2017年1月27日
個人サイト用雑談記事として更新しました。

リンパ浮腫について


Part1

最近になって、ようやく第1回治療学会総会(2016年9月24日)が開催された「リンパ浮腫」ですが、このような新しい種類については医学界の常識である「ある特殊な方法で治療できる」「治療は無理」「治療困難」など言いたい放題で世間が混乱する帰来があります。このリンパ浮腫につきましても同様な状況ではございますが、国立がんセンターの記事が基本の為、詳しいことを知らなかった方は余計な情報をシャットアウトしてお読みください。また、世間では特殊な事例に飛びつく傾向がありますので、特効薬などの勧誘には特に慎重に見極める必要があります。リンパ浮腫の治療法は確立されつつあります。しかし医学では保険適用まで15年ぐらい時差が起き、なかなか恩恵には預かれません。

さて、このような冒頭で恐縮ですが、そもそも人間の害になるウイルスや細菌などへの防御機能として存在するリンパ節。これはリンパ管で相互が結ばれ、リンパ液、リンパ球が流れております。特に外部にさらされる鼻腔口等を通じる首回りに多く存在し、大きなリンパ節は首、脇、太ももの付け根に存在します。大きいものでは1㎝~3㎝ほど、固かったり、弾性力を持っていたりします。一方で大きさ的に注目されない小さなリンパ節は血管周辺に存在し、体のいたるところをフォローしています。炎症で1㎝以上に膨れるか、悪性腫瘍で膨れるかが一番の初来院診断のキモですが、良性の場合もあり、結局は細胞診という検査をしたり、その前段階なら腫瘍マーカーなど血液検査を行います。他病院にてリンパ浮腫と思っていたら別な原因だったりと、セカンドオピニオンがたいへん役立つこともありますが、リンパ節の基本は昔から変わっておりませんので、これからの数年は”新情報”により一喜一憂、右往左往しないでくださいませ。修正される場合があると思われます。

浮腫はリンパ節の切除などで徐々に周辺が膨れてきて悪くなることが多い副作用の典型的な病気ですが、術後の副作用が出ない人がおられますし、新たなる病原がリンパ節の傍に出来ていて影響を受け似た症状を発症していたり、そもそも個人差があるとイメージされていますが、病気というのは殆どの人が同じ状況にならなければ科学的なアプローチは難しく、また、治療できるなどと言及も控えなくてはなりません。同じように浮腫と云ってもウイルスで起きる(細菌では起きない)別の病気もあったりして、リンパ浮腫のみ特殊中の特殊という訳ではありません。副作用も同様で、整形で腰の手術を行ったら「足だれ」を起こすケースが頻繁にあります。術後に気をつけないと、普通の道を歩いていて突然転び大変な怪我を負う方も多いです。医師側の説明不足か患者さん側の理解不足か、副作用で苦しむケースは悲しく、知識の整理整頓が必要な場合もあります。

ところで別の視点を持てば、魚類はリンパ節を持っておりません。ではリンパ節を最初から持たない彼らはどうやって病気を治しているのでしょう?確かに養殖池や水族館などであっという間に全滅したりすることでニュースになったりしますが、ワクチンを開発すれば治せたりしますし、病状の進行さえ殺菌や浸透圧の調整などで防げば魚類自体が持つ治癒能力で治る事が多いです。それゆえ(人間の)医学に応用するために研究もされています。細菌の体内塩類濃度は0.3、魚は0.9、水を0.5に調整すれば細菌だけ殺すことが出来る治療の理屈です。リンパ節が無くなったから復活させるのは難しい、それなら移植が必要だという考えも普通ですが、同じように膨れる水頭症や肺水腫など別の類似症例や治療法も同様に検討している医療機関が信頼できるでしょう。リューマチ、痛風、糖尿病の厄介さが連想されます。

今現在の医療レベルでも出来る最も有用なこと、リンパ浮腫と云うのは原因がリンパ節の不在ですが、実際、手術切除のせいではなく別の原因があったり、類似症状を勘違いしていたり、リンパ節が無くなっても軽度レベルなら軽減できますし、軽減できれば症状の改善も可能、まずは膨れている原因である患部への圧力負担を軽減、すなわち溜っている体液を効率よく患部から流すことが重要です。



Part2

さて、Part1にてお話ししたのは、ここを読まれるリンパ浮腫の基本をマスターしている前提で医学全体の浮腫系を見渡した簡単解説でした。しかし、端折ったために寧ろ上級者向けの記事だったかもしれません。今回のPart2は何も知らずに悪化させ浮腫となってしまった患者さんへ向けて基本医学に重点を置きながら書きます。

1、手術ミスの境界線(リンパ節を何個切除するとなるか)

まず最初に注目されるのは、昔からある「手術後にリンパ浮腫が起きる可能性が予測できるかどうか」です。例えば子宮がんの1911年に開発された術式である「広汎性子宮全摘術」以来、安全性を高めるため術式の改良が進み、現在ではリンパ節をどれぐらい切除したのかカウントしたデータの報告があります。国立がんセンターのデータを繰ってみますと、32個~34個までの切除の患者さんのデータを追うと、リンパ浮腫が発生していないことが見受けられました。もちろん、後に発生していても転院して他病院の治療下にあったり意識したデータを取っていない”漏れ”があるでしょう。他にも合併症など複合した他の病気がありますので、浮腫のみを追跡する為にはかなりのデータ量を分析する必要があり労力不足は否めません。

また、腰痛で整形外科にかかり、腰の手術をした場合、手術中に神経を傷つけ足だれ(下垂足・L5神経根症・腓骨神経障害)を起こすことが多くあります。理学療法士が一生懸命にフォローします。神経の走り方によって傷つけられるのかどうか分かれ医療ミスのようにも見えますが、整形外科の腰の手術の場合は、医療側もかなり神経をとがらせて手術に挑みます。

同じように考えると、どうやら子宮全摘出の場合、35個~40個以上のリンパ節をざっくり切除に加え、大き目に取ると同時に神経を傷つけますので、排尿障害、排便障害が起きる、この段階でリンパ浮腫の芽が大きくなり、医師の指示を守らないと悪化させる可能性が高まると思われます。または医師の指導が不十分かもしれませんし、この辺りが今後、医療ミスにつながるのかの指標・境界線になるでしょう。


2、骨折とリンパ浮腫が同時に起きている箇所の治療スタンス

リンパ浮腫は昔から手術をやれば体の仕組みとして大なり小なり起きるものですから、だいたい1か月ほどで2倍に膨れた部位でも治めることが出来ています。凡そ医療の治療法は確立されています。それゆえ大きな問題にはなってきませんでした。ところが逆に、容易だからこそ医療側の勉強不足が発生し指導が徹底されなくなったため、浮腫を悪化させる術後の患者さんが増え、こじらせてしまい、大量にたまった水を抜く「入院コース」が増えて問題化してきたのかと推測できます。

後にお話ししますが、象皮症のようなケースまで行った場合は、それ自体が有名ですから対処も判断もしやすい「確定診断」前にも治療を始めることができます。中途半端な重症化の場合、患者さんにメンテ(セルフリンパドレナージ)を任すことになり、我流での間違った作業で悪化してしまうこともあります。よくあるのは複数の病原があり、何を優先して治療するのか混乱してしまう場合に我流が起きやすいと注意です。

医療の中での優先順位は「日常生活が送れるか否か」が基準となります。これが国になっても同様で「日常生活の破壊」が成功すればテロ成功となってしまう。リンパ浮腫の部署で骨折などが起きますと、放置すれば生活が出来なくなる骨折を最優先に治療し、更に腫れる、浮腫が悪化する、これらは当然なので、骨折治療が完了してからリンパ浮腫がどのような状態になったか診断を再度行うことになり、その状態に合わせた治療を開始します。同じ個所に病原をもちこまないよう細心の配慮が大切です。優先順位の件は全てに通じることですから覚えておいて損はありません。


3、乳がん手術(乳房切除)にて浮腫にならない完全治療法の紹介

乳がんになり広範囲の乳房を切除し、その後、周辺ないし片方の腕が二倍以上に膨れ上がってしまうリンパ浮腫のケースが時々あります。後に触れるリンパドレナージというマッサージや弾性衣類、禁止事項などの指導にて早期であればあるほど完治が容易ですが、放置したりこじらせたりして大変になってしまうと後悔するしかなくなります。

今現在まだ広まってはおりませんが「太ももの幹細胞」を培養して胸に移植注入、乳房が復活し、そもそも自分の細胞ですから副作用もない安全な治療法があります。これは再生する際に細かな調整を体が行うためリンパ浮腫すら起きていないようです。ただ幹細胞治療が広まっていないのは小さな医療機関が出来ない細胞の培養、依頼していた大学の法人化で培養料が高くなったことなどが関わっているのかなと個人的に思ったりします。

実は私は「脊髄の幹細胞」を培養して注入する治療法の研究にも携わっておりました。これは神経の再生をもたらす治療ですが、10年以上車イスの麻痺患者さんでも手足の指が1日後には動かせるぐらいの回復を見せ驚愕、NHKでも特集されました。実例として患者さんと共に出演したのは北海道大学附属病院だったかと思いますが、それまでは神経は再生しないという医学常識がありましたので、再生医療の良いきっかけの一つになったと思います。私はノーベル賞博士を日本に30人も呼んだ稀有の坂本院長の思い出の品・万年筆を家宝にしています。無関係のような些細な研究から大きく発展することはままあります。欧米ではノーベル賞を受賞する候補学者へ(不世出だった学者へも)万年筆を贈る習慣があります。我が家の家宝となっています。

▼当時、国立名古屋大学附属病院・坂本院長より賜ったラピスラズリ18K無垢万年筆。




4、リンパ浮腫が難しいといわれる原因の「程度の差」

万年筆余談で頭をほぐされて、基本の話に戻ります。リンパ浮腫と云うのは手術が行われ始めた昔からあり、手術は麻酔が無かった時代(#1)なんかは大変、原因は削除してしまったリンパ節の大量不在です。しかし多くのリンパ節が存在する人間の肉体、少しぐらいなら医師の指導を守れば無問題です。他のリンパ節でフォローできないほどの不在だけが問題になります。発生している部位や症状の程度の差によって治療の仕方や方針が変わりますから、同じ「リンパ浮腫」といっても腕と脚では別物と考えた方が良いです。直径の差や大きなリンパ節が付近に有る無い、感受性リンパ節(センチネルリンパ節)を調べるリンパシンチグラフィで細かく調べましょうという方針が出てきた理由にもなっています。

さて医療側の立場をフォローしますが、多くは医師の指導を患者さんが無視してしまったり、聞いていたのを忘れ我流に走ってしまったり…というウッカリケースが多いのが現実で、これを無視してはいけません。ただし、これは後のPart3で述べる「二種」の場合です。「一種」では患者さんにとって不可抗力ですから責任はありません。混同しないようにしましょう。なお、時々指摘される医師の勉強不足については、がん手術する医師で後遺症の浮腫について勉強不足はありえません。もちろん、専門外の医師には不勉強と言っていいか分かりませんが詳しくないケースも散見できます。

浮腫の場合、さまざまな原因で起きます。見た目では同じような症状になり判断が難しいですが、治療を始めてもなかなか治らない場合は原因が別にあると考え、新たな原因追及がキモとなります。この原因追及ですが、あらゆる医学知識があってこそ正確に分析し特定できますから、数種類の病気のみを勉強しただけでは解明にはつながりにくいので、多角的にできるよう適切な医療機関へ早目に相談するのがベストです。


5、重症と軽症の差による禁忌治療と悪化の説明

普段、医学と接点のない方へ適切で詳細な説明をしましても、全て把握して理解できるかといいますと難しい時が多々あります。医療スタッフ間でも意思疎通がすれ違ったりしますから当たり前、そのような患者さんが重症化してしまった場合、医療関係者はしっかりと反省しなければなりません。

リンパ浮腫の最初は「軽いむくみ」から始まるのは皆さんもご存知と思います。この時点で何をするかが問題となります。一般の方なら痛みがあれば「冷やそう」、痛みが無ければ「温めよう、マッサージしよう」です。がん手術などで体の一部分を切除した場合、温めてはいけません。何回か医師や看護師が強調している筈。それでも浮腫みが発生したら、それを早目に手術した医師に伝え、再度指導をメモして対処をマスターすれば重症化する前に何とかなります。理屈は、温めると血管で流れ出して浮腫みがとれる分量より、流れてくるリンパ液やリンパ球の漏出の方が多くなる、と考えればいいです。

温めて(血流に頼って)細くなるのを待っていたら逆にどんどん浮腫みが広がっていき大きくなり、慌てて医療機関へ駆け込むというのが普通のパターンですから、これは繰り返し強調させてください。温めて治った方の意見を聞いて自分もやってみたら悪化したという場合、治った方は別の原因で腫れていただけかもしれず、この件が原因で仲間意識すら無くなってしまいます。

極端な話、捻挫の場合、3日間は冷やして炎症を早目におさえ、4日目から温めて内出血などを流しやすくする、という方法が基本です。疾病発生の理屈が違うので、同じような「腫れが引く」表現がそこかしこにありますが、くれぐれも注意してください。別物ですから。


6、蜂窩織炎だけじゃないウイルス炎症と細菌炎症の違いなど

浮腫悪化を加速させる要因の代表が炎症です。これを起こすか起こさないかで運命も変わってきます。過去、医療機関内ですら不適切なマッサージで炎症を起こすという事が多発し、不用意に触らない、強くマッサージをしないという配慮がされていました。その中で入院して水を抜く必要性が出るほど重症化したリンパ浮腫を検討分析し、専門として勉強をさせるジャンルとして最近になって表に出てきたわけです。

この「炎症」の中でも困った状況が蜂窩織炎(ほうかしきえん)です。ハチが刺したほど痛いという症状で、普段は湿布で済ます強靭な方でも病院へ駆け込むほどです。虫刺されだけではなく、不潔化させた皮膚から細菌が入って組織に広く炎症を起こさせます。リンパ浮腫によって膨張した部分には、象皮症でイメージできるように変質した感じとなり、細菌などがついても普段の防御機能が壊れていますので炎症を招きます。リンパ浮腫側の皮膚は特に清潔を心掛ける必要があるのはこのためです。

ところで、細菌で起きる炎症を調べていたら細菌が見当たらなかった…というケースで、細菌よりも小さい「ウイルス類」が見つかり、ウイルス型の炎症とされました。浮腫としては細菌で起きていないものもあるので、一概に不潔で起きたとは断定しないことが望ましいです。

いずれにしても、蜂窩織炎を例に出しましたが、治療の優先順位は「蜂窩織炎を治療する抗生物質投与」からです。治癒してからリンパ浮腫の治療へ戻ります。私は恥ずかしながら1998年病院の中間管理職になったころ釣りをしていて蜂窩織炎になってしまい、同僚たちから笑われたものです。ここを書いていて、帯状疱疹との区別の仕方を議論したなぁと思い出しました。


7、医療の優先順位とリンパ浮腫の治癒率の圧倒性(正確診断)

リンパ浮腫を調べていますと、合併症を起こされている方々が散見できます。興味深いのは他の治療をしていたらリンパ浮腫が治ったというもの。

先に書きました「4」項、なかなか治らないなら原因追及を…の内容を思い出してください。リンパ節というのは体の防御作用の為に存在しているわけですから、リンパ節が腫れている場合、リンパ節そのもの、リンパ節の傍にある疾病、何が影響を及ぼしているのか徹底的に調べなければなりません。そして、正確に原因が突き止めることが出来れば、治療の可能性はぐんと高まります。日常生活を破壊する原因となる疾病がより優先順位の高い処置となり、それを治療していたら偶然に直ることがあるという点に興味深さを感じます。

人間の体には、そもそも標準に調整しようという作用があり、コレストロールの大量摂取ですら血中にてオーバーにならないよう調整されます。WHOにてコレストロール摂取の上限が取っ払われたのは記憶に新しい出来事です。

このような事からお分かりになると思いますが、重症化していなければ2倍の手足なら1か月ほどで同じ太さに軽減でき、その後は現状維持のために半年に一回の検診、ドレナージ、弾性ストッキングなどの調整で治るのが圧倒的に多いと思われます。そうでない場合、生活の中で何か間違いを犯して禁止事項を行っている、別の原因がまだあるかもしれない、悩んだら自分の知識内で「これだ」と決めつけず幅広い知識を有する専門家と相談してください。急がば回れ。我流は禁物です。

出来れば主治医と仲良くなってください。近所にあることも理想です。医療従事者からみますと、患者さんが勉強されているのは感心しますが、行き過ぎてしまって医療側の説明を疑ったりしてしまうと仲良くはなれません。つまり厄介な患者さんとして見られてしまい勝ちですし、専門教育を受けた人に付け刃の勉強では太刀打ちできるものではありません。直ぐに見抜かれてしまいます。餅は餅屋。皆さんも得意分野や専門分野を持っておられるはずです。同じことですね。


8、ガンの理屈、良性・悪性・発生原理、血液検査の解説

ここまで来ておきながら、「がん」そのものを簡単解説したいと思います。がんというのは自分の細胞が集まって毒素を撒き散らすという面倒くさい性質を持つものです。日本の統計上で死亡率一位になってから、一位を他に譲ったことがありません。

例えば体のどこか怪我をすると大元の細胞が胃の壁になったり筋肉になったりしますが、これを分化といいます。何故分化するのかは遺伝子により接触する相手(組織など)で変わってくるように設計されています。両生類オタマジャクシの手足の生え方の実験など学校の理科でも触れますが、爬虫類のトカゲではどうか、3分の2を切除したら再生しないヒレとか、色々とあります。この分化の途中でおかしくなってしまって集合して毒素を…が、がんとなります。この自分の細胞という点で色々と調べますと、がん細胞は機能がおかしくなっていますので、子供の頃にしか出さない物質を出してしまったりと別の面があります。大人になってからは作り出すことが少ない物質、がん細胞が増えれば増える程、そういう物質が増えます。たとえばαフェトプロテインやCEAなどがあります。

大腸がんの細胞たちが子供の頃を思い出すのはCEA。このCEAが血液検査で30倍とか50倍になっていると直腸診の結果を踏まえて細胞診に進んで確定診断とします。がんは悪性腫瘍と呼ばれます。成人病検診、人間ドックでは、CEAなどの項目を腫瘍マーカーと呼んで選べるようにしている医療機関が多いです。人間ドックをしていると、よく耳にするポリープのように時々菱形になった肉の塊などが超音波診断装置やCT等で発見できます。細胞が集まって腫瘍状態を作っていますが、毒素を撒き散らしていません。これを良性腫瘍と云います。今は良くても悪性になる可能性も否定できませんから、切った方が良いか現状維持にするか、経過観察するかは次回の検診時に大きくなっているかどうかなど基本的に検診機関に任されています。

検診機関では、血液検査の異常値をデータから独自に設定していることがあり、A病院では「正常」でもB病院では「要注意」ということがあります。こういう細かな点は知られていないと思いますが、わりと相談を受けたことがありました。高額な人間ドックの医療機関が良い所ということではなく、スタッフ数が多かったり、自前の検査室を持っていて安いのか、外注の検査会社を通じているから高い、脳ドックを取り入れて宿泊させるから…等々の程度の差であります。どこで受診されましても、多くの項目をやっておく方が安心ということは確実です。

尚、正常値ばかりだった方が3か月後にがらりと悪化したことがありました。限界まで正常を保とうという体の機能は凄いという思いと、3か月で急変するのなら満足な早期発見を心掛けると3か月単位で人間ドックを受けなければならないという思いとが交錯しました。健康保険組合の補填出費の問題はどうするのか、も出てきます。今の医学の限界ってどの辺か何が問題なのかを知るのも勉強の内と思います。

幸い、早期発見であれば多くの「がん」が治療可能となった現代、治療後に5年の経過観察はありますが、50年前には考えられなかったレベルでしょう。


9、自分の体内で起きる類似例:根源は同じ

治療を専門にしている人にとって一番厄介と思えるのはAを治そうとするとBが悪くなり、Bを治そうとするとCが悪くなるという連鎖を含んだ合併症でしょう。手が出せなくなってしまい天を仰ぎます。

私が以前所属していた病院の上階に糖尿病に関係する財団が入っており、当然ながら合併症さえ出さなければ大丈夫という事で血糖値を下げるインシュリン投与を行います。人間の体内ではランゲルハンス島グルカゴン、副交感神経のインシュリンとダブルで血糖値を下げる機能が有名ですね。同時に扱っていたのがリウマチと痛風。そう膠原病と呼ばれる疾病。この病気は抗原抗体反応を自分の体内で行ってしまう機能異常を起こしてしまい風が触れると痛いというほど発作も半端ではありません。自分で自分を攻撃するわけですから治療も複雑で難しく、世界各国の医師らが治療法確立に頭を悩ましております。ちなみにバニラアイスを食べると尿酸値(痛風)が高まりますので、健康診断の直前には食べないことがコツ。

リンパ腫が重症化しこじれる人の場合、ひょっとしたら膠原病の予備軍だったりするかもしれません。事例はあっても厚生労働省が公開しなければ保留。私は個人的に興味深くデータを追っていきたいと思います。

これらの疾病をあげたのは、体の内部で起こるシステムが微妙に成り立っている事実と、微妙とはいっても安定させるために自己的な防御機能が充実していることを出したかったからです。リンパ浮腫について、同じ手術を受けて(同じ執刀医とか)発症する人と発症しない人が出現するのにどんな違いがあるのか、それに注目するのが今後とも理解を深めるコツでしょう。


Part3

Part2では医療機関の裏側も意識して簡単に説明したつもりですが、知らない単語が出てきた場合は語句検索してお調べいただけると幸いです。ここからのPart3は普通に知られていることですから簡潔な短い解説となります。わずか3回のコラムでしたが、他の資料を読まれる際には過不足がご自分の知識でつなぎ合わせれて、今までより未知なる領域が減り、続発性リンパ腫に対する総合的な理解が深まると期待しています。


10、弾性ストッキングと弾性包帯などの治療法の理屈

腕や足が膨れたからとりあえず押さえようとスタートしたのが最初です。弾性の強弱の加減で治ったりするので最適化が大変だった模様です。弾性衣類を着て圧迫しながら運動したら、他リンパ節が頑張りはじめることもあり、問題だった箇所が治るときも多く実績が最も多い療法です。現在のリンパ浮腫治療関係はこれが無難として主流となり採用されています。それで1か月で左右の径が同じぐらいに軽減され、現状維持の療法にシフト。治療実績から見ますと、これにもれた「再発繰り返し」「重症化」の患者さん以外は、治癒完了として問題ないと言えます。


11、リンパドレナージの効果あれこれ

「痩せるために」という意外な効果で世間には広まったらしい施術。元々は溜った体液、リンパ液を上手く流そうというマッサージ。弾性衣類と同様に保険適用があります。マッサージをする部位が適切ではなく強すぎると、治すどころか炎症を起こしてしまって悪化、そんな時代も長く続いていたようです(但し悪化するまで放置していたケースが背景に多い)。現在はセルフドレナージとして患者さん本人に適度にやってもらい、医療機関では標準治療からは省くケースも出現しています。希望があれば自由診療で行ったりしますが、医療機関でするよりも、専門の看板を出している治療院などでゆっくりこなすのが時間も自由にとれて良い模様。保険適用が広くなると医療機関の理学療法室の対応が患者さん過多により運営困難になると予想されます。


12、リンパ浮腫は昔から手術で○○すると起きてる裏話

食べ物が腐ってしまった⇒悪い部分なら多めに切除しましょう…という考えも一理ありますよね。昔から多めに切って捨てることが無難とされてきました。それが逆に影響したのがリンパ節システムを知らない頃(現代ですら)。実際、リンパ節って何?と聞いても答えられる人は少ないです。悲しむべき教育の問題が大きいと思われます。タイトルの「○○」には「切除」を入れるイメージで書きました。近年に発見された新疾病、しかも治療困難というイメージで独り歩きしていた記事も多くあり、リンパ浮腫ってそもそも何年前からあったと思われているのか心配になりますから、あえて昔からあると強調いたしました。ここまで読まれていれば理屈からお分かりの通り別に特殊なものではありません。


13、リンパ節を持たない生物

Part1で触れたリンパ節を持っていない魚類でお話ししましょう。魚類にもヘルペス、浮腫、水腫、ウイルス性疾患、細菌性疾患、ガス病、ビブリオ症(人の腸炎ビブリオ類亜種)など書ききれないほど非常に多く、多岐に渡る疾病があります。人間の食料として養殖され、養殖池が全滅するような猛威を振るったコイヘルペスなどは全国報道されます。飼育池、海の養殖いかだ、水族館など、そういえばマグロが全滅した葛西臨海水族園のニュースが目新しいですね。葛西ではマグロから新種のウイルスが発見されていました。再度スマという魚も大量死し始めていたようです。さて、リンパ節がないのに治療しようとワクチン発明あり、浸透圧調整で選択的殺菌あり、科学はジャンルを超えて応用が効きますので人間の知恵と工夫とエネルギーは大したものです。魚類にも自己防衛機能があり、軽い症状なら自然治癒しますが、ざっくり申し上げますと自然界において疾病になったら敗血症で死亡するか呼吸困難で死亡するかです。生き残ることは滅多にありません。それなら治療できないかというと先に書いたように原因を特定すれば治療が出来てしまうんですね。


14、静脈吻合術の限界点から考える壁(再度閉鎖し再発)

リンパ管静脈吻合術。いろいろとリンパ浮腫の治療を試みても、なかなか治癒しない患者さんに対して行う「不在のリンパ節達の代わりにリンパ液などを流させる」物理的な治療法です。術式をイメージしてもらうなら胃カメラのような細いカメラ付きワイヤーで顕微鏡で操作。手術痕も大きくなく体の負担が少なく短期入院で済ませれる手術です。長い目で治療するよりも即効性がありますから、人によっては選択するのもお勧めです。存在している細いリンパ管を静脈に吻合するわけですが、細かい技術が必要で、どんな医師でも出来るかというと手先が器用でなければなりませんから難しいですし、実施可能な医療機関も多くなく、更にせっかくつなげた管が細いので再度詰まってしまって予備でつないだ複数の管まで閉塞してしまいリンパ浮腫も再発症、そんな感じでまだ信頼100%とはいきません。理屈では出来るが実際には困難という事で、いまひとつ普及していないのも解る処です。ところが、顕微鏡を使って吻合する神経系手術なんて普通に行われていますし、交通事故などでちぎれた腕を再度つなげる自家移植は簡単とまで周知されている昨今、出来る外科医の方が多いかもしれません。私は解剖を始め手先が器用と評判でしたが湾岸戦争の頃から手が震えるようになってしまいました(事実)。いずれにせよ厚生労働省の判断待ちといえるかと思われます。


15、まずはイロハのイを専門勉強する必要性と困難性

広汎性子宮全摘術はARHと略して話されますが、こういった専門用語を覚えるのは積極的な患者さんが多くいらっしゃいます。反面、理屈や基本をスルーしてしまう方が多いのも驚きです。専門用語よりも理屈を勉強しましょう。もちろん両方覚えて深く理解することが理想ですが、専門の話をかみ砕いて教える人が少なく残念に思っています。私は大学で教鞭をとりましたが(1講座120人)、より簡単に分かりやすくすることに腐心していました。専門のページをコピペするのは誰もが出来ますが自分の言葉で簡単に説明するのは難しい。医学の勉強を始めると延々に勉強は続きます。命に係わることもある医学、偏った知識になるのが一番怖いことと肝に銘じてください。


16、「一種リンパ浮腫」の予防行動の危険性と回避の考察

持って生まれたリンパ節やリンパ管の不具合によって浮腫が重症化したりする、これを「一種」といいます。両手両足の大きくなった象皮症の方が写真などで見つけれると思いますが、先天性とはいえ刺激を与えて炎症化させなければ発症まで行かないこともあり、逆に軽度の内に知らずにマッサージなどで予兆が出ても気づかずに悪化してから分かる残念なケースがあります。患者さんにとっては注意しようがないと思われるため責任もなく責めることはできません。発症してから通常の治療で回復させることが出来るようです。


17、「二種リンパ浮腫」の部位差による保険点数の将来見込み

がんなどの手術が必要になって患部切除の後、リンパ節不在で起きてしまう浮腫を「二種」といいます。同じように手術をやっても前もって注意事項を徹底すれば連発性に発症ならず、発症し始めても初期の頃に手術を行った医療機関に相談すれば全く問題ありません。この「二種」の浮腫は放置の度合いによって対処が変わるといえるだけに、知識の啓発がメインになるものだと思われます。なお乳がんの場合は乳房切除でどうしても起きやすいので、腕の浮腫については保険点数も指定しやすかったと思われます。問題は足(脚)。似た浮腫もあって混乱しますので、なかなか治癒しないと感じられたら別に原因があると、別視点を持つことも大切です。傾向と対策がしっかりなされれば、保険がきくようになるでしょう。


18、暖かくして血行をよくする手は間違いといわれているが…

「5」項で書いたリンパ浮腫の場合は温めてはいけないという注意喚起ですが、稀に早期の方では治ったりします。別の原因で浮腫むことがありますし、そっちの原因が温度で治ったら浮腫も治ったという理屈かもしれません。稀であろうがなかろうが温めたからと言って続発性リンパ浮腫が必ず発症するとは断言できません。ここが難しい。人間の体は様々な要因でバランスがとられ治癒する能力も高いです。発症へのブレーキ作用はストレスが無いことが一番というのは私も仲間同士で言い合いました。



(#1)手術、麻酔が無かった時代(この文は1998年に私が書いた公開文です。)

大航海時代、今のように数ある常備薬を持って腹痛だから薬を飲もうってわけにはいきませんでした。薬はまだしも、手術が必要な事故とかは困ったことですね。麻酔が無かったころって、手術って凄かったんでしょうねぇ。書物によると、病人を縛り付けたり、押さえつけたり、中には痛さのあまり錯乱する病人も多々いたようです。華岡青洲という日本の医者は、山や野原で薬草を採って調合していたようですが、失敗ばかりだったそうです。もう止めようと思っていたころ、マンダラゲという植物を食べると動物が気を失ったり、中毒を起こしたりすることに気がつきました。こ、これだっっ!!これを調合したのがまふつ散という麻酔薬で、人間で手術を成功させたのが1805年とのことだそうです。アメリカのモートンの発見のエーテル麻酔は1844年、イギリスのシンプソンのクロロホルム麻酔は1847年だということです。なんと、世界初の快挙!!


終わりに

DeNAサイトの閉鎖にあるように誤解情報が蔓延る昨今ですが、解説を正確に満遍なくしようとしますと論文化してしまいますので、それでは一般の方へは読まれにくくなります。短くPart1を書いた時点では、訪問者さんの知識が充実するまで医療相談のコーナーでも設けて質疑応答などをしようと考えておりましたが、そのコーナーがメインになってしまうのでは?と方針変換。そこでPart2以降で基準となる基礎知識を充填するということにしました。解説を書いた私は、さまざまな相談を無料で過去はやっておりましたが、現在はネットでは相談を行っておりません。有料でも相談自体を行っておりません。ご了承くださいませ。



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