白くまラプソディ3~逃亡
追われていた
ずいぶん駆け続けている
山狩りの灯が
遠くで揺れている
岩の上におまえを置き去りにしてから三日目
朝靄をぬって漂う嫌な匂いで目が覚めた
荒々しい息づかい
そのさらに後方に感じたことのない危険
最初に現れたのは痩せた犬だった
鋭い牙が食い込み
汚らわしい唾液にまみれて
おまえが歪んでいた
気づいたときは
奪い返したおまえを額に巻いて走っていた
森に轟いたデカイ破裂音
あれは何だったのか
本能が警告している
想い出したら踊ればいい
踊り疲れたら眠ればいい
ずっとそう思ってた
(生きる意味なんて
(探し求めるもんじゃないの
(どうせ後からついてくるわ
(最後の最後にかっこよく締めくくってやれば
(それでいいのよ
そんな風に言ってたな
今気づいたんだ、大切なもの
今わかったよ、守るべきもの
そして、生きることの意味
待ってろよ
もう迷わない
風をきって 風をきって
北へ ただ北へ
凍える大地をめざして
おまえのぬくもりをめざして