行動を律するもの~走性その3
「生態系で一番大切なものとは?」ファースト・ウェーブ

雑談スタート

「パパ、お魚さん釣れないね。」微笑ましい家族やカップルのファミリーフィッシング。
しかし、釣果は少ないし、彼氏&お父さんは世話を焼かないといけないし、
上級者は自分の釣りが出来ないのでツライ作業かもしれませんね。

余りにも釣れない時は「釣りは本格的にしないとダメなんだよ」という
彼女や相手方への言い訳も釣行数を重ねて行けばヤバイです。
本格的な釣り人が大物を上げているのを子供に見られ
「ねぇパパ、ボクたちもあんなの釣りたいよぉ」などとおねだりをされたり、
最悪「パパ下手」などと言われた日にはブルーもアクセルを踏むまま加速です。

「や~めた」とならない為にも、いや、ファミリーフィッシングの状況でさえ
中堅レベルに這い上がる為にも、勉強しなければなりません。
上手そうな釣り人に声をかけるのも吉、釣り本を何回も読破して勉強・マスターするのも良し。
それにしても勉強…、ああ、つらい印象を持つこの単語。

しかし現代社会においては、勉強をしなければ生きていけませんよね。
資格を取ったりする職業しかり。TV番組や映画をボーっと観賞していて、
受身のみで覚える簡単な知識で生きていけたらと思いつつ、
こんな感覚を持っているのは人間だけだろうなぁと思います。

他の生き物達は、生きるために一生懸命に学習し、凄い適応をしていて、
我々は恥かしくなるほど、その世界を覗きますと感動を禁じ得ません。
勉強と学習の意味は若干違いますが、ここでは突っ込まないでください。

そういえば、名古屋港水族館が”南極オキアミ”の養殖に成功
これは世界初の快挙だそうです。

世界最大の動物、25m150トン以上のシロナガスクジラが棲む海。生命に満ち溢れています。
その生命を支えているエサがオキアミ。今回の記事とも絡んでいます。
両極から赤道まで温度差おかまいなしで幅広く住んでいるのが特に重要なポイント。約85種類。

 ←筆者の手とオキアミ・フリーズドライ。

冷凍乾燥製品、フリーズドライはカップラーメンの具などに利用されている製法です。
一見するとエビに見えますが、巨大プランクトンです。
これがいることで、湖などとは比較にならない豊富な生態系を海は持ちます。
特に名古屋港水族館の成功した南極オキアミは6cmにもなります。

これ、海釣りをする人なら誰でも知ってると思っていたのですが、
過去、何回も「初めて知った」と言われ、念の為に紹介してみました。

それにしても水族館、大きな南極オキアミを養殖するといっても、沢山いるものに金を掛けるとは…
いや、待った、これは名古屋港水族館の差別化作戦かもしれない。
以前、中国ウイグル地区にあるハナス湖で20mを超える魚影目撃があった情報から
現地まで飛んでいったユニークな人材(実は名古屋港水族館・館長)が揃っていることだし(失礼)。

まさかジンベイザメどころじゃなくシロナガスを展示しようとしているのかも。それが裏の目的!?
……軽く脳をホグしていただいたところで、原稿を進めましょう。

国立高知大学の海洋研究所~まず調べるべきは”根源”となるアレ

走性を調べるキッカケになったのは、産卵すると100%死亡するサケ目サケ科タイヘイヨウサケ属、
それを利用した致死遺伝子研究でした。

単語解説:タイヘイヨウサケ属は一般のサケ属で、西洋のタイセイヨウサケ属と大きく分けられています。
海にいる=サーモン、淡水にいる=トラウトの分け方を真似たため、後に混乱する元になったのは有名でしょうか。
大学では医学部第三内科系に属します。旧帝大では医学部老年科(リウマチ、通風、糖尿病)。
サクラマス、サツキマス、ビワマス、シロザケ、ヘニザケ、カラフトマスの産卵死亡グループを利用する研究

応用研究をするため、最初は既存の論文や実験データを後追いで調べていきます。
この作業は中々大変で、応用研究だけをやればいいと思う方も多いと思いますが、
前提・基本にする既存の論文などが捏造であったりすれば大変ですから、
テーマの決まっている企業の研究者を除いて、確認の実験は”応用”の為には必須です。

そもそも、論文を書いた研究者が”二重盲検法”というやり方で
対照区と実験区に分けて確認するのですから、マジメに後追いすると実験は簡単でも非常に面倒。

でも、世界中の研究者はコレを基本姿勢としていて、先人の残した後追い実験をします。
それが偉大な研究であっても確認してこそ応用があります。
中には確認するだけでもスーパー大変なものもあって、例えば相対性理論&特殊相対性理論とか。
しかし、後追いが難しいので、いまだに「相対性理論は間違ってる」という説を唱える学者がいますが、
その学者がイマイチ不勉強ということが殆どのようです。

後追いしにくい別の例では、その教授が権威であるものとかがあげられます。
やっと追いついた他の学者が実験したら、大元データが捏造だったことは度々起きています。
マスコミ報道はされてなくとも、非常に多くの研究データに捏造の跡があって、
それを専門にするチェック大好き学者までが誕生する始末、学会などでも絶対じゃないんですね。

さて、私はサケ属を使った医学的な応用研究をする前段階として、
サケは川と海を行き来するので、その環境の違いから調べなくてはなりませんでした。
察してくれる方もいるでしょうが、あまりにも広いジャンルになってしまいます。
産卵する渓流だけじゃなく、海まで、そして砂浜と山林の関わり、湖沼なども調べました。

いやぁ大変でしたね。
医学分野からの研究ゆえに、水産学系の研究者同士の繋がりがなかったものですから、
気軽にデータのやり取りも出来ず、実験設備も借りれなかったりして研究以外の労力が多々発生。

海を調べるに当たって、まずは研究の一環として、細いツテを辿って行けたのが、
国立高知大学の海洋研究センター(現在は海洋コア総合研究センター)。★母校じゃないです★
私が選んだ理由の大きなものは、あっちの地方には四万十川があること。駅から近いこと(笑)、
期間は1週間、出向いてから直ぐに環境調査と実験に入りました。

現地に着いて最初に調べるのは何だと思いますか?
釣りをする方なら上から海面を見て魚が泳いでいるか、見えるなら大きな魚なのか…ですよね。
でも、研究の場合は、それじゃありません。

生態系の大元になっているのはプランクトン。誰が何と言おうとコレが全てのお約束です。
聞けばプランクトンなんて当たり前ですし、小学校の理科でもやる池の水を容器に入れ数日寝かせれば、
どんどん増殖したプランクトンを観察することが出来ます。この名詞を知らない人は殆どいませんよね。

でも、それほど重要なものなのに、普段は意外と頭から飛んでる項目になっているようです。
理系の博士でもジャンルが外れるとエコや森林、護岸工事、汚染などに目が行き、
プランクトンは軽く考え気味です。海も湖沼も河川ですら最初に調べる筆頭なのに…です。
魚たちは生息に都合のいい場所、成長・増殖にいい所へ向かって行動していくのですから。

つまり、簡単に釣り場を覗いて「お魚さんいるかな?」ではなく、目では追えない、
見た目で分かり難く、興味がなさげなツマンナイこれを、とにかく調べることから始めます。
ハッキリ言って新種なんてザラにいるだろうソレを地道にスポイトで拾ってプレパラートと顕微鏡で
数を大まかに測定(バードウオッチングの測定のように、ある枠で括って倍倍していく)と、
エンピツによる点々スケッチにて分類していきます。毒物を持つプランクトンが多いかどうかetc。

成長ホルモンの”シネスティン”などの効果も魚体から診たりします。
シネスティンは緑色した液体で、抜群の効果があるけど悪用を避けるため監視の目が必要。
公的機関の水産課では環境ホルモン(正式名:外因性内分泌かく乱化学物質、約70種)、
こんな専門用語、誰も興味ないって(笑)…などが雌雄にどう影響するかは研究します。

もう一つ大切なものを調べます。それは酸素分布。波が岩に当たった時に発生し溶け込みます。
物理的には雨や流入河川、親潮の潮流によって進められ、自然の拡散では殆ど効果がないものです。
プランクトンと同様に目に見え難いから、人々にスルーされる筆頭ですね。

でも酸素も見えないけど、無くなってから分かる、その大切さってヤツです。

上層、中層、下層などでCOD(正式名:化学的酸素要求量)3mg/LやDO酸素含有量7mg/Lを測定します。
この数字は”科学的にイイカンジな水”とする数値なので、都心で異常値を見慣れているとチョット感動。

多くの青魚は水質に敏感なので、CODが2mg/L以下で何とか棲めます。
参考までに人為的に影響を及ぼしていない理想的な水質はCOD=1mg/L以下です。
数字はテストに出ませんから読者さんは覚えなくてもいいですよ。そういう風になってるんだな、程度で。

分かりやすいように数字と汚れ具合の関係を羅列してみました。

化学的酸素要求量COD
=Chemical Oxygen Demand
溶存酸素量DO
= Dissolved Oxygen
人が介在してない 1mg/L以下 9mg/L(20℃で8.84mg/L)
イイカンジ、都心雨 3mg/L以下 7mg/L以上
水質に敏感な魚 2mg/L以下 8mg/L以上
魚介類が生存できる 5mg/L以下 3mg/L以上
ダメ(作者感覚) 6mg/L境界 2mg/L境界
最悪の異臭汚濁 9mg/L以上 1mg/L以下

一般の人がイメージしやすいのは含有酸素DOであるのですが、なぜにCODってのがあるのか?
DO計測器というのは高価なので、経済のオキテゆえに多く用いられるのがCOD方式なので、
過マンガン酸カリウムという薬品を使うだけでOKなのだ。

上のデータ表ですが、研究組織によって基準の数字は若干異なります
環境省・農水省・国土交通省の測定はユルめだし(理由は略。対外へデータを出す場合だけ厳しくする)、
個人研究者は常に厳しい設定という傾向があります。良い子は深く考えないように。

それにしても、高知くんだりまで行ったのだから釣って料理して満喫することを忘れてはいけません。
プランクトンの分類作業(地獄)は、例えばノチルカ=夜光虫などを含め天文学的な数量なので、
ちょいっとプランクトンネットで引いてきても、捕獲できるその膨大さに本当に気が滅入ります。

言い訳はさておき、釣りを早速してみましたら、釣れるは釣れる!!!気分も晴れる!!!

私が釣った場所は、海洋研究所や水産試験場のお約束ご近所であるフィールドワークが出来るエリア。
高知のそこでは両側に地磯があり、波がぶつかってイシダイ・イシガキダイ・メジナの超大型が見え、
砂浜側から少し海に入ってみると見事な急深でした。

遠浅じゃなかったので水泳にはキツイかもしれませんが、このパターンは魚の居付く最高ポイント。
砂浜の真中辺には逆に流れが出て行く場所があり、簡単な釣り方でも”食い波”に仕掛けを乗せれる、
カケアガリ前後もジックリと感触で判断できるし、全体に何処でも探りやすいし釣れます。

東京湾をメインフィールドにしている方が日本海へ行ったり、沖縄に行ったりする感激と同じでしょうか。
私の住む中部エリアは釣り人が多いからスレてる魚が多いし生物相が貧弱なので、
感動は半端じゃなかったです。もう、釣りするだけで研究作業なんてサヨナラ気分になります。

<これぞ理想?イラスト解説>

・両側に地磯。

・砂浜があり急深。釣り的。
釣り場の急深程度なら
海全体で考えると浅場。

・酸素の供給、餌も豊富。

・チョイ投げ、ミャク釣り、
5目でも大型釣果が揃う。

・理想的な場所ですが、
逆流に足を取られ、
溺れる人が多いのも
こういう場所なので注意。

・海水浴事故では、流れが
手前に向かっていたのに
どんどん沖に流された…、
そういう報告が多いのは
この現象の為です。

砂浜のチョイ投げで巨大な魚が掛かるし、キスあたりを掛けて(リールのバックラッシュを解こうと)
置いておいたらヒラメ、キジハタなどの大物に竿ごと持っていかれそうになるは、まさに別世界でした。

▲どれほど想像を越えた生物相かは高知新聞の巨大カニがその辺にいることで理解できるでしょう(笑)
ちなみに高知大学は母校でも何でもないです。

研究室へ持って帰ったゴンズイとキスを天ぷらにして食べたのですが、いやぁ、これまた美味い!!!
ちょっと潜ればウニも豊富だったので、研究資料を兼ねて集めて食べまくりました。

ところで、料理したのがゴンズイとキス、ウニだけなの?どうしてかを説明しておきましょう。

実は、竿をひったくられそうになった大物たちはリリースし料理して食わなかったのですが、
どうも私の研究では、プロダクションモデルにおいて統合型数式を資源評価に応用しながら、
管理手法は佐久間(筆者)独自の産卵ポテンシャルを用いたりして…

…ってイキナリ難解な説明を始めてしまいましたが、つまり、魚は卵から孵ってからというもの、
ライバルや捕食者から上手く逃げ、かわし切れるものは多くなく、
大多数は親になれないという弱肉強食の厳しい現実があることは、
ここを読まれている多くの読者さんも御存知だと思う。

実際、産卵できる親になるのは極僅かしかいませんよね。

そんな訳で、本来は親になる率が低い小物をリリースするより子供を産めれるまで育った、
大物たちをリリースすべきという、生物系研究者としての脊髄反射でやっているだけで、
真似されなくてもOK、勧めしたりもしませんから安心下さい。

夏の海水浴、気をつけよう。

話を戻して、こういった理想場所は海水浴客の事故がすこぶる発生します。
典型的と言って良いほどだし、「地獄の海アリジゴク」とでもネーミングしておきましょうか。
見た目では分からない潮流の逆転が曲者で、急深なので、あっという間に底へ運ばれます。

溺れる前の状態で生死が決まるといっても過言じゃないです。
空気を吸って肺を膨らませてなければ、魚のウキ袋が萎んだ状態と一緒で人間は沈みます。
常に浮くものだというのは間違いですからご注意ください。大きな砂浜(海水浴場)でもありますから。

そうそう、こんな典型的な生物相の多い場所というのがあるのは、僻地(失礼)だからこそといえましょう。

以前(File.5)で紹介しましたが、見た目で判る良い堤防は↓の写真では左のものです。
1時間しか違わない時刻で撮影したものでした。場所移動に1時間かかっただけですけど。

左では30cm超のイシダイ、50cm近いクロダイもざら、極めつけばヒラメをミャク釣りで釣り上げ、
地元新聞(中日スポーツ)に掲載されたほどです。波の立ってる側です。
個人的穴場にしていましたが、釣具屋さんのおばちゃんが報告、それでバレました(釣り人殺到)。

一方、右の防波堤ではヒイラギ、コトヒキ、メゴチ。しかも数が出ません。
大型のクロダイなんて夢かも級です。下手を打ってしまうとヘドロ部分に釣り糸を垂らしてるかも。



細かな実験の話はいずれ機会を見てお話するとして、もう一つの大イベントは”目で見ること”でした。
魚影じゃなく、何を目で見るかというと海底の様子、つまり海底調査に参加したのです。これぞロマン。

潜航艇とは潜水艇とか呼び名が多くあって、巨大なものは潜水艦。
多くの魚介類がひしめき合うのは大体1,000メートルの深さまでですから、それを確認します。

潜航艇は潜水速度が毎分30メートル、おおよそ900メートルの海底まで30分かかります。
定員は3名、操舵士、研究者、”実験が適正かどうか”の監視員で揃うのが多いでしょうか。

調査時間は長くても約4時間、艇内は非常に狭く、海底は寒いので厚着が必要でした。
これが何を言いたいのかといいますと、机上の理論ではなく、実際に目で確かめるという重要性。

<潜航艇のイラスト解説>

・プロペラ、ランプなど
備品が多かったりします。

・潮流に流され岩などに
激突するのを守るポール。

・覗き窓も分厚いガラスは
映画やTVと一緒です。

目で見る大切さを学んだ私は、研究に入ると同時に大学研究室、博物館、科学館を足で巡る旅に突入。

札幌市豊平川さけ科学館への道

海水魚…淡水魚?食材では身近だけど、釣り対象魚としては遠い存在のサケ。
色々な研究施設をくまなく訪問するのも研究者として重要なことですが、
この研究は旧帝国大学医学部付属病院・院長先生(第三内科教授、現在老年科名誉教授)に
協力を頂いて進めていたのですが、研究機関の施設巡回は流石に自腹でした。

北海道にはサケの天国というほど博物館、科学館、大学、研究施設が揃っています。
中部や関東では想像できないほど岩手県辺りですら遡上するサケを遮る仕掛けがいたるところにあり、
ある時(3年前)網が破れ、一斉にサケが遡上して河川にサケマスの死骸が散乱したといいます。

一般人は、それを拾ったりして持って帰れませんので残念。

北海道といえば新千歳空港のお土産店の多さに感動し、しかも水槽では養殖のマスらがゾロゾロ、
すっかり、この懐の深さに参ってしまい、年間の渡航数は跳ね上がりました。

札幌市豊平川さけ科学館をはじめ、標津サーモン科学館千歳サケのふるさと館を巡りましたが、
「北海道はでっかいどう」の通り、電車・ディーゼル車は豪快な音を発する強靭な作りだし、
窓から眺める景色の広さが一桁違って見える素晴らしさ。

その雄大な景色ゆえに方向音痴な私は、目的地である科学館らに辿り着けないほど道に迷いまくり、
辿り着けた時間には閉館が迫っていて一泊余分にホテルを取ったりと出費がかさみました。
それが、しょっちゅう起きてしまうのが玉に傷。なにせ街中を流れる小川にすらヤマメが棲んでる。

即行で観察しちゃうじゃないですか!!!   ←バカです。

ちなみに東京でも車で行くことも多かったのですが、環状線を走って東名高速へ向かったら、
何時の間にか中央道を走っていたりして、それが5-6回は超えていたといふ方向音痴の破壊力……。

しかし、地道な行程を進むしかなかったその頃と違い、ネットが広がるにつれて良い事がありました。
この原稿を書いている間に豊平川さけ科学館の岡本さん(館長に次ぐ偉い方)とメールをしている私。
時代の変わりように、あの頃ネットがあったらと思わずにいられません。

以下オマケ:天気予報チェックと自腹費用で真剣に学ぶ!?

それにしても、釣行日の前には何をチェックされますか?
釣り人に馴染みがあるのは潮見表であり、天気予報にも大きい信頼を寄せ…(ているかもしれない)。

近年の気象データでは、衛星を使った調査になっています。より詳しくなってまいりました。
衛星写真、レーダー、カラースキャナーなどのハイテク機器をつかって
TVの天気予報にも役立っていますネ。潜水艦も衛星を頼って運行します。

平均海面、海水温度、潮の流れ、風の強さ、向き、波の高さ、月の満ち引きなど、
私も海釣りをする時に多いに参考にしています。
私だけでなく、とにかく我々釣り人は一般の人より天気予報をチェックする性ですよね。
釣行前には必ず波の高さ、風の強さ、気温などを入手、把握し、
で、潮見のデータに合わせて、釣行日の良し悪しを把握、一喜一憂します。

しかし、天気予報を聞いて当たってれば凄い、外れても「ちっ、またか」という、
こんなにハズれるのに、あまり文句は言われません。すごくラッキーな科学です。

天気予報は過去の結果蓄積を気象予報士が分析・解釈することにより、
現在から先を予測し、発表するもの。

似たような推測科学に地震予知のように湯水のごとく税金を使うものもありますが、
都市や家を守り、万一に備えるために無駄に見えても世間の啓発に役立っています。
防災意識は相変わらず希薄な世間だそうですが、まぁ、置いておきましょう。

さて、魚たちは、気象の影響で行動が変わるのか、
漠然と関連していると考えたり、考えなかったり、人によってマチマチですね。

気象に関することを私は4級船舶操縦士免許を習得した時に結構勉強しました。
操縦士免許を得て、もう10数年になりますが、天気予報を釣行で役立たせていると、
中々忘れなくて重宝しています。

大学2年から3年時に若干難解な地学を履修した時は、あまり覚えていなかったのに
(そもそも理解できたのか不安ですが、確か”優=A”だったけど、そんなもんで…)、
お金が自腹で大きく掛かっていると、より覚えているものですねぇ。関係ない話で失礼。

魚類図鑑を購入する人には釣り人が多いらしい。

アタリの出やすい投げ釣りのL字型テンビンやオトリアユの楽にはめれる鼻カンは、
些細な工夫でしたが大変有効で、発明者は相当釣りにはまっていたでしょうね。

世間一般に通じる事ですが、何かにはまっている時は間違った方向へ行き易く、
本人は気づきにくいので、悩んだり結論が出難いなと感じる時は、
進めている方向を見直すといいようです。

当連載を執筆するに当たって気をつけていることが2点あります。
一つは首尾1貫を維持すること、もう一つは釣りの工夫というテーマを常に頭に入れておく事。
ですが、なかなか難しく、いつも試行錯誤を繰り返します。

釣りが上達すると魚類図鑑などを紐解くようになる人が増えるようです。
実際、あるアンケート調査では魚類図鑑の購入者の率は釣り人が圧倒的でした。
占有パーセンテージは忘れましたが、多くの方々が釣果アップに繋がる為か、
本屋さんの図鑑コーナーへ足を運び、魚そのものや自然環境に開眼するようです。
その先の解剖学などを含む魚類学の本や漁業を勉強する人は少ないでしょうけどネ。

生き物を対象としたものは経験則で補われることが多く、間違った知識が一般に広がれば、
なかなか世間に対して修正することは出来ません。典型的な魚を獲るプロである漁師さんもそうです。
魚類図鑑よりもう少し科学的に魚類を知りたいという、魚類学への手助けとなるように、
心がけて行こうと改めて心に誓った私でした。

確かに魚は減少傾向に進んでいる

最近の話題からひとつ。

マグロが減ってるニュースから寿司のネタが高騰するのじゃないか?と心配な諸兄も多いと思います。
ヨーロッパウナギも輸入制限が敷かれるなど同様ですね。うな丼が高額化してしまうのでは?

これはTV・新聞マスコミが煽るからそれに注目するからで目新しいとなるけど、
知ってる人から見れば全体的に絶滅危惧種なんかざらでしてマグロだけじゃないです。
ウナギなんか、日本固有のウナギに交じって日本近海には既にヨーロッパウナギが自然繁殖しています。
外見では分からないので、DNAで調べます。

ウナギやマグロの養殖だって、成功しても一匹のコストが数千万円もかかっています。
税金の掛かり具合から、もっと報道されてもいいじゃない?と思ったりもしますが、
どうも学者・研究者系とTVマスコミとでは住む世界が違うのか中々交わりません。
番組捏造なんかのせいかな。所詮それが人間の世界か、仲良くできれば良いのですけどねぇ。

ところで、確かに水産データから推測するに多くの魚は減少しています。
何か画期的な方法が見つかれば好いのですけどね。

その他の雑学

オキアミの有効利用とは?

最初、世界中の海にいる大量のオキアミを何らかの食材に出来ないかと
ある水産系会社・食品会社が考えていました。問題はエビのように保存が出来ず、
含まれている酵素によって直ぐに黒色化してしまい、ドロドロになるし、
見てくれも悪いので人間向けの食材には出来なかったです。

なんとか利用できたのがカッパエビせんなどのお菓子類への転用のみでした。
せっかくの大量のタンパク源なのに、食料資源としてダメなのか?
壁にぶち当たっていたところ、ある釣り出版社の社長が釣りの餌にどうか?と
提案したのが有効利用の第1歩だそうです。

想像以上に魚が釣れるものですから、あっという間に釣り業界に広まりました。
黒くなっても魚は区別せずに食いついている実験結果があり、
今では海釣りでははずすことの出来ない餌になっていますよね。

↑オキアミネタ…懐かしいなぁ。

最後に、今回の記事途中で”潜航艇のオマケ”が気になった読者が多くいることでしょう。
もっと話して欲しい、海底調査の時に何かなかった?など聞きたくて仕方がないのでは?
それが気になりすぎて他の話は要らんなどと思われては困ります。

次回は「干潟と浚渫(しゅんせつ)窪地」を書くつもりでしたが、
先を読んで「目で見た海底調査・いざ潜航艇へ!!!」を加えてお送りしましょう。



今月の一手:釣魚を飼育してみよう(続き・その3)

水温管理でお金を掛けれるという方は、水槽用クーラー(10万円~)を用意すれば、
ほとんどの魚は飼育できます。私は寿司屋の業務用のクーラーで始めましたが、
今のようにアクアリウムが流行り、市販されるようになるとデザインや騒音なんかも全然OK。

←18.5度の冷水で設定。渓流魚でも120cm水槽でもOK。

安い3-4万の水槽用クーラーは温度設定の幅が少なく、結局、買い換えることになるようです。

冷水系の海水魚を生かすだけならクーラーボックスにブクブクを付けて、
タオルで包んだコンビニ200円ブロック氷を入れておけば、夏の1-2ヶ月は乗り越えれますが、
氷換えは2-3回ぐらいだったかな。涼しくなる季節までは持ちました。
私が試した時は「餌付けも水換えもしてないのに元気だなぁ」というぐらい問題ない感じでした。

さて、飼育すると何が一番メリットか?

生態や行動を肌で感じるものに加えマイナーエサを試せる事。
これまた以前紹介したものを再掲してみたい。以下、色々とありますが全て私も試してます。

メジナのササミのオキアミ漬け、シオカラでタイ類、カワハギはアサリに味の素、
ポップコーンやオキアミ+ブランデーでクロダイ、サヨリはハンペン、
ソーセージのオキアミ漬けでアイナメ。
変わった生餌としてハゼにはミミズ、ヒラメは小鮒、スズキは金魚がいけます。

周シラウオ(メバル・タイ類)、アサリ(カワハギ・アナゴ)、魚のエラ(根魚類)、
冷凍アワビ(イシダイ)、干しイワシ(魚食魚)、レバー(メジナ)、イカ(タイ類)。
アユの友釣りでフナを使用するのはメジャーで、金魚やフナ、コイを生餌にして
スズキやヒラメなどの魚食魚狙いは普通にありますでしょ。

カステラ、スパゲッティ、サシミ(当たり前ですが)、レバーは牛・ブタ・トリいずれもOK、
タラコの練り、ゆでタマゴ(白身)、ドジョウ、ヨーカン、大根の葉/ホウレンソウ(ブダイ)、
イカワタ漬け、ホタルイカ、イカの切れ身、シラスなどなど。

画期的なエサを発見するのは貴方かもしれません。

魚って初めての(不慣れな)エサにでも、学習能力?なのか水槽に浮かべておけば
3-4日で食うようになったりします。一度食い始めたら、もう争って食います。
最初の頃、食わなかったエサを捨てるため取り出すのがウソみたいに。

設備投資と魚を飼育する癒し効果のバランスを考えましょう!!!意外とお得な趣味ですよ。



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