この連載では、「世の中」の諸地域の猫事情をご紹介! 猫や動物が大好きな方、猫と暮らしている方はぜひご覧ください。
筆者と愛猫ミルテのオランダねこ暮らしも毎月お届けします♪
少し重い話題になってしまいますが、
これはぜひお伝えしたいと思っていたことなので、あえて書こうと思います。
昨年3月11日の東日本大震災の際、不幸にして起こってしまった福島第一原子力発電所の事故のおかげで同発電所の周辺20km圏内が警戒区域となっていることは、みなさまもご存知のことと思います。
事故後、ここは強制避難区域とされ、住民は区域外へ出ることを余儀なくされました。大地震に見舞われてまもなく、状況もよく飲み込めないままに住みなれた地を後にしなければならなかった方々の混乱たるや、推して余りあるものがあります。
でも、そうして自分の意思で避難することのできたのは、実は人間だけでした。
動植物は…人の手の届かない野生の生命体は言うにおよばず、住民とともに暮らしていた家畜、ペットたちもその多くが取り残されてしまったということでした。
その後どんな事態が起こったかをご存知の方もいらっしゃると思います。
私も昨年よりインターネット上などに広まった画像や記載を通して、どうしようもない無力感に苛まれながらもそんな動物たちのようすを追いかけていました。
そのうちに、それでも避難せずに富岡町に残り動物たちの世話を続けながら暮らしている、松村直登さんという方がおられるのを知りました。
また、あれから一年半以上経った今もなお、警戒区域に残されている動物たちを救出し、里親探しを続けているNPO(非営利法人活動団体)がいくつかあるということもわかりました。
そして、そのような活動をオランダから応援している友人のグループがあります。
それは”Animal Rights for Japan (日本名は「日本の動物たちのために」)”という名のNPOで、ここではオランダ人と日本人とが協力して活動を行っています。
このNPOは、(日本の)動物の権利にもっと目を向けてもらいたいという願いのもとに設立、活動を続けていましたが、今回のこのありさまを見て黙っていられるわけはなく、アムステルダムでの太田康介氏写真展「のこされた動物たち」開催に協力しています。
この写真展(左写真上がアムステルダムでの同展ポスター) の反響は大きく、オランダの大手紙『NRC経済新聞』の編集部員で自らも同紙上に毎日(すごいですね!)コラムを書いているフリッツ・アブラハムス(Frits Abrahams)氏もさんざん迷った挙句に同展を訪れ
「怖れていたよりもさらに胸の張り裂けるような写真展だったが、悔やみはしなかった」と記しています。
以下、その日のコラムの結びを翻訳でご紹介します。なお、翻訳するにあたっては氏(猫好きです)よりご許可をいただきました。
「なかでも私が心を打たれたのは二匹の猫の写真で、それは二つの餌入れの上に頭をつきだし座っている母子猫だった。猫たちの上には、大きなダンボール板が聳(そび)え立っていた。猫たちは助かったのだ。ありがたい。」
─NRC経済新聞フリッツ・アブラハムス氏コラム(2012年10月11日付)「取り残される」より─
参考情報:
松村直登さん関連新聞記事
○AFPBB News|警戒区域に1人住み続ける男性、福島県富岡町:
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2845792/8198977
○ロズリンの部屋|NPO法人「がんばる福島」 副代表 金子健司 さん 前編:
http://blog.apagard.com/roslyn.php?itemid=5491
(NPO法人「がんばる福島」への寄付先と活動状況ブログの案内も掲載されています。)
ゲージュツの秋ごっこをしているつもりなのか、
なんとも生真面目な表情です。ぷぷぷ。
國森由美子のブログ「オランダなんでもメモ」
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