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2017年12月16日(土)

子どもの性的な問題行動 子どもたちに一体何が

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小郷
「けさのクローズアップ。
今日(16日)は、子どもの性的な問題行動について考えていきます。」


二宮
「これは、子ども同士で行われた事例です。
『パンツの中に手を入れられ、性器を触られた』『自らの性器をなめるように言った』。
こうした衝撃的な報告が、今、全国各地から上がっています。」

被害を受けた6歳の女の子です。
同級生の男の子に性器の周辺を触られました。

女の子の母親
「最初に聞いたときは、幼稚園生が言っていることなので、信ぴょう性がどこまで持てるのか、本当なのかうそなのか妄想なのか、私もよく分かりませんでした。」

その後、母親は、男の子が長女の下半身をなで回しているところを実際に目撃します。
母親はその場で注意しましたが、行為は繰り返されました。

女の子の母親
「娘が伝えてきていたことは本当だったんだと確信を持ったのと、その男の子に、そこは遊びで触るところじゃないんだよって、どういうふうに伝えたらいいんだろう。
今、この場でこの子をどう引き離したらいいんだろうと思うとともに、本当にどうしていいか分からなくて。」

こうした問題は、被害を受けた子どもも事態をよく理解できないため、表面化しにいくいと指摘されています。

学校でのセクハラ問題に取り組む団体 亀井明子代表
「被害の感情というのは、幼稚園の子、年齢が低い子もそうだけれども、私は被害者ですっていう感覚って、すごく少ないんですよ。」




二宮
「こうした問題は、全国にどのくらい広がっているのか。
NHKでは、先月(11月)全国の児童相談所にアンケートを行いました。
対象にしたのは、一般的に性的欲求が低いと言われる思春期前の子どもたちです。
すると、この5年間で、少なくとも275件の問題が起きていることがわかりました。」

小郷
「子どもたちに一体何が起きているのか、背景に迫りました。」

子どもの性的な問題行動 原因は身近なところに…

リポート:馬場勇人(NHK高松)

性的な問題行動は、なぜ起きるのか。
問題行動をした子どもの家庭環境について、当時通っていた保育園の保育士は、次のように話しています。

保育士
「お父さんが、家でアダルトビデオを見たり、暴力的なビデオを、子どもがいても見ていて、すごく困ったと、お母さんからお話をうかがって、そういう家庭環境もあったので、性的なところに向いてしまう子の気持ちが一番つらいというか。」

刺激の強い性的な映像を見たことが問題行動につながるのか。
その手がかりが2002年に発表されたアメリカの大学の研究にあります。
性的な問題行動を起こした3歳から7歳までの子どもを対象にした調査です。

テレビで裸の大人を見たことがあるは46%、テレビで性行為を見たことがあるは35%でした。
最近では、子どもが親のスマートフォンやタブレットなどに触れる機会も増えています。
広告のサイトなどで、予期せずに性的な映像が現れ、見てしまう恐れもあります。
この問題を脳科学の視点からとらえる専門家もいます。

加藤俊徳医師です。
子どもの脳は、善悪を判断する前頭葉がまだ発達していません。
このため、性的な映像を見て、善悪の区別をしないまま、真似することがあると加藤医師は指摘します。

加藤俊徳医師
「性的な刺激が脳に入ると、制御できない状態が起こりますね。」

加藤医師は、身近に氾濫する性的な映像が子どもの目に触れないよう、親が配慮すべきだと警鐘を鳴らします。

加藤俊徳医師
「ポルノとか写真とかDVDとかビデオとか、そういった情報をどの程度、どの時期に制御すべきか、お子さんをお持ちのご両親も、そういったことに対して、非常に関心を向けるべきだ。」

子どもたちの身近にあふれる性的な映像

小郷
「取材にあたった、高松放送局の馬場記者とともにお伝えします。
子どもたちの間で、こういったことが起きていたというのは、ちょっと衝撃を受けたんですけれども。」

馬場勇人記者(NHK高松)
「そうなんです。
私たちの身近な日常生活の中で、気をつけないといけないことを挙げてみました。


VTRでも紹介したように、スマホやタブレットで予期しないうちに性的な映像に触れてしまうことがあります。
そして、リビングに性的な写真が載っているスポーツ紙や雑誌が無造作に置かれていることもあるかもしれませんよね。
コンビニなどで、子どもの目の届く場所にグラビアの写真が載っている週刊誌が置いてありますよね。」

小郷
「低いところにあったりしますよね。」

馬場記者
「部屋の中で、家族が裸で歩いていることはないでしょうか。」

小郷
「ありますね。
お風呂にも一緒に入ったりしますしね。」

馬場記者
「ただ、こうした性的な映像を目にしていたとしても、必ずしも問題行動につながるわけではありません。」

二宮
「『性の問題』に関心を持つこと自体は、決して異常ではないと思いますが、遊びの中で、軽く接触したりすることもありますよね。
何が問題行動なのかが、分かりづらい部分もあるんですが。」

馬場記者
「専門家によりますと、注意をしてもやめずに、その行動にはまったら、それは『性的な問題行動』と見るということです。」

子どもの性的な問題行動 手探りの対応

小郷
「子どもを持つ親としては、被害者にも加害者にもなってほしくはないんですけれども、もし、自分の子どもが問題を起こしてしまったら、対策というのはあるのでしょうか?」

馬場記者
「この分野は、世界でもようやく研究が進んできたばかりです。
そのため、日本での子どもへの対応は、まだ手探りの状態です。

こちら、高松市にある児童相談所です。
5年前から、新しい治療法に取り組んでいます。




これが使っているテキストです。
『自分がついたうそを3つ書きなさい』とあります。」

小郷
「うそを書く。
これが治療にどうつながるんでしょうか?」

馬場記者
「“うそをついたことを認めたくない”と逃げる気持ちを受け止めてもらうことで、『自分は悪いことをした』と認識してもらいます。
こうした課題がいくつもあって、最終的に自分の感情や行動をコントロールできるようになることを目的としています。」

二宮
「こうした新しい治療法、日本全国どこでも受けられるんですか?」

馬場記者
「全国の83%の相談所では、このテキストを使用しているということです。
ただ、最大の課題は、どこの相談所でも職員の専門性がないことです。
高松でも、本当に効果を上げているのか検証できていません。」

児童心理司 松岡成行さん
「自分がやっている面接というのが、果たして、子どもにとってよい支援ができているのか、自問自答しながら日々支援している。
勉強したり、専門性をあげていかないといけないところはある。」

子どもの性的な問題行動 放置しておく危険性

馬場記者
「一方で、この問題を放置したままでいることの危険性を指摘する専門家もいます。」

大阪大学の藤岡淳子教授です。
性的な問題行動を起こした子どもたちには、極端に偏ったモノの見方をする傾向が現れることもあり、大人になってから、暴力、ストーカー、薬物依存などの犯罪を引き起こす恐れがあると指摘しています。
藤岡教授は、こうした子どもたちも社会の被害者であると捉え、社会全体で治療していく必要性を強く訴えます。

大阪大学大学院 藤岡淳子教授
「小さい頃は、加害とか被害とか関係なく、みんな被害者なので、被害を受けた人のケアと、それが加害に回らないようなケアと教育を、きちっとやっていくことが責任ではないか。」

小郷
「加害者である子どもも被害者という視点に立って、この問題の対策につなげる必要があるんですね。」

馬場記者
「あくまでも、問題を起こす全ての子どもたちが犯罪に結びつくというわけではありませんが、何よりも、社会はこの問題にもっと関心を持つべきだと思いました。」

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