RGM-96ジェスタ/RGM-98グスタフ・カール系図鑑

 内訌戦での混乱期を経て開発された地球連邦軍の新主力MS、RGM-89ジェガンシリーズはMSの代名詞であるMS-06ザクシリーズ、連邦軍MSの代名詞である「ジム」シリーズに代わる連邦軍の標準型MSとして第二次ネオ・ジオン抗争後より爆発的に普及した。制式採用後、数年間はロンド・ベル隊専用機としての色合いが強かったが戦乱が落ち着いた「シャアの乱」終息前後より、ロンド・ベル隊以外の一般部隊でも配備が本格化し、前線部隊に配備されていたRGM-86RジムIIIやRGM-88Bヌーベル・ジムIIIを置き換えて内訌戦以来、部隊間で機種のバラツキが激しかった連邦軍MS部隊の機種統一を概ね果たせた。

 ジェガンの簡便な操縦性と高い経済性は大組織である連邦軍MS部隊において重要視されていたものの、ジェガンの用兵者であるロンド・ベルやエコーズといったエリート部隊や特殊部隊を中心にジェガンの火力不足が指摘されつつあった。

 あくまでジェガンは一般兵力の大量動員をドクトリンとする連邦軍一般部隊での運用を重視した設計であったため、少数精鋭の特殊部隊での運用には難が見られた。特に火力不足と防御力不足は、正規部隊から離れて少数で隠密作戦を行う特殊部隊においては致命的であり、僚機同士における火力のカバーも大量兵力動員時にこそ通用するものであり、少数精鋭のエリート部隊では性能が平均化されたジェガンよりも単機での高性能を有するMSが好まれたのである。かつてのジム・シリーズにおけるSC型やSP型といったタイプがジェガンにも求められたのである。

 当初はジェガンのカスタム化を行うか、あるいは退役した旧エゥーゴ系のMS、MSA-099系や少数派のMSA-007系といった高級量産機の再就役や再生産も検討されたが、ジェガンとのパーツ共用も考えてジェガンの発展系を新規開発することが決定された。こうして開発されたのがRGM-96ジェスタと、RGM-98グスタフ・カールの両機である。

 両機は基本となるムーバブル・フレームを共用しつつも、ジェスタはジェガンの正当後継機、グスタフ・カールはRGM系MSでは初の重MSとしてそれぞれ完成している。両機とも基本骨格を共有する兄弟機であるが纏う装甲は全く異なり、かつてのリック・ディアスとディジェに似た関係でもある。

 これらのアドバンスド・ジェガンシリーズは特殊部隊用としてスポット生産され、連邦軍の特殊部隊に配備された。ジェスタはロンド・ベル隊で一小隊分が試用された他、エコーズではほほ主力機として使用していた。本来エコーズは地球に不法滞在して反政府運動を煽動する運動家やテロリストの摘発を主任務とするが、その摘発過程で反政府運動家と連携するジオン残党とも交戦する可能性があったため、より強力なMSを欲していた。ジェスタはエコーズの任務に合致した機体であったと言える。

 グスタフ・カールは生産数はジェスタ以上に少なく、量産機ロールアウトは0097年11月であったが、それから8年後の0105年に勃発したマフティーの乱時においてマフティー軍鎮圧のために動員された連邦軍キルケー隊に集中配備されて鎮圧に貢献した。このことから分かるように地上での配備に偏っていたことが分かる。
 これは0090年代後半より連邦軍では低劣度紛争の大半は宇宙上で発生するとし、平時体制下で削減された戦力を空間上に集中し、代わりに不要な地上戦力を削減したためであり、その代償として地上部隊は少数精鋭による打撃路線で行くことが決定されたためでもある。

 二機共、ジェガンの後継機と看做されジェガンに代わる新しい主力機ともなれるポテンシャルを有していたがシャアの乱以後、主だった戦乱が終息に向かい、ラプラス事件、環月危機を含む第三次ネオ・ジオン抗争、そして「マフティーの乱」といった低劣度紛争にシフトしたことから連邦軍上層部ではジェガンからの転換を決断せず、特殊部隊用の需要を満たすためのスポット生産のみで終えている。
 あくまで連邦軍では主力作戦機をジェガンに一本化し、ジェスタとグスタフ・カールはその補助であるという姿勢を崩さなかったのであった。


(機種一覧)
 RGM-96ジェスタ
 RGM-98グスタフ・カール


 RGM-96ジェスタ

 ポスト・ジェガンを見据えてAE社で開発された次期主力機で、内訌戦後にコンペイトウ基地工廠で開発されたRX-125ハイパスをルーツとする。連邦軍MSの標準機であるRGM-89ジェガンシリーズよりも高いポテンシャルを有し、AE社サイドではジェガンに代わる連邦軍次期標準機を狙って開発された。設計的に見ればハイパスとジェガンの折衷型とも言えるだろう。
 試作機ハイパスをベースにした機体としては他にはRGD-90ジードが存在するが、こちらはハイパスのムーバブル・フレームを流用して装甲を軽任務仕様としたMSである一方、ジェスタはムーバブル・フレームはハイパスのものをベースにしつつもフレームそのものは新規設計となっている。

 RGM-79ジムRMS-106ハイザックに続く連邦軍の新標準機、ジェガンシリーズは高い生産性と整備性と、簡便な操縦性から現場から好評で迎えられたMSで、第二次ネオ・ジオン抗争終結後より一般部隊への実戦配備が本格化し、ルナツーやコンペイトウといった小惑星を根拠地とする各艦隊艦載機部隊やコロニー駐留軍や月駐留軍のMS部隊に多数が配備され、機種統一がなされた。だが第二次ネオ・ジオン抗争時にジェガンを運用していたロンド・ベル隊や、特殊部隊「エコーズ」隊では損耗率の高さが以前より指摘されていた。

 物量戦を基本ドクトリンとする地球連邦軍正規部隊での集中運用に合致したジェガンではあったが、ロンド・ベル隊やエコーズのような、正規部隊から離れて作戦を取る少数精鋭のエリート部隊や特殊部隊では必ずしもジェガンが適していたわけではなく、その性能不足、主に火力と防御力不足が以前から指摘されていたのだ。
 物量戦では大量動員された同型機同士による火力連携で貧弱な火力をカバー可能であったが、少数の兵力動員となる特殊作戦ではむしろ障害となる。防御力不足は敵側の重MSとの力比べで負けてしまう可能性があったからだ。ロンド・ベルやエコーズが対峙する敵MSとは、すなわちネオ・ジオンやハマーン残党軍が残した重MSであり、これらの機体には内訌戦時に開発されたにも関わらず、ジェガン以上の火力や防御力を有する機体も存在していためであった。

 そうしたジェガンの性能不足を補完し、特殊部隊向けの機体として開発されたのがRGM-96ジェスタである。開発の際にはジェガンシリーズとのパーツ共用性を考慮に入れつつ、0089年にコンペイトウ工廠で開発されたハイパスのムーバブル・フレームをベースに改良を施し、極めて重MSに近い陣容となった。ハイパスもRGM系では初の重MSに近い規模の機体であり、特殊部隊のパイロットから指摘されたジェガンの防御力不足をハイパスを再設計することで解決したのである。ジェスタはジェガンとハイパスの中間種とも言える機体となった。

 迅速な作戦行動や隠密行動を尊び、MSの性能にも一言家を持つ特殊MS部隊のパイロットからの要望を満たすために高出力のジェネレーターを搭載し、そのパワーを機体制動に回すことで性能を発揮する。そのため、ガンダム系やかつてのAE社製ガンダムタイプ程ではないものの、操縦するパイロットにも熟練を要する。

 また、同時期に開発されていたフル・サイコ・フレーム試験機であるRX-00ユニコーンの護衛機としての役割も果たせるように設計されていた。ユニコーンは通常形態のユニコーン・モードから、サイコ・フレームを稼働させるデストロイ・モード移行後、敵のNT用重MSとの戦闘に専念可能なように護衛機としてパワーファイターのジェスタが適任とされていたのだ。実際にジェスタはエコーズ所属機が0096年のラプラス事件時において、計らずも稼働状態にあったRX-00ユニコーンとの連携作戦を行い、戦果を挙げている。

 ジェスタは0096年にロールアウトし、当初の予定通り連邦軍の特殊MS部隊に配備が開始された。ジェガンが制式化当初、ロンド・ベル隊に集中配備されたようにジェスタはエコーズに優先的に配備された他、ロンド・ベル隊にも評価試験のために12機が送られ、当時発生していたネオ・ジオン残党軍「袖付き」との武力衝突時に実戦投入している。
 他の連邦宇宙軍の宙兵隊にはMSA-099Bシュツルム・ディアス、護衛機としてMSA-007ネロが配備されていたがこちらへの配備計画も立てられ、宙兵隊には0099年に制式採用され、ネロとシュツルム・ディアスを置き換えて機種統一を果たしている。

 一方でエコーズは地球に不法滞在するスペースノイド運動家を摘発するという役割故、過去の連邦軍特殊部隊である「ティターンズ」が肥大化した記憶が生々しく残る連邦軍上層部ではジェスタのこれ以上の配備には難色を示しており、ジェスタによる機種統一を果たすことは出来ず、不足分はジェガンをエコーズの諸任務に合致するようカスタマイズしたRGM-89Deが配備され、ジェスタの補完とした。このジェガンエコーズ仕様はジェスタの簡易量産型と言えるまでの性能向上を果たしている。

 また、開発元のAE社ではジェガンの後継機としてパワーバランスを平均化したRGM-96Bを提案したものの連邦軍はジェガンの生産続行を譲らず、ジェスタがジェガンに代わる最多量産機となることは無かった。しかし、生産台数においては兄弟機グスタフ・カールよりも上回っており、エコーズの他にもいくつかの特殊作戦グループや、紛争勃発初期段階における殴り込みを主任務とする宙兵隊などで高く評価された。

 エコーズや宙兵隊では多数を受領したにの対し、ロンド・ベル隊では12機が試験的に配備されてラプラス事件時において実戦を経験しているが、ラプラス事件鎮圧後の0098年には残存機がエコーズへ転属となり、ジェスタがロンド・ベル隊で普及することはなかった。同隊でジェスタが普及しなかった理由としてはすでにRGZ-95リ・ゼルがある程度配備されていたことと、ジェガンの強化パック装備型であるRGM-89Sスターク・ジェガンによる戦力底上げがなされており、あえて高性能なジェスタを追加配備する必要性が薄かったとも言えるだろう。

 ジェスタは0096年のラプラス事件における諸作戦や、0099年の環月危機の際にも月面での奪還作戦において投入された。また、B・ハウエル元公国軍中将に呼応するように発生したジオン共和国軍極右派によるムンゾクーデター未遂事件では、ジオン共和国政府からの依頼を受けた連邦軍特殊部隊によって多数が共和国軍に貸与され、共和国軍パイロットが乗り込んで決起部隊の制圧に活躍したと言われている。その後、ある程度の調達を終えたとして0100年には生産を終了している。

 RGM-98グスタフ・カール

 RGM-89ジェガンの後継機。特殊部隊専用MSの色合いが濃いジェスタとは異なり、全汎用型MSとして総合的に高い性能を誇る。RGM系MSでは初のドム・ゲルググクラスに近い重MSとなり、かつてのエゥーゴの傑作機であるMSA-099系の技術も導入されている。
 これはジェガンにおいて問題視された生残性を向上させる狙いがあったようだ。ムーバブル・フレームとジェネレーターはジェスタと共通しつつ、装甲は全く異なるグスタフ・カールはジェガンとリック・ディアスの折衷型としての一面が窺える設計を有している。そして、グスタフ・カールは18~20級MSでは最後のRGMタイプとなり、その後は15m級の小型機となるRGM-109ヘビーガンの生産へと移行している。

 開発元のAE社ではこのグスタフ・カールこそがポスト・ジェガンとされたが、当時はRGD-90ジードRGM-96ジェスタなど優秀なポスト・ジェガンが輩出されながらもそれいずれもがジェガンを置き換える程の受注には失敗していた。ジードはコロニー軍に少数が、ジェスタは特務任務用として配備されたに過ぎず生産台数ではジェガンのバリエーション機にすら負けていたのである。

 しかし、ジード、ジェスタの次となるグスタフ・カールは戦力削減による練度低下を憂う連邦軍MS調達部門から意外にも注目されることになる。当時はすでに大規模戦乱は起こり得ないとされ、部隊の大規模動員も過去のものとなりつつあり、連邦軍上層部では今後起こりうる紛争は宇宙上が大半となるであろうと予測し、平時のもと削減された戦力を宇宙上に集中させて部隊運用の効率化が決定される。
 地上のネオ・ジオン残党勢力もラプラス事件を最後にそのほとんどが瓦解し、地上に過剰な戦力を置いておく必要は無くなったのである。連邦軍地上部隊の大幅な戦力削減と、戦力の宇宙上への移動が決定され、地上の防衛戦力は少数の防空部隊と各州の州軍に担わせることとした。
 だがこの地上部隊の大幅削減と戦力を宇宙上へ移管する宇宙軍の計画に難色を示したのが連邦政府を構成する地球上の国家である。彼ら地球に住むエリート層からすればいつまたジオンのような組織が地上を侵略するか分かったものではないのである。宇宙上での低劣度紛争が拡大して、宇宙だけでの紛争がいつ地上に波及する可能性もあるのだ。
 第一次ネオ・ジオン抗争後、かつてのティターンズの暴挙の数々のトラウマから連邦議会は軍人が二度と増長して政治的発言力を得られないように半ば八つ当たり的な大軍縮を断行したことが、この時になって裏目に出た形となってしまったのである。
 また、宇宙軍内の旧エゥーゴ派軍人が昇進や軍縮時に同時に行われた組織改革によって上層部へ進出して発言力を得たことから、宇宙上の部隊を充実・優遇させる口実として、この件が利用されて地上部隊が宇宙上の本隊に統合されることを議会はむざむざ許してしまうのであった。軍縮を断行した手前、議会は宇宙軍の地上戦力撤退と残った地上戦力の宇宙軍本隊への統合政策「スペース・シフト・ドクトリン」に待ったをかけることは出来なかった。ちなみに、0090年代末に連邦政府議会と連邦宇宙軍の間に起こったこのバランス崩壊が、間接的に連邦政府の統治機能を弱体化させるきっかけともなっている。

 一方の連邦軍は宇宙上での水際作戦で反政府武装勢力の地上進出は阻止出来ると考えていたが、やはりザビ家やティターンズの暴走、そしてハマーンの跳梁の記憶が生々しく、ラプラス事件時には首都ダカールの蹂躙を再び許してしまったことから地上戦力を削減する代わりに、地上の防空部隊には高性能MSを優先的に配備して少数精鋭のエリート部隊とすることで削減された戦力差を埋める妥協案を議会に示すという玉虫色の解決を見ることになった。これに合致する高性能MSとはすなわち、ポスト・ジェガンの本丸であるグスタフ・カールに他ならなかった。

 宇宙軍地上部隊に配備されているジェガンを宇宙上に転属させ、MS定数を削減する代わりに地上部隊にはグスタフ・カールを優先して配備してその穴を埋めることで地上の防空戦力を保つ。これが0090年代の連邦軍の地上戦におけるドクトリンであったと言えるだろう。一方で陸軍は宇宙軍との反目から配備機がジムIIIのままで推移した。これは地球に住むエリートたちも弱体化した連邦陸軍にはあまり期待していなかったためであろう。

 地上の防衛戦力として注目されたグスタフ・カールは一見して重力下では運用しづらい重MSであったが、そのバランスの良さで重力下での運用にも適応可能なポテンシャルを充分に有していた。

 装甲はジェガンやジード、ジェスタに比べて大幅に分厚く、重装甲で構成され、これがグスタフ・カールの特色ともなっている。これはジェガンで問題視された防御力を向上させるためのものである。どんなに重装甲であってもビーム兵器の前では無力であるが、装備が劣るジオン残党やスペースノイド独立派などの反連邦武装勢力が保有するMSは整備上の問題からビーム兵器の運用が困難であり、ビーム兵器の運用コストが低下しつつあった0090年代に入っても実体弾を使い続けているケースが多かったため、それらの反連邦組織を仮想敵とした同機には耐弾性に優れる重装甲を採用したのである。
 また、装甲表面処理のビーム・コーティング技術も0090年代に入り向上したため、ビーム兵器に対する耐性も有する。しかし、大出力ビーム兵器の照射や連続したビーム照射に耐えることは不可能であり、気休めであることは変わりはない。RGM-86RジムIIIクラスの出力のビームライフルの一射撃に耐え、ビームコーティングが蒸発した後は重装甲で耐える、貫通して破損した後にボルトアウトして戦線離脱をする。グスタフ・カールの重装甲はそうした割り切った設計思想の元に採用されたと言える。

 パワーバランスは、機体制動に振り向けたきらいのあるジェスタに比べて、グスタフ・カールはバランスは良く、パイロットの腕如何に関わらず性能を引き出すことが可能である。これは量産型MSとして当然の設計であり、ポスト・ジェガンの本丸として開発された同機にとっても必要な要素であった。

 その他の要素としてはRGM系伝統の装備である腕部ユニット装着型のシールドが廃止となり、シールドを肩部フレキジブル・ラッチに装着して支持する方式に変更されている。一見するとかつてのMS-06系の右肩シールドに近いレイアウトであるが、通常ではグスタフ・カールは左肩ラッチに専用シールドを取り付けて運用される。また、ラッチ部分は自由に可動するため、前面にシールドを向けることが可能で、通常は後肩にシールドを畳むことで腕部の可動範囲の自由度を向上させている。これはバインダーとしての機能も有しているが、そのほとんどが地上を主戦場としたグスタフ・カールはシールドをバインダーとして機能させることはほとんど無かった。
 しかし、このグスタフ・カールのシールド支持方式は後発機であるRGM-109ヘビーガン以後には採用されず、RGM-119ジェムズガン、RGM-122ジャベリンではビームシールドが普及したため、この肩部支持タイプの可動シールドが普及することはなかった。

 携行ビーム兵器はジェガンと同タイプのビームライフルを装備するが、出力を圧迫しないものであれば連邦軍MS部隊制式の携行ビーム兵器の大半は調整無しで装備・携行が可能となっている。この他にハイパーバズーカー、ビームサーベルと一通りのMS用兵装の携行、運用も可能である。また狙撃用ビームライフル、高出力ビームランチャーも用意されていた。

 頭部ユニットは重MSながらRGM系伝統のバイザー型のカメラ・ユニットと、左右部に内装する60mmバルカン砲を継承している。また、指揮官機仕様として通信用アンテナが右額部に取り付けられているタイプは「ドーラ・カール」という愛称で呼ばれたようだが、これは軍制式の名称ではなくあくまでパイロットの間で識別のために呼ばれたに過ぎない。

 また、ジェスタが対NT用MSである特殊用途機RX-00ユニコーンの護衛・連携機としての用途を有していたのと同様に、グスタフ・カールにもう一つ、与えられた使命があった。それはミノフスキークラフト搭載型MSとの連携戦闘を目的としていたことである。同機が地上の防空部隊への配備が偏ったもう一つの理由がこれであった。
 グスタフ・カールがロールアウトした0097年末、まだミノフスキークラフト搭載型MSの開発は研究段階にあり、20m級MSへのミノフスキークラフトの搭載はまだ目処が立っておらず実機も完成していなかったが、開発元のAE社は研究中のMSA-020ξガンダム(後のRX-105Ξガンダム)との連携にグスタフ・カールとのコンビネーションを想定していた。また、MSの搭載ではなくSFSにシステムを搭載するプランも進められていたため、その新型SFSとの連携にグスタフ・カールを想定していたとも言われている。

 結局、グスタフ・カールと同時期に開発されたベースジャバーやド・ダイ改の後継機である「ケッサリア」はミノフスキークラフトの搭載に失敗し、熱核ジェット・エンジン搭載型に再設計されたものの、ケッサリアはほぼグスタフ・カールとのコンビネーションにおいてその性能を発揮した。
 
 グスタフ・カールは0097年末から量産が開始され、特殊部隊ではRGM-96ジェスタ、前線部隊ではグスタフ・カールといった具合で役割分担が予定されていたのだが、連邦軍のジェガン量産続行を判断し、また戦力が削減された地上への代償として優先的に配備されたこと、また将来のミノフスキークラフト搭載型MSとの連携も想定して生産された機体のほとんどが地球上の防空部隊やエリート部隊に配備が偏っている。宇宙上で同機を運用した部隊はグラナダ駐留部隊で一小隊分、たった3機だけであった。
 また、軍がサナリィからのレポートを受けてMSの小型化を進めつつあったため、グスタフ・カールと兄弟機とも言えるジェスタの行き先も不安となり、結局はジェガンを淘汰することなく生産を終了し、後の生産をRGM-109ヘビーガンに譲っている。

 しかし、地上に配備が偏ったとはいえ、防空部隊全てにグスタフ・カールが拝領されたわけでもなく、一般防空部隊ではノーマルなジェガンとのコンビネーションで運用され、同機を集中運用するエリート部隊はごく僅かであった。
 時に地球に住むエリート層を守るためにジェガンより高性能の同機による偏った地上配備がなされたと評されることが多いグスタフ・カールであるが、多くの戦乱が平定された後の連邦軍は徹底した軍備削減が進められたため、地上のエリート部隊ですらグスタフ・カールの配備がなかなか進まなかったというのが実情である。
 0096年のラプラス事件時、アフリカ地区に置かれた連邦の首都ダカール市がジオン残党軍に襲撃された際、首都防衛に動員されたMSは内訌戦期に製造された旧カラバ陸軍の引き継ぎ装備であるMSK-003ネモやRGM-86GジムIII、連邦軍首都警備隊からの要請で出動した北アフリカ州軍のより旧式なRGM-79RジムIIが多数動員されたことから見ても当時の地上戦力の貧弱さは分かるだろう。本来であればジェガン、最低でもヌーベルジムIIIが配備されていなければならない首都であっても、ネモやジムIIIですら満足に配備されず、現地州軍の老朽機までをも動員せざる得なかったのだ。政府側が連邦軍の地上戦力の削減と宇宙への移動に危機感を抱くのも無理はなかったのである。
 
 平時に開発された機体としてはジェガンより遥かに強力な機体となったグスタフ・カールであるが、配備から七年が経過した0105年、マフテイーの乱が発生。反政府武装勢力であるマフティーは地上でテロ活動を行ったため、防空部隊に配備されたグスタフ・カールが多数、マフティー軍討伐作戦に動員された。
 マフティーは他のジオン残党などとは異なり、少数ながらも現用機を動員してのテロ活動を行い、連邦政府評議員や高級官僚の殺害を繰り返し、また迎撃に出撃した連邦軍防空部隊に対して出血を強いており、卓越した性能を有するグスタフ・カールの動員が求められたのだった。
 
 環月危機とその後のジオン戦乱の消滅から六年余り、低劣度紛争を経験していなかった連邦軍は議員などの非武装の人員を標的としたテロに危機感を抱き、マフティー対策のためにまずは宇宙軍に属する防空部隊「キンバレー」隊をマフティー討伐部隊に再編して「キルケー」隊を編成。同隊にマフティー軍鎮圧を命じた。
 キルケー隊の使用機材はグスタフ・カールに機種統一されており、同機による集中運用を行い見事マフティー軍を鎮圧している。すでにロールアウトから七年余りが経過していたがマフティー軍の新型MS、AMS-139メッサー・ドーガに対してほぼ対等に戦うことが可能であった。
 また、キルケー隊MS部隊の旗機として配備された新型機、RX-104オデュッセウスガンダムのミノフスキークラフトユニット合体形態であるRX-104FFペーネロペーとの連携戦においても高いポテンシャルを示し、グスタフ・カールに与えられた「ミノフスキークラフト搭載型MSとの連携戦」という使命も果たせている。

 ペーネロペーと共にマフティー鎮圧の立役者となったグスタフ・カールではあるが、0106年には最後の1機がロールアウトして、9年余りに及ぶ製造を終了している。以後は0109年に制式採用されたヘビーガンに切り替わっている。

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