【首都スポ】パラ競泳・小池さくら、2020東京で満開のさくら咲かせる!2019年4月2日 紙面から
東京パラリンピックを来年に控え、競泳女子で、東京・日体大桜華高3年の小池さくら(17)が注目を集めている。昨年10月のアジアパラ大会(ジャカルタ)で100メートル平泳ぎ(運動機能障害SB6)で1分47秒48のアジア新記録を、100メートル自由形(S7)では日本新記録をそれぞれ樹立するなど、5種目でメダル(銀4、銅1)を獲得した。東京パラリンピックでの表彰台に期待が高まっている高校生スイマーを直撃した。 (山崎照朝) 東京パラリンピックの表彰台へ、夢をつなげる活躍だった。昨秋のアジアパラ大会100メートル自由形でアジア新記録を樹立するなど、小池は出場7種目で5つのメダルを手にした。それでも、この1年を振り返った自己採点は「うーん、60点。目指してきたことの60%しか、できなかったから」と辛口だった。 生後11カ月で、脊椎に血の塊ができる脊椎硬膜外血腫を発症。へそから下がまひした。水泳はリハビリを兼ねて幼少から習っていた。「もっと上手に泳ぎたい」。所属していたスウィン大教スイミングスクール蓮田(埼玉)で水泳に熱中した。 母・久佐子さん(45)によると、小6だった13年、小学校の発表会で、手作りの金メダルを首からかけ、「水泳でパラリンピックに出場して、金メダルを取る!」と宣言したという。20年東京五輪・パラリンピック開催が決まったのは、この年の秋だった。 現在のコーチは、日本代表監督を務める峰村史世さん。「強くなりたいならこの人に習ったら」と紹介され、中1だった14年から指導を受けるようになった。パラリンピックを知り、「こんなに輝ける泳ぎがあるんだ」と心を奪われた小池が、初めて大会(関東大会)に出場したのもこの年だった。「いろんな障害、ハンディのある選手が自分の泳ぎ方で泳いでいて感動した。すごいなと思ったし、健常者のオリンピックと違う見方ができた」と、パラ選手に魅了されたという。 しかし、順風満帆とはいかなかった。16年にはリオデジャネイロパラリンピックの日本代表選考会、今年3月には世界選手権出場権が懸かっていた静岡選考会と、ともに派遣標準記録の突破に失敗した。 本人は「リオの時はまだ水泳をよく知らなかった。今回の静岡選考会は2週間前の合宿中に腰を痛めて…」と振り返るが、峰村さんは「筋トレで体が大きくなっていて、腰に負担が増した」と分析。今は練習量を減らし、早期復帰を目指している。 「世界選手権選考会(で出場権)を落としたので、他で頑張らないと。周りは『腰が原因ではないか』と言うが、やっぱりメンタルの弱さだと思っている」 昨秋のジャパンパラ大会に、憧れのリオパラリンピック自由形(S7)3冠王者のコーン(米国)が来日。東京パラリンピックでは、そのコーンと400メートル自由形で「同じ舞台に立つのが夢」と言う。 「落ち込んでいる暇なんてない。とりあえず400メートルでベストを尽くし、アジア新記録を400メートルで出したい。100メートル平泳ぎでも自己ベストを更新したい」 東京パラリンピックの代表権争いは来年3月まで続く。母が病院の窓から見た満開の桜にちなんで付けられたその名の通り、きっと晴れの大舞台で、“さくら”の花をいくつも咲かせてみせる。 ◆アラカルト◇水泳とは 「性格を明るくしてくれたのもスイミング。1週間で6日は水の中。昨年からマシンを使った筋トレをしてます。(リハビリの成果で)今はつえで歩けます」 ◇趣味 「最近は韓国ドラマに凝っています」 ◇好きな食べ物 「牛丼。私のソウルフードです」 ◇好きなタレント GENERATIONS from EXILE TRIBE ◇一番大事な物 「イヤホンです。いつも音楽が流れていないとダメなんで忘れた時は暗い1日になってしまう」 ◇乗馬 「(リハビリに)ホースセラピーというのがありました。水泳に代わるスポーツをと聞かれたら、乗馬ですね」 <小池さくら(こいけ・さくら)> 2001年(平成13)4月3日生まれ、さいたま市出身の17歳。日体大桜華高3年。17年世界選手権(メキシコ)日本代表。同年、旗手を務めたアジア・パラユース大会では金2、銀2、銅1。8種目の日本記録保持者。家族は父・淳一さん(46)、母・久佐子さんと犬2匹。
◆まだまだ伸びる▽日本代表・峰村史世監督(小池について)「彼女はコツコツと努力するタイプ。昨年はアジア新記録を出して急成長した。高校生で、若さは武器。進化する引き出しをいっぱい持っているし、まだまだ伸びる。メンタルを強化して、まずは(東京パラリンピックの)代表権を得ることに集中してほしい」 ◆パラ競泳のクラス分け【種目】 ▽S=自由形・背泳ぎ・バタフライ/SB=平泳ぎ/SM=個人メドレー 【クラス表記】 ▽1~10=肢体不自由(SBでは1~9) ▽11~13=視覚障害 ※いずれも、数字が小さい方が障害は重度 ▽14=知的障害 ▽15=聴覚障害 ▽21=肢体不自由、視覚障害で、S、SB、SMいずれも1~13に該当しない場合(日本独自のクラス) ※違うクラスで、同じ種目を同時に泳ぐことがある 【小池の出場クラス】 S7、SB6、SM7 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。
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