記念すべき与田竜初勝利の瞬間は午後5時12分。横浜の陽はまだ高かった。序盤から最弱が最強を圧倒し、押し倒した。というのも昨季の中日は、セ・リーグ最多の49試合のデーゲームを戦い、勝率は最低の4割3分8厘(21勝27敗1分け)に泣いた。対照的に最も強かったのが勝率6割3分6厘(21勝12敗)のDeNAだった。
チーム打率はナイターより6厘落ちるが、防御率はむしろアップしている。得失点マイナス35が示すように効率が悪かったのだろうが、ブルペンには「昼間に強い男」が2人控えている。
「それはたまたまなんでしょうけど、僕にとっての開幕なので緊張しました。力んだ中で点を取られずに終われたのでホッとしています」
こう話したのは7回に登板した祖父江だ。昨季はナイターの防御率が3.93なのに対し、デーゲームは1.26。この試合も1安打無失点で勝利のバトンをつなぎ、昼間の男、健在を示した。
もう一人はナイターが2.56でデーゲームが0.77の佐藤。こちらも自覚はなかったが、データは物語っている。逆にいえば他の選手はよくて同じ、多くは昼の方が成績を落としている。プロの選手にコンディションの重要性を説くつもりはない。単なる巡り合わせかもしれないが、そうだとすると6年間も偶然が続いていることになる。
デーゲームで最後に勝ち越したのは2012年。熱心な読者はお気づきだと思うが、連続Bクラスとピッタリ重なっているのだ。本拠地がドーム球場なので、カスタマーファーストで真夏でも週末はデーゲーム開催ができる。必然的に他球団より多くなる。すなわち「それも巡り合わせ」で済ませてはいられない。
ちなみに開幕カードもこの6年間はオール負け越しの3勝15敗。昼間も開幕カードもAクラスにいるころは互角以上に戦えていた。「たかが」ではないということだ。31日の試合には、7年ぶりの開幕カード勝ち越しがかかっている。