トップ > 中日スポーツ > ゴルフ > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【ゴルフ】

畑岡、逆転で米3勝目! 「黄金世代」トップの意地

2019年4月2日 紙面から

18番でティーショットを放つ(共同)=米カリフォルニア州カールズバッドで

写真

◇起亜クラシック<最終日>

 ▽3月31日、米カリフォルニア州カールズバッド、アビアラGC(6609ヤード、パー72)▽晴れ、26度、北東4メートル▽賞金総額180万ドル、優勝27万ドル▽78選手

 【カールズバッド(米カリフォルニア州)テッド・ムース】畑岡奈紗(20)=森ビル=が逆転で米ツアー3勝目を挙げた。1打差の2位から出て6バーディー(1ボギー)を奪う猛チャージ。67をマークし、通算18アンダーで優勝、賞金27万ドル(約3000万円)を獲得した。同組で回ったメジャー7勝の朴仁妃(パク・インビ)=韓国=ら強豪を途中から突き放し、2位に3打差をつける圧勝ぶりで、4日間大会では初の勝利。次週の今季メジャー初戦、ANAインスピレーションに向け、格好の弾みとなった。

 日本で新しい元号が発表されて沸き返っているちょうどそのころ、日付が変わっていない米国でも、新しい時代の幕開けを告げるシーンが展開されていた。20歳の畑岡が、米ツアー18勝、うちメジャー7勝とこれまで女子ゴルフ界の象徴になっていた朴との直接対決で圧勝。ツアーの主役交代を世界に印象づけた。

 1番のバーディーで首位をあっさりとらえ、前半で順調に伸ばした。ドライバーで打った朴を、3番ウッドの畑岡がオーバードライブすることもたびたびあった。後半も10番と15番を取った。だが、安全策から3番ユーティリティーを握った16番パー4の第1打が引っかかり、池に入れてボギーにしてしまった。

 畑岡は「正直、動揺した」という。13番あたりから出ていたひどいせきが止まらない。集中力が途切れそうになった。こうして迎えた17番パー5で、勝負をかける一打が待っていた。

 残り97ヤードの第3打。ボールはフェアウエーだが前上がりの強い斜面にあった。息をするのも苦しく、吐きたい心境だった。だが「考えすぎるな。左にだけは引っ張るな」と自分に言い聞かせ、54度のウエッジを振った。打球はピン下30センチに。勝利を決定付けるショットになった。

 いつも以上に勝ちたい理由が、一つあった。日本で仲のいい河本結がアクサ・レディスで初優勝したことを知った。脇元華、臼井麗香も最終日最終組で回った。ジュニアのころから競ってきたライバルたちだ。「(河本とは)インスタでつながっているので、おめでとうメッセージを送ろうと。私も負けてられないと思いました」。同じ1998年度生まれで「黄金世代」のトップを走る存在としての意地があった。

 うれしいご褒美もある。冠スポンサーの起亜は韓国の自動車メーカーとあって、副賞に車がもらえることになった。畑岡にとっては初めての車だ。「うれしい! 移動に必要だと思っていたので。かっこいい車です」と大喜びした。

 4日からメジャー第1戦、ANAインスピレーションが始まる。日本人のメジャー優勝は、1977年全米女子プロを制した樋口久子だけ。平成最後のメジャー戦に、42年ぶりの快挙をかける。

<畑岡奈紗(はたおか・なさ)> 1999(平成11)年1月13日生まれ、茨城県笠間市出身の20歳。158センチ、62キロ。森ビル所属。名前は米航空宇宙局(NASA)に由来。11歳でクラブを握り、中2から中嶋常幸主宰アカデミー入門。翔洋学園高2年時の2015年関東高校選手権夏季大会、国体個人優勝。16年春からルネサンス高に編入、関東女子アマ優勝、日本女子アマ2位、日本女子オープンで史上初の国内メジャーアマチュアV達成。同年10月10日プロ転向。17年から米ツアーを主戦場に。同年の国内戦では9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子で勝った翌週、日本女子オープンで大会新となる通算20アンダーをマークし、2年連続優勝。国内ツアー通算3勝。

 

この記事を印刷する

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ