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踏み台転生者になったので全力で役割を全うします。〜世界最強の踏み台転生者〜 作者:清水 彩葉

序章 ハジマリ

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覚悟、そして

 皆様沢山の応援ありがとうございます。励みになります。

 本日は二回投稿する予定でございます。楽しんで下さいませ。


 一流の踏み台になると決意した俺はそれからより一層勤勉を心掛けた。魔法も、剣術も、勉学も。今までより深く。

 それだけではない。拳術や槍術に棒術など、今まで何もしてこなかったが役に立つ場面が来るかもしれないものまで、全てを鍛え上げた。


 全ては我が愛しき主人公()のため。一流の踏み台になるのであれば今までの努力では足りない。否、現状の努力でも足りないだろう。


 スケジュールはかなり厳しいが睡眠時間や食事の時間を削って時間を作る訳には行かない。まだ俺も幼い。この時期の睡眠や食事は俺にとってとても重要だ。健康体で丈夫で強い身体作りに直接響いてくるからな。

 身体は何よりの資本、基礎を蔑ろにして一流になれる訳が無いのだ。となると、鍛錬の密度を上げるしかない。より短い時間で、且つ今までよりも充実した鍛錬を。蓄積していく疲労は新たに覚えた回復魔法で誤魔化せばいいだろう。



 大変だが、充実した毎日だった。俺の身体はスポンジのようにあらゆるものを吸収したし、力は天井無く上がっていく。確かな成長の実感があった。その実感は俺に自信をもたらし、そして――――――それは俺に油断をももたらした。





 * * *





「失礼します。何か俺に御用でしょうか、父上」

「よく来たな。さっそくだが、アラン。お前に話がある」

「話……ですか」





 ある日、現当主である実の父親であるグラン・フォン・フラムスに呼び出された俺は彼の自室へと赴いていた。豪奢な部屋に足を踏み入れながら、俺の胸中は言いようのない不安でいっぱいだった。





「あぁ。単刀直入に言おう。話とは例のあの忌み子についてだ」

「ふむ……。と、言いますと我が弟アレンについてですか。彼の身に何かあったのですか?」

「流石は我が息子、理解が早い。その通りだ」





 忌み子とは、魔法を使えず髪と瞳の色も他の人間とは違う弟の事をよく思ってない人間達が弟を示す呼び名である。いくら気に入らないにしても血も繋がっている実の息子に対してその扱いはどうかと思うのたが、物語的に考えると幼少期にこういう扱いをされているからこそ弟は主人公なり得るのだ。


 まあ、俺は、世界で俺だけは弟のことを決して見下したりはしない。見下せるはずがない。俺の自慢の弟は将来的にこの世界を救う勇者であるし、それ以前に大切な家族である。


 正直弟が受けるあんまりな扱いに感じることが何も無い訳では無い。が、俺は踏み台である。そうあると決めた以上は現状を受け入れる。それが俺の覚悟であり、信念である。


 到底許されるべき行為ではないのは自分自身が一番分かっている。

 だが、踏み台転生者なんて主人公からもヒロインからも、画面外の読者や作者からさえも嫌われるくらいが丁度いいのだ。だから、俺は目の前のふざけた事を抜かす父親をおもっくそ殴り飛ばしたいという衝動をおくびにも出さずに、抑える。





「不幸な事に、大変不幸な事に、彼奴は暗黒の森の奥深くにて行方不明になってしまったのだ。嘆かわしい、実に嘆かわしいことだ。暗黒の森には人間では歯が立たない程に凶悪な魔物がうじゃうじゃとさまよっておる。捜索をするにもあの森に入れる者などこの国には殆どおらんのだ。それに、共通魔法(コモン)の初級魔法すら使えぬ彼奴がまだ生きてるとは考えにくい。あぁ、嘆かわしい――――――」





 ぶん殴るぞてめぇッ!?


 ……………………はっ! 危ない危ない、ついさっき抑えた怒りが暴発するところだったぜ。思ってもいない建前ばっかり垂れ流す父上に俺の激情が溢れ出るところだったよ。

 俺の顔は一瞬凄いことになっていたかもしれないが、ペラペラと聞いてもねぇ言い訳の言葉を吐き出し続ける目の前の父上には気付かれていないようだ。


 つーか、この人何やってくれちゃってんの!? 追放しちゃったよ! しかもめっちゃ危ない森の奥に一人置き去りとかよりにもよって一番ヘイトを溜める追放の仕方じゃねぇか!? 捜索に行ける人がほぼ居ないのはその通りだがそもそもそこまで弟を連れてったであろうこの家の兵士及びお抱え冒険者なら救助出来るだろーが!!


 ……………………落ち着け、落ち着け俺。びーくーるびーくる。あいあむはっぴー、おーけー。つまり目の前の実の父親は暗に血の繋がった息子(弟)を殺したと実の血の繋がった息子(兄)である俺に言っているというのか。俺も弟もまだ八歳なんだけど。ぐうちくである。あんたは鬼か。

 えっ、これやばくないか? 将来的には世界の誰よりも強い英雄になる器だとしても、現状弟はマジで魔法の使えない弱者である。ひ弱な子供である弟は魔法以外の武術の類すらも身につけてはいない。というかこの歳で色々出来てる俺がおかしいのであって、世の八歳児なんてそんなものだろう。そもそも剣とか持たされてるとは思えないし。

 そんな弟が暗黒の森の奥に一人…………あかん、死ぬやん。やばいやん。主人公補正あっても死ねるだろそれ。





「――――――で、あるからして。助けたいのは山々だが助けに行ける人員がだな」

「話は分かりました。少し、考えたい事が出来ましたので、俺は一度部屋に戻ろうと思います。何か御用があればお呼びつけください」

「ん? あ、あぁ、分かった」





 とりあえず、これからどうするか身の振り方を慎重に考えねばなるまい。これは修行にかまけて弟を取り巻く現状の把握を怠った俺のミスだ。俺が何とかしなければ。

 話がクソ長い父上の話を有無を言わさずぶった切り、退室する。結構な振る舞いをしているが、人類史上例を見ないほどの才で甘やかされまくってる俺ならば、このくらいの傍若無人は許される。


 さて、自室に戻った俺は考える。とはいえ、取れる手段はほとんどなく、状況も最悪と言っていい。

 とりあえずこの先の展開のパターンを一度分かりやすく纏めよう。


 パターン一、弟死亡ルート。

 弟死ぬ→将来的に主人公不在で踏み台転生者だけ残るとかいう最悪の展開が待っている→BADEND


 パターン二、弟生存ルート

 弟主人公補正で生き残る→めっちゃ強くなった弟は数年後に帰ってくる→俺達弟を虐げてきた人間にろくな未来はない→BADEND



 やべぇ! 詰んでる!


 とりあえず、取れる手段が殆どない俺はまず現実逃避から入る事にしました。あいあむはっぴー。


 後書きを修正致しました。(2019/03/21)



 活動報告にて感想でご指摘頂いた事に対する回答を致しました。

 もしも読んでいる方の中に「あれ? どこかで見た事があるような設定・展開だな」と感じた方が他にもいらっしゃいましたら下記のリンクをご覧になってみて下さいませ。私なりに考えている事を出来る限り明確に書かせて頂きました。

 今後そういったご指摘を頂いてもこれ以上の回答は出来ないので、同じような感想には返信を控えさせて頂く場合がございます。あまりにも攻撃的だと判断したご感想には削除という処置を取らせて頂く事もあるかもしれません。予めご了承下さい。


 追記:運営様に問い合わさせて頂いた所すぐに回答を頂きましたので、それについても下記リンクの活動報告にて追記させて頂きました。


https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/996625/blogkey/2268022/


 特に何も感じなかったという方には分からないであろう言い方になっておりますので、そういった方は気にせず引き続き本作をお楽しみ下さいませ。


 一人でも多くの方に楽しく読んで頂けるようにこれからも私は誠心誠意この作品を執筆していきますので、どうかこの先もお付き合い頂ければ幸いでございます。


 大変長くなってしまい申し訳ございません、これからも『踏み台転生者になったので全力で役割を全うします。〜世界最強の踏み台転生者〜』を宜しくお願い致します。


               清水彩葉

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