白くまラプソディ6~ヤマアラシ


朽ち木を枕にした白くまが寝返りをうつと
ぱきぱきと小枝が爆ぜて
さえずり合っていた
朝を待ちきれないムクドリたちが
慌てて飛び去っていく

  片目の白くまに会ったのは、深夜の散歩の途中
  ぼんやりと輝くオレンジを確かめようと
  僕は森の奥に入っていった

  かき集めた落葉が
  赤々と燃える炎のそばに
  白くまが座っていた
  向かいに座ると
  白くまは何もいわず山葡萄をわけてくれた

  頭に巻きつけたボロボロの布切れ
  じっと炎を見つめる左の瞳
  よく見ると頭から右肩にかけて
  体毛がこげ茶色に汚れていて、痛々しい

  白くまは
  何も聞かない
  だから僕も
  傷ついた体のワケを聞かない
  山葡萄をたいらげたあとも
  何となく居心地がよくて
  僕はうずくまっていた

  白くまが
  またひとつ枝を差し込む
  つかのま黄色い炎が包みこみ
  やがてオレンジに溶ける
  白くまはときおり
  ふかふかのデカイ手を
  ギュリッ、ギュリッと握りこむ
  感情でも握りつぶすように

  炎に染まる柔らかそうな毛並みを
  恨めしそうに見つめながら
  僕は背中のハリすくめて
  その鋭すぎる体毛ゆえに
  誰とよりそうこともできない
  己の孤独なサガを噛み締めていた

白くまは
まだ眠っている
そろそろ起こそうかと立ち上がったが
潰れた右の瞳が
濡れているのをみて
僕はまたしゃがみこんだ