ミハイル・グリゴーリエヴィチ・レズニコフ
戦車兵。ユダヤ人。教育任務に就いていた時期を挟み、重戦車一筋で戦い抜いたベテラン。インタビュアーも触れている通り、開戦時すでに30歳という年齢で、この世代の談話としては極めて貴重なものだと言っていい(ちなみに収録は2006年で、当時レズニコフ氏は95歳であった)。民族的な差別を経験した点では他のユダヤ系軍人と同じくであるが、レズニコフ氏は受けた侮辱をそのままにしておくような性格ではなかったようだ。
数々の印象的なエピソードの中でも、占領地での強姦事件に関する証言はあまりにも重いものである(伝聞ではなく自らの目撃体験として語られるのは稀なケースと思う)。強烈な復讐への渇望、裁きを受けることを想定していない傲慢な勝利者意識、ドイツ軍の残虐行為に対する一種の義憤、そして「どうせ死んでしまうのだから」自らの欲望を最優先にする刹那的な感覚と、兵士たちを蛮行に突き動かす様々な情念があったことが分かる。そしてそれは、圧倒的な暴力となって弱者に襲いかかったのだ。これまで読んできた体験談の中でも、最もあからさまに戦争の恐ろしさを物語っているテキストの一つかもしれない。
(出典:http://iremember.ru/tankisti/reznikov-mikhail-grigorevich.html)
ミハイル・レズニコフへのインタビュー:
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