菅直人首相(民主党代表)は17日、参院選マニフェスト(政権公約)を発表する記者会見で、消費税(現行5%)の増税を含む税制改革について「2010年度内に改革案を取りまとめたい」と表明した。当面の消費税率は「自民党が提案している10%を一つの参考にさせていただく」と述べた。首相が具体的な税率に言及したのは初めて。自民党も同日、消費税率引き上げを盛り込んだ参院選公約を発表。消費税の扱いが7月11日投開票の参院選の争点に浮上してきた。
参院選マニフェストでは、消費税を含む税制改革に関し超党派協議で早期に結論を得る方針を示した。首相も税制抜本改革の進め方について、参院選後に超党派の協議を呼びかける考えを表明。同時に「ある段階まできて難しいということになれば、民主党中心で最終的な案を取りまとめる」とも述べ、民主党単独で改革案を取りまとめる可能性にも触れた。
首相は10%とする税率について「自民党が提案している」以外の根拠は明らかにしなかった。消費税率の引き上げ時期に関しては「今の段階で何年度からと言うのは難しい」と指摘。そのうえで「大きな税制改正を行う場合は、実施前に国民のみなさんに判断をいただくことが本来あるべき理屈だ」と語った。消費税増税の具体案を取りまとめても、実際に税率を上げる前には衆院選で民意を問う手続きを踏む意向を示したものだ。
消費税率の引き上げは、税率や軽減税率の対象などの改正案がまとまっても、一定の周知期間が必要になる。玄葉光一郎政策調査会長は引き上げ時期について、首相発言を補足するかたちで「仮に今年度内に超党派の合意ができても、実施するのは12年の秋が最速になる」との見通しを示した。
民主党は昨年の衆院選マニフェストで消費税議論を事実上封印し、鳩山由紀夫前首相も「4年間は消費税を上げない」と言明していた。これまでの党方針を百八十度転換する首相の発言に、党内の一部から反発の声も上がっている。
増税の必要性について首相は「日本の財政は債務残高が国内総生産(GDP)比で180%を超えている」と強調。「財政再建に取り組まないと、例えば国際通貨基金(IMF)のような機関に、はしの上げ下ろしまでコントロールされる」と危機感を表明した。
春割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が5月末まで無料!