サカナの行動学~File.10
行動を律するものPart1~明暗刺激の重要性

明暗の刺激

魚の行動は何に律されているのでしょう?ふと考えます。勘でしょうか?ここはヤバイぞという。
たとえ直感でも今まで積み重ねてきた釣り人との命をかけたバトルに勝ち上がってきた大物たち、
それは少なくとも、いい加減な直感ではないはずですよね。

似た直感例といえば、男性が密かに想いを寄せている女性に勇気を持って声をかけるとしましょう。
読者さんもきっと1回や2回は経験があるはずです。
想像に反して頬を赤らめ恥ずかしそうにしている可愛い女性をイメージください。
軽いジョークにきゃらきゃらと好い反応をしてくれ、時には「もうエッチ」と笑顔で返されたり。
しかも男性の肩をポンと軽く叩き返したりしてスキンシップまであったなら尚のこそ。
敢えて彼女の気持ちは聞かなくても分かってしまいますよね。

「これは脈がある。間違いなく両想い!!!」とコブシを握って天を仰ぐ。
これぞ生来の人間の持つ能力であり、鋭く研ぎ澄まされた恐るべき野獣のカンと言えましょう。
どどのつまり、魚の大物たちも、こういう根拠ある直感で動いていると私は考えます。

だがっ、しかしっっ!!!

”野獣のカン”は時々ハズレますのでご注意を、ハイ。

では、まいりましょう。今回も濃いですよ。

海は地球表面の約72%。また表面水分の99%を海水が占めています。
そう、我々の飲み水、湖や池や川などの淡水はたったの1%しかありません。
その広大な母なる海の環境変化で一番大きなものは単純に昼と夜という明暗ですが、
不思議なことに全ての知性・学習を吹き飛ばす何かがあります。

例えば小さなカニの中には産卵を何故か大潮の時にするものがいます。
どうやって大潮の日を選ぶのか、選べるのでしょうか。潮見表でも持ってるのでしょうか。
彼らは月と太陽の動きの差を把握し、行動に移るらしいことが最近の研究で分かってきました。
カニの目と目の間に正体不明の特殊器官があります。それで月太陽の差ズレを感知しているらしい。
人間の英知を凌駕(りょうが)する魚のワケワカラナイ上生体と一緒の存在ですね。

そんな不思議を理解するためには、今回から4段階に分けてジックリと展開させていきます。
既に知ってるよという事も出てくるでしょうが、我慢してお付き合いください。
出来れば、これから磯・投げ情報を買いそびれないようにネ!!!
たぶん、ここ数十年はこれの新たな考えに、いや、
知的満足を持続するものが得られることでしょう。私が過去そうであったように……。

深海魚が浅い海に棲む

みなさんは深海魚が浅瀬にいると聞いたらどう思われますか?ありえない?
たまたま浅瀬に来ていただろうという判断が普通だと思います。
防波堤にふらふらとアンコウが泳いでいてタモですくった知人もいますが、
地震の前触れかとか、あくまで偶然や特殊な災害の理由ですよね。
深海と浅瀬の水圧の大変大きな変化には魚類といえども難しいだろうと。

いや、ごもっとも。ごく普通の反応ですからご安心を。

さらに出現するだけならまだしも、浅瀬に棲んでいるとなるとどうでしょう?
しかも一種類のアンコウが棲んでいるのではなく、色々な深海生物が棲んでいるとしたら?

普通の常識人で文化人で、魚に精通した知識があるなら「ありえない」と答えるでしょう。
一般の方は、それ以前に深海魚の種類や水圧の違い、人間が深海から浮上する時に、
血管に含まれたヘリウムガスが大きくなって気分が悪くなることも、
深度が大きければ下手すれば破裂してしまうことも知りませんからね。

そんな皆さんが驚いてしまう事例なんですが、いや、当の生物学者も腰を抜かした話をします。

何年か前、NHK社会文化部のOさんとのやり取り中に偶然、凄い海域の番組企画があることを知りました。
この究極の話をする前にNHK社会文化部のOさんへ感謝。その番組を観た方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

 

↑Copyright (C)NHK日本放送協会:赤い色が垣間見える。これが深海魚が浅瀬にいる特殊な海域「赤い海」です。世界遺産。

しかし、今からの解説を読まれると、TV番組を見ていた人でも
「ずいぶん印象が違うな」と感じてくださると思います。
理由は簡単でTV番組はあくまで不特定多数の魚を知らない視聴者を意識しますから。
その点、この連載は釣り人を対象にしていますし、一歩も二歩も踏み込めます。

さて深海魚が浅瀬で漁獲できる異常な海がありました。
その場所は遠洋漁業が盛んだったオーストラリア。
タスマニア島のホバートという街から200km、バサースト湾です。
その海域は見た目が赤い水面をしているので、そのまま「赤い海」と呼ばれ、
魚介類を採取してみれば、なんと深海魚が5mの水深に生息している!!!・・・という驚愕なエリア。
1995年頃、世界遺産に指定されました。最初の発見は今から19年近く前です。

その海域は特殊な構造環境を持っていまして、後述しますが深海魚の数が半端ではありません。
一般的に40m水深で見られるムチヤギ類、ホウボウは普通なほどで、200m深海級では、
ウミトサカ(珊瑚類)、ウミグモ類、特殊なシードラゴン(タツノオトシゴ)、ナヌカザメ、
極めつけは~2,000mの深海魚であるゾウギンザメまで泳いでいる破壊力でした。

上部淡水(4m幅ぐらい)、下部海水、水深5~10mです。

深海魚は海水部に居ます。酸素は豊富と付記くださるとOKです。

淡水部には酸素が無く、プランクトンすらいないことも。

水面は真っ赤っかですが、海水部は透明です。

水深5mなのに500mクラスが一杯。
本来、潜水艇の調査でしか観察できないのがダイビングで出来る!!!
従って、通常なら滅多に網にかからず調査が困難な深海の未知生物、
新種が現在までに20種類以上も、
あっけなく見つかっているようです。やりましたね。

調査を丹念にした結果、そこでは表層4mまでには赤い淡水が陣取り、
下部には(光が届かず)真っ暗な状態の海水が存在している事が判りました。

上に淡水、下に海水という事だけなら、通常の河口で起きる”塩水くさび”現象と同じですが、
ここは深い所ですら10mという湾でありながら15℃以下に安定した対流の少ない穏やかな環境、
赤い淡水部分には酸素が少なくプランクトンも殆ど生息してないことが特殊でした。
浅いということは、逆に環境は安定しにくいのが普通に想像できるところですし、
しかも淡水部に酸素がないという部分も注目すべき部分で、どうして酸素がないのか?
一方、海水には豊富な酸素が残留しているようです。

一般的に河川から色付きの水が流れ込んでも、海水面全体を覆うことはありえませんが、
どうやら氷河期の影響で出来あがった断崖絶壁に周りを取り囲まれ、
その特殊形状で風が弱められ、表層に酸素を含ませる波が起きないという奇跡が
安定環境を可能にしていると推測されました。

酸素が水に溶け込むといっても、分子のまま水にありますので
想像以上に溶け込む物理的速度が遅いです。
1年間にわずか6mの拡散距離しかありません。
光合成での拡散だけでは水深10mの溶存酸素量を
0.4ppm(0.4ミリグラム)に引き上げる為には、ある学者の試算では600年もかかるそうです。

さて、赤い水の正体・流出元はタンニン(赤色)を豊富に含むボタングラスという草花湿原。
ここから流出した濃い赤色が太陽光を遮って水深が5-10mにも関わらず海底を暗くしています。

・・・暗くなるだけ・・・こんな環境が出来るだけで、深海生物ですら浅瀬へ沢山呼び込むのですね。
海は殆どが1,000m以深のエリアで出来ています。その占有率はなんと約88%。水温は1~3℃。
約7,500mまでは生物相は豊富です。
そして1850年ごろまでは550m(一説には700m)以上の深さに生物は住んでいないと言われてきました。
たった150年前です。たとえ水深測定用のケーブルが深度2,000mに沈んでいて、
それにヒトデやフジツボがくっついていても、学者達は長期間その存在を認めていませんでした。
学者ですらこうですから一般人に至っては常識とされていることを覆すのは大変です。

今回、科学者は発見当時すさまじい歓喜の声をあげましたが、
問題だったのは証拠を示さずに声をあげれば「トンデモ学者」、「エセ学者」と呼ばれたことでしょう。
常識人・文化人ではあっても専門外の人々を説得しようとするのは大変難しいです。
場所を公開すれば人が殺到し、せっかくの貴重なエリアが荒れますし。

現在、この調査はオーストラリア連邦科学産業研究機構のK博士(カレン・ゴーレット・ホームズ博士)が
中心になって進めています。
赤い海・・・何か環境の凄さ、生命の強さを感じるではありませんか。
そして意外なポイントは深海魚が水圧より「光の明暗」を優先するという事実。
この海域の魚たちは環境に合わせすぎ!!!なものということで、是非とも頭に残しておきたい事例ですね。

荒れて濁る視界ゼロの海中はパラダイス?

釣り舟で底からあげてきた魚が丸いもの(胃)を口から出しているのを見て、
前号でお話した無気管ウキ袋が膨れ、胃を押し出す強烈な印象がイメージさせる深海の水圧はすごい、
その水圧を好む魚なら浅瀬にいるわけがないという常識をクローズアップして逆転させたわけですが、
赤い海の事例から学べることは、我々が想像していた深海魚は水圧よりも明暗を優先させる行動であること。
あ、そうそう、有気管浮き袋の魚は船にあげても口から丸い風船は出しません(念のためネ)。

再掲=(前回、覚えてない人用です)
←有気管ウキ袋

食道に直結する進化している魚
←無気管ウキ袋

取り囲む毛細血管から気体を滲ませ溜める。

少々解り難い表現でしたが、台風などで完全に濁ってしまった海であれば、
今までの雑魚ばかりの状態だったのが、生物の浮沈(上下)運動と連動して珍しい魚たちが参上、
目でエサを探すと勘違いしている釣り人が避けるので爆釣が出来るかもしれませんね。

ただ、荒れた海で釣り糸を垂らす釣り人の事故が絶えませんから、
防災の為にも、それを狙うのなら荒れのピークを過ぎてからにした方が良いですよね。
しかしピークを過ぎれば魚は直ぐに去っていきますから微妙な難しさがあります。

静岡あたりの漁港ですと黒潮が当たる良い潮流加減ですから、
荒れていると珍しい熱帯魚とかが集い、
流れ藻周りなどタモで掬えるぐらいの見事な状態になるようです。

静岡県焼津市在住の研究者が実際調査をして確認しています。
伊豆半島周りの漁港(専門書などを見て潮流の当たってる)に近い人は観察してみてください。
気をつけてね。

しかし、ここで振り返ってみましょう。明暗の刺激の大きなことは理解できたと思いますが、
以前にお話した「夜は警戒心が解けて岸辺に寄って来る訳ではない」くだん。
常に敵に囲まれている海では警戒心が解けるという事はないですから、
寄って来るのはつまり食物連鎖による上下運動の結果だということ。
では一般的にある種の大物が良く釣れる「ニゴリ」が入った状態の海はどうでしょう。
もちろん、ニゴリを嫌う魚もいますが、ニゴリの正体とは?

暗さを演出!!!濁りには2種類ある

一般的に海水が透明度ばっちり、遠くまで底が見えて泳ぐ魚が可愛い、
水族館みたいだよね、・・・という海水浴に最高のコンデションの場合は釣りをしても、
小魚がピューッと餌へ向かって泳ぐ姿が素敵、
いや、雑魚たちの荒食いが見事に観察できるだけに釣り人だけは苦手ですよね。
しかも大物が居るのが目視出来た場合、ドキドキしながら釣り糸を上手く傍に垂らし成功したとしても、
そういう時に限って餌には見向きもしなくて興味なし、
チクショーっと悔しい思いをした方もいらっしゃるでしょう。

そういう時に、何処からかニゴリが入ってくれば大歓迎、大物釣果が激変する現実があります。
すなわち、釣果が自然任せならテクニックは関係ないじゃん、とインストラクターやテスターさん、
テクニックを解説している方々に怒られてしまう・・・と思ってこれには触れては遺憾!!!
イカンのだと思っていましたが、触れてしまいましょう。

まず濁りには大きく分けて2種類有ります。

大物釣果を上げるイイカンジのニゴリというのは海砂の粒子の舞った濁りです。
砂には様々な鉱物が含まれ、花崗岩、石英などから貝殻の粉まであります。
それらは意外と働き者で、酸性雨により酸性に傾く海水をアルカリ性へ戻す作用があります。
念のため、海水はアルカリ性です。淡水は中性ですよね。
このPHが変わると生き物は死滅の危機を迎えます。
死滅は、貝タコイカ海綿・軟体動物⇒エビカニの甲殻類⇒魚の順番に進みます。
難しいですか?じゃ超簡単に言えば「海砂のおかげで酸性雨なんてへっちゃらだい」なのです。

この砂が台風や大雨のパワーで海水中に舞いますと、
昼間でも光が半減しまして、数メートル下では深夜状態。
関係ないですが最高の光の到達は水深550mで物理学者オーガスト・ピカールの「トリエステ号」実験。
水面が穏やかな時、太陽が真上に来た頃に計測、
潜って行く潜水艇の窓から目で明るいかどうかを見ました。

…というアヤフヤものしかなく、眼の良い人や、目が暗闇に慣れる慣れないと個人差があり、
もっともな問題点は計測を担当する人間で差が有ったりしたようです。
200mで見えない時もあり、数10mでダメだった時も。
しかも計測してもお金になりませんから、実験を続ける企業がない…と横道にズレましたが、
つまりこのニゴリは砂だけでなく同時に微生物をも浮かせていますから、
昼間でも大物を釣れちゃったよという結果になります。

もう一つのニゴリを紹介しましょう。こちらは濁ってラッキーの「全く逆」です。

まず最初に、この広大な母なる海にも酸素の少ない部分があります。
特に誰もが知ってる「赤潮」というものなのですが、これは「潮」と名前が付いていても、
異常にプランクトンが発生して赤く色が変わったものです。
ニゴリの一つの要因ですが親潮や黒潮、先の「赤い海」とは全く違いますので紛らわしいですよね。

富栄養になったエリアには、悪い濁りの元となるタンパクが大量に浮遊しています。
水槽などの水が濁る時は「水が腐った」と言いますが、大概エサをやりすぎて生物循環が追いつかず、
タンパクが浮遊している状態で濁って見えます。

そして大発生したプランクトンたちが死んで海の底に沈み、
それを分解するためにバクテリアなどが一生懸命働きます。
働けば働くほど酸素が無くなって行きまして、結果、酸素の少ない「貧酸素塊」というエリアになります。
酸素が無ければ生物は殆ど住めませんから、死の世界になって行きます。
時々「貝が死滅!!!」とか「ヘドロ化!!!」というのは酸素が少ない場合に多々起きます。

赤潮が発生⇒プランクトンの分解⇒酸素が無くなる⇒貝などの底の生物が死滅・・・というわけですね。

尚、その後に登場するのがドロドロの臭いヘドロ。
水が汚れる⇒酸素が無くなる⇒ヘドロを作ってしまう生き物(バクテリア)が頑張る。
ヘドロが出来るのは硫化水素のせいなのですが、その硫化水素を作るのがバクテリア君。
広大な海でも、ちゃんと潮が流れなくて淀んでしまったりするとキツイ世界になります。

▲貧酸素塊=飽和酸素量の40%以下と定義されています。

3つ目の濁りを強いてあげれば「酸素は水中に分子のままあるから溶け込みにくい」部分で、
空気が雨で巻き込まれて濁ります。
その後、溶け込んでクリアーになります。瞬間的ニゴリとして他のものと(私は)区別しています。
時間的に短いけど、それの正体は別名「気泡」君だったりするわけで…(いじわるで失礼)。

全ては記憶回路から選択

濁りが入って暗くなれば、酸素⇒プランクトン⇒小魚という食物連鎖などが起き、
砂の中にいたプランクトンや小動物が舞うということもあるでしょう。

エサが舞っている…ということで、特に食物連鎖の高位にいる大型魚が寄ってくる
…というのは確かでしょうが、同じように暗くなった酸素の少ない赤潮系だと
避けるという違い、これのキモは一体全体何なんでしょう。
学習機能でイシダイやクロダイなどが濁りによく反応するのでしょうか。

痛覚の細胞は殆どないのが魚だし、酸素が無くて「苦しい」という感覚も多分少ないでしょう。
例え空気中に放り出されて「大物には空気を吸わせろ現象」=
F1エンジンであるエラのアンモニア中毒=ですら、
何だか体が動かなくなったぞという程度の感覚が正解だと思う。

余談ですが、微妙なアタリがあってアワセを食らわせた際、
まず大物は「変なもの食っちまったか?」と思い首を振る、
その後”奇妙な”エサに引っ張られるので「変だぞ」と反射で暴れるパターンと思います。
よく経験できる大物特有の最初はユックリ、次に締め込みの形です。

どうでしょう?苦しいや痛いの理由で行動を決めているわけではないと考えますが、
我々人間だと眼から入った光景を”興味を持って”観察、記憶回路に収容します。
それを繰り返すうちに有用なものを選択して応用していき行動すると考えられています。
しかし本当のところは、人間のことですら未だ研究成果が多く出ていません。

つまり魚はどうやって適する環境を認識し、探し移動していくのか?

目に入ってくる光景があっても魚眼レンズでは丸いし焦点を人間の目のように即合わせ不能、
両側に離れているため景色は立体的に見えず、視覚的に充分なデータ量になっていないですから、
釣り人達の行動を観察する場合などは直ぐに忘れるんじゃないかと思われます。
忘れるというのも変な表現ですが、魚だけではなく人間も忘れますよね。
全ての行動のもとの元には”事象を記憶していること”が必須ですから、
その記憶するキッカケは何でしょう?

丸い玉コロン
=再掲

目のイラスト(人間は左。魚は右)

人間はピント合わせをする際、筋肉で容易くレンズを変形。魚はレンズが丸いので焦点が合わせずらい。

煮魚や塩焼きで丸い玉がコロンと。あれがレンズです。マメ知識ですね。

人間は「興味を持って観察する」ということで脳の保存回路に入り記憶できるのだと言われます。
キーワード”興味を持って”が記憶に残るかどうかの分岐点、興味が無かったら記憶に残らない。

好奇心があるなしで環境適応に秀でているかどうかが分かるとすれば、釣り場ではどうでしょう。
つまり仕掛けを目立った形へ工夫したり、コマセを多く提供したりする行為を繰り返し、
通常とは異なる興味を持たせれば、より魚の記憶回路を刺激させるわけです。

ルアーなんかは直ぐに食いつかなくなるといいますが、そういう根拠で納得ですよね。
結果、同じ濁りなのに赤潮を避けるのはイシダイのような賢い魚はよく反応するみたいです。

しかし更なる謎が立ちふさがる

さて、深海魚が浅瀬にいる海域の話は如何でしたでしょうか?応援ハガキを頂けると作者は喜びます。
今回は「水圧より明暗が優先する」のだと言えましたが、実は、そうは簡単にまいりません。
明暗で浅瀬に移動した深海魚たち、しかし移動していない深海魚もいます。

深海魚の代名詞、10mもあるリュウグウノツカイなどは未だ見つかっていません。何故か?
それが生物学の奥の深いところですし”恐るべき野獣のカン”の秘密を解き明かす必要がある所以です。
次回は移動しなかった深海魚の答えにもなる現代科学をもってしても分かっていない「魚群」に迫ります。

乞うご期待。



今月の一手:人工的に濁りを作ってみよう。

神様は平等といいますか2種類のニゴリのうち良い方のニゴリは中々作るの難しいです。
もし上手い濁りを簡単に作成できたら渓流から海まで応用でき、これまた特許取って億万長者かも。
その際は私をパートナーにしないとダメですよ。

本章の深海魚の海を思い出せば、何らかの色つけをすれば好いと思われます。
魚に無害といえばメチレンブルーという色素材。これなら分量も少なくて済みます。
ブルー(濃色)へ着色してしまえば濁りと同じような効果が出せます。簡単かんたん。
カセのダンゴ釣りの要領で、ソフトボール大にエサなどと一緒に混ぜて作りましょう。

着色していない透明な水の水槽←私の過去のメチレンブルー実験から
着色後・行動変化の効果で激変←私の過去のメチレンブルー実験から

▼こうやって釣り人が経験で「この位置」と思っていたことが水槽内実験でも裏打ちできる。
(当然釣り人が違っている場合もある。下は渓流でのサクラマス定位の位置が違っていた実例)


⇒着色⇒=大物の位置に注目

誰もが手軽に購入できるのはペットショップで魚病薬「グレーンF」など。
業務用を注文するのも良いですね。もちろん薬剤ですから日常の扱いに注意。
そうそう、このパターンはお金がかかるので覚悟してください。

メチレンブルーは魚へは無害でも行き過ぎると軟体動物や海草には影響します。
なるべく潮の流れの良い所で使用するのが吉であり注意点ね。

もうひとつは食物連鎖を応用してみる手。

魚市場で安くで貰ってきた3-4個のマグロの頭に大きな錘をつけて狭いポイントにぶち込みます。
その場に棲む小魚・甲殻類では食いきれないのでやがて腐敗し、悪いバクテリアが発生、
良い具合にタンパクが浮遊し濁った海水に変身。その場で釣るのは臭いやら問題があるので、
その場より数十メートル離れれば理想的な環境かもしれない。

つ、使えますぜ、旦那!!!

いやダメだ。沈めている所を目撃されたら「別のものを隠そうとしている」と警察に通報されかねぬ。

みなさん、頭を絞って考えてくださいな。

代理出演有難うございました。





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