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2019-04-02

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・ことわざの話を、こんなふうに続けるつもりはなかった。
 でも、義務にならない程度に、
 思い出すままにぽつぽつとやるくらいはいいかなと、
 また今日も書くつもりになっている。

 それはそうと、映画『ダンボ』がよかったので、
 当初の予定通り『運び屋』も観に行って、
 これがまた、友人たちの言うとおり、とてもよかった。
 どっちか一本だけ観るという人たちに、
 どちらを薦めるかといえば、『ダンボ』のほうだ。
 魅力的な老人の活躍もとてもいいのだけれど、
 空飛ぶ子象のことを信じて生きる2時間ばかりは、
 なんだかもっといい時間のような気がするからだ。

 で、さて『豚もおだてりゃ木に登る』である。
 意味は、もう、そのままだから考えるまでもない。
 重要なのは、その「おもしろさ」のほうである。
 ぼくが、このことわざを知ったのは、
 20歳のころの「コピーライター養成講座」の講義中、
 黒須田進次郎先生が口にしたからだった。
 「豚もおだてりゃ木に登るっていうくらいでさ…」
 と、冗談としてしゃべったのだけれど、
 ぼくは、さすがにコピーライターの先生って、
 おもしろいことを言うなぁと感心して聞いていた。
 先生のオリジナルのことばのように聞こえたのだが、
 後で訊ねたら「そういうことわざがあるんだよ」と、
 さらっと教えてくれた。
 おだてられた豚が、木に登っているところを想像すると、
 なんだかたのしくなってくる。
 ついでに、ある授業のときには、
 日本に多い七五調のリズムの例として、
 「この土手に登るべからず 警視庁。とかね」と言った。
 これも、「よく例に出す決まり文句だよ」ということだ。
 まぁ、おもしろいおじさんがよく言う
 「見上げたもんだよ、屋根屋のふんどし」みたいな
 「庶民の古典」というものなのだろうな。
 教訓とかいうものじゃなく、ただ会話をおもしろくする。
 こういうことば遊びの類も、けっこういいもんだぜ。
 ただ、まぁ、嫌がられないように、
 薬味ていどに使うことが大事なんだとも思うけどね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
川柳だとかも、会話にうまいこと混ぜるとかっこいいよね。


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