貧酸素状態を作り出す失敗な公共?工事(浚渫しゅんせつ窪地+干潟)

実は調査のキッカケはネス湖だった
浅さが必要な干潟

釣り人は「釣れる」に注目しますが、釣れるには魚が集まること、どうすれば魚が集まるのか、
漁礁をぶち込むだけでいいのか?海の生態系を見る上で基本の干潟&窪地の話をしたいと思います。
もっとも、TV番組などで干潟が重要とか耳にするケースが多いと思いますが、
干潟だけなのか?という問いに、サクっと回答できるように簡単に理解をしてみましょう。

バクテリアの浄化作用で河川の水を綺麗にする活動が多く行われていますが、
総合的に結びつきを把握してこそ、最高の効果を出せる方法が見つかるってものです。

いや、実は、今回のテーマは昔、ネス湖が急深だと云う事と湖水循環が2.8年という謎、
ネス湖は細長い氷河跡に水がたまった純淡水湖で200mと深いくせに、
どんな力が働いてネス湖の水を押し出して循環させているのか、深かったら淀むはずでしょう?と、
まったく別件から調べたことがキッカケとなっています。ははは、気にしないでください。

ネス湖は壁のエリアが多く、湖周辺を走る道路ですら車をとめてネス湖へ降りて遊べないほど、
典型的な形状をしています。

(▲遠浅である干潟とはかけ離れた急深な水域の例です。)

←怪物が潜んでいる区域は水深50~200メートルらしいが。

サカナの行動学を読まれる前であるならば、深い湖の神秘的な未知のエリアである湖底には、
深海魚以上の怪物・怪魚が人間の文明社会をものともせずに潜んでいるとイメージされ、
いつかは明らかにされる冒険エリアと考えられていたでしょう。

(▲典型例は白樺湖で夏8mで酸素0。巨大生物どころか魚すら棲めない躍層の話で既出)

ネス湖を早く潜水艦や潜航艇にて、白日の下に晒して欲しいと願ってた方も多いはず。
しかし、湖は対流が海よりも比較にならない程ず~っと力が弱く、底まで新鮮な水が行くのは至難、
多くの湖では湖底はイコール死の世界になっている現実に、ショックを受けられたかもしれません。

ネッシーファンは考えたはず。ネス湖もご多分に漏れず、考えてしまうのはネッシーが居るとされた底も
死の世界であり、湖と海を繋いでいる穴があったとしても、生物の”より棲みやすいエリアへの移動”から、
可能性を殆ど失ってしまったと感じられてしまう現実をどう受け止めればいいのか、
いやいや、厳しいながらも可能性が冷水湖であるということ、平均温度が7℃なのだし、
対流が促進される4℃の水塊例と紙一重の温度じゃないかと、まだ可能性があると、
いや、細い可能性にかけるしかない気持ちになられたのは心中お察しします。

(▲4℃の水温で対流する躍層の話で既出)

そこで、冒頭のネス湖紹介の情報を思い出していただきましょう。
湖水還流が2.8年の期間で入れ替わるというくだんです。最後の伝家の宝刀がコレです。

私がネス湖を調べた際に、深くても対流が無いものだろうかと思っていましたが、
2.8年の還流であれば、底まで水の動きがあると、問題はクリアー出来そうな気がしています。
確かに透明度が無いおかげで植物性プランクトンの存在が少なくなるので、
それを食べる動物性プランクトンも少なく、生物相は貧弱に考えざるを得ませんが、
あくまでもこれは机上の理論。現場をくまなく調べれば、想定外の”何か”が見つかっても好いです。

(▲海や湖の生態系を全てカバーするのは高知大への出張・プランクトンの話で既出)

さて、そんなネス湖ですが、”深い”ということから、水系に存在する学術を紹介します。
タイトルの浚渫窪地干潟浅瀬のことです。これも、多少存在否定でショックかもしれませんが、
リアルの科学を知った上で考察する、未確認動物ハンターの理想ですから頑張りましょう。

・・・うーむ、海釣り雑誌(誌面)で淡水湖の話と共に未確認動物ネタをやってしまうとは、
我ながら、危険なタイトロープを渡っていますね。終了の鐘の音が聞こえてきそうです。
湖だろうが海でしょうが、干潟としゅんせつは同じですからね。気を取り直して、話を進めましょう。

風呂場の水が、浴槽の半分の場合と満タンの場合、どちらが掻き混ぜるのに大変でしょうか?

いや、簡単すぎてスミマセン。どうやって解り易い例を出そうか悩んで悩みまくり、風呂に至りまして。
想像のとおり、水が浅い時より満タンの場合が力が必要で、つまりエネルギーが必要です。

そして、浅場と云うものは水が動きやすいため酸素が全体に行き渡り、小動物の憩いの場になります。
そう、皆さんがよく知っている干潟というエリアです。海でも湖でも浅瀬は重要な存在です。
もちろん綺麗な水の場所になりますから好ましく、人間にとっても多くの憩いの場になります。

さて、そんな場所の周辺でも人が多く住んだり、流入河川の上流で工事を行って細かい泥が流入、
多少、湖・海底にヘドロがたまった場所が出来たとします。

当然、世間の意見としては「ヘドロの除去」ですよね。

その時のイメージを図で描いてみました。左に浅瀬である干潟が少しあり、月の満ち干きで酸素がOK。
右側には均一にヘドロが堆積してしまいました。そのヘドロを取り除きます

ヘドロは砂と一緒に湖底をさらい除去しますから、深い穴が出来、それを浚渫窪地と呼びます。



(▲小さな堀ではなく非情に大きい穴の事、巨大な機械が港内で動く様子をイメージ)

浚渫窪地

desarenar: 砂を取り除く、浚渫(しゅんせつ)する
desareno: 砂を取り除くこと、浚渫(しゅんせつ)

ところが、ヘドロを除いたはずだったのに、根本の原因(生活廃水・栄養の流入など)は解決してない、
従って、またもやヘドロが復活し、見事に堆積していきます。浚渫は無駄だったどころか、逆の効果。
しかも、窪地を作ったが為、水がより淀んで周辺水域までも貧酸素状態へ向かってしまうケースが多々。

これは困りました。特に漁業権を持っている漁業組合があれば、徹底的に調べ保証金の交渉が勃発、
まさに踏んだり蹴ったりとは、この事を言うのだと思っても後の祭です。

そこで考え出されたのが、先のイラストで干潟(小)を大きくして酸素の供給量を増し、
生物の浄化作用を利用、食物連鎖で解決しようという作戦でした。

2番目イラスト↓の干潟増大工事がそれです。



結果、作戦は成功し、なんとか以前の状態に戻りまして、ほっと一息でした。
そして、根本の原因だった生活廃水のチェックや流入河川の上流エリアの工事チェックを設定。

この浚渫窪地と干潟の関係、実は「とにかく深くして水を淀ませるな」が合言葉でした。
まぁ深くても潮流がシッカリとぶつかるのであれば、浅瀬がなくても充分OKですが、
一般論的に浅瀬が必要です。それゆえ、干潟の大切さが叫ばれ、復活作戦が盛んです。

しかし、一端壊した自然を復活されるのに干潟を拡大させるというのは大変な資金が必要です。
そう、事業のための事業が繰り広げられるのです。

そうそう、干潟といっても「生成途中の干潟」と「元々の干潟」は別物で、見た目は同じようなもの。
空撮写真などで、知人が「まだまだ干潟が残ってるね」と喜んでも、干潟が残ってるのではなく、
生成途中の干潟だったりします。ここまで細かく解説しはじめると限がなくなりそうですね。

話は変わって、ウミガメが産卵に上がれなくなった砂浜が多くなってきましたが、それは海岸侵食といいます。
砂浜自体が後退しているのです。少し、それに触れておきたいと思います。

ダムによる海岸侵食

かなりの飛んだ長文で読みづらかったかもしれませんが、すみません。ダムの例もあります。
人工の巨大湖を作るダムは裾野は広く、中流にダムはあっても河口・海の砂浜が
引きづられて少なくなったというのも、確実にダムの影響です。

現在、その侵食砂浜を守ろうとする為、消波ブロックの投入や他の場所から砂を引いてくるという、
巨大なパイプラインの設置など、多くの対策研究が進んでいます。
ダムを無くす事は、経済や国家プロジェクト変更で難しく、結果、現地方面でのブロック投入や
砂を引くパイプラインでの新しい事業が発生する…。まさに浚渫窪地と干潟の関係とソックリです。

しかし、ネス湖の急深の湖では水は淀むはずです。しかも、他の湖よりも淀みやすいはず。
風呂浴槽の水の量と同じく、あの湖水を押し出している大きなエネルギーはどこから、
ハイパワーの流入河川があるのか、2.8年で還流する理由は一体何でしょう。

(知らんって)  ←磯投げ読者の心。

ネス湖の陸水としての構造を考え、更に神秘的なネッシーが棲んでいるかもしれないなんて、
地球は未だまだ謎に満ちていると断言しても構わないという私の心が叫んでいます。

さてと、まともな海の話へ参りましょう。

温暖化防止作戦

海底へ二酸化炭素を捨てる方法(TV番組では地下方法が人気だけど)。
圧力が水の性質を変えることは前号の深海編でクドく説明しましたが、
この圧力による水質変化を利用した二酸化炭素の破棄が深海で有効に出来そうです。

二酸化炭素の増加は温暖化を加速させ、試算を上回る進行ぶりで危機感が高まっています。
そもそも、かなり酷い状態に進行してこそ「対策を練ろう」となるのが普通の資本主義ですから、
京都議定書が締結された時点ですら、深刻度は相当なものになっていたはずです。

京都議定書(Kyoto Protocol)は、先進国を始めとして参加している地球温暖化防止会議が
1997年12月11日に国立京都国際会館で開かれ議決した議定書のことです。
正式名よりも、地球温暖化防止のイメージで広く知られていますが、
調査研究が中心だったアメリカが商業・大企業の圧力の絡みか渋ったのが特に有名。

二酸化炭素の深刻さは余り表に出てきませんが、営利企業が「なんとかしなきゃ」と思うほど、
実際は地球規模で致命的に悪影響が始まって、進んでいると聞きます。
その元凶である二酸化炭素を大量に捨ててしまおうという作戦が紹介する2企画です。

最初に多くの人が発想したらしい”宇宙への投棄”は簡単そうでしたが、
実際に実現方法を検討し始めた時点でコストや地球へ戻ってくるかもしれないなどの
多くの不確実性で却下された模様です。

へぇ、そうなんだと思うのが殆どの方でしょうが、私も他に洩れず同様でした。

そんな中で、確実に出来そうな地下破棄方法が企画され、TV番組ではこれが主流のようです。
一方、私が関わることが時々ある水産系学者連によると、深海破棄バージョンが良さそうという。

深海へ捨てるとしても、二酸化炭素なら浮いてくるのじゃないでしょうか?と一般的には思われそう、
しかし、ここまで読み進まれた読者さんなら「水の想像を絶する圧力ゆえ浮いてこないはず」と。
そうなのです。CO2は固形的な状態で海底に沈みながら固まったまま維持できるのです。

地下へ捨てる方法 深海・海底へ廃棄する方法 宇宙へ捨てる方法
CO2廃棄
費用対効果

TV番組の製作会社は(NHKを除き)未だ詳しく海底方法は知らないのかもしれません。
NHKを誉めるわけではありませんが、各学会の論文発表をチェックしているのは1番手みたい。

分かり難い論文・学会⇒メディア側の編集・校正⇒分かりやすく放送・一般へ発表流布

この流れの中で、メディア側の編集時点で論文の内容が変わってしまうこともありますが、
それは現代の宿命として置いておきまして、何はともあれ、深海へのCO2遺棄が成功するかどうか、
遺棄によって我々が気づかない現象・悪影響が起きてしまうかもしれませんが、
今のレベルでは、こんな計画が進行中であると知っておかれると解り易いかと思います。

それにしましても、色々な科学が関わってきますよね。
私なんかは首長竜が生き残っていると好いなという希望から、ここまで広がって科学するとは。

しかし、「沢山あって覚えきれない」というのは逆で、簡単に覚えれる程度の科学であったならば、
光化学スモッグや温暖化問題だけではなく、政府(国家)の赤字もコントロールできるはずです。
他生物を絶滅に追いやったり、マグロやヨーロッパウナギの制限も解決できますからね。

現代科学は全体が見れなくなるほど広く細分化されています。
細部しか見えてないと科学的間違いをしていてさえも、正しいと思って突き進んでしまったりします。
難しいものほどマスターすれば目が開くと思いますが、非常にマスターしにくい情報過剰状態が現代。
何が大切な情報なのか、選択するだけで大変です。

これらは政府や文部科学省が進めている教育改革に期待し、
我々はそれぞれ個人で出来るだけ、与えられたフィールド上で精一杯頑張るしかないのでしょうね。
うむむ、精神論はここまでにしましょう。

環境を総合的に見るとボヤけるので注意

海の魚を調査するといっても、余りにも取り扱う科学が広いので数点に集中してみるのがベター。
なんだか今回は自然環境保護の記事を書いている錯覚に陥りましたが、
私はそんなに環境に対して過激に煩くありませんので、気にしないで下さいね。
さぁ気分転換にいつものネタ”今月の一手”へ参りましょう。

次回は、バショウカジキの15cmほどをルアーでかけた友人の羨ましい釣果や、
成熟:肉(身)の色で餌の好みを判別?体色は底石など明暗の影響以外にもあるが、
身肉はエサの好みなどで変化している、そして、魚の肉は植物に似ていたりする話です。濃いよ。



今月の一手:偏光グラスを用意しよう。

(▲海では見ることの少ない変更グラスをしている人。家族連れは未だしも一般釣り師まで。意外だ。)

スキー用の偏光グラスは高額ですが、釣り用のものは安い!!!これは真面目な話です。
私は5個ほど持っていますが、写真はその中の一番のお気に入りでクイッって目の部分を上げたりで、
非情に使い勝手も考えて作られてあります。渓流に比べ海で利用しない手はない。かなりのメリットがあります。

 ←愛用のひとつ

私も渓流釣りをする前は(防波堤や磯でも地磯でしたので)いまいち必要性を感じず購入していませんでした。
必須となったのは渓流へ行くようにしてからでしたが、本当によく隠れた魚が見えますし、
岩の足乗せも慎重、今では海でも池でも渓流でも手放せません。貴方・貴女も是非お試しください。



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