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中国人強制連行の記録 Issue#01 2004.5.21 Record of Chinese-Laborers

中国人強制連行とは

全面解決へ向けて

中国人強制連行・強制労働の全面解決を
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証言

加害証言
「兎狩り作戦」は実在した -田辺敏雄氏の反論に答える-/小島隆男
被害証言
大阪築港への中国人強制連行/傅 寿亭


論文

中国人強制連行の歴史と現在/田中宏
中国人の強制連行と国・企業/田中宏


裁判

外務省隠蔽文書が語る中国人強制連行の真実
強制連行隠ぺい 事実認めて和解図れ/ 中国新聞社説
隠ぺい工作 生々しく/ 西日本新聞記事
新潟港強制連行裁判/北海道強制連行裁判/福岡、三井鉱山強制連行裁判


資料

中国人強制連行・労働事件判決結果一覧
文献案内


全面解決へ向けて


戦後60周年を迎えるにあたり
中国人強制連行・強制労働問題の全面解決を
-日中両国民の信頼を確立し両国の平和的・安定的発展のために-

1.日中戦争が終結してから60周年を迎えようとし、日中共同声明により国交が回復されてから32年を経ようとしています。この間、日本と中国の文化的・経済的交流は深まり、とりわけ経済関係は急速に発展し、お互いの国がなければ経済が成り立たないといわれるほどに相互依存関係が強まっています。

 他方で、靖国問題、尖閣諸島問題、2003年のチチハル遺棄毒ガス事件などに見られるように、日中両国の政治的関係は不安定であり緊張感が増しています。このことは、日中両国の平和的・安定的発展にとって深刻な事態といえます。

2.日中両国の政治的関係が不安定であり緊張感が増しているのは、日本の戦争責任・戦後責任問題が未解決であることが主たる要因であると指摘されています。

 日中関係発展の基礎は、日中両国民の信頼関係の構築にあります。日本が過去に行った戦争について真摯に反省し、再び戦争を繰り返さないための不断の努力こそが信頼関係構築にとって重要なことです。

 90年代に入り「慰安婦」事件、遺棄毒ガス事件、強制連行・強制労働事件、731部隊事件、南京事件、細菌戦事件、平頂山事件などの被害者らは、日本政府に対し、事実を認め、謝罪し、賠償することを求めてきましたが、日本政府は極めて不誠実な対応を繰り返しており、それが日中両国民の信頼関係を妨げている原因の一つとなっています。

 戦後60周年を迎えるにあたり、日中間の平和的かつ安定的な関係を築き上げるために、これらの残された課題を解決することが求められています。

3.その中でもとりわけ中国人強制連行・強制労働問題の全面解決が、緊急に実施すべき現実的課題として浮上してきています。
 中国から日本へ強制連行され強制労働させられた人々は約4万人といわれています。これらの人達は、35社日本全国135の事業所(炭坑・鉱山・土建現場・港湾など)で賃金を支払われることなく過酷な労働を強いられ、非人間的な処遇のもと約7000名弱の人達が死亡しました。

 これらの強制連行・強制労働の被害者らは、90年代に入り、日本政府と企業を相手に損害賠償の訴えを提起し、それらの裁判は現在全国11の裁判所で争われています。そして、2001年7月の劉連仁東京地裁判決では国の、2002年4月の福岡地裁判決では企業の、2004年3月の新潟地裁判決では国と企業の、それぞれ損害賠償責任を認める判断が下されました。国際的にも、国際労働機関(ILO)の条約勧告適用専門家委員会は、ILO29号条約(強制労働禁止条約)違反を認定し、その解決のために日本政府に対し再三にわたり被害者救済を勧告しています。さらに、ドイツでは、2000年7月、強制連行・強制労働被害者の救済のために、「強制労働」補償基金(『記憶・責任・未来』基金)制度が創設され、国と企業が100億マルク(日本円で約540億円)を拠出し、これに基づき強制連行・強制労働問題の全面的な解決を図るに至っています。

  被害者らはいずれも、現在なお人間としての尊厳が回復されないまま放置されています。被害者はいずれも高齢であり、被害者らが生存中にこの問題を解決し、被害者の人間としての尊厳を回復することがいま緊急に求められています。  

4.私たちは、その解決のために、「中国人強制連行・強制労働補償基金」(補償基金)を提案します。

 この補償基金は、中国人強制連行・強制労働事件を全面的に解決するために実現可能な提案であると考えます。

 その理由は、第1に、補償の対象が企業及び政府が作成した資料(事業場報告書、外務省報告書)によっても38,935名と明確であること、第2に、中国人被害者に対して約8000万円(現在の貨幣価値に換算すると約800億円)の未払賃金がありその大部分が国に預託・供託されたまま今日に至っていること、第3に、中国人を強制労働させた企業35社が国から「補償金」として約5672万円(現在の貨幣価値に換算すると約600億円)を受け取っており、国のみならず企業に対しても基金への拠出を求める財政的合理性が認められるからです。    

5.私たちは、戦後60周年を迎えるにあたり、中国人強制連行・強制労働事件を全面解決することは、日本がアジア、さらには国際社会において名誉ある地位をしめるためにも、また日中両国民の信頼を確立し両国の平和的・安定的発展のためにも重要な意義をもっていると考えます。

 私たちは、この提言について日中両国において国民的討論が行われることを心から期待します。

 2004年5月
 中国人戦争被害者損害賠償訴訟弁護団

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