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踏み台転生者になったので全力で役割を全うします。〜世界最強の踏み台転生者〜 作者:清水 彩葉

序章 ハジマリ

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気付き、そして

 なんと、早速レビューを頂きました。本当にありがとうございます!

 感想を書いて下さった方、ブックマークして下さった方、評価を入れて下さった方、皆様本当にありがとうございます!


 感謝の気持ちとして……というのもおかしいかもしれませんが、本日二度目の投稿です。


 俺には妹と弟がいる。まあ兄妹、兄弟と言えど俺達は全員同い歳だ。というのは、俺達の母親が違う事が関係している。

 俺は正室の子、つまり嫡出子なのだが妹は側室の、弟は愛人の子だ。故に正式な立場的には俺が一番上らしい。これでも一応長男だしな。

 兄弟妹にそのような明らかな上下関係が定められているだなんて現代日本で暮らしていた感覚のある俺にはいまいちピンと来なかった話ではあるが、この世界の貴族とはそれは常識なのだ。

 もっと詳しく言えば妹の母親はフラムス家に籍を置いているが弟の母親はただの愛人なので、妹と弟では妹の方が立場は高く、弟はとても肩身の狭い思いをしている。


 そう、弟はとても肩身の狭い思いをしているのだ。そしてそれは母親の違いだけが原因ではない。いや、もしかすると間接的には関わってくるかもしれないが……。



 ……少し話は逸れるが、この世界には魔法が当たり前のように存在する。

 そもそも、魔法とは何か? 有り体に言えば、目には見えない精霊から力を借りて超常の現象を起こす事である。


 魔法とは遠い昔に原初の精霊たちによって生み出され、それ以来人間も魔族も等しく活用してきた技術だ。中世程度の文明レベルしかない……というよりは、科学の発展が殆ど見られないこの世界においては大変重要な技術となっている。

 分かりやすく言えば、それこそ人間が生きるために絶対的に必要な火や水なんかも全て魔法で賄われている物であり、魔法が無くなれば人類なんて簡単に滅ぶ。魔法というのはそれほどに人々の暮らしに密接に関わっているのだ。


 そもそも、魔法には殆ど例外なく、属性がある。

 基本は四属性。火・水・風・土からなり、それぞれが人々の生活に欠かせない程に重要な物だ。そしてそれらの属性ごとにその属性を司る精霊は違う。例えば、火の魔法を司っているのは原初の精霊『フラムス』である。


 …………そう、フラムス。お察しの通り俺の家系は無関係じゃない。


 そもそも、俺の家系である『フラムス家』を含む四大貴族は王族と同等の権力を持っているのか? それは簡単に言えば四大貴族の祖先が原初の精霊だからという一言に尽きる。


 魔法とは少ない例外を除き全ての物は四大貴族の祖先が司っている。普通であれば、いくら由緒正しき大貴族であろうと国のトップである王族と同等の権限など与えられるはずがない。

 だがしかし、俺達『フラムス家』は普通では無い。人々の暮らしに必要不可欠である火を司る家系なのだ。

 人間の文明と切っても離せない物を司っているのだから王族と並ぶ権力を与えられるのは当たり前といえば当たり前なのかもしれない。

 同じく、フラムス家以外の四大貴族の家系もそれぞれ水・風・土を司る精霊の直系である。


 そして、先ほど挙げた数少ない例外。それは王族にのみ使うことの出来る光魔法、そして魔族のみが使うことの出来る闇魔法である。

 王族とは光の精霊に人々に希望の光を与える存在として選ばれた者であり、故に四大貴族と同等以上の力と民を率いる義務を持つのだ。逆に魔族は闇の精霊がこの世に混沌をもたらすためにと悪しきものへ与えた力、故に魔族は人類と敵対する絶対的な悪だ…………と言われている。


 つまり、基本的に俺達四大貴族が司る四属性、そして王族・魔族が使う二属性。全ての魔法は例外無くこのどれかに属する。

 だがしかし、複数の属性を操れる者はほとんどいない。基本的に一属性、二属性の魔法を扱える者はそれだけで生まれながらにしてエリートである。

 因みに使える属性というのは生まれた瞬間に決まる、完全に先天的な物だとされている。つまりほとんどの人は生涯一つの属性の魔法しか使わずに生きていくのだ。


 だがしかし、たとえどんな落ちこぼれだろうがどの属性の魔法も使えないという者は存在しない。魔力量の差こそあれど、一切の魔法が使えないなどというのはありえないのだ。



 ありえない、筈だった。



 話を戻そう。何故、急にこんな話をしだしたのか。答えは至極単純。

 俺の弟は魔法が使えなかった。それは努力が足りないなどというありきたりな理由ではない。血の滲むような努力の末に辿り着いた事実である。


 この世界の人間の髪の色や虹彩、つまり瞳の色は前世に比べてとてもカラフルだ。というのは、この世界の人間の祖先が原初の精霊たちだということが関係している。

 火属性魔法を使う者は髪の毛と瞳の色が赤みがかるし、水属性魔法を使う者は青みがかる。王族はくすんだ金髪だし、魔族は髪も瞳も黒い。そして、俺の弟の髪の毛と瞳は――――――灰色だった。



 誰もが魔法を使える世界で大貴族の家系に生まれているのに一切の魔法が使えず、髪と瞳の色は前例を見ない灰色? そして生まれが原因で家の中での立場はとても低く家族からは冷遇されている? ふむふむ、なるほどなるほど。


 それに対して兄の俺は才能に溢れ、誰からもチヤホヤされて天狗に――――――



 この辺りで俺はもう察した。完全に理解してしまった。いや、流石に分かるよ。それまでは気付かない振りをしていただけだ。






「あれ? これ俺踏み台転生者じゃね?」






 ぶっちゃけ誰がどう見ても数え役満だった。やべぇオワタ。

 序章(プロローグ部分)は全五話+一話構成の予定です。

 是非ともお楽しみくださいませ。


               清水彩葉

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