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踏み台転生者になったので全力で役割を全うします。〜世界最強の踏み台転生者〜 作者:清水 彩葉

第一章 ニュウガク

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新生活、そして

 今回は一切物語は進まない日常回のようなものです。よろしければ楽しんでいってくださいませ。


 自己紹介を終えた俺達Sクラスはその後フレアさんから幾つか話を聞いて解散となった。

 なので後は下校するだけなのだが……俺達は自宅には帰ることが出来ない。何を隠そう、この学院は全寮制なのだ。


 アルカナム校は国立なだけあって……というか、それにしてもやり過ぎなレベルのお金が掛けられている。なんせ校内の土地面積だけで軽く街一つ分である。

 そもそもこの学院は国中から生徒を集めているため家が遠い生徒が多いという事情もあり、学院生は寮生活を強いられるのだ。

 まあ、強いられると言ってもさっきも言った通りこの学院には莫大なお金が掛けられているので部屋自体もかなりいい作りがされているので不便はない。流石は天下のアルカナム校だな。


 そういう訳で、今俺達は寮へ向かってみんなで歩いている。ちなみに面子は俺、アイラ、エルナ、ユリア、リーナ、クリスティーナの六人である。

 フレアさんの説明によると、この場にいる全員は寮が一緒らしいのだ。四大貴族と王族、見事にVIPしかいない。この学院に入った以上はいくら俺達と言えども特別扱いはされないはずなのだが……フレアさん曰く「Sクラスの皆さんは特待生のような扱いですから〜」らしいが、明らかに建前だよな。テーネとグレン君は別みたいだし。





「いやー、オレ達みんな一緒で良かったなー! やっぱ近くに知り合いがいると心強いしな!」

「うんうん! ボク、頑張ってSクラスに入れて良かったよ!」

「そんな単純な話なんでしょうか。明らかに作為的な意図を感じますが……」

「…………そうなの?」

「ハッ、お前らは馬鹿かよ。そんなの私達が有力者だからに決まってんだろ? ……そうですよねっ、お兄さま!」

「あぁ、そうだと考えていいと思う。フレアさんの話だとテーネとグレン君が同じ寮じゃない事の説明が出来ないからな。恐らくは俺達を一箇所に集める事によって俺達の護衛をしやすくしているんじゃないか? もしも俺達に何かあれば誇張抜きでこの国が傾きかねないから、どうしても多少の特別扱いはしないといけないんだろう」



 自分の考えを述べると、可愛い妹がいつも通りキラキラとした尊敬の眼を向けてくる。……いや、全員そんな眼をしてるな。この状況に優越感は確かに感じてはいるが、それと同時にちょっと心配にもなった。いくらこの世界の人間が脳筋思考だとしても、この娘達ちょっと純粋過ぎないだろうか。将来悪い人間に騙されないか非常に心配である。いやマジで。だってこいつらが悪い人に騙されたりしたらこの国本当に終わりかねないからね!


 と、みんなでわいわい騒ぎながら歩いていると寮まで着いた。俺はなんだかんだ大貴族として蝶よ花よと育てられてきたので、寮とはいえ一人で生活なんて初めての経験で楽しみだ。みんなも境遇は似たり寄ったりだし、同じ感覚なのだろうか? そんなことを考えているとふと、隣のアイラが不安げな表情で俺の袖をくいくいっと引く。



「お、お兄さま……。寮生活とはいえ、これから自立して生活しなければならないと考えると、少し怖いです……」



 可愛い。お持ち帰りしていいだろうか。



「安心しろ、アイラ。都合のいい事にアイラの部屋は俺の隣だ。何か困った事があればいつでも来ればいい」

「大好きですお兄さまぁー!」



 花が咲くように笑顔を見せるアイラが愛おしい。周りを見れば、他のメンツも緊張したような表情だ。友人達がこんなに困っているんだ。一流の踏み台転生者としての器の大きさを見せる時が来たな。

 まあ、そうじゃなくても彼女達には笑顔でいて欲しいので早く安心させてやらねば。



「皆も、困った事があればいつでも頼って欲しい。皆はこれから苦楽を共にするクラスメイト、そして何より大切な友人だ。不安な事があるのなら俺に出来る限りの事を尽くそう」



 なるべく頼りに見えるように堂々と胸を張る。みんなの表情を見てみれば、もうそこに不安の色はなかった。アラン()がいるなら何とかしてくれると言わんばかりにキラキラした瞳。この信頼感が心地良いぜ……。

 まあ、普通の踏み台転生者ならば彼女達にもいつか見放されるというのが王道なんだろうが…………一流を目指して自分を磨いているうちに考え方が変わってきた。この友情や信頼は何があっても壊れないのではないか。そんな青臭いことを真剣に言えるようになったのだ。そのくらいには俺も彼女達のことを信頼している。


 きっとこの変化は、一流になるために必要な悪くないものなのだろう。



 と、考えているうちに部屋に着いたみたいだな。ちなみにこの寮は三階建てで中々広いのだが、部屋は俺達六人の分しかないらしい。恐らくは俺達の入学に合わせて新しく建てたのだろう。新築っぽいし。

 そして俺の部屋は三階にある301号室。つまり同じく三階に部屋があるアイラ以外の面々とはもう別れている……はずなのだが、何故かまだ全員揃っている。どういうことなの。



「さて、俺の部屋はここのようだが……お前達はどこまで着いてくるつもりなんだ?」

「さ、さっきアランいつでも頼れって言ってたじゃん!」

「あぁ、確かに言ったが……」

「ごめんなさい、アランくん。情けない話ですが、正直一人での生活がまだ少し不安で……。迷惑かもしれませんけど、もう少し一緒に居てもいいですか……?」

「そういう事なら俺は一向に構わない。皆が安心出来るまで俺の部屋に居るといい」

「…………言質、取った」



 エルナに上目遣いでお願いされて即陥落した俺は部屋のロックを外してみんなを中に招き入れる。なんかクリスティーナが不穏なことを言ってたような気がするけど気の所為だろう。


 さて、俺の部屋の内装だが…………広いな。こんな広い建物だというのに六部屋しかないという時点で何となく想像はしていたが、想像してたより普通にでかい。とてもじゃないが一生徒に与えられるような大きさの部屋に見えない。

 アルカナム校は生まれや地位に寄る贔屓はしないとはなんだったんだ……まあ確かに俺達はこの歳にして既にこの国でもめちゃくちゃ偉い部類に入る人間だからな。建前上は平等な扱いでも、実際にそうする訳にはいかないということか。やはり先程の俺の憶測はそんなに外れていないのだろう。



「これがお兄さまがこれから使う部屋……。ゴクリ……」

「こ、このベッドでアランはこれから寝るんだよね……? ちょ、ちょっとくらい……」

「あー! 何してんだよお前! お兄さまを変な目で見てんじゃねぇぞ変態女!」

「へっ、変な目でなんか見てないっ!! というかアイラに言われたくないよっ!」

「お二人共、喧嘩はそこまでにしてください! アランくんに失礼ですよ? 全く、アイラもユリアも迷わずベッドに目を付けるとは……油断も隙もありやしないったらないです」

「おー! このベッド結構ふかふかしてるぜ! アラン、お前も来いよ!」

「「あー!!」」

「はぁ……全くもう……」



 みんなはしゃいでるなぁ。でもそれも仕方がないことだろう。いくら貴族や王族の生まれとはいっても、俺達もまだ子供。新生活の初日くらいはしゃいでもバチは当たらないだろう。

 ……アイラとユリアは少し怪しげな行動をしていたが、まあそれも仕方ないだろう。俺達はまだ子供だしな、うん。……注意してくれているエルナには悪いけど、俺もリーナと一緒にベッドの上ではしゃぐとするか!

 そんな時、キョロキョロと部屋を見渡していたクリスティーナが声を上げる。



「…………でも、この部屋少し狭い」

「まあ、それは確かにそうですね……」

「その通りです! この部屋はこれからお兄さまが使うというのに、なんですかこの造りは! この学院はお兄さまのことを軽く見すぎです!」



 こいつら感覚がいかれてやがる!? 狭いとはいうが、それでも前世で言うところの高級ホテルのロイヤルスイートルームよりもっと豪奢で大きいのだが……。

 まあこの場には四大貴族と王族しか居ない訳だし、その考えも当然といえば当然なのだろうが……。それにしたって狭いはないだろ……。



「そう言うな、アイラ。そもそもの話、この学院は本来どんな身分だろうが原則特別扱いなんてない筈なのだからな。これでも俺達はかなり優遇されていると思うぞ。部屋だって生活するには十分過ぎる程だ」

「なんて器の広さ……流石ですっ、お兄さま!」



 俺は至極当然のことを言ったはずだが、アイラを筆頭にみんなキラキラした瞳で見つめてきやがる……!

 この世界の四大貴族の感覚としては確かに待遇は十分とは言えないが、それでも尊敬される程心の広さを見せたつもりはない。

 何はともあれそろそろいい時間だ。みんなそろそろ部屋に戻った方がいいだろう。



「さて、皆それぞれ不安は拭えたか? 今から夕飯と入浴をする時間を考えれば、もうそろそろ部屋に戻った方がいいだろう。自室でゆっくりと疲れを取るといい」

「…………今日は帰らない」

「む?」

「みんなが安心出来るまで部屋に居ていいって言ってくれたじゃん! ボク、まだ不安だからもっとアランと一緒に居たいな!」

「あぁ、オレもこう見えて不安だからよ! 今日は仲良くしようぜ!」

「ごめんなさい、アランくん。ふふっ、今夜は私も帰りたくないんですよ」

「ふむ……成程?」

「…………お世話になる」



 こいつら何言ってんの? え、泊まんの? 俺男だぞ?



「私も今日はお兄さまの腕の中じゃないと眠れません! 今日は二日ぶりに一緒に寝ましょうお兄さま! ……つーか、私以外は帰れよ。お兄さまは妹専用なんだ、お前らの居場所なんてねぇよ」

「「「は?」」」

「…………妹の分際でよく言う。婚約者は私」

「「「「あ゛ぁ゛?」」」」





 結局のところ、彼女達は俺の部屋に泊まった。もう一悶着どころか数悶着あったが、それはそれだ。

 まあ、楽しかったからいいか。やっぱり信頼出来る友人が居るというのはとても素晴らしいことだ。


 という訳で、日常回らしきものでした。

 今話は一気に増えたキャラクター達(本作のヒロイン達)の性格や言動を少しでも知って頂くための回でございます。あなた様好みの女の子は居ましたでしょうか? 皆様のお気に入りのキャラクターなんかを教えてくれたら嬉しいです。

 この娘達それぞれのエピソードも用意していますし、ヒロイン達の視点の幕間も幾つか予定しております。作者としましては全員魅力的な女の子だと思っておりますので、その魅力が皆様により多く伝わるように全霊を注ぎ執筆していきます。


 今回も読了ありがとうございました。

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               清水彩葉

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