☆☆☆ 白くま読本(背景解説) ☆☆☆

ここでは、『白くま』本編をちょっと休憩して
力不足で描きこめなかった部分について
少し背景を説明しておきます


 

白くまはなぜ涙を流したのでしょう
また、アザラシとはどういう因縁なのでしょう

北極を離れ都会(森)へでてきたのは
好きなダンスで立身し、故郷に錦を飾るため
しかしそれはあくまで虚勢だったのです

幼い頃から戯れた白いアザラシ
白くまは、成長して、恋をして
自分が予想以上にデカく成長してしまっていることに戸惑い
本来食する対象を愛してしまった切なさを募らせます
決して結ばれない儚い恋
食べたいという本能と、愛したいという想いの葛藤の末
白くまは、生きる道をダンスと定め
故郷と訣別するのです

白くまは、遥か遠い故郷北極の
幻想的な夕陽を想いだして泣くのでしょう
白くまは、別れたアザラシの
面影を忍んで泣くのでしょう
白くまは、あいかわらず
デカい手を握り締めて泣くのでしょう

あの日、白くまは、故郷へ帰る日がくることを占うような気持ちで
アザラシの手ぬぐいを置き去りにしました
三日後に手ぬぐいが残っていれば
彼女を想うことを許される
無くなっていれば
「忘れた方がいい」という神の声と決めました

三日というのは
優柔不断な気持ちを律するために自ら定めた時間
一日では短すぎる
三日以上では無くなっている可能性が高すぎる
三日という中途半端な時間の設定に
白くまの迷いが見え隠れしています
そのくらい深い愛ってことでしょう




それでは、引き続き『白くま』をお楽しみください