挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
踏み台転生者になったので全力で役割を全うします。〜世界最強の踏み台転生者〜 作者:清水 彩葉

序章 ハジマリ

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
3/16

現状、そして

 驚くべき事に、またまたレビューを頂きました。本当にありがとうございます!


 そしてなんと、この作品が日刊ランキングに載っておりました!

 異世界転生/転移のファンタジー日刊ランキングで25位、総合日刊ランキングで95位でした。

 まさか初めて執筆&投稿したその日の内にランキングに載るとは思いませんでした笑。

 それもこれも、応援して下さっている皆様のお陰でございます。本当にありがとうございます、そしてこれからも宜しくお願い致します。


 今話も是非楽しく読んで下さいね。


 踏み台転生者。


 一言で簡単に言えば、噛ませ犬。前世、二次創作の小説作品で一時的に流行ったジャンルの一つである。

 特別で強大な力と前世の記憶を持ち転生した結果、天狗になり高慢に振る舞い、好き放題やらかすやべーやつらの総称である。そして彼らは例外なく真の主人公の引き立て役となるのだ。


 調子に乗った踏み台転生者が主人公に制裁され、その後は物語に関わることなくフェードアウトしていく。傍若無人な振る舞いをしていた性格の歪んだ踏み台転生者を、主人公が文字通り『踏み台』にして輝いていくその様はまさに痛快である。俺も好きだったジャンルだ。



 ――――けど、自分が踏み台転生者になるのは別じゃんか……。



 ぶっちゃけ、踏み台転生者って散々な目に合うのだ。物語の割と序盤の方で全てを失うのだ。物語の中の主人公やヒロインだけでなく、読み手側や、下手をしたら作者にまで嫌われてるマジで救いがないポジションなのだ。

 読むのが好きでも実際に自分自身が踏み台転生者になりたいと思うやつなんていないであろうことは間違いない。もしも主人公よりも踏み台転生者になりたいとかいう異常者がいたら俺と変わって欲しいくらいだ。切実に。





「てか、やばいだろ。これ絶対あれじゃん、周りの人間から酷い扱いを受けてきた主人公()が力を身につけて踏み台転生者()に報復しに来るやつじゃん」



 終わった。終わりましたわ俺氏。オイオイオイ死んだわ俺。ぶっちゃけ踏み台ってだけでも割とこの先に絶望してるのにこれ完全に成り上がり要素も含まれてるやつだろ。

 現状を鑑みるに否定出来る余地なんてものはない。マジで数え役満じゃないですかやだー!


 成り上がりについてもどういうものかくらいは話しておこう。まあ、と言っても読んで字の如く、そのまんまだ。周囲の人間や身分、才能の有無など作品によって原因は様々なれど、大体は虐げられてきた主人公が将来的に誰よりも強くなって周りを見返すというストーリー。読み手側からすればとても痛快でライトノベルスなどではメジャーなジャンルである。ただそれだけ。

 ………………因みに、だが。我が弟は周囲の人間、身分、才能の全てが原因で虐げられている。また数え役満じゃねぇかどうなってんだ。そんなにポンポン和了(アガ)れるもんじゃねぇだろ数え役満って。


 踏み台モノも成り上がりモノも俺の大好物である。そう、読者としてならな! 自分が踏まれる側で且つ制裁されて見返される側とか誰が成りてぇんだよ! ガッデム。神は死んだ。いや、俺は転生した時も会ったりしてないから神が実際いるのかどうかとか知らんけど。


 ……これは今からでも身の振り方をよく考えなければならないな。ぶっちゃけ、どっちか一つでも死ねるのにダブルパンチとかどうせいっちゅうねんって感じだけど。なんで一度死んでまで新しい人生送ってんのにこんなハードモードだよ。もしも実在するのなら神様俺のこと嫌いすぎだろ。


 いや、嘆いていても仕方がない。ここは建設的な話をしようジャマイカ。過去は変えられないんだ、だけど未来は変えられる。ポジティブシンキングで行こう。こういう思考のことを世間一般では現実逃避と言う? HAHAHA、まあそういう言い方もあるかもね! とても辛いです。

 おっといかんいかん、ポジティブシンキング、プラス思考、楽観的にを忘れずに。こういう時は逆転の発想だ。



「逆に考えるんだ、『踏まれちゃってもいいさ』と」



 やべぇ、言ってて自分の精神状態が不安になってきた。逆転の発想というよりかはもう完全に諦めてませんかねこれ。


 ……でも実際問題、こうなってしまったならもういっそ開き直るしかないんじゃないか? 念願の異世界転生は出来たんだし、才能も身分も(今はまだ)ある。

 踏み台って、極限までオブラートに包めば縁の下の力持ちにならないかな? ならないか。いっそ、俺は踏み台を超える(スーパー)踏み台人に……



「ん? いや、待てよ? なんで俺は踏み台になりたくないんだ? 成り上がりした主人公に報復されるのは確かに困るが踏み台になる分にはいいんじゃないか?」



 メタ的な観点から考えてみれば、俺のポジションだと多分魔王軍やらなんやらが出てきた時に伸び切った天狗の鼻をへし折られて散々な目にあうんじゃないか? うーむ、十分有りうるな。

 散々ちやほやと英雄視されてたやつが手も足も出ないどころか赤子の手を捻るかの如く容易く倒されるような強大な敵が現れ、そしてその強大な敵を更に圧倒的な力で倒した主人公が周りに認められ、踏み台を見返す。黄金パターンだ。

 そして、よくよく考えてみればその流れの中で俺が踏み台になるのを嫌だと思う点はたった一点しかない。



 それは、己が無様な道化にしかならない事である。



 英雄願望は勿論ある。あるが、それはもう捨てた夢だ。自分自身で言った通り英雄はなろうとしてなれるような甘いものじゃない。ならこの際強大な敵を倒すのは俺でなくてもいいだろう。

 そもそも俺は自分に勇者たる器があるとは思ってないのだ。その役目は主人公()に任せてもいい。そもそもその場合主人公()が俺を踏んでくれないとマジで世界が終わる。マジやべぇ。





 ――――――なら、俺がやるべきことは?



 今はまだ力を持たない主人公()に対して、将来この世界の命運を握るであろう最愛の家族()に対して、今のところは最強の天稟を持つ踏み台転生者()に出来ること。きっと、それは――――――





「――――――ああ、そうかい」





 俺は踏み台転生者()に出来ることをしよう。

 これが世界の選択、世界が決めた運命であるのならば。やってやろうではないか。俺は踏み台転生者()という存在に課せられたただ一つの役割(ロール)を全力で全うしよう。

 間違いなく、それしかない。主人公でない俺には、それしか出来ないのだから。



 覚悟なら、今決まった。なら、俺が――――――





「――――――本物の踏み台を見せてやる」





 憐れで無様な道化なんて踏み台として三流以下だ。低く、脆く、小汚い。そんな踏み台を誰が踏む。そんな踏み台では跳べる距離などたかが知れているだろう。





「最愛の弟よ。俺はお前の兄として。一人の踏み台転生者として。誇り高き一流の踏み台になってみせる」





 高く、強く、気高く。そうある事こそが天から俺に与えられた唯一の役割。それは俺にしか出来ないものだろう。




 俺はあいつを誰よりも高みに連れていく踏み台だ。


 後書きを修正致しました。(2019/03/21)

 今後もこの小説を宜しくお願い致します。


               清水彩葉

宜しければワンクリックお願い致します!→小説家になろう 勝手にランキング ↓こちらの方もよろしくお願い致します!→cont_access.php?citi_cont_id=879252013&s script?guid=on
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。