いぬねこぐらし|國森由美子のキャッツアイ通信「世のねこ」

この連載では、「世の中」の諸地域の猫事情をご紹介! 猫や動物が大好きな方、猫と暮らしている方はぜひご覧ください。
筆者と愛猫ミルテのオランダねこ暮らしも毎月お届けします♪

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海を渡った猫たち

海を渡った猫たち

前回、米国へ移住した元オランダ人の児童書作家、マインデルト・デヨングさんとその猫作品について書きました。
米国づいたついでに(?)、今度はマインデルトさんと同じようにヨーロッパからアメリカ大陸へ渡った猫たちのことを書きます。

かつて、ヨーロッパから新大陸アメリカへ向かった船には、貯蔵食糧のネズミ対策として猫も乗せられていました。
つまり、人間だけでなく猫たちも海を渡り、新大陸に移り住んだ(移猫?)ということになります。
途中で沈没した船もあったのです。そうすれば、猫たちも乗船者たちとともに運命をともにしたことでしょう。
しかし、そんなことが繰り返されつつも、新大陸アメリカに無事到着し徐々に根づいていったヨーロッパの猫たちは、新たな進化(?)を遂げることになります。

上:ブリティッシュショートヘアー 下:アメリカンショートヘアー

よく知られているのは、遥か昔にローマ人が英国へもたらした猫たちが、その後何代も経て、1800年頃にはブリティッシュショートヘアーと呼ばれるようになっており、その猫たちがアメリカ大陸に渡った後、今度は北米でじわじわと繁殖、ついにはアメリカンショートヘアーが形成されたという猫の歴史です。

ブリティッシュショートヘアーは一般的に温厚な猫なのだそうで、その子孫に当たるアメリカンショートヘアーもその血を引いており、しかも好奇心が強く遊ぶのが大好きで、いわゆる「いい性格」の猫、人とともに暮らす家猫として理想的なのだそうです。

オランダに住む筆者の友人、桃子さん宅のしまちゃん。ブリティッシュ・ショートヘアーです。

▲メインクーン

アメリカに渡った猫たちのうちには、当然のことながら他の種類の猫たちもいました。
現在はメインクーンという純血種となった猫たちの祖先も、おそらくヨーロッパからアメリカへの初期の「移住猫」だっただろうといわれています。
メインクーンはもともとフランス系の長毛種の猫で、厳冬のメインにもよく適応し(だから根づいたのですね)、
性格はやさしく、また、子どもと一緒になって羊を小屋に誘導したりもできるほど賢いそうです。

私は、キャットショーというものになんの興味もありませんが、こんな風にして掘り下げて考えていくと、ここで例にあげたような、現在純血種として「商品化」されている猫たちのほんとうの祖先は、概して雑種に雑種を重ねた歴史を持つ普通の猫たちだったのだということがわかります。

いずれにせよ、人間の世界と同じように、もしも「猫の世界」というものがあったならば、そこには純血種も雑種もないのだろうと私は想像します。

今月のミルテ「ピアノ椅子を占領中です…」

「ボクのご先祖さまはどんな猫だったのだろう?」

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