ソウル市江南区新沙洞の広い幹線道路沿いにある商業ビルには壁に「譲渡・賃貸」と書かれた横断幕が風になびいていた。江南地区でも最も栄えた地区なのだが、カロスギル(街路樹通り)の入り口から江南乙支病院の方向に向かう通り沿いに並んだ26棟の建物のうち7棟は1階部分の店舗物件が空いていた。ある物件には「権利金なし」という文字が掲げられていた。3階建ての建物前面のど真ん中に賃貸募集の横断幕を掲げた物件もあった。「オーナーが直接賃貸」とうたった物件も目についた。ある建物の管理人は「オーナーは(借り手がつかずに)焦り、賃貸広告のフレーズにも気を遣っている」と話した。
江南区狎鴎亭洞のギャラリア百貨店付近にある商業ビル1階には店舗物件に至る所に賃貸の文字が躍っていた。不動産業界関係者は「以前は商売がうまくいかずに空きが出てもすぐに埋まったものだが、最近は一度空くとしばらく空いたままだ。賃料も下がったが、借り手がいない」と話した。幹線道路から路地に入ると、空き物件は目立って増える。ロデオ通りでは一軒また一軒と「賃貸」の文字が掲げられていた。あるカフェの経営者は「賃料と人件費に持ちこたえることが難しくなった。自分もいつまで耐えられるか分からない」と語った。ノンヒョン洞の15階建て商業ビルは6、7階がまるごと空いている。1年半前には空室率がわずか1%で、空き物件を探すことさえ難しかったノンヒョン駅周辺では、空室率が18.9%まで上昇した。韓国のカネが集まるという江南商圏もやっていけないほど街角景気が冷え込んでいる。