なんと、アロワナが水槽で産卵とな!!! (Fromタイ・バンコク) |
大きな池以外では、産卵が大変難しいサカナ。アロワナ。
特にアジアアロワナはワシントン条約で野生種は取引禁止、
養殖個体だけが高い値段で取引されています。
そして養殖とはいっても、大変大きな池に複数を自然に泳がせ、
なんとか増やしているという状況です。
アマゾン川のシルバーアロワナは採取するだけですが…。
さておき長い間、水槽での産卵成功が待ち望まれていました。
そして近年、水槽飼育で成功した報告が出てきました。しかし偶然でした。
偶然では「これだ」というノウハウは出来ませんので、色々な人がチャレンジしました。
まだ日本では数件しか成功例がありません。
つまり、定理みたいなものはマダマダ難しくて導き出せないという事です。
水槽で成功しない主な理由は、アジアアロワナが肉食オンリーのため縄張り意識が強く、
オスメスといえど混泳すら難しい…ということが挙げられるでしょう。
一緒に泳がすだけでもかなり少ない確率ですから、尚且つ産卵だなんて…。
<日本でのアジアアロワナ成功事例>
・ポンティアナ坂本氏(2回)
・吉岡春樹氏
シルバーアロワナ類は、報告例が見つかりませんでした。
(まだまだ現地で豊富に取れるからでしょうか?)
さて。それが、なんと!
学校の水槽で産卵したという驚愕な報告が入りました。
▲他にも成功事例はあると思いますが、「僅か」ということが分かればオツケイです。
一般のケンカ系魚類のペアリングについて
魚類系の好きな方が読者さんに多いため、釣った魚を飼育したいとかあるでしょう。
上手く飼育できれば、次は産卵にチャレンジしたくなるものです。
魚の中には(特に肉食のものですが)縄張りを持つもの、ケンカっぱやいものがいて
ペアリングが難しい種類が多く居ます。
・縄張りを持つもの=アユ、サケ科など
・ケンカっぱやいもの=アロワナ、シマイサキ、モンンガラカワハギ、フグ系など
上の二つは産卵期(成熟)を寿命などから推測し、それまでは同じ水槽を仕切ってお見合いさせます。
その後、タイミングを見計らい(又は、運を天に任せ)仕切りを外します。
▲アロワナが良いのは4~5歳のようです。
どんなに頑張っても上手く行かないのが、しょせん水槽。
自然環境を移植する事が出来ない限界でしょう。
特にシマイサキは海釣りで釣れますが、小型のものはとってもカワイイです。
飼いたくなる気持ちが分かるのですが何と言ってもスケールイーター。
・スケールイーター=他の魚のウロコを食べちゃう。
難しいデス。
縄張り・ケンカの意味をなさないように狭くする方法
養殖場などでは縄張り争いや共食いがあると経営が成り立ちませんので
狭いエリアにギッシリと魚を詰めこみます。
そうしますと、縄張りを張るエリアも無いので仲良く泳ぎます。
それを応用して水槽でもギッシリと魚を詰めこめばケンカをしない状態で
飼えることは飼えるのですが、産卵どころでは無くなります。
(だから養殖場では人工受精なんですよネ)
さて、ケンカをする魚の中の1種類、アロワナ類のお話ですが、今回のものはシルバーアロワナ。
(またはブラックアロワナかな=良く似ています)
アジアアロワナよりも性格が優しいので、ペアで泳がす可能性はまだ高いです。
成功事例も多そうなのですが、どうも見つかりません。
チャレンジしている人が少ないのか、(多く生息している為)ニュースにならないからか、
やっぱり難しいのか。私の探し方が足りないのかもしれません。(語句検索していないし)笑
さくだいおう様 初めまして、 私はタイにある在外教育施設バンコク日本人学校の中学部長をしております、 安立というものです。 実は個人的な趣味(機械式時計)から、web(機械式時計研究会やUMA)を知り、 いろいろ参考に、時には大変楽しませていただいております。 さて、本校の中学部では私が赴任した2000年の4月よりアロワナを2匹飼育しております。 本日(12日)の朝、その水槽(2000×600×600mm)の底の赤 で囲まれた部分)に 写真の様な直径およそ10mm弱のものが20個 以上もあるのに気付きました。 10日の夜にはありませんでした。 単純に考えると産卵したと思うのですが、残念ながら確信が持てず、 相談のメ ールを出させていただきました。 この4年間で初めてのことであり、児童・生徒も興味深く見守っております。 アロワナの卵であれば、どのような点に注意し水槽を維持すればよいか、 ご教授いただけるとありがたいです。 よろしくお願いいたします。 シルバーアロワナ(ブラックかも)ですね。 |
安立先生、こんにちは。さくだいおうです。 アロワナの産卵写真、しかと拝見致しました。 生徒の皆さんには残念ですが、どうやら死産のようですね。 ご存知かと思いますが、マウスブリーディング(口の中で親が育てる)を する魚のため、 小魚になるまではオスが絶食し口の中で育てます。 卵が死んでいても吐き出さないのが普通なのですが (普通は食べてしまうそうです) 吐き出した場合は???的なものがありますね。 どうしてなのでしょう…。 ご参考までに人工的にやる場合をご紹介しましょう。 強引にオスの口をあけ、タマゴを取りだし、 水の流れを起し、 その中に卵をつけていれば 発生するようです。(サケ科に比べて簡単です) 急いでお返事しましたが、詳しく調べてサイトで お返事したいと思います(写真をお貸し下さい)。 それまでは念の為、小さな水槽を用意し、 タモで卵をすくってブクブクで様子を見てくださいませ。 受精の状態などを判別する方法などを解説しようと 思いますが、資料に有ればいいのですが、 人工繁殖(=産卵まで行かせたレベル)を 養殖場の大きなイケスではなく、 「水槽」で 成功した人は大変少なく、日本では数人しかいないです。 すなわち、安立先生、快挙ですよ!!! PS:よろしければ水温、PH、水質(塩分濃度)、 水替え頻度などを分かる限りお教え下さると助かります。 |
さくだいおう様 早速のご返事ありがとうございます。 さくだいおう様のご指摘通り、本日水槽の卵を確認すると画像 (ややピンボケ気味です)の様な 色になっていました。 しかし、さくだいおう様の「マウスブリーディングをする魚のため、 小魚になるまではオスが絶食し口の中で育てます。」を参考に観察しました。 すると、なんと大きいほうのアロワナ(飼育を始めたころは小さかったので、 生徒によって「コジロウ」と命名されました)の口の下が画像 の様に、今までより膨らんでいます。 そして、じっと観察すること10数分後、口の中にオレンジに輝く卵らしきも のを確認しました。 私だけではと思い、教頭先生を含め4人の教師で確認しまし た。 水変えは、月に2回、水槽の半分くらい行っています。 フィルターの清掃は月に1回で、水変えとは別の日にしています。 後ほど、水質のデータを理科部の教員とともに測定し送らせていただきます。 「マウスブリーディング」をしている場合、どのような点に注意し飼育すれば よいでしょうか? よろしくご指導ください。 |
<アドバイス>
ウンチクを色々と述べましたが、産卵まではとにもかくにも難しそうですが、
ひとたび産卵まで漕ぎ着けてしまえば、あまり難しい事は無く、
あれこれと気を付けなくとも良いみたいですね。
そう、産卵すればこっちのもの!!!
ただマウスブリーディングの魚のため”取り出し”が難しい事が分かっています。
(口から出てしまうと稚魚を親が食ってしまう事もありますので)
禁止事項
●水換えはしない事=水質の変化で卵だけがアウトになります。
過去の方法ではフィルター容量を大型にしたパターンがありました。
(月2回の頻度ですから、今月だけはされない方が良いと思います)
●エサやりもしないこと=水の悪化が出ます。(メスと分けるのもひとつの手です)
予備水槽があった場合ですが…。
●水温は28度~30度で維持すると調子が良いようです。
●現在の水質が中性(PH5~6)から大きく離れている場合、
口の中の卵は既に死んでいる可能性があります。
つまり、水質を安定させておけば良いという事だけですね。
稚魚の取り出し
●そのままにしておくと、最終的にはオスが食べてしまうことが多々あるそうです。
約1ヶ月後に取り出してみましょう。情けをかけず、オスの口をぐいっと開けるのがコツだそうです。
(エラの下とアゴを片手で押さえ頭を振ればアゴを開けるそうです)
2.5cmほどの稚魚(ヨークサック付き♪)が沢山入っていると思います。
その稚魚達を同じ水質の別水槽へ移して、水質の急変だけに気を付けて維持すればOKです。
ヨークサックが吸収され、泳げるようになったら普通のエサを細かくしてあげます。
なんにせよ、産卵まで行っていたなんて凄いと感じました。見事、見事です。
学校の教室という騒々しい場所ですしネ。本当にアッパレです。
後は1ヶ月後。楽しみですね。
水質・水温・エサ・年齢などのデータは、これからチャレンジする後進の為の資料として
保存したいと思います。(なんだか大げさですけど!!!)
ところで、機械式時計研究会から読まれていらっしゃるとは。
UMAとのギャップでビックリされたことでしょうね。(同じ作者とは思われないですし)笑