東京サポーターからブーイングを浴び続けた因縁の男が、劇的な千金ゴールを決めた。0-1で迎えた後半49分。左サイドの山中に球が渡ると、森脇はポッカリと空いていたゴール前中央に必死の形相で走り込んだ。「ボールをくれ」と5度叫び、無我夢中だった。ただ、思い描いたラストパスが届く瞬間、「時間が止まったような感覚だった」と冷静だった。
落ち着いて左足インサイドを合わせ、埼スタは沸騰した。16年4月の甲府戦(埼スタ)以来、実に3年ぶりのゴールで勝ち点1をたぐり寄せた。停滞気味だったチームは東京戦から敷いた4バックで躍動感を取り戻し、殊勲弾の森脇は「負けるような試合じゃなかった」と少しだけ胸を張った。 (松岡祐司)