白くまラプソディ1~出会い


ある日、森の中で白くまを見つけた
そおーと後をついてゆく
川べりまでくると
白くまは激しく、それでいてとても器用に
コミカルなダンスを踊りはじめた

白くまは、しばらく踊っていたけれど
陽が傾くと、座りやすそうな岩にどっかり腰をおろし
おでこに巻いていたアザラシの刺繍入りの手ぬぐいで
したたる汗を拭いた
真っ赤な夕陽
桃色に染まったふかふかの毛なみに
虹の汗が光っていた

白くまの肩がふるえている
夕陽を見つめて泣いているのだ
武骨になりきれない
そのどうしようもなく柔らかいコブシを
堅く、堅く、握り締めながら

やがてとっぷり暮れると
白くまは静かに立ちあがり
蒼い月あかりを背中にしょって
森へ帰っていった

きょうもいちにち ごくろうさま
ゆっくりおやすみください

岩の上には
可愛らしいアザラシが残されていた