非常に美味、
刺身の旨味、サーモン・ステーキ、煮物、チャンチャン焼きなど料理では何でも食味は最高。
骨酒については脂肪分の少ないイワナに軍配が上がるも、作れば違う味わいがあり、
自然の香り豊かな味わいが楽しめるのも釣り人ならではですよね。
そんな儚い短命で美味しい、渓流の女王といわれる綺麗な魚の謎に迫りましょう。
・サクラマス・・・・・・・・・・ヤマメの降海型。サクラの咲く季節に遡上します。80cmぐらい。
海に降りている期間が1年半ぐらい。寿命は平均4年~5年。サケ科サケ属。
・サツキマス・・・・・・・・・アマゴの降海型。サツキの咲く季節に遡上します。55cmぐらい。
海に降りている期間が半年ぐらい。寿命は2~3年。サケ科サケ属。
・釣り人の一般的知識・・・遡上タイプはメスが多く、陸封タイプはオスメスいるがオスが多く残っている。
堰を作るとメスが降りたのち遡上できず、渓に陸封のオスばかりだと全滅する傾向がある。
海から遡上してきたものはエサを食わないので産卵後死亡する。
遡上魚に対する釣りは、エサを食わないが攻撃性により食いつくので、もっぱらルアーで行う。
←遡上型婚姻色(9月~)
2007年2月自宅水槽撮影。長良川産サツキマス(天然)↑
←これを川で見たとしたら、 原因は何でしょう? 1,エサを食っていなかった。 2,産卵・放精後の死ぬ前。 3,水質やエサが悪かった。 4,水温が適正でなく 23.5度以上だったから。 5,得意の芸だから。 これは「転覆病」治療中の サツキマス(サクラマス亜種) 長良川産・天然遡上魚 45cmオーバー 普通は転覆病だなんて 頭に浮かべるのは 専門科学者じゃないと ムリですよね。 診断が必要ですし。 プロはプロたる人が、 専門には専門の人が 必要なゆえんです。 |
寿命の長いサクラマスの方が大きくなりますが、大きな差は海に降りている期間です。
静岡以南に棲み分けのあるサツキマスは海水が暖かいので、
水温が原因で海では夏を乗り切れないと推測されています(←ここ、後半で再度出します)。
但し、遡上後は痩せ衰えて死んでしまうことから、常に美味しく食べれるように、
死なせないためにはどうしたらいいか?浸透圧の差を克服した反動で死ぬのか?
過去、古今東西、釣り人から科学者まで興味を引き大学や水産試験場で研究され続けています。
一方、陸封型のヤマメ・アマゴについては寿命も似たようなもので、エサを充分与え、
成長するまま育てると大体2年で成熟する22~25cmになり産卵します。
エサを充分採れなかった成長の悪いものでも3年で成熟の大きさになり産卵後死にます。
水産試験場などのデータでも、私の実験でも最初の産卵では97%が死亡、
残りの3%は産卵量が少なかったためか、生み残した卵を吸収し次の年に再度産卵し死にます。
渓流・夏・2007をお読みになる読者さんの多くは、このような基本は周知の事と思いますが、
「これは7年物だ」や「年なし10年以上だ」という大物は、残念ながら試験データではありえないです。
1~3番のイワナやブラウン、アメマス、イトウ、ニジマスのように生き残らず何故死ぬのか?
どうして4番のサケ属だけ特殊になっているのか、進化論的な説明を誰かできるのか?
で、致死遺伝子という考え方も出て、死を考える医学部老年科で私も実験研究していたわけです。
私は遡上後100%死ぬという実験結果が水産試験場で公表されていた時、
その原因を致死遺伝子に求め、産卵後も生かすことが出来る薬剤・方法などを探し出せば、
交通事故のショック死を少しでも長引かせれる事や死亡原因筆頭の悪性腫瘍(ガン)にまで、
応用が利くのではなかろうかと、研究テーマに据え実験を始めました。それがキッカケです。
さて……
サケマス類で他の硬骨魚類と違う性質のものは、海←→淡水を行き来する体の構造のせいなのか、
大型化するとき、また、遡上後は治癒能力が大変低いと思われます。
そこで利用されてるのが養殖場の追跡調査である「出生元を示すヒレ切り」です。
ある加減で切ると、その切れたまま成長するので、漁獲された魚のヒレ状態を見ると、
どこの養殖場から放されたものかが分かるというものです。
つまり、破損したヒレが治癒しても元の立派なヒレに戻ることが少なく、
ゆがんでしまったヒレも元に戻らなくて、養殖と天然の見た目違いの根拠にもされてます。
これは聞かされれば「渓流釣りで釣ったものを簡単に判別できる理由」なのですが、
先に気づく人は殆どいません。もっとも幼魚の時や完全陸封のものでは完治しやすいです。
で、「そんなこと知ってるよ」は勘弁ください。些細なものでも気づかせる…は重要ですから。
全国から情報が集まる昨今、私の元へ約1.5mもある怪物イワナの目撃報告(中部)が寄せられ、
先のサツキマスのように降海型の出にくい暖かな伊勢湾には降りることがないと考えられてたイワナ、
イトウでもなくです。郡上博物館などで調べた結果、イワナの降海型は確かに存在しました。
1.5mイワナは置いておいても、机上の論理では”降海型はいない”のに、
現実では”いた”という話で、今回のテーマに通じます。
その後、各地にも超大型イワナの目撃報告が職漁師さん等からありました。
私は情報を鵜呑みにしない理系の人間ですが、精査すると「ありえそうな話」ばかりでした。
普通はこんな美味しいネタなら釣り雑誌への情報提供と思ってしまいますが、
なぜか学者系(当時大学教員)の私へ集まるという真剣な?叫びが多くありました。
この件は(私の記事を読まれた)何人かの作家さんによって書籍で紹介されていますし、
極めつけは講談社「週間少年マガジン」の漫画家森一生・先生(単行本・釣りへ行こうよ!等)は
生原稿でマンガを描いて贈って下さったほど、多くの方々へ凄まじい衝撃を与えたようです。
1.5mのイワナの話は面白く夢があると思いますが、サケ科魚類は全てにロマンが詰まっています。
正確な知識が集まれば集まるほど、学術へ入って調べれば調べるほど謎が出てきて興味深いです。
ひょっとしてサケ属の常識が間違っていて、元の欧米論文を誰かが翻訳ミスでもしたのか?
などと考えることまでも出来るのは、サーモンとトラウトの和訳で和名をつけた混乱という、
本来、サケとマスは同じであるのに名をつけた方の「やっちゃってゴメンナサイ」と同じ可能性も
現在なら「もう一度」分類などを検討しても差し支えないのではと思っています。
▲解説中の仲間の単位は「目⇒科⇒属⇒種⇒亜種」の順番で近くなります。 細かいことは割愛しますが、普通に使うのは「サケ科サケ属サクラマス種」というもので充分。 「サケ科イワナ属ヤマトイワナ種」という風に使ってれば、釣りをしない生物分類学者へも通用します。 |
▲水が綺麗で無害系になるために必要な溶存酸素量はCODという頭文字で表しますが、 おおよそ3mg/L以下を「イイカンジ」の科学的基準にしています。 上の郡上八幡・長良川、吉田川では2mg/L程度で年々厳しくなっていて、 実は、この数字、イワナの棲めるギリギリです。まぁ数字は記憶しなくてもOKですが。 ちなみに1mg/l以下が人為的なものが含まれていない理想的な数字と設定されています。 |
さて、今の生物&医学者たちが与えられたオモチャとして楽しんでいるのが(失礼)、
産卵せず(成熟させず)長命にもなる「3倍体」というものです。理屈は後で解りやすくしましょう。
これはハイテクなバイオテクノロジーの産物で、遺伝子もいじってないので食用にもでき、
ただ3倍体だとイメージが悪く、食品に厳しい方々からボイコットが出るでしょうから、
北海道のニジマス3倍体=クィーンサーモン、栃木県のニジマス3倍体=やしおます、
岐阜県のアマゴの3倍体=飛騨大天女魚(ひだおおあまご)等として商品化されてます。
食品に厳しい方々は、何故か添加物などにはスルーという不思議な傾向がありますが、
まぁ、それもあっちの棚へ置いておきまして、倍数体は自然河川への放流は禁止されています。
本格的な内容に入る前に準備体操として簡単なお話からスタートしていきたいと思います。
サケの赤身の謎
幼魚=白身⇒海に降る⇒オキアミを飽食⇒赤身!!!⇒遡上⇒成熟⇒婚姻食で赤肌⇒白身
白身魚のサケ(サツキマスなども)は海に降りてオキアミを食べ、赤身になります。
オキアミはエビに似た巨大プランクトンで4~6cmにもなり海釣りエサでお馴染みです。
アスタキサンチンっていう物質が赤く染めることまでは判明しています。
産卵の為に川へ遡上すると徐々に赤色が体色の方へ使われ(成熟=婚姻色)、
余り知られていませんが、産卵直前には物質が使われ白身に戻っています。
いやはや面白いシステムです。といいますか、そんなにオキアミが好きだったのか?
マグロとかの純粋な赤身魚とは違って、サーモンピンクって特別に言うのはこの為ですが、
湖の擬似降海型にも赤身がいます。
オキアミは湖には棲んでいません。湖の擬似降海型は何を食べて赤くなったのでしょうね?
または、そもそもオキアミで赤身になる説が間違っているのかもしれませんよね。
早速こんなレベルで「ハテ?」となるサケ科くん。研究をちゃんとやってるんでしょうか。
巨額な研究費を投入する国立の研究機関、税金や漁協の資金たちは無駄金だと、
怒ってしまう人が出てくる前にお教えしますと、湖ではエビがいます、大量じゃないですが。
ただ、オキアミ(巨大プランクトン)とエビは全く別の生き物で空間に占める存在率も雲泥の差。
オキアミの成分の代わりを湖の生物で探すと何が該当するのか?
こうやって人は勉強し、知識をためていくのですね。
間違えて別の川に入っちゃう事は無いのでしょうか?
サケ科魚類の母川回帰はいつも正確だとお思いの皆さん、違います~。
間違えて違う川に遡上したり、時期までウッカリするものも多いです。
シロザケ・・・”トキシラズ”として売られているのは、時期を間違えて春に遡上しちゃったサケ。
わりと脂が乗っており、美味しい。普通は秋。
カラフトマス・・・生まれた川を間違えまくって回帰が悪く、養殖事業に利用できないほど。
大量に生息していて、サケに比べて美味しくなく、カンヅメにされる事が多いです。
2年で成熟する為、隣り合わせの年のカラフトマスとの交流が無く、
同種なのに遺伝子がかなり違う部分があると推定されていて、面白いです。
面白いといえばベニザケ。一服できる湖などが中腹にある河川を好んで遡上します。
カラフトマスとベニザケはTVで見ると同じように背中が出っ張り(セッパリ)見えますが、
北海道で試験的に釣りが出来る忠類川ではサケとカラフトマスがメインです。
ベニザケはサクラ・サツキと同じ”特級”クラスで水産資源価値が高いです。
余談ですがイワナって平らじゃないのはどうして?という以前質問をよく頂いたのを。
渓流に住むイワナはどう猛な魚で、水中のケモノと呼んでもいい程なのは周知のとおり。
彼らは水温の高い中では生きていきけないので、渓流の上流部に棲んでいます。
しかしそのような上流部は水量が不安定。流れが枯れてしまうことも少なくありません。
流れの枯れが起こった時は、イワナは水から出て地面を這って水場まで移動する。
彼らの身体は丸いので通常の魚のように横倒しにならないし、
身体がヌルヌルしているので、障害物をすり抜けていくのだといいます。
重要なバックグラウンド・漁協の近年の変化
最近、放流量が減っているのを知ってる方は知っていますが、余り知識として広がっていません。
2007年はどれだけ放流されたのか皆さんの地元・行きつけフィールドで調べてみて下さい。
減っているのは中々厳しい現実からです。
これの理由は、養殖個体のまぁまぁの大きさ、20cmほどの成魚を放流すると、
自然に孵った天然の稚魚も食っているという事実を漁協が深刻に受け止め始めたからです。
成魚を放流したら天然の仔魚を食ってしまう、しかし放流しなければ釣り人が来ない。
問題をクリアーにするため苦肉の策が、池を利用した内水面を作り自然に影響を与えず、
そこで釣らせるという方法。つまり管理釣り場の推奨が起きたのはコレが発端だそうでした。
尤も、やる気がないじゃないか?と思うほどの漁協も多々ありますが。
←陸封型(釣った魚)
←遡上(早期)(釣った魚)
←遡上タイプ(後期)
昼と夜、明暗刺激による行動差
深海魚が浅瀬で生息している海域が発見され、世界遺産に登録された話も徐々に広がり、
魚にとっては水圧より明暗刺激が重要と考え直されたのも最近の話。
水族館では水圧を発生させる高額な設備投資をした担当者の責任問題に発展したとか何とか。
常識というのは「専門家まで先入観で間違える」ことがあります。
柔軟な思考を持たねばならないはずの学者の頭が固ければ論外ですが、
机上で考えた脳内妄想を過信する傾向があるのは科学の発展に足かせとなっています。
下のように、釣り人の経験則をきっちりと再現してあげなくてはいけません。
合致した時点で「これは正しい」と説明するべきと考え、推測はあくまで噂や風評の域です。
⇒暗く⇒
=位置に注目(全て釣った魚)
↑私の研究データ(1995年より)。上流より大物が優先的に並ぶという渓流の教科書のような位置関係。
夕方を水槽内で再現し、観察すると陸封型は釣り本同様だったが、サクラマスだけは回遊し始めた。
こうやって釣り人が経験で「この位置」と思っていたことが水槽内実験でも裏打ちできます。
(当然釣り人が違っている場合もある。渓流でのサクラマスは暗くなると定位ではなく回遊する例)
一方、単独飼育に切り替えると遡上魚は明暗関係なく回遊せずに定位したまま。
複数飼育だと、回遊した降海型が何故かしない。違いは何だろう?
周囲に縄張りを争う魚が居るかどうか、河川では敵が居ない遡上魚だけど、
巨大敵ばかりの海で何らかの学習をしたのかもしれませんね。
←30cmぐらいまでの好ポイント
ラインの号数ですら水の抵抗で流れかたが変わるほど、水流というのは強い。
30cmぐらいまでの魚体のものと40cmを超え80cmにもなる大物では、
エサ食いのポイント以上に体を安定させることが重要になるので、少し定位の場所がズレる。
←ご存知、遡上型の定位置(大物)
つまりサツキ・サクラマスを狙う方は、夕まずめを迎えたら、
岩の前部に定位していたものが大きな淵へ移動し回遊する、と考えるといいと思う。
いい結果になるかもしれませんよ。成果の出た方は嬉しいご一報を。
嵐の海域~何処にいるの?魚たち。
河川の洪水を例に出しますが、台風、大雨などが引き起こす見事に茶色になった濁流。
すさまじい流れで川をかき回します。こんな時、魚は何処に潜んでいるのでしょうか。
濁流の河川では流されるどころかサツキ・サクラマスは増水を利用して遡上し、
一方、多くの放流アユは押し流されたりします。残っているのは地魚ばかりとも言います。
魚種によっても様々な反応があるのですねえ。
現実、全滅するものが出てくるわけでもなく、何事も無かったように元の状態に戻る…。
こんな素朴なことから「ハテ?」となるからこそ、釣りという趣味は奥が深いのだと思いますし、
他の趣味と違って長続きするのでしょうね。
サケ科サケ属の遡上魚・餌食い話
遡上後、サクラマスやサツキマスなどサケ属は胃に消化酵素がない論文が出たそうで、
「エサは食わない説」が定着しました。今でもエサを食わない説は生きていますが、
あくまで噂ですから、少し立ち止まってみましょう。
長良川河口堰問題でサツキマスが餌付けが出来ず全滅かと心配されたころ、
それを受けて私が新聞と雑誌で発表した1994年~1999年の「餌付け・餌食う」記事。
読まれたことのある釣り人は多いでしょうが、今回は更に陸封タイプも入れて
生活史全体像をフォローしながら説明したいと思います。
デジカメで餌食いをタイミングよく撮影も大変で頑張りました。そのスピードに驚きます。
↑遡上型45cmぐらい:2007年3月(昨年入手・飼育しているもの)失敗中。デジカメはシャッタースピードが遅くて……。
下の写真も1997年食わせている写真です。エサを食っているサツキマスは2匹とも釣ったたもの。
もう元気一杯で若干慣れにくい性格、餌を食う時は異常に速いです。
↓それぞれ別の個体たちです。
←↓過去の個体=遡上48cm(釣った魚)オス とにかくスピードが速いのでデジカメシャッターは難。 左はニコンの一眼レフで撮影したからこそで、 現在のデジカメでは偶然に頼るしかない辛さです。 世間に出たえさ食い写真の記念すべき第一号。 ~1999年にかけて、見た人から驚きの反響は 個人からプロ(機関)まで凄まじいものがありました。 10年近く前です。 餌を食うと言っている人の多くが 私の記事を読まれていると信じたいけど、 多分、伝言~でしょうね。 時が流れるのは早いです。 それから渓流誌には書いてないんですよね。 エサ食い派オリジナル作者の佐久間が 再開初(ボツじゃなければ)~なんてね。 | ||||
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最初、胃に消化酵素が出ていないという論文が出たと書きましたが、実は探しても未発見です。
でも、釣り雑誌で「エサを食わない」と主張されたのですから、根拠の資料があるはずです。
一般の人なら「論文が出たのならしょうがないな」と思われるでしょうが、ちょっと待った。
魚類の胃は消化するだけ、栄養吸収は腸とその入口に陣取る幽門垂(ゆうもんすい)ですが、
いつ消化酵素が無くなるのか、幽門錘は働いていなかったのか、調べてみると不詳でした。
そして、その疑問から、ここ数年に自腹で調査し「ああ、なるほど」と思う件に行き着きました。
ここを読まれている皆さんへ、
今風に考えを巡らし、解り易く、面白おかしく、その件を紹介したいと思います。
たぶん、何年も変わらない”噂”になると思いますから、保存版として本棚にお納めください。
立ち読みしないように頼みますよ。
ちなみに、大型研究設備のある実家や大学研究室など本格的な施設ではなく、
自宅でも質素な水槽を設置していまして、サツキマスの豪快な食いっぷりをお見せ出来ます。
実際、大学教授など研究者が、わざわざ見に来た事も多く、
毎回、あっという間に時間が過ぎてしまう面白さがあります。
エサを食わないと言われる理屈を考えてみる
エサを食わず、攻撃性で釣り針・エサ・ルアーに食いつく説が広く流布されました。
しかし、これはサケ類だけでなく、魚類を超え爬虫類など全ての動物にありますから、
9月~絶食している遡上マスが食いつくのは全く普通の魚と同じで特別ではありません。
いつも釣れるのだったらエサを食う普通のことなので、食わない説が出ることもありません。
サクラマス・サツキマスは秋に行う産卵に向けて、徐々に産卵群泳に性格が変化し、
その頃には、たとえ目の前にエサを持っていっても食わないです。
上から覗き込んで釣り糸を垂らす見釣りの人にとっては、「エサ食わない」となるのは自然。
また、魚病になりますと餌食いは基本的になくなります。
ヤマメ・アマゴは海と渓流の生活のためか元々魚病に弱く、特に汽水域で浸透圧を慣らす際、
酷使するエラ(腎臓フル回転みたいな)が弱いです。
=白点病。マスは病気に弱い。(釣った魚)
▲緑色に着色しているのは消毒効果のあるメチレンブルーなどで治療中だから。
サケマスがかかる魚病は「白点病」を筆頭に「水綿病」、「尾腐れ病」であり、容易に観察する事ができ、
TVのサケの産卵シーン、渓流で釣りをしていても水綿などが体についているマスも見れます。
合併症含めボロボロです。そう、それです。他では「冷水病」で養殖魚が全滅したりします。
コイヘルペスのような疾病まで幅広く魚たちを襲いますが、自然界では抗原抗体反応の弱い魚ゆえ、
自然治癒せずに最後は死亡します。餌を食っている場合じゃないのが正直な所。
河口から上がってきたばかりの遡上魚でも、腹をさばくと何も入っていない場合があります。
こういうケースの魚を診断すると、白点病と尾ぐされ病を発症していました。
また、余談ですが、30cmを超える魚には”ちょう”という円盤状の寄生虫も多く魚体についています。
汽水域に特に多く存在しているソレは、サケマスだけでなく、クロダイなどにも同様に巣くってます。
体液を吸う寄生虫ですが、その荒れた体表から白点虫も”より”つきやすくなる理由です。
↓は浮き袋の病気で作者が外科手術を施し復活した魚。自然界で治る事はない。
←普通は祈るだけです。
↓
不治の病=転覆病の治療法を確立(手術方法を解説した古い記事です)
↓
←自然界では決して治癒しない
サクラマスがオスメス群泳し、釣り人にも容易に確認できるほど集まる時期は9月。
ほとんどの遡上マスたちは疾病にかかっています。
海と川を行き来する浸透圧の違いに耐えて弱った体には疾病は一発です。
そして食欲は消え、たくさんいるのに一匹すらエサを目の前に垂らしてるのに釣れないです。
捕獲後、一匹だけ水槽に入れ「フン」を観察してみた。
元々サツキマスたちに接したキッカケは致死遺伝子研究で遡上サツキマスや
サクラマスを集めた事から始まりました。釣ったものに加え多くの捕獲協力はヤナでした。
ある日、釣ったばかりのサツキマスを2匹別々の水槽に入れ観察してみると妙にフンが気になりました。
何故か?エサをやっていない絶食グループとは違う”濃いフン”をしていたのです。
変だなと思って考え始めたら「食ってるかもしれない」という結論になるのに時間はかかりませんでした。
数匹~10数匹程度のデータや観察では話になりませんから、更に魚を集め、長期展望で調べました。
ほとんどの魚は、水槽へ入れ暫くすると白点病になり、餌付けも出来ずに死なせてしまったことが多々。
天然の遡上魚を河口の漁師さんから、海でのもの(常滑港沖)、上流での魚……。やっぱり濃いフン。
数週間後、エサを与えても食わないので、フンは「半透明な緑系」になって死んでいきました。
死なせたのは、後に捕獲から移動、水槽内での飼育技術も下手で病気にさせたという理由でしたが、
その頃は気付きもしませんで、なんとか死なせないよう、工夫を始めました(目的変更)。
←単独飼育でなければフンに気付かない。 複数を水槽に入れる水族館、 大学や水産試験場などでは、 餌付けも出来ず、 フンの違いも分からなかったはずです。 研究の出発点が違うと結果も違う。 素人ではない科学者は、 こういう点を注意すべきと思う。 |
その後、工夫したのが、汽水域(1/3海水)に戻った錯覚を与えてみよう、というもの。
すると、すぐに食い始めました。これだったのか!!!と思った私は自然に基調することに慎重になり、
汽水じゃなくとも食わなければ意味がないし、食欲を無くす白点病の発生に
思いっきり神経を尖らせるようになりました。
結果、ヤナなどに乗ったサツキ・サクラマスを餌付け95%という高確率で成し遂げました。
しかし、そうなると何故に水族館や大学、水産試験場が飼育に失敗し、
どうして消化酵素なしという説に移行していったのか分かりませんでした。
調査しましたら、ただ単に、全て失敗したのは複数飼育だったことと、
移動手段に消毒せず疾病にかけてしまった理由から。ダメだったと推測しました。
で、私が至った結論は、食わないとされたのは間違いじゃないか?ということ。
結論は食うということでサンプル集めとデータ化を進めました。
100例以上を個人出費で実験したのは、今思えばバカでしたが。
学術において自然界で実験する事はほぼ不可なのですが、水槽でも誰もが対象実験を出来て、
研究結果を共通に出せるのが学説となります。食う・食わない説は噂レベルであって科学じゃない。
私の述べているのは、ある程度のスキルがあれば誰もが確認できる事実です。
また、9月になると激痩せのアマゴ・ヤマメが釣れることが増えてきます。
そのことから、30cm前後のアマゴ・ヤマメも食わなくなると推測し、日照時間の差を実験し始めました。
結果、陸封の連中も日照時間を短くすると食わない現象が起き、つまり遡上魚と同様です。
釣り人が頻繁に遡上型を見るのは、ほとんど群泳して集まってからの時じゃないでしょうか。
特に9月後半の渓では産卵行動のためマスが群泳しますからね。
ところが、時期が違う、理由の分からないV型魚群というものもあるので、まだ正確に説明できません。
おおよそ、狙う釣り人が「全然食いつかないよ」と思うときは、イコール「食わない結論(経験則)」。
しかし、遡上も陸封も時期によって絶食となることが分かり、それは大きな卵巣の発達により、
胃を始めとする消化器官を圧迫し、食べたくても食べられなかったり理由が存在します。
実際、遡上型・陸封型の両者とも餌付けの期間は8月までは1~2週間、
9月漁獲のものは1ヶ月ぐらいかかるケース割合が増えてまいります。
釣り人の噂はあくまでも経験則ですから、以前は絶食説に傾いたり、
食ってる写真を出せば、一部だけが食うと釣り人説も変わりますので、
研究側は、そのような反響や意見には左右されることなく、あまり押し付ける形にならないように、
解り易く多くの方へ説明するべきですね、としみじみ思う。
エサを食うのだったら、釣る方法もルアーや100回流しの攻撃性を狙ったワザではなく、
ポケターンとする(ブッコミみたいな)方法もいけるはずです。
絶食は産卵期が近づく9月から始まる。
サツキ・サクラマスだけでなく、多くの成魚が絶食するのは秋が近くなり肌寒く感じてくる9月中旬。
その太陽の動き=日照時間で実験すると、普通のヤマメ・アマゴも写真のようになっていきます。
30cm激痩せの陸封型・写真(釣った魚) 日照時間を毎日徐々に短縮させた個体 9月後半のレベルになるとエサを食わなくなり 産卵期の準備で群泳を始める。 (釣ったのは2006年9月) 2007年2月先日撮影(当日死亡) | |
30cm太った陸封型('06年7月に釣った魚) 日照時間を夏に保ったまま飼育した個体 シーズンと変わらず縄張り意識が高く 食欲旺盛だ。上と同じ大きさ。 2007年2月先日撮影 |
結局、日照時間を短くしていったものは陸封タイプにも関わらずエサを食うことなく死亡しました。
絶食実験は半年にも及んでしまいました。一応、絶食しても半年は生きるということも併せて報告。
←結局、陸封型でも絶食・放精・死亡した。
同じ大きさだった日照時間を夏に保ったままのものと比較すると僅か半年でこの違いです。
日照時間が冬に入る短さになった時点で単独飼育ながら放精し河川のものと同様、死した。
致死遺伝子はどうすれば防げるのだろうか。貪欲なイワナですら産卵期にはエサ食いを渋ります。
上から見えるほどの大きなサツキ・サクラマスが群泳して居るのに、
全然釣れないからこそ、誰もが「エサを食わない」に納得したわけですが、
20-30cmの成魚もいるはずなのに、見えないだけで同じように食っていない可能性が出てきます。
身がスカスカになるのは卵巣の大きさが体重の約25%にもなるサケ類ですし、
アユだって30%にも卵巣が大きくなりますから身は同じようにスカスカになっています。
例えて言えば「シシャモ」ですな。 ←例えなくても良いのだが。
=9月初までの日照時間に設定していれば……
=婚姻色が出ていたとしてもエサを食う。45cm遡上型
どうして遡上魚のサツキ・サクラマスはエサを食わないという理由になってしまったのか、
誰が何処で研究して、そのデータはどうなのか、公開されているのか、捏造されてないか、
どちらにしても結論へ至るまでのサンプルが少なすぎるのではないか?
ルアーにとっては大変有効な理由が絶食ですが、別に目くじらを立てるほどの話ではないのに、
キャッチ&リリース問題で論争があるように、内水面の釣り業界は変な世界になっていないでしょうか。
エサを食う説は9月までのサツキ・サクラマスに当てはまり、
エサを食わない説は9月中旬以降と産卵行動を始めるサツキ・サクラマスに当てはまります。
つまり両者とも時期が違うだけで正解だったわけで、ケンカしてもどうなるものではなく、騒ぐのは変。
どうして本来の専門家(専門が少しでもズレると素人扱い)に質問したりして学ばない人が多いのか?
私のような理系研究者のクドイ文章展開は、クレームを怖がるため正確な表記を心がけるから起きます。
その結果、つまらない専門用語の羅列になるケースが多いです。工夫も少ない。
従って、一般の釣り人に調べられることもなく、読むのも読み飛ばしだったり斜め読みなのかもしれない。
もっとも、生物学もそうですが一般には専門家同士でないと通じ合えない難しさがあるため、
TVの科学番組なんかでは情報提供をしてもスタッフが理解しきれずに「ヤラセ」になったり、
(確信犯のヤラセ・捏造も多いけど)
多くの方が知っている通り専門が細分化され理系文系の区分け自体もアヤフヤな昨今。
自分の考えが正しいのであれば写真や映像を出して説明すべきなのに仕事じゃなければしない。
他人を頼るのは危険な現代になったのに、聞きかじりで物事を判断する典型が今回の食う件かも。
・・・・・・そんな気がして、なぜか寂しく思う。あくまでも私的な物語として受け取ってくださいね。
陸封ヤマメも餌を食わなくなる等は学術論文では言及も記載もなしでした(初公開だったかも)。
推測はどこまで正しいのか?
サツキは海水温が高いから、サクラより早く遡上するの謎。
冒頭に書いた部分についてなのですが、冒頭ってどこの部分かといいますと、
「水温が原因で海では夏を乗り切れないと推測」です。
サクラは1年半の期間を海で過ごし、サツキは暖かい伊勢湾などで半年を海で過ごします。
このため、産卵後は死亡する宿命のサケ族ですから、当然寿命の差になってきます。
差がつく理由は海水温が暖かい関東以南に棲み分けしているサツキは夏が乗り切れないから、
水温の低い晩秋~初春の半年間だけ過ごして遡上するという説。
これなんですが疑問に思われないでしょうか。実は海水温の差というのは正確ではないと思います。
海は深いので(海表面88%が水深1,000m以上)少し潜れば充分冷たいですからね。
それにサツキマスにも80cmクラスがよく見れます(釣るのは難しいが泳いでいるのは観察できる)。
サクラマスと同様に、サツキマスも同じ期間、海に降りているのではないだろうか?
短い期間は本当に学者が言ってたのか心配になりますが、水深10数メートルの躍層の下は冷たいので、
充分、冷水魚に適した水温10度台になります。学者が知らないとは専門分野が違うのかしら。
海や湖の冷水塊(躍層)。 これの動きによって釣果も変わります。 躍層を挟んで対流が上と下で起きてますが、 水の交流が少ない為、温度の安定度も違う。 泳いでいる時、上昇してきた冷水塊に足が触れ、 「うわっ!!!めちゃ冷たい」という時のイメージです。 足の筋肉のマヒで溺れたり、心臓マヒになって、 最悪のパターンを迎えることも。 夏は水深7-8mにあるケースも多く、 湖だと上部は貧酸素になりがち。 上層に張り出すと岸辺に魚が避難、爆釣できる。 特に海より湖の方が温度差がキツイようですから、 遊泳は気をつけるようにしてくださいね。 |
夏を乗り切れないって釣り人からの伝聞で、経験則や感覚で説にした噂だったのかもしれません。
科学的に同意するなら、サツキマスは浮き袋の性能から海水面下の躍層まで深く潜れず、
従って春から夏にかけての温度上昇が耐えられないので、たった半年で渓流に遡上する…ならOK。
一方、潜れないのを証明するのだったらマッコウクジラやゾウアザラシ、イルカ、ジンベイザメのように、
水深感知センサーを搭載した発信機を降海型の体に埋め込み、追跡調査するのが科学的。
遺伝子的に半年で遡上することになっているとか、何でも説明できてしまうDNA説は要注意、
妙に人々は納得してしまうので置いておきます(最終必殺技として温存するのさ)。
ということで、多少の頭を使ってみますと……。
サクラマスどころかイワナ、イトウ、ニジマスなど海と川を行き来している魚たちは、
1ヵ月半もの間、河口の汽水域(1/3海水)で体を浸透圧の変化から慣らせます。
半年しか海に居ないサツキマスなら1ヵ月半(1/4)の期間を河口で慣らすわけですから、
行き来の2回を足せば半分の期間を汽水域で生活するのですよね。効率の悪い生活ですね。
兎にも角にも、証明されているかどうか不明な説=噂を鵜呑みにせずに、
自分で調べてみることが重要、お金があれば自分でセンサーをつけて放流、研究するべきでしょうね。
常識レベルになっている説でも疑問が湧くものもある…と、そんなことが言いたかったのですけど。
こうやって展開すると、海の温度差で遡上が早まるとは”変な説”にみえませんか?
我々は既存の説に納得してしまい、何か重大なことを見逃し気がついていないのかもしれません。
エサを工夫してみよう
話は変わりまして。作者の手とマス飼育の際に利用している餌。
鑑賞魚用(大型肉食魚用) | オキアミ |
サケマス類は、とにかく行動派なためエネルギー補給のために大食漢ですから、
他の魚類と比較しても、エサが直ぐに無くなってしまいます。出費やばし。
上の餌をご覧になられて何か感じられませんでしょうか?ミミズでもなくイクラ、川虫でもない。
それでもガバガバ食うのは、普段使わない餌でも試してみる価値があること。
私が過去試したのは湖産エビ、モエビ、イソメ、ゴカイ、オキアミです。実績が出ました。
しかし、他の雑魚が来ないので遡上魚にターゲットを絞れますが、出会うまでピクリともしない寂しさと、
一匹を釣るまでは「この餌でいけるのだろうか?」という不安が強く襲い、ソレと戦うことです。
ミミズで他の小魚を釣りながら出会うのが一番一般的だなと思いますが、ご紹介まで。
いつもお世話になるメジナ釣りをする渓流店主さんもイソメを試したり、
どうやら、多くの釣り人にとっては、新たなエサを探して有効かどうかってのも趣味なんですよね。
そして、賢い魚は小さい餌を選んで食う傾向があります。
大きな口を持つサクラ・サツキマスですら、でかいオキアミ餌より、
割れた5mm程度のカケラを好んで食べてます。
水槽内を安全と学習し慣れて来ればガバガバ食い始めますが。
まさに賢さイシダイ級です。そんな大物たちの食性傾向も興味深いです。
後半で違うエサに関するネタを使います。最後まで読まれ、貴兄・貴女の釣りに役立たせてください。
ところで時々耳にするサケ・マス「倍数体」って何なのさ
バイオテクノロジーや遺伝子と聞くと「難しい」というイメージ、
理解不能な先入観がありますが具体的に説明すれば簡単です。
遺伝子倍数体というのは食糧価値から発展した巨大魚を作成するひとつの手段です。
しかし”倍数体”という表現が全て大きくなる生物体と思うと違いまして、
大きくなるのは遺伝子3倍体を特に指します。体が3倍になるわけではありません。
ちなみに2倍体というのもいますが、分かりますでしょうか?
これは倍数体と言ってもノーマル体のことです。
卵や精子の段階で1組の遺伝子を持っているので、それからとって1倍体。
↓
受精して遺伝子は合体、普通に出来てくるノーマル生体は2組セットを持つので2倍体。
↓
受精したばかりの卵にある温度を与えたら、あら不思議、サクっと大きな体を持つ魚になっちゃった。
…ということで遺伝子を見ると普通は2組セットのところが1組多く含まれていて3組もある。
ゆえに3倍体と呼びます。
陸封型のヤマメやアマゴがサケみたいな降海型のサクラ・サツキマスのように
見事に大きくなりますので、これは凄いとニジマスやサツキマスなどの、
水産価値のある魚に応用されています。
アユは難しいらしく成功例がほとんど無かったのですが、2000年に入ってから確立されました。
この様に魚種によってですら出来にくいものもあり何でも出来るわけではありません。
そして、これらの3倍体は親から子供が出来ません。1代限りです。
複雑な動物に比べて植物ではわりと簡単で、4倍体とか6倍体とかあります。
100倍体は……知りません(ギャグです。念の為)。
3倍体を作るのには刺激になるものなら理論的に何でも良いのですが、
意外と温度以外は上手く行っていない様です。刺激はイメージ的には温度、圧力、薬の3つ。
卵が受精してから30分程度までに刺激を与えると3倍体が出来ます。
簡単に出来そうですが、教えられるから簡単にみえるだけ。
その数字(30分)を導き出す為、どんな刺激があるかを調べる為、
物凄いお金と労力が掛かっています。自腹で研究している事が多い私は羨ましい程の資金。
巨額な資金でやっている組織にムカつきます(って、これは唯のヤッカミです)。
水産関係で利用されている3倍体は、その微妙な温度設定を判明するのに、
かなりの時間がかかりました。人間が一瞬の温度を与えることは簡単で、
指定の温水に卵の入った容器を漬けて直ぐにどかせば良いだけです。
水産価値が非常に高いサケ科魚類だから研究されただけで、
ウグイ、フナのように養殖をしなくても大丈夫のものは、3倍体が具体的に試される事も多くありません。
自然界に放す事は子供が出来ないから大丈夫とはいえ世界的に禁止されています。
ただ黙っているケースも多いですが……。
3倍体を放流してしまった例…福井県の養殖場(漁業組合と大喧嘩に発展しました)
ニジマスの3倍体から発生したらしい中で”ドナルドソン”と呼ばれるものは成長が早く、
養殖対象として重宝されているようです。
それの最大体長は聞いた事がありませんが、
ノーマルの降海型(スティールヘッド)が1.4mにもなるニジマスですから、
ひょっとして巷(ちまた)で目撃されたタキタロウなど巨大魚たちの正体って……。
オホン。話を戻しまして。
3倍体は正確にはメスが成熟しなくなるだけでしてオスは成熟します。
この研究は特に成熟すると旨みが少なくなる有用な魚、
海から遡上してきたサケやアユがスタートでした。
成熟すると、先に紹介しましたがアユの卵巣は体重の約30%、サケなら約25%にもなります。
大変なエネルギーを成熟で使用しますので身はスカスカになっていき不味くなります。
そして産卵すれば死んでしまいます。
そこで成熟して産卵しなければ年中大きくなるのではないか?という狙いで、3倍体を作り出しました。
コレ、別にミュータント(遺伝子異常)のイメージではなく遺伝子の束が1組増えただけで
尚且つ成熟しないだけで遺伝子はいじってないものなので誤解無きよう。
滅多に口に出来ない高級魚サツキ・サクラマスは、陸封型のアマゴ・ヤマメを3倍体にして、
サツキマスやサクラマスによく似た姿にさせ食用限定で養殖されています。
人間の3倍体で上手くやれば身長が6メートルに!!!…というのは間違った知識なのでヨロシクどうぞ。
ついでにサケ・マス「雑種強勢(ヘテロシス)」
ヘテロシス…すみません。ちょっと専門用語で「なんだぁ~」って感じですね。
これは同じ科の別種の魚(例:イワナ+ヤマメ)が交雑して、
3倍体に似て一代限りの強くたくましい性質を持つケースの事を言います。
↓愛知県小牧市のHさん撮影・提供の釣果でイワナとアマゴの混血。
←背中がカラクサ模様だ→
ニジマス+アマゴ、ニジマス+ヤマメも盛んです。
これらは自然界でも結構起こっていますが3倍体ほど大きくなったりしません。
ヘテロシスを3倍体と掛け合わせたりして
成熟せず産卵もしないはずなのに産卵するようになっちゃった!!!
などという特殊ケースなどで研究が進められているそうです。
先のニジマス・ドナルドソン系はそれ、倍数体とヘテロシスの混合の作出で苦心の作。
産卵期でもエサを食うマスが出現の謎
しかし最近、心配していることがあります。
先に書いたヘテロシスと3倍体を掛け合わせたら「産卵するようになっちゃった」という部分です。
昨年、2軒のヤナ業者さんに協力を仰ぎ、ヤナに乗ったものを数多く集め、観察しました。
毎年、ヤナ業者さんに頼んでいますがもう10年以上です。
結果、妙に攻撃力が強い感じの魚が増えている気がして、渓流でも群れ方が違うと感じました。
これは私の感覚ですから絶対ではないのですが、これが正夢・正解だと問題です。
←魚は意外と脳が発達している。 魚の感覚を司っている元中の元、そう脳味噌です。 前方から嗅葉、視葉、小脳と大きく3つ。 学習能力によって起きた食性・習性変化なら好いが、 外的要因の人工的な作為であれば問題かもね。 給料を貰っている該当者・関係者は、 プロらしく、しっかり正確な仕事を続けて下さい。 な~んて、言ってみた。 |
イシダイは芸をするほど脳が発達しているため、魚影は濃くても釣れない「幻の磯の王者」なのだ。
=渓流魚に比べ釣った海水魚は慣れも餌付けも簡単。
魚達が安心できる無防備な環境では大型魚の方が早く餌に飛びつきます。
小魚なんか押しのけ我関せず王道を行く大型魚。
自然の渓で大物が先に来ないのは小魚たちの絶対量が多いだけ…とまぁ、
これが科学者的な解釈の模範解答ですが、尺ものや遡上物を観察していると、
それだけじゃなく相当賢いのじゃないか?と感じる時があります。
私は学習能力により産卵期でも「食う」と変わった原因を突き止めたくなりまして、
またもや遡上魚・陸封型を集め始めました。リアル多忙により釣行が限られ、
ヤナで台風の洪水後に上がった天然魚のはずの魚達を物色、自腹で頑張ってみました。
で、今までどおり白点病などを出さないように水質に気をつけ飼育実験や、
腫瘍の有無など調査し始めましたら、疾病持ちは若干少なく驚き、
そしてなんと、あんなに難しかった餌付けが容易、常に2週間以内で可でした。
おかしい……。直感のレベルですからどうこうは未だ言えませんが質が変わったのかな?
そこで連想したのが倍数体じゃないか?という疑念。サケ科は3倍体でオスは成熟、雌は成熟しません。
産卵のエネルギーを成長にまわせるので陸封型の遡上レベルの巨大化が可能で、
但し、放流は一応禁止されています。
まさか、大型や遡上が少なくなった漁協が苦心の策としてコッソリ…いや、そんなことは、
又は河口堰を作って未だ注目されている調査側(国土交通省)が「影響なし」とカモフラージュ?
いやいや、そんな事までしないでしょう。洪水や施設トラブルで流出か、これかもしれない。
しかも、栃木に住む釣友もサクラマスで報告してきたし、岩手の友人も変化してるとか。
兎にも角にも、子供が2年ごと発生なので(次世代を捕獲して調べるまで)様子見してみますが、
正確に広がっているかを判別するには3年後、遺伝子サンプルを試せます。
まさか、大量の3倍体Xヘテロシスが自然界にいるかもしれないという不安は拭いたいものです。
釣り人の遡上型に対する説は未だにバラバラです。コレが心配の種なのです。
経験則を基幹として考えるのは私も同じです。
しかし、広がっているとしたら、何時からなのか、何処からなのか、湖産アユに混じるのか。
あ、湖産アユの放流の場合は、アマゴの亜種とはいえ「ビワマス」だけど。
昔からそうだったのか、いや何かが原因なのかまで踏み込んでみなければいけません。
給料を貰って研究している学者が調べるのは当然として、アマチュアも気をつけてみましょう。
…ということで、私の直感が単なる危惧であり、ハズれることを祈っています。
ヤマメ・アマゴは「エサが傷ついたら見破られる」への疑問
エサを交換しなさいとは言われるが、その理屈を考察します。
「エサの傷で食いつかない」というのは、すでに常識として渓流師(たにし)に根付いています。
一般的に考えれば、彼らはそれほど目が良い…というのが解釈ですよね。
目が良い他の動物で例えれば、猛禽類(ワシ・タカ)に匹敵すると感じます。
しかし、そんなに目がいいのでしょうか。クロダイらと違って色彩感覚はあるそうですが。
ところが、それぞれを司る細胞数を調べますと、魚は一般的に目が良いわけではないです。
それじゃ、どうして傷ついたエサは避けるのだろうね?不思議じゃないでしょうか。
一応、解説する前に基本を押さえておきましょう。長くなりますが我慢ください。
まずはスーパー基本の「魚の視覚」は以下。知らずに語ることなかれ。
=見える範囲のイラスト
魚の頭上は約100度の範囲(サケは97度)。
光が水面から空気中へ出ると屈折のおかげで広がって、ほぼ水平になります(=視野)。
正直、釣り人が姿勢を低くしても存在を感じ取る事が出来ます。
当然お気づきの「雨日は結構イケル」というのは「水面が波立って見えない」に近いです。
上から魚を見るのと水中に潜って横から見るのとでは魚の警戒心が全然違うように感じます。
上からは要注意なのに、渓流魚だけではなく、海水魚、淡水魚とも横からの接近は警戒心が弱い。
学習能力なのか習性なのか、自然界では横からの攻撃があまりないのでしょうか。
又は敵を発見するのが遅くても避け易いので警戒心が低いのかもしれません。
=魚は330度も視野があります。
距離感が掴めるエリア(複視)は30度、片目エリア(単視)で150度です。
人間は前方のみ複視・約80度。関係ないけど上方50度、下方70度、
内方60度、外方100度というデータ。人間の目は視野は狭いですが、性能はかなり好いです。
=目の解剖イラスト(魚は右)
人の目は丸いです。人間はピント合わせをする際、筋肉で容易くレンズを変形させる。
魚の目は全体として楕円形。魚はレンズが丸いので、ピント筋肉調節が難しいです。
ということで、サケ類は色彩感覚があり近視です。
また、マスはよくライズしていますが、跳ねている時に人間を見ているでしょうか。
魚が見ている世界と、人が見ている世界は違いまして、理由は光の屈折率。
我々はプールなどの水中で目を開けると、ぼやけますが、それは空気中に適したピント合わせ、
上の図の通りの筋肉だからです。
目の構造イラストでもお分かりの通り、魚のピント合わせは水中に適したもの。
人間は水中メガネというアイテムを発明し空気の層を間に挟んで水世界を観察できますが、
魚は空気中ではボヤボヤでしょう。ジャンプしても残念ながら余り見ていないようですし。
ただ水中から見るぶんには岩に乗って釣り糸を垂らす人を明瞭に見ているかもです。
そして話はまたまた飛んで、目よりもメインの感覚器官はあまりにも知られている側線です。
=側線の図解。
上から、側線管、クプラ、側線神経。水の出入が非常にスムーズ(構造)。
目(視覚)は意外なことに殆ど使われていません。使うのは以下のような時に限定されるほどです。
そして、素早く岩の間を泳ぐ時や夜は、目を使わず振動感覚と嗅覚だけで行っているようです。
釣り糸を認識してはいない
…とすると、もう一つの疑問、魚は釣り糸をどこまで認識しているのか、認識できるのか、
大学や漁協、試験場、水族館などと協力、釣り好きの学者が趣味でも研究し、
その結果、魚達はどうやら釣り糸とは認識していないようです。
いわゆるエサにくっついている紐みたいなものなのでしょう。
エサを食ったら、その紐が急に引っ張るものだからビックリし、本能で暴れまくる…。
といいますか、釣られた経験の無い魚なら当然だけどね。
どちらにせよ糸の太さは水・風の影響、自然な状態にエサを持って行く事に大きく関係しています。
これは事実ですよね、細い糸を使いましょう。
=体の横を”素早く動く”エサには脊髄反射で飛びつく。 これには理由がありまして、目の構造からです。 池のブラックバスは岸の狭いエリアへ小魚を追い込み、 狙って食いつくことが出来ますが、広大な海ではやれません。 距離感がない単視で見る事が多いのに、 エサの小魚は上下左右前後へ逃げまくります。 スズキやマグロなどは、反転食らいつき…をします。 サクラ・サツキマスなども海で育つからでしょうね。同じです。 こういう反応を示す魚は大変多いです。 |
泳いでいた魚たちがエサを採る時は、多くがスピードを落とし目でシッカリ追います。
先に書きましたが、定位したものは横か後方で素早く動くものに瞬間的に脊髄反射します。
長かったですが、やっと「エサを交換する理屈」の結論へ近づきました。
では、目がそんなに良くないのだから、傷ついたエサを食うのを避ける理由は……
結局「エサの体液が苦手」だけ?
殆どの魚たちは視覚はおざなりですが、聴覚が特に優れ、犬並みの嗅覚をメインとして使用します。
とはいえ、魚群から抜け出た小魚の動きは「食い波」でフワッと動くエサの動きと同じようなもので、
このケースだけは視覚を使っています。ここまでは今回の解説を読んでいなくとも知ってる人は多いでしょう。
で、「エサの傷ついたものは食わないから交換しろ」という話は古今東西、渓流師のお約束ですよね。
ふと思えば、視覚が余り得意ではないはずなのに、目は判別出来るほど良くないのに何故?
その理屈を私は「エサの体液が逆に影響しているのでは?」と考えてみました。
実際、シマミミズの体液には刺激毒ありますから、これが原因じゃないか、と思う。
渓流に加え、海釣りもやる方はお馴染みかもしれませんが、イソメやゴカイを使うとき、
わざと傷をつけて針に刺すと、急に(驚くほど)良い感じに釣れ始める時があります。
つまり視覚より嗅覚が優先だと考え、見方を変えてみると「逆の走化性」と推測できます。
走化性とは化学物質に対するもので、走光性は光に寄る習性を指します。
海の魚は多くが「正の走化性」が高い、ヤマメ・アマゴは淡水、サツキ・サクラマスは海から遡上し淡水へ、
淡水だと「逆の走化性」が強くなるのでしょうね。視覚がイマイチなだけにコレが解答かな。
ウグイなんかは釣ると仲間の嫌いな匂いを出し、リリースすると一時的に釣れなくなったりしますし。
生き物には「生得的行動」というものがあります。以下の4つがソレ。 走流性・・・流れに対して向かう(正の走性)とか避ける(負)とかの反応。 走化性・・・科学物質に反応する、寄せ餌をまくと寄ってくる行動とか逃げるとか。 走触性・・・障害物に引っかかって休むとかの反応。 走光性・・・光によってきたり逃げたりする。水温によって反応が違ったり(魚)。 一方"学習"は生物学的用語で「獲得的行動」といいます。 コンビニなんかで夏、バチバチ言ってるのは世間に1番知られている走光性。 光りに寄る昆虫の習性を利用したもの。一方、走化性は一般には全く知られてないですネ。 |
=A=前鼻孔、B=後鼻孔
匂いで傷ついたエサを嫌っているという説を考えましたが、
それを確認するために水槽内で(実際の自然とは違うかもしれませんが)鼻栓をしますと、
ミミズを千切ろうが、川虫の足をもぎ取ろうが関係なく食います。
ところが体液は避けるけど、匂いが全く無いエサとなると飲み込みしないですから、
どうやら僅かな臭いを察して食いついているようですし、そう考えるほうが妥当に思えます。
尚、警察犬並みの嗅覚ということは、釣りをしている際、汚いタオルで手を拭いたり、
人工物(ペンキ、接着剤等)を触ったまま(石鹸で)手を洗わずにしたり、
気を抜いて汚い手で針にエサ付けすればエサに匂いが移り、魚は避け釣れないかもです。
うむ、みなさん、エサを触る前に手を洗おうぜ!!!
泥や砂でも好いですよ。
水だけの手洗いは匂いが残存するので石鹸類で洗うこと。無ければ泥で洗おう。
泥は石鹸の役割を多少はしますので、サバイバルで使えるトリビアです。
結論までに長い展開をしてしまいましたが、過去の常識を別の見方もしたら面白いよと説明するには、
初心者から上級者まで読まれる誌面ですから、簡単な解説では「何を言っているんだ」と誤解や反論、
双方向ではないため、ちくいち説明できない問題のため、詳しくしました。
餌の種類や餌選別のノウハウにも触れたいのは山々ですがネタが多すぎて困ります。
▲エサの匂いを避ける…だなんて信じられない!!!
「匂いに釣られる筈だ」と、釣りをする99.9%の方が疑問に思うはずです。
確かに正解。しかし、それは同じ環境というのが前提じゃないでしょうか。
血液の匂いを何倍にも薄めても嗅ぎ分けるサメを始めとして嗅覚の鋭い魚類は、
私たちですら潮風の香りを感じる海の濃い塩水から淡水へ遡上したら?
疑問に思った貴方、濃い香りのある海と薄い淡水エリア、エサの匂いの違いを解釈ください。
同じ場所に長く居るならまだしも、海←→川を行き来するサツキ・サクラマスなのですから。
そんな所に考察すべき秘密が隠されていると思うのです。
今回の記事を、たわいもないネタ記事と思われるなら仕方がありませんが、
ネタの中にもキラリと光って、目からウロコかもと受け取ってくださると、作者は嬉しいです。
視覚が弱い、嗅覚と聴覚が鋭い…となるとルアーだと?
接近するまでは目を使わず聴覚と嗅覚をメインにしているのは説明した通りですが、
ルアーの場合は水を掻き分ける振動(水の波動)で動くエサと感じつつ追うでしょう。
近くまで追ってきたら視覚を使い始めますので、ゆっくりリールを巻く加減にするか、
更に早く巻くか(一般的に小魚なら逃げるから加速するべきなのかな)すればOK。
あまり解説することもないのがルアーの利点だし、定位のポイントと暗くなった際の回遊ポイント、
視覚の範囲などを考えてキャストし経験を積めば説明不要。
究極のテクニックは、これまた先に書きましたが合わせのタイミング精度を高めるだけ。
…上のイラストの目の横を通り過ぎると反射的に食いつく習性などを総合的に考えれば
キャッチできる可能性が凄く高まると思う。
知恵勝負でもなんでも…あ、ろ、ロマンを壊してしまいそう…(スミマセン)。
実は、私は何でも屋で、知識が入った後は実践、手を洗いルアーも綺麗にし、
腕が痛くなって上がらなくなるまでキャストを繰り返して……ということでやっていました(失礼)。
一方、イシダイのように、学習能力の賜物で魚影が濃くとも「幻の磯の王者」と言われるほど、
芸を教えることまでできるほど賢い魚であれば、ルアーほどの物なら認識できるはず。
頻繁にキャストを繰り返したり、ウグイなど他魚を釣ったりすれば覚えられ釣れなくなるのも頷けます。
陸封型と降海型はどうして分かれるのだろう?
寒い地域を除けば、海に降りるものと川で幼魚のまま生きるものがいます。
降海型と陸封型って、どうして分かれるのでしょう?これは簡単そうで、かなり難しい謎でした。
色々な説がありまして、多くは机上の理論、推測ばかりで科学的には断定できていませんでした。
オス・メスの差、温度、水質、日照時間など多岐に分かれTV科学番組などでもまちまち。
海に降りるのはメスが多い事からオスメスの差が第1の説でした。
第2の説は温度。南へ行くと陸封型ばかりだったからです。多くはコレらで結論づけでしたね。
しかし決定打がありませんでした。
行った約90例の実験では陸封型アマゴが死にかけると高確率で降海型サツキマスの子(シラメ)に!!!
どうやら、中部地方は水温が微妙に高いので、エサが食べれなかったり何らかの理由も入れて死にかけ、
それが海へ降りる最大因子となったと推測できました。水温が高いか低いか。
両方出現する理由がとりあえず水槽内でも再現できた瞬間です。
すべて降海型か陸封型かに偏れば、こんなに疑問は出なかったのだと思いますが、奥が深いです。
ちなみに海に降りるのはメスばかりと当時言われていましたが、オスも相当数が海に降りています。
一昔前の魚類図鑑、渓流釣りの雑誌では、メスが海へ降り、堰・ダム等で遡上できなくなると、
川の上流ではオスだけの川なので絶滅するなど、そんな説明が散見できますので面白いですよ。
イワナは降海型なりにくかったです。ヤマメ・アマゴよりも水温の低さを要求するようです。ご参考まで。
警戒心が強いと言われる理屈
サケマスの浮き袋は振動などの感知をする「ウェーバー器官」というものに連動、
その為に、淡水魚たちは海水魚達よりも異常に高い警戒心を誇っています。進化の差ですね。
只、コイはその警戒心を飼い主の判断に使うため、飼育池に近づく足音だけで飼い主を判別します。
←この浮き袋を持つ魚は進化的に上位。
▲進化の差=海水魚より淡水魚は進化しています。海から淡水に入った為に腎臓が発達しているのだ。
←有気管ウキ袋 サケマス、淡水魚です。 酸素が少なくなるとアップアップで 酸素補給をします。 | |
←無気管ウキ袋 取り囲む毛細血管から 気体を滲ませる。 海では酸素が無くなる事は ありませんからアップアップしない。 |
側線や耳石の聴覚、嗅覚、視覚を超える未知の器官「上生体」というものもあります。
雨や増水、電磁波、赤外線を感じたり、食い始め、食い渋り、魚群形成などを司るとも考えられます。
電線の下では何故か釣れるという経験をした人も多いと思いますが、
理屈では水中では感知できない周波数を魚はこれで感じ取ってるのではないかと推測できますが、
研究も各専門機関で進められていますが、まだ結論は出ていません。
更に上生体は「餌を食い始める何らかのキッカケ」を感じる器官だとも想像されています。
ライズのようにカゲロウなどを捕獲するためバシャバシャ跳ねますが、何故か一斉に終わったりします。
何となく分かっているようで分からない生理現象のキッカケとなっているのかもしれません。
キッカケが何かが分かって人工的に発生させることが出来ればラクチンなんですけどねえ。
渇水から増水した雨の降った後、雨の降り始め、水温が少し上がる時、曇り…などなど。
キッカケの幾つかは判明していますが、全て人工的に発生させられません。残念。
そうそう、専門用語は覚える必要はありません。こんなものがあるんだ程度で。
理屈を知り、ご自身で考えるヒントを提供することを重視していますから。
初心者さんに贈る「工夫しないで基本タックルに徹すること」
現在、教科書に出てるタックルは長い間の試行錯誤によって出来たものです。
ころころ仕様を変えて工夫するのはプロに任せ、新しいものに飛びつく前に基本をマスターしよう。
下は四季・更には海を通じて私が変えない仕掛け図です。超簡単の基本仕様で工夫はしていません。
でも全てに通用しています。釣れないからと言って工夫しすぎると逆効果になることも。
主に海で使用していますが、サツキシーズンで渓流に入るときは糸を0.4~0.6号通しに細くするだけ。
以前は金属ラインや短い竿も使ってましたが、仕事が忙しいためジックリ釣行へ行けません。
手軽に、ふと行く為に海川両用にしているのですが、サツキマスもあげれますし海ではクロダイも。
車のトランクに入ってます。海でのタックル変更はラインを1号にするだけです。サツキマスは0.6号。
あまり不自由しませんので、初心者さん向けに紹介します。糸の号数だけ変えてね。
=8~9mの竿で海川両用、何の変哲もない。
糸は竿尻からバカ(=余分な長さ)として1.5mほど取ります。
理屈は大物を掛けたらやり取りで発生する竿の弾性を最大限に利用できること。
たぶん、最初に教えてもらった先輩からクドイほど教えてもらった事かもしれません。
大物を掛け、プツンと行かずに耐えれるなら、バカを長くすること、これが一番。
初心者さんのドキドキを押さえれずに無理するのを和らげてくれます。
同じ発想から、糸と糸を結びヨリモドシにゴムがついている緩衝具付きも販売されてますが、
とりあえず工夫をしないお約束で徹底ください。工夫は上級者になってから。
突拍子のない仕掛けの典型ではルアーがありますよね。
由来は知ってる方も多いでしょうが、湖畔でキャンプ中の家族連れが手が滑ってスプーンを投げ落としたら
魚が食いついたことから発想されたと聞きます。
ルアーのように、あんな突拍子もないものすら応用が利くことから発想の転換を…と思いましたが、
方法論は個人のやり方がありますから正直難しいですよね。
私のは初心者タックル考としてください。でも、全てに通用する基本です。初心者さんガンバ!!!
▲理由~繊細な渓流ラインで行う釣りなので、0,4号や0.6号などの違いを身に付ける事。
号数の違いが分かるようになるのが、上達の早道と持論を持っています。その後、応用です。
0,4号なら、その号数を変えず長く使い、感覚を養ってから0.6号や金属ラインなどに変えてみる。
氷河期の調査は陸封型を利用
変異の多いサケマスたち。本当に、驚くほどサケ科魚類にはたくさんの変異固体が存在します。
無班イワナ、無班ヤマメ、ナガレモンイワナ、ゴギ(イワナ属・広島県太田川上流で天然記念物指定)、
イワメ(アマゴの亜種論議中)などなど。
↓ROMerさんの撮影・提供によるコバルトマス、アルビノウ(アルビノ)、ノーマルの3種。
←青さ輝く→
←無班イワナ(小牧市Hさん釣果・撮影・提供)
←ゴギに似た岩魚
←イワナとの混血はヤマメ・アマゴ共々起きる。
←上下3枚はYさん提供・釣果・撮影
←数が増えている可能性も。
←栃木Sumiさん提供
←うむ、見事!!!
←みっちゃん提供・撮影。
←カラクサ模様ヤマメ型Masterさん提供
←体色が黒いイワナ&↓秋田市まつやん氏提供・撮影
←見事なハイブリッドですねー。
本来、川の上流で陸封されていますから、人為的でなければ川の移動はほとんどありません。
従って変異固体や種類を細かく調べる事によって、川の移動が普通に出来た頃の
日本の氷河期時代の状態を調べる資料にもなり、食用として味もさる事ながら不思議な魅力が満載。
…すでに、人為的に他のエリアに放流しまくった為、混乱しちゃいましたが。
ただ、養殖で増やさなかったら20世紀後半の渓流危機により絶滅していたかもしれませんから、
ヤマメ域にアマゴ、アマゴ域にヤマメは、許されるべきかもしれません。
今は、純潔を守る養殖技術、他河川への放流はしないように慎重になっていますよね。
兎にも角にも「氷河期の調査研究」が、終了せざるを得なかったという事実は知られていませんので、
紹介させていただきました。色々なジャンルで利用されていたんですよね。
キャッチ&リリースの誤解
全国の「キャッチ&リリース」マニアの皆さんコンニチハ。
今あなたが吸っている空気の中には、平均して21%の酸素が含まれています。
酸素不足になる事はありません。我々の肺はだいたい酸素の20%を利用しています。
しかし、水の中では深刻です。生物が多ければ直ぐに酸素が無くなってしまいます。
どれぐらい酸素が含まれていれば生きていけるのでしょう?
また、魚のエラはどれぐらいの酸素を利用できるのでしょうか?
酸素の含有率 |
・海水=約0.004% ・淡水=約0.005-0.006% ・空気=約21% |
水中に溶け込んでいる酸素は上の表。ほとんど僅かな分量です。
(温度によって多少の差が出ますので20℃で計測しています)
雨や流れ込みで酸素が溶け込むのは読者さんも周知の通りですが、
平静な湖では1年間にわずか6mの拡散距離しかありません。
また、光合成の拡散で水深10mの溶存酸素量を0.4PPM(0.4ミリグラム)に引き上げる為には、
ある学者の試算では600年もかかるそうですねぇ。酸素が多くエサが豊富な場所が最高なのだ。
つまり、こんな僅かな水中の酸素を取り込むため、エラはF1エンジンみたいに性能が良いです。
「大物をかけたら空気を吸わせろ」の理由は、頭を出した魚のエラ部が、
ふわっとした状態からペッタンコになるため循環がうまく行かず尿素がたまり、
一時的アンモニア中毒っぽくなるから弱るのです。
リリース前提なら、そんな性能なのだから、さっさと掴んで針を外し水にドボンと戻すのが本来。
丁寧に時間をかけて優しくして笑顔でチーズ♪たって逆効果で魚体には優しくないので、
(人間が宇宙に放り出されたら?をイメージして)
見た目は「酷い虐待野郎」だけど実は魚には優しい鬼になってくれ給え。
但し、他人から自然破壊のマナーの悪い釣り人と指差され非難されちゃうし、
「エラの性能は大変凄く、まさにF1エンジンで」と言い訳するのも面倒なので、
今まで通り「カッチョいい優しい人」を演出するため、従来どおりでも仕方がないかな。
特に異性と一緒の時は、本当の魚の苦しみはスルーし、見た目に拘るべきでしょう。
子供出生率が悪い昨今の事情を反映し…って、リリースを優しく扱う派は、怒らずに無視下さい。
テーマは残る謎のサケ科魚類たち
様々な幅広いトラウトに関する知識を紹介しましたが、本来は1冊の本を超える分量でするもの。
こんなに短くまとめるのは、そもそも無謀な試みだったかもしれません。テーマは沢山残っています。
・湖で擬似降海型が何故出来るのか?
・天然記念物のゴギを始め、無班イワナ、無班ヤマメなども詳しく紹介しないの?
・オキアミが居ない湖で赤身になるのは何故か?
・途中で戻ってきた「戻り」、「ハクシマ」などは、どんな形質の体をしているのか?
・サケ/マスの分類はワシ/タカ、クジラ/イルカのように混乱した呼称だ。
・イワナ属、イトウ属、ニジマス属、サケ属…どういう違いがあるのか?
・最適な”釣れるポイント”解説をすると釣り荒れるから書くべきじゃないかも?
・山・川・海・砂浜の密接な関係を紹介するのも大切だったのではないか?
・サケ目の他の仲間には、どんな魚がいるのか?アユやキュウリウオ、ワカサギなど。
・南米のドラドはサケそっくりだが、サケ科じゃないのか?(ピラニアの仲間でカラシン科)
・現在の養殖技術、ダムや河川の建設構造の魚道について考えるべきでは?
・氷河期の調査とサケはどんな関係で、どんな変異を調べるのか?
・・・などなど、まだまだ書くべきことは多くありましたが、まぁキリがないので。
NEW・もしも主張通りサケ族の遡上魚がエサを食うのなら、
他の属たちとの分類関係は?進化的にもどうなのか?
NEW・実は主張は間違いで、サケ族は餌を食わないのだったら、
他の属たちとの違い、特にメリットなどは進化的にもどうなのか?
…うーむ、難しいですね。今回の記事で謎がひとつ生まれそうです。
渓流師の皆さんも、釣り上げた魚を見るたびに、こんな謎の解明に思いを馳せてみませんか?
専門の細分化が共通認識を妨げている
釣り=釣果だけを求めるならば、ルアーのように合わせのテクニックを究極に高めれば良いと思います。
実際、物理的な作業です。但し、それだけのことであれば、釣りは長く続かない嗜好の趣味。
切磋琢磨になれば好ましいけど足の引っ張り合いになる趣味は長く好評を得ないもの。
釣りも昔の”釣り熱・フィーバー”が冷め、その波を受けているような気がしますが、
それでも他の趣味の流行り廃れに比べれば小さいと感じています。
釣技テクを極めれば料理へ入ったり、学術へ入ったり、幅広いエリアが控えていますから。
しかし、学術の世界は微妙に問題を抱えているようです。
同じ理系学者でも、交流などがないと最新知識が広がらない現実が多くあります。
例えば、医学や農学部水産学・獣医学でも、サメ(アルツハイマーにならない、脳が退化しない、
巨大な肝油や白血病、悪性腫瘍=ガンにかからない)とか、
サケ類(固まり難い肝油や致死遺伝子)を使っていても、同じ研究の”常識”はかなり離れています。
典型的なもので、地質学者(鉱物専門)と古生物学者(恐竜学専門)、植物学者(古代植物)が交わらず、
絶滅原因(⇒K=T境界層問題など)が何なのかすら、未だに協力し合っていないような話も聞きます。
更には、医学や生物学の問題に物理学者がTV番組で堂々と言及するなど、
TV番組のエンターテインメント化によるスタッフ学術調査が徹底しなくなった事からなのか、
電気関係に素人が口出ししたら、普通は「専門外が口出すな」なのに。
専門の細分化が引き起こした問題ともいえます。
ダヴィンチ型の博識・万能学者は生まれにくくなっているのも現代の宿命かも。
魚類学者でも分類学、古代生物学、海洋生物学、陸水学、淡水生物学…など幅広いですからね。
「魚類学者に話を聞きました」って言ってもトンデモな見解な場合、専門がズレている事が多く、
非難されて可哀想と思う事すら、しばしばあります。
終わりに
サケ科魚類にエサをドバっと与え、腹いっぱいになるのを計測すると、
だいたい海水魚と共通で、15分足らずでお腹一杯になりました。
温度の急激な変化(3℃以上)などの刺激があったら6時間ぐらい復活にかかります。
寄せ餌を撒く釣り人の後なら何時の間にか満腹になり6時間ほどは食い始めませんし、
釣り上げれずにバラしたものも同様に、6時間は食いつきにくいです。
←サツキマス神谷堰堤・吉田川(釣った魚)
先に書きましたが、リリースならゆっくり丁寧にするのではなく、ガシっと握り針を外し早く水に戻すこと。
ヌメリは緩衝材みたいなもので直ぐに復活するし、それよりエラをペタンにさせる空気中では、
アンモニア中毒、というか大物に空気を吸わせて取り込むってそういうことだけど、なかなか……。 ←人間の矛盾1
イワナだけは食い意地が張っているので衝撃や腹いっぱいでも直ぐ釣れる場合がありますが、
これは「食い意地の張ってるイワナ」の説ですよね。
ところが、普段警戒心が強いイメージで、釣り人の多くが慎重に渓流へ降りたりするのに、
食い意地が張って直ぐに釣れなおす説も同時に流布されているのは人間の矛盾感は大したもの。 ←人間の矛盾2
まぁ、感情を持つ生き物である人間はローマ帝国時代より不思議な生命体として研究されながら、
未だに結果が出ないものですから、たぶん、遠い将来でも答えは見つからないでしょうね。
普通の動植物とは違う研究対象です。生物学的には人間と恐竜が特異な存在。
ということで「最新のサクラ・サツキ生態研究と推測」みたいなテーマで書きましたが、
100匹以上の調査結果、比較対象区、渓流にて観察などで総合的に思うまま述べてみました。
もう、合計20年ほど研究してるなぁ。
尤も、しっかり生態や学術を書きますと文字数は数十万字になってしまいますので、
ひとまずそれで構成しました。ご了承ください(その割に変な所を詳しくしたり迷走していますが)。
釣り人の経験則を学術で研究したり実験し説明するのが私たち研究者の仕事ですが、
他に「釣り人の噂・経験則」で理屈は何かと悩まされているなら、
専門がビンゴであり、尚且つ、学術で説明できる人を探し教えて貰うようにして下さい。
電気屋さんには電気技術、医者なら医学、専門には、やはり専門家が一番早いです。
水槽でアマゴやヤマメを飼育されている方もサイト読者さんに多くいらっしゃいます。
日照時間を自然にしていたら、3-4月になぜか目が見えなくなったり(エサを目で追わない)、
急に絶食して食わなくなり劇的に痩せ衰えたり、30cm前後の個体が多く異常を見せる不思議。
数々の疑問に答える内容を盛り込みました。ご意見をお待ちしております。
渓流の憧れの的、サツキ・サクラマスについての当記事を、お読みいただき有難うございました。
サツキ・サクラマスや尺ヤマメ、尺アマゴへの見方が少し変わり、勉強になったなぁとか、
貴方の釣り方に影響を与えたのでしたら、書いた私としては本当に嬉しいです。
読者さんの満足行く釣行と怪我無き帰宅を、お祈りしています。
おしまい。
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