平成１５年１１月１日
船舶飛行第２中隊に授与された表彰状
「関西壱岐の会」Homepage管理人 齋藤茂夫
前書き
過日、「陸軍カ号観測機」（筒城浜基地に実戦配備された同系統のオートジャイロ機）の著者である玉手栄治氏から、第１４船舶団長中村大佐より船舶飛行第２中隊に授与された表彰状の写しを拝受したので、其の全文を以下に掲載する。船舶飛行第２中隊とは、筒城浜基地に実戦配備されたオートジャイロ部隊のことである。
尚、表彰状は縦書きであるが、ここでは掲載の都合上横書きにして掲載する。同時に管理人所有パソコンのワープロソフト一太郎１３が不備のため、完全正確に表示し得ない文字が２文字ある。お詫び申し上げます。
表 彰 状 船舶飛行第二中隊
右ハ朝鮮海峡ニ於ケル船舶ノ直衛竝ニ對潜哨戒攻撃ノ任務ヲ帯ビ昭和二十年一月十七日壹岐ニ前進シ筒城飛行場ヲ基地トシテ以來困難ナル状況下克ク其ノ任ヲ果タシツツアリシ處同年三月四日第十四船舶團長ノ指揮下ニ入ラシメラルルヤ朝鮮海峽保衛の一翼トシテ同方面特有ノ氣象及ヒ海洋上ノ凡ユル惡条件ヲ克服シ幾多ノ難關ニ逢著セルモ屈スルコトナク常ニ旺盛ナル攻撃精神ヲ發揮シ熾烈ナル戰意ノモト積極果敢任務必遂に邁進セリ 其ノ間不幸ニシテ隊長本橋少佐傷キ山本大尉以下戰死スル等重ナル痛恨事惹起セルモ中隊鐵石ノ團結ハ愈々固ク敢闘精神益々昂揚シ新ニ湯浅大尉ヲ隊長トシ真ニ一致結束強行急速ナル戰力ノ充實に努メタリ 即チ中隊ノ一部對馬嚴原ニ展開ヲ命セラルルヤ凡ソ利用し得ル一切ノ手段ヲ擧ケテ驚異的短時日ニ飛行場ノ設定ヲ完了シ或ヒハ亦基地對爆施設ノ徹底的強化及中隊自戰自給方策ヲ確立セル等果敢ナル業績ハ枚擧ニ逞アラス此ノ間本然ノ任務續行ト相俟チテ海上部隊トノ協同作戰ノ研究及具體化ニ進ンデ中隊獨得の性能ヲ遺憾ナク發揮シ團ノ最重要任務タル朝鮮海峡保衛ニ寄輿スル處極メテ大ナルモノアリ
右ノ行為中隊長以下克ク其ノ本分ヲ自覺シ烈々タル責任観念ノモト高邁ナル軍人精神ヲ中核トシテ具現セラレタル皇軍真髄ノ發露ニ他ナラス而シテ大陸輸送の根幹タル朝鮮海峽保衛ノ爲軍ノ緊要ナル作戰ニ貢献スル所甚大ニシテ其ノ功績ハ真ニ以テ他ノ模範トスルニ足ル
仍 テ茲ニ之ヲ表彰ス
昭和二十年六月十七日
第十四船舶團長陸軍大佐従五位勲三等功四級 村中四郎
此の表彰状を読むことで、筒城浜基地実戦配置されたオートジャイロ部隊（船舶飛行第２中隊）の戦闘状況を、詳しく正確に把握する事が相叶う。