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【社会】

認可保育25%「入れず」 待機児童増加を懸念 本紙調査

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 四月に認可保育施設に入る子どもの大半が決まる一次選考の申し込み状況について、本紙が東京二十三区や政令市など一都三県の計三十一市区にアンケートしたところ、募集枠より多い申し込みがあり、約25%が入れない状態だったことが分かった。各自治体で保育施設の整備を進めているが、入りづらい状況は依然として続いている。十月からは幼児教育・保育の無償化が始まることから、待機児童がさらに増加する懸念も多くの自治体から寄せられた。 (山田祐一郎、渡辺聖子、神野光伸)

 本紙は東京二十三区と神奈川、埼玉、千葉県の政令市五市に加え、昨年四月一日の待機児童数が二百人以上だった東京都府中、国分寺市、千葉県市川市を対象にアンケートを実施。全ての自治体から回答を得た。ただ、千葉市は募集人数を回答しなかったため、集計から除いた。

 三十自治体の集計で、申込者数は計十一万七千九百四十八人。申込者数を満たす募集枠を各自治体が用意できていたかを調べるため、ゼロ~五歳の年齢ごとに計算して足し合わせたところ、二万九千二百八十五人分が足りなかった。これは、申込者の24・8%にあたる。三十五市区を対象にした前年調査では29%だった。

 自治体別で募集枠の足りない割合が最も高かったのは千代田区の51%で、港区43%、世田谷区41%と続く。募集枠から漏れる人数では、川崎市の三千六十六人が最多で、次いで横浜市の三千二十九人、さいたま市の二千七百五十五人となった。

 各自治体は保育施設の整備を進めており、前回も調査対象だった三十市区で比較すると、二十三市区で前年より募集枠の足りない割合が改善した。東京二十三区全体では、5ポイント改善し27%になった。

 一方、北、豊島、世田谷区など六市区は前年より悪化した。

 アンケートでは、国の幼保無償化についても意見を聞いた。既になんらかの「影響が出ている」と答えたのは、世田谷、杉並、北、練馬の四区。「申し込み増加につながっているとみられる」(北区)、「三歳児クラスの申込者数の増加」(世田谷区)などとした。

 ほかの二十七市区は、現時点での影響は否定。しかし、多くの自治体が「保育需要がさらに増え待機児童が増加する可能性がある」(墨田区)、「保育士不足の加速」(中央区)、「事務負担の増加」(千葉市)など今後の懸念を挙げた。

 また、認可外保育施設も無償化の対象となったことから、「保育の質の確保に向けて課題」(文京区)「指導監督の職務が増大する」(中野区)などの声もあった。

<調査の方法> 本紙は2013年から毎年この時期に、認可保育所などへの4月入所申し込み状況を調査している。各自治体の募集枠と申込者数を年齢別に比較し、入れない人数と割合を出す。今回も同じ手法だが、千葉市は募集人数の回答がなく、集計から除外。東京都中野区は年齢別の申し込み人数を公表しないため、申込総数と募集枠総数の比較で計算。募集枠では、中野区が地域型保育事業で1、2歳児を、豊島区は認可保育所の4、5歳児を、それぞれ合計して回答したため、便宜上、人数を均等に分割し集計した。江戸川区のゼロ歳申し込み人数は2次募集のもの。1次募集でゼロ歳の受け付けをしていないため。

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