好評です!
ほぼ日のアプリあります。

logo_1101

2019-03-31

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・解説とか批評とかっていう前に、
 映画見た帰りに道でともだちとばったり会ったとして、
 どんなこと言うんだろうと考えたんだけど、
 まずは「ダンボ、よーかったーーー!」である。

 続けてダメ押しのつもりで、
 「ティム・バートンで、ダンボなんだから、
 おもしろいに決まってると思っていたんだけど、
 ほら、そういう場合ちょっと心配じゃない。
 これでハズレたらどうしようみたいなさ。
 そういうことって、あり得るしね…」とか言うよな。
 親しいともだちだったら、そこらへんで
 「よかったんだ、ダンボ」と確かめるように言うだろう。
 「もう、しょっちゅう泣くのよ。
 ダンボが飛ぶだけで泣けちゃうんだよ。
 おれも飛びたいんだろうね、あんなふうに。
 何度も飛ぶから、その数だけ泣いたよ。
 そんで、その都度、飛ぶに至る理由があるからね、
 そこらへんで涙の分量にちがいが出るかもしれない」
 ともだちは、もう観る気になってるかな、ここらで。
 でも、さらに訊くんだろうね。
 「実写なの、ダンボ?」
 アニメだと思ってるかもしれないしね。
 「実写と3Dアニメの合成かな。
 なにせほれ、ティム・バートンだから美術はすごいぞ。
 世界でいちばん<現世の地獄感>を表現できる監督だよ。
 そこに耳のでかい子象が飛ぶんだから、たまらんち!

 「登場人物が全員、不自由を抱えているんだよね。
 それは悪役、敵役もそうなんだよ。
 そういうものの象徴みたいにかわいいダンボがいてさ、
 どうぶつだから、あんまりさ、
 人間みたいな煮詰めた感情を持ってないんだよ。
 その薄めてもほんものみたいな感情の表現が、
 すっごうくいいんだよね、んで、飛ぶんだよ」
 ぼくは、わやわやしたへんなおじさんになってる。
 「他にも観たい映画はあるんだよ、この時期。
 だけど、ぼくはダンボから観てよかったと思っている。
 もうね、ダンボが飛ぶだけで、キミが幸せになれるぞ! 
 ダンボのこと、うちのこみたいな気持ちで観ちゃうよ」

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ひさしぶりに映画館に行って、ほんとにゴキゲンになった。


ここ1週間のほぼ日を見る コンテンツ一覧を見る