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踏み台転生者になったので全力で役割を全うします。〜世界最強の踏み台転生者〜 作者:清水 彩葉

第一章 ニュウガク

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クラスメイト、そして

 今回は登場人物が多くなります。混乱しないように気を付けてお読み下さいませ。


 後書きにて軽く登場人物を纏めておきますので、良ければお目を通して下さい。


 そんなこんなで、自己紹介の時間がやってきた。まあ、このクラスの人はほとんど俺知ってるんだけどな。パーティやらなんやらで見たことある……つーか行事ごとの度に会うやつばっかりだし。


 勿論トップバッターの翡翠色の髪と瞳が綺麗な彼女のこともよく知ってる。





「初めまして、と言いたいところですが、そうでない方も居ますね。知ってる方もいらっしゃるでしょうが改めて自己紹介を。『ヴェント家』の長女のエルナ・フォン・ヴェントです。皆様、どうぞよろしくお願いしますね?」



 そう言いながらクラスメイトを見渡し、最後に角の席に座る俺と目が合うとニコリと控えめに笑いかけてくれた彼女はエルナ。『フラムス家』と同じく四大貴族が一つで風の属性を司る『ヴェント家』の長女である。

 透き通るような翡翠色のストレートヘアーがトレードマークの美少女であり、その清楚で献身的な振る舞いには俺も大変癒されている。性格も良くていつも男性である俺を立ててくれるし、叶うことなら嫁にしたいレベルである。



「騙されてはいけませんよお兄さま! お兄さまも見ていたでしょう? あからさまにお兄さまだけに向かって微笑みかけたのを! お兄さまに媚を売っているのがバレバレです! あざといです! もうっ、エルナったら猫被りだけは上手いんだから……」

「全部聞こえてますよアイラ。全く、アランくんに媚を売ってるだのあざといだの猫被りだの、アイラにだけは言われたくないです」

「うるさいっ! お前なんかにお兄さまを渡してたまるかよこの泥棒猫っ!」

「あら? ただの妹の分際で正妻気取りですか? 身の程を弁えた方がいいと思いますけど?」

「はいはーい。そこまでですよ〜。仲がいいようで何よりです〜。という訳で次の方お願いしますね〜」



 ………………後、アイラと仲が悪い。裏表のない良い奴だし、俺との仲は普通に良好だと思うんだが、何故かアイラとは反りが合わないようだ。今だってフレアさんが止めてなければまだまだ続いていただろう。未だにふしゃーっ! と気が立っているアイラを撫でて落ち着かせる。たちまち気持ちよさそうに喉を鳴らす妹に和む。あっ、エルナに勝ち誇った顔を向けやがった。……まあいいや、もう知らん

 とにかく、今は自己紹介だ。次のクラスメイトに目を向ける。まあ、こちらも知ってるんだけど。



「こほんっ! みんなこんにちは! ボクはユリア・フォン・アクアス! アクアス家の長女だよ! 初めましての人もそれ以外のみんなもこれからよろしくね!」



 にぱーっと笑顔を振りまきながら元気いっぱいに自己紹介をする彼女はユリア。これまた四大貴族が一つで水の属性を司る『アクアス家』の長女だ。

 しっかりと整えられた透き通るような蒼色のショートカットは神秘的な雰囲気を醸し出しているが、本人の気質からか快活な印象の少し小柄な美少女だ。彼女と一緒に居るとこっちまで元気が湧いてくるというか、喋っていて楽しい。叶うことなら嫁にしたいレベルである。



「お兄さまっ、騙されてはいけませんっ! ユリアはああ見えてかなりのむっつりです! 油断するとぱくりと食べられてしまいますっ!」

「ふにゅっ!? ななななな何を言ってるのアイラぁ!? ちっ、違うからねアラン! ボクは別にそんな――――」

「適当抜かしてんじゃねぇぞむっつりドスケベ! お前この前だってお兄さまの――――」

「わー! わー!! それは言っちゃダメぇぇぇぇ!!!」

「うふふっ、元気ですね〜。さて、次の人に行きますよ〜」



 ………………後、アイラと仲が悪い。裏表のない良い奴だし、俺との仲は普通に良好だと思うんだが、何故かアイラとは反りが合わないようだ。つーか、止めてくれたフレアさんに感謝だけど、ユリアが俺に何してたのか気になる。え、マジで何されたの俺。変なことされてないよね?

 ……なんか謎が残る感じになったが、とにかく今は自己紹介だ。考えれば考えるほどちょっと怖くなってくるし、もう考えるのはやめよう。

 ………………ユリアってむっつりだったのか。知らなかった。



「あー、この流れで自己紹介すんのなんか気まずいな……まぁ、いっか! 知ってる奴も居るけど、オレはリーナだ! 一応テラ家の娘だぞ! よろしくな!」



 続いて快活な挨拶をした彼女はリーナ。フルネームはリーナ・フォン・テラ。最後の四大貴族、土の属性を司る『テラ家』の長女だ。

 竹を割ったような性格で、脳筋美少女である。Sクラスに配属されているが、筆記試験は出来たんだろうか。心配だ。彼女はとても親しみやすい雰囲気を持っており、俺としても彼女と一緒にいるのはとても楽しい。彼女と話しているとそのさっぱりとした気質からか清々しい気分になる。叶うことなら嫁にしたいレベルである。…………後、巨乳だし。てか、あれフレア先生よりデカいんじゃ――――



「お兄さま! ダメです! ダメですよリーナなんて! 見てくださいあの胸に付いた無駄にでかい脂肪の塊を! あんな見るからに淫乱で下品な女なんてダメですっ! 不健全過ぎますっ!」

「ん? なんだアイラ? おっぱいがちいせぇからってオレに当たってんのか?」

「はぁぁぁぁ!? 何言ってやがんだこの脳筋女ァ! 私の胸は別に小さくないしこのままでいいんだよ! そうですよねお兄さまっ!!」

「あ、あぁ……」

「でも、アランっておっぱいのでけぇ女の方が好きだろ? たまにだけどオレの胸も見てるし」

「ア゛ァ゛!? 自惚れんなよクソ(アマ)ァ! お兄さまがお前なんか見てる訳ねぇだろ! お兄さまはお前なんかのだらしねぇおっぱいより妹のおっぱいの方が好きなんだよ!! そうですよねお兄さまっ!!!」

「…………………………アイラ、自己紹介はまだまだ残っているんだ。ここで時間を使い過ぎる訳にはいかないだろう?」

「なんですか今の重い沈黙は!?」

「ふっ」

「何勝ち誇ってやがんだこの脳筋女ァ! 勘違いしてんじゃねぇだろうな!? お前みたいな乳しか取り柄のないバカより私の方がお兄さまに相応しいに決まってんだろうが、おい!」

「はーい。じゃあ次の方自己紹介して下さいね〜」



 ………………後、アイラと仲が悪い。裏表のない良い奴だし、俺との仲は普通に良好だと思うんだが、何故かアイラとは反りが――――って、もうこれ言わなくてもいいか。

 いくらこっちの世界の住人は成長が速いとは言えども、十五歳なのにあの爆乳はずるいと思う。男とは往々にして巨乳に弱いものなのだ。だから俺は悪くない、うん。……ごめんなアイラ。

 今はそんなことよりも自己紹介だ。決してアイラが怖かったから現実逃避をしているわけではないぞ?

 さて、次の人は――――



「…………クリスティーナ・フォン・ルクス。ルクス家の長女で――――」



 あぁ、クリスティーナか。クリスティーナはこの国の王族『ルクス家』の長女。つまり王女様である。

 少し無口で無表情。一見感情の起伏が少なく見えるが、慣れれば結構普通の女の子だ。そうだな、例えば今なら……ん? なんか怒ってるというか……拗ねてる? なんでだろ――――



「――――後、アランの正式な婚約者」

「「「「あ゛?」」」」



 ――――彼女が投下した爆弾は瞬く間に爆発した。

 …………やりやがったなアイツ!?

 因みに、俺と彼女が婚約しているのは事実だ。そして、その事実は禁句である。その件に関しては触れない。それが俺達の間での暗黙の了解であり、目に見えている地雷である。その地雷をクリスティーナはいとも容易く踏み倒しやがった!


 可視化するほどに高密度の魔力が教室内を渦巻く。発生源はアイラにエルナにユリアにリーナ。なんせそれぞれが四大貴族の直系。しかも全員が既に一流の魔法使いである天才達。もしもこの世界に俺が居なければ彼女達が稀代の英雄だと呼ばれてたであろう傑物達であり、それほどの天稟を持っているのだ。


 彼女達は基本的にとても優しい。優しいのだが……俺が絡むと途端に盲目になるというか、自分が一番俺に相応しいのだと譲らなくなる。


 最初は美少女達にチヤホヤされて嬉しかった……というか、正直今でもめちゃくちゃ嬉しい。前世ではさっぱりモテなかったからな。それに、踏み台転生者として原作開始前にヒロイン達から好かれているというのは一流の踏み台転生者を目指す者として間違いなく好ましい状況である。

 だから間違いなく好ましい状況であるのだが…………ちょっと最近彼女達の想いが想像以上に大きくなっているように感じる。この後、主人公である俺の弟がヒロインをかっさらっていくのが王道展開なのだが、彼女達は本当に弟に惚れるのだろうか? なんだか、彼女達が俺を諦めるビジョンが全く見えない。

 それはそれで嬉しいけれども、踏み台としては役目を果たせてないような気がする。というか愛が重――――


 って、そうじゃない! 要らん事ばっかり考えてたらその間にこの教室が吹っ飛ぶ。そうなる前に彼女達を止めないと! 慌てて俺が立ち上がろうとするよりも一瞬前、動いた人物がいた。





「みなさーん、まだ自己紹介の途中ですよ〜。大人しくして下さいね〜?」





 にっこりと笑いながらほんわかとそう言うフレアさんに彼女達は黙って着席した。


 こ、怖ぇ……目が全然笑ってねぇんだけどあの人……。ほんわかしてるくせになんだあの威圧感。実際に怒られた彼女達は涙目である。いつだって無表情のクリスティーナでさえ、誰から見ても分かるほど怯えていた。

 …………フレアさんは怒らせないようにしよう。多分この場の全員がそう思った。


 さて、次に自己紹介するのは絹のように美しく艶やかな黒髪黒瞳の女の子だ。正直この空気で自己紹介させられるとかめっちゃ可哀想だと思う。



 「あ、あはは……。皆仲が良いんだねぇ……。あ、えっと、私はテーネ。皆みたいに特別な家系の生まれとかじゃないけど、よろしくね」



 そう言って苦笑する女の子、名前はテーネというらしい。彼女はファミリーネームを言わなかったが、俺が見たことのない人ということは少なくとも有力者の家系ではない事は確かだろう。俺はその立場上この国の有力者達とは全員と顔を合わせているし、同年代の娘がいるなら俺に会っていないわけがない。だから本当に間違いなくこの国の重要な家系ではないのだろうが……特別な家系じゃないというのは少々疑問もあるな。

 何故なら、彼女の見た目は――――



「お〜、ようやくまともな自己紹介らしくなりましたね〜! ほらほら、皆さんテーネさんに質問とかないですか〜?」

「はいはーいっ! 質問! 真っ黒な髪色と瞳色なんて珍しいけど、テーネはどんな魔法が得意なの?」



 そう、まさに今ユリアが言ったように、彼女は黒髪黒瞳という非常に珍しい外見をしている。

 魔法の適正は遺伝の影響が少なからずあるし、そのため髪や瞳の色も家系に関係してくる。故に彼女が普通の生まれだと聞いても簡単に納得出来なかったのだ。

 ……もしかしたら彼女もアレン()のように周囲から迫害とかを受けてたのかもしれないな。


 さて、世にも珍しい黒髪黒瞳の彼女の得意魔法はなんだろうか。他のクラスメイト達も注目しているようで、彼女は少し照れくさそうに頬を掻きながらユリアの質問に答えた。





「んー、そうだなぁ……。魔法は一応一通り使えるけど、得意魔法って言ったらやっぱり()()()()()かな」

「ふぇっ? 闇属性!? もしかしてテーネって人間じゃないの……?」

「いや? これでも私は人間だよ?」



 質問したユリアだけでなく、フレアさんとグレン君以外の全員が疑問符を浮かべる。かく言う俺だって少なからず驚いている。踏み台の矜恃として顔には浮かべなかったけどな。


 テーネさんもSクラスに入ったんだから魔法の腕も良いんだろうなとは思っていたが、魔族にしか使えないとされている闇属性魔法まで使えるとは思ってなかった。

 彼女は魔法は()()()使()()()と言っていたので、もしかしたら闇属性や基本の四属性のみならず王族にしか使えない筈の光属性の魔法も使えるのかもしれないな。


 そうなってくるといよいよ人間かどうか疑わしくなるな。決して俺が言えたことではないが。テーネさん自身は人間だと言ってるし、実際に魔力探知してみても魔族ではなさそうだ。


 …………まあでも、もしかしたら彼女は魔族でも人間でもない存在とかかもしれない。あくまでもしかしたら、だけど。



「闇属性魔法が得意だなんて、珍しくていいですね〜。では、次の人にいきましょうか〜」

「えー! まだ聞きたいこといっぱいあるのにー!」

「それはこれから聞いていって下さいね〜。とりあえず今は時間が押しているのでサクサク進めちゃいます〜」



 ユリアも他のみんなも不満そうな表情だったが、時間が押してると言われた途端に揃って目を逸らした。多分みんな自覚があったのだろう。そして自己紹介は次の人へ。



「僕はグレンだ。これからよろしく頼む」



 簡潔に自己紹介したのは例の銀髪君。まあ、こっちも珍しい外見……というか髪と瞳の色をしている。銀色だからね。さて。





「はいはいはいっ! じゃあじゃあっ、グレンに質問! グレン君は何属性の魔法が得意なの?」

「僕は()()()()()使()()()()()()()()()。だから、得意魔法は()()()()()だ」





 ユリアの疑問に対してのグレン君の返答に、ユリアだけでなく他の面々も絶句している。まあ、俺は大体予測出来ていたけどな。

 なんせ、彼は俺がずっと待っていた人物なのだから。





「…………はっ! むっ、無属性魔法って何!? どういう――――」

「は〜い。サクサクいきましょうね〜。次の人どうぞ〜」



 いち早く混乱から復活したユリアが再度質問をするが、フレアさんに軽く流されてしまった。テーネさんの時といい、随分と冷静……というか、フレアさんこれちょっと怒ってないですか? 怖いです……。


 さて、次は我が愛しの妹の自己紹介だ。隣を見れば、アイラはまだ絶句していたので優しく声を掛けてやる。あ、再起動した。可愛い。



「え、えっと、私はアイラ・フォン・フラムスです。お兄さまの妹で、『フラムス家』の長女です。よろしくお願いします」



 優秀な妹にしてはちょっとおかしな挨拶だったが、まあ良しだろう。可愛いし。でもみんなまだ無属性魔法とかいう未知の魔法の存在にショックを受けていて誰も質問してこないっていうちょっと可哀想な空気になってる。ちょっと涙目になってるアイラも可愛い。やはり俺の妹は天使だったか……。



「では次で最後ですね〜。お願いします〜」





 フレアさんの言葉を聞いて、起立する。

 さて、ドキドキの自己紹介タイムだ。


 ・登場人物紹介


 エルナ→エルナ・フォン・ヴェント。四大貴族の内、風属性を司る『ヴェント家』の長女。透き通るような翡翠色のストレートヘアーがトレードマーク。瞳も同じ色。お淑やかな性格で、アランに甘い。


 ユリア→ユリア・フォン・アクアス。四大貴族の内、水属性を司る『アクアス家』の長女。しっかり整えられた透き通るような蒼色のショートカットで瞳も蒼色。神秘的な見た目だが、本人の明るい雰囲気のお陰か近寄り難さは皆無でむしろ親しみやすい元気っ娘。むっつりらしい。


 リーナ→リーナ・フォン・テラ。四大貴族の内、土属性を司る『テラ家』の長女。明るい茶髪の脳筋美少女。竹を割ったような性格で男勝り。バカでガサツだが実は結構乙女。おっぱいがとても大きい。


 クリスティーナ→クリスティーナ・フォン・ルクス。王族であり、光属性を司る『ルクス家』の長女。少し白みがかった黄色(レモン色が近い)の艶やかなロングヘアー。無口で無表情だけど実は表面化しないだけで内面では感情豊か。アランの正式な婚約者であり、他の娘達にマウント取ってよくケンカになる。


 アイラ→ブラコン拗らせてアランを慕うみんなによく突っかかっている。仲はとてもいいので軽いじゃれあいみたいなものである。でもお兄さまと結婚するのは自分である。少しヤバげなブラコン。



 テーネ&グレン→次回の後書きにて。



 今回も読んで下さりありがとうございました。次回は我らが踏み台転生者こと、アランの自己紹介です。これからもお付き合いの程、どうぞよろしくお願い致します。


               清水彩葉

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