マネジメント

流行の発信源が既存の媒体からSNSへと移行し商品の売り方にも独自の工夫が必要となる中で、ヒット商品を連発するArtemisのプロモーション戦略について聞く。

201803ARTEMIS_P01

株式会社Artemis代表取締役社長 菅井直樹(すがい・なおき)

 スマートフォンの爆発的な普及にともない、今や若者のみならず幅広い年齢層が情報の発信・受信に活用するSNSは、企業にとってもプロモーションの場として欠かせないツールとなっている。いくら良い商品を作っても、消費者の認知度が上がらなければ売れないという構図は変わらないものの、SNS時代にはその落差がより顕著に現れるようだ。

 ウェブを通じて美容と健康に関わる商品を販売するArtemisは、そうしたSNSでのプロモーションで豊富なノウハウを有し、数々のヒット商品を連発してきた。インターネット広告業界を経て美容・健康業界に参入した同社の菅井直樹社長は、自らのアイデアをベースに美白クリームやダイエットサプリメントなど、女性の悩みを解決するさまざまな企画を商品化。既に商品ラインアップは250種類を超えているという。2年前に販売を開始したホワイトニングクリームは、大ヒット商品になっている。

 その理由について菅井社長は「ライバル商品が多い中で、当社ではアフィリエイターへの還元率をアップして露出を高めながら、確実に購買につなげられる充実したランディングページを用意していることが販売実績につながっています」と分析する。開発段階から、販売の現場で売りやすい商品づくりを意識する「現場主義」も徹底。昨年リリースした除毛スプレーは、女性のニーズに応えて高い効果を発揮する確かな品質に加え、そうした積極的なプロモーション戦略が功を奏してヒット商品となった。

 また、同業大手にはないスピード感も同社の強みといえそうだ。

 「流行している成分がテレビで紹介されると、それをいち早く取り入れたサプリメントなどの商品開発をスピーディーに進める一方、ランディングページも準備しながら最短3週間から1カ月で新商品の販売をスタートできる体制を備えています」

 以前は商品のヒットに供給が追いつかないこともあったが、生産体制と顧客サポートをより一層強化することでそうした課題も解決した。商品サイクルが短い業界であるだけに、今後は商品開発もさらにスピードアップしていく考えだ。

 「季節ごとにあまり変動せず、通年使ってもらえるような男性向けコスメ商品も開発したいですね。また、今年からは海外進出にも本格的に取り組みます。日本の美容商品はアジア各国で人気が高いので、ウェブ通販だけでなく店頭での販売も充実させながら、まずは年商100億円の達成を目指したい」

 自身の企画力と開発スピードに加え、万全のプロモーション戦略を構築した菅井社長の目は、目標達成のさらに先を見据えているようだ。

 

株式会社Artemis

  • 設立/2010年11月
  • 資本金/1000万円
  • 事業内容/OEM受託製造業務、卸売業務、海外輸出入業務、メーカー業務、ECサイト運営業務
  • 所在地/大阪市淀川区
  • 会社ホームページ/http://a-rtemi.xsrv.jp

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

【特集】2019年注目企業30

 2018年の日本経済は、世界のマーケットを席巻してきた中国経済の成長鈍化が鮮明になり、併せて米・中の経済摩擦、英国のEU離脱問題などの対外的な課題が重なって大きな閉そく感が漂う年だった。 しかしながら元気な中堅・中小企業はネガティブな要因をものともせず独自の経営手法で活路を開いている。 原点回帰で、顧客第一…

「超サポ愉快カンパニー」としてワクワクするビジネスサイクルを回す―アシスト

ITと建設機械、グリーンエネルギーの3本柱で地球環境問題解決に貢献する―Abalance

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年5月号
[特集]
進化するチーム

  • ・総論 姿を変える日本の組織 個人とチームが互いに磨き合う時代へ
  • ・小笹芳央(リンクアンドモチベーション会長)
  • ・稲垣裕介(ユーザベース社長)
  • ・山田 理(サイボウズ副社長)
  • ・鈴木 良(オズビジョン社長)

[Special Interview]

 南場智子(ディー・エヌ・エー会長)

 「社会変革の今こそ、組織を開き、挑戦を加速する」

[NEWS REPORT]

◆社長になれなかった松下家3代目がパナソニック取締役を去る日

◆DeNAとSOMPOが提案する新たなクルマの使い方

◆ここまできたがん治療 日の丸製薬かく戦えり

◆ブレグジット目前!自動車各社は英国とどう向き合うか

[特集2]九州から未来へ

 九州一丸の取り組みで生まれる新しい産業

ページ上部へ戻る

:)