生産ライン機器を開発するインド企業、パティル・オートメーションは2017年秋、ヒンズー教のお祭り「ガネーシュ・チャトルティー」で儀式用の皿を掲げるロボットアームを発表した。同社の広報担当者によると、テクノロジーと伝統の融合を示すことが目的で、アームはもともと荷役作業の自動化のために設計されたものだったという。

 2017年には宗教革命500周年を記念して、ドイツのヘッセン・ナッサウのプロテスタント教会が人間を「祝福する」ことができるロボットを開発した。ロボットは「BlessU-2」と呼ばれ、現金自動預払機(ATM)を基にした胴体にタッチスクリーンと両腕、顔が付いている。7国語で会話することが可能で、男性か女性の声で応答する。祈りの言葉も複数のパターンが用意されている。

 宗教的文脈におけるソーシャルロボットについて知るためBlessU-2を研究したブュルツブルク大学とジーゲン大学の研究者によると、1万人以上がロボットから祝福を受けた。研究リーダーのダイアナ・レフラー氏によると、コメントを残した約2000人のうち、半数をわずかに上回る人が肯定的、約29%がどちらでもなく、20%が否定的だった。神に対する侮辱だとコメントした人もいた。

 これらのコメントから、BlessU-2は人間の創造性の証明や宗教儀式の改善、宗教団体の影響力の拡大、他に選択肢がないときの礼拝の実施に利用できることが分かったという。レフラー氏によると、BlessU-2の祈りの言葉は無作為に選択されたものだが、神から授かったと解釈する人もいた。

 トロバト氏が開発したSanTOの原型とやりとりしたことがあるカトリック司祭のロイス・ドゥ・サン・シャマ氏は、こうしたロボットは今後、より多くの宗教的知識を獲得する可能性が高いとみている。宗教ロボットは15世紀の活版印刷機の発明や1963年のカトリック教会によるテレビの容認のようなものだと同氏は言う。「現在起きている媒体の変化が人間と神の関係や宗教活動にどのように影響しているかに注目し、研究することは興味深い」

(The Wall Street Journal/Rebecca Heilweil)