メールの送信ルールを読んでいないという事は、ここに返事と共にアップする事も、
ひょっとしたら知らないかもしれないので、よく読んでメールを送ってくださいまし。
送信者はアップされた事を知らずに「レス遅いなぁ」と待っていながら、
その返事は過去ログへ行き、削除となる運命もあり、ああ、悲哀が…

ひさびさ(魚)治療相談の巻

一応、実際に見ないと正確な診断やアドバイスが難しいという事と、
やはり命を扱うという事から私が相談メールを半月以上遅くに見ることも多々あり、
期待されたあと手遅れという件も起きたため治療相談は終了させたのですが、
今回受けたといっても、ここをご覧になられている悩める子羊さんたちは、
次回は受けないかもしれないと念の為に付記しておきますね。

▲釣りJALサイトでは終了案内を載せてませんでした。今回は「JAL経由」です。
注意書きを入れておかなくっちゃ。すみませんでした。

ここを見てる一般のアクアリストさんへ。
(ジャンル違いでも飼育してる人もいるでしょうから)

ネットでアドバイスを受ける際に注意することは、過去の転覆病で続出した問題、
BBSなどで「温度を上げれば治る」という匿名者の自信を持ったアドバイス書き込み。
内容の感じから知識のある(たぶん)熱帯魚屋さんだったと思われますが、
私がフォローするまでに冷水魚を飼育して困っていた人が温度を上げてしまったりして
治るはずが無いのに死亡させた件。

それから「冷水魚・海水魚で温度を上げるのは止めて」と注意書きを増やしました。
温度を上げるだけで治ってしまうケースは、転覆しても「食いすぎ」が多いので、
新陳代謝を進めれば好いだけという方法。微妙な解説の難しさを感じました。

先の熱帯魚系の方のようにネットでのアドバイスは割と適当なので、ご注意を。
文章で表現するのは大変な労力がいるので一般的には電話で行うのが望ましいですね。

食しても美味しい渓流魚を水槽で飼育すると、他の観賞魚と違う趣があります。
私はアユやヤマメ・アマゴを飼育するのをオススメとして広めています。

大阪在住のT・Oさんより

Sakuma様こんにちは。初めまして。サツキマスのページ拝見させてい頂きました。

当方、大阪でオショロコマヤマメなどの渓流魚を趣味で飼育している者なのですが、
この度イトウの一部の固体が尾腐れか冷水か何か分からないのですが
尾鰭のみ白く濁り、欠けているような症状に見まわれまして
色々と治療 を試みているのですが善くもならないし悪くもなりません。

以下に写真を載せていますので、病状の分析と適切な処置を
アドバイスしていただければ助かります。

病気にかかった固体は養魚屋さんから直接買い付けた魚で、
当方の元に来てから1年と2ヶ月ぐらいになります。 20Cmほどの1年魚です。



【手前の二匹がそうです。2匹とも尾鰭が白濁し欠けています。】

現在はバックアップ水槽に隔離し薄めのメチレンブルー水溶液で薬浴しています。
若干善くはなりましたが約4ヶ月間この状態です。奥の個体の方が回復の 兆しが若干あります。

餌は与えるだけバクバク食べます。

バックアップ水槽は ジェットによるエアレーションだけで
ろ過装置は付けてませんので餌は控えめです。 3日に1回3/4程の水換えを実施しています。

そもそも、病気の発端なのですが明らかでして、ヤマメのせいです。
イトウの水槽に飼い始めてから2年ぐらいになる
近くのホームセンターで買ってきたヤマメがいるのですが、
この固体がかなり気性が荒くイトウの尾鰭をかじったのが原因です。
傷口から何らかの細菌、ウイルスが進入したものと考えられます。

2固体とも尾鰭以外には異常は見られません。
因みに今まで私が試みてきた治療を列挙しておきます。診断のご参考までに・・。
耐性菌が出来てしまっている可能性が多分にあります・・・。

・オキソリン酸系薬物の経口投与 パラザン若干効果あり。
・フラン剤の経口投与 エルバージュ、グリーンゴールド「顆粒タイプ」若干効果あり。
・フラン剤、オキソリン酸による薬浴 効果はなし。
・塩水浴浸透圧調整程度 効果あり。
・アグテン、メチレンブルーによる薬浴 今のところ効果なし。

それでは以上で宜しくお願い致します。お返事を頂けると大変たすかります。



【犯人のヤマメ。かなり気性が荒いです。】

<T・Oさんへのアドバイス>

サケマス類は、海←→淡水を行き来する体の構造のせいなのか、
大型化するとき、また、遡上後は治癒能力が大変低いと思われます。

そこで利用されてるのが養殖場の追跡調査である「出生元を示すヒレ切り」です。
ある加減で切ると、その切れたまま成長するので、漁獲された魚のヒレ状態を見ると、
どこの養殖場から放されたものかが分かるというものです。

つまり、それだけ破損したヒレが治癒しても、元の立派なヒレに戻ることが少なく、
ゆがんでしまったヒレも元に戻らなくて、養殖と天然の見た目違いの根拠にもされてます。

これは聞かされれば「渓流釣りで釣ったものを簡単に判別できる理由」なのですが、
先に気づく人は殆どいません。

サケマスの観賞魚は「ヒレの破損に注意すべし」と言えるでしょう。
特にイトウは長寿、成長が遅いので注意しなければなりません。
もっとも幼魚の時や完全陸封のものでは、他の魚のように完治します。

で、今回の水槽風景とジェットシステムから、相当な設備を思い起こせるので、
T・Oさんはかなりのマニア、または大きなショップクラスのオーナーさんかもしれない。
しかし、アドバイスする前提は「知識のない方」を設定しますので、
「そんなこと知ってるよ」は勘弁ください。些細なものでも気づかせる…は重要ですから。

<症状から推測>

同居だったヤマメの攻撃により、尾びれが破損して、そこに何らかの細菌がつきました。
先のサケマス類の特徴から、治癒が遅いことを再把握ください。それだけです(多分)。

他の症状は見られませんが、魚のエラ方面に何かがあるかもしれません。
サツキマス記事のどこかに書いておきましたが、まずは海←→汽水←→淡水の構造ゆえ、
エラがやたら弱いと考えています。

←この尾から何か別の疾病があると推測しますが…(普通はピンと張る)

遡上魚じゃなくても、幼魚段階で海へ降りる準備がありますから、
実際、外から見えなくてエラ病で死なせたものは多いです。私の経験ですが、本当に多い。

アクアリウムや渓流釣り誌だけでの生態把握は要注意。専門書も見たほうが好いでしょう。
記事を書く人が専門学部卒の場合は少なく、経験則が多い。科学と異なるケースがある為。
(そのジャンルが得意の大学で、図書館へ行けば閲覧できます。得意じゃない大学もダメです)

エラ写真が無いけど、それは大丈夫と判断しましょう。
ただ、何かが潜んで合併症を併発していると推測できますので、
それをもカバーするやり方をアドバイスしてみたいと思います。

で、今の程度なら通常は1週間もすれば自然治癒…治ります。それには条件があります。

・水質がアルカリ・酸性に偏っていないこと。
・砂などに腐敗の元となるエサ分解中のたんぱく質が残っていないこと。
・魚がエサを十分に採り、背中の肉厚もたっぷりある健康魚であること。

治りが悪い場合は、どこかに原因が残っています。必ず有ります。
しかも傷が大きかった場合、自然治癒は無理で悪化していくのが魚類の宿命。
早々に治療を試みるのが経験のあるアクアリスト。

ディープな経験者らしく紹介の試された治療ですが経口投与まではしなくて大丈夫ですよ。
そんなに大事(おおごと)にされると、逆に、より”悪化”させてしまう恐れがあります。

とりあえず、以下を。
ただ、大方のケースは何処かに何かを残してしまうので水槽リセットを勧めます。

・メチレンブルー色素系(グリーンF)を規定量にする。即行治療に変更です。
→サケ科は薬剤に弱いけど、様子を見て大丈夫なら規定のままで進めてください。

・塩や他の薬剤は全て止める。(←塩との併用で悪くなったケースがありました)
・全ての砂を取り除く。
・単独飼育に切り替え。水槽は小さなものでもいい。
・設備はブクブクのみ。
・エサをあげ、フンをしたら、2-3日巡回でホースで吸い取り、水道の水を追加。
・3分の1を超える水道水の追加の場合のみ、中和剤を添加します。
(少なければ多少の消毒にもなるので、添加しなくてもOKです。)

・1週間~10日目に症状が(良く)激変していなければ再度規定量のメチレンブルーを。
多分、最悪でも2回サイクルで治ります。治らなければ水槽リセットの仕方が悪いです。

サケ科魚類は縄張り意識が非常に高いですから単独飼育が基本でして、
もし混泳させるなら、縄張り意識が無駄なほど匹数を増やします(ろ過が大変)。

白濁したヒレ先が無くなったら、それでOK。エサをビシバシあげて成長させてください。

魚には不思議なものがあり上生体とかです。研究は途上です。
これは未だ明らかになっていませんが、サケマスも、遡上魚ですら何らかのキッカケで
餌を食い始め、成長が促進されます。その時は再生しないヒレすら治ってしまうほど。

5-6年飼育され、そのタイミングを捉まれれば是非ご一報ください。
魚類生態学が、かなり進歩する情報元になります。釣り、漁業にも応用できるものですよ。

PS:飼育されているヤマメは、見たところアマゴとの混血種みたいですね。
岐阜と福井の境にある荘川のようにヤマメ域とアマゴ域の境界に多いものです。
(一応、アマゴになります)

M.Sakuma様 レス、拝見させて頂きました。丁寧なアドバイス、ありがとう御座います。
早速、その通りにやってみます。この度はありがとう御座いました。



鰭の形は確かにかなり崩れています。



これはホームセンターで売っていた時にすでにこうでしたので当方、諦めております。
背びれも過去の喧嘩で損傷しています。(涙)

大阪在住者より

追加写真を送っていただきました。
ヒレの折れ曲がりの原因を探るためにありがたいものです。

どうやらあの時の尾びれ折れ曲がりはその時だけだったようですね。
どちらにしましても、アドバイス通りの処置でOKと思いますので、
ばっちりレッツゴーです。おっと、右下にカマツカさんが。

のちに該当解説へ転載しておきますので、記念として数年後懐古しに来てください。
イトウを3mまで育て新聞に掲載目標で。渓魚の飼育を一緒に広めてまいりましょう!!!


出来たて!!!サイト・ブログ紹介

金魚を愛すマスカラ・キャット
ド素人から始めた金魚飼育悪戦苦闘日記

アクアリスト上級者へ一読をオススメする初心に戻れるブログ。
読破時間は、現在そんなにかかりませんから是非ドウゾ。
金魚がテーマで、病気の子の記事(次回ぐらい)に転覆病の記事魚病一覧あたりが登場?(かも)。

せっかくですから、飼育アドバイスをば。

水の濁りはタンパクの浮遊が原因のケースが多く、酸素が充分あれば、
そのままで1週間放置でオツケイ、でも完全に透明度を取り戻すなら水換えをオススメです。

つまり、濁りが気になる場合は即行で水替えしても金魚は丈夫だから
中和剤を入れれば全替えもOKですけど、濁りの原因が底石たちにある場合が殆どです。

市販の吸着剤や底石などは下手をすれば悪いバクテリア住まいに変わっていきますから
効果も紙一重、初期は底石なしで底にたまるフンが気になったら
フンとともにホースで吸い上げて3分の1か2分の1の水交換。

飼い主はフンが気になるから、与えるエサを減らします。
そう、それがキモでして、エサのやりすぎを自然とマスター。相互リンクにもしておきますね!!!



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