【芸能・社会】長渕剛20年ぶり映画主演 来年公開「太陽の家」で大工の棟梁役2019年3月28日 紙面から
ミュージシャンの長渕剛(62)が、デビュー40周年プロジェクトの一環として20年ぶりに映画に主演する。タイトルは「太陽の家」で、来年公開予定。テレビ朝日系ドラマ「相棒」シリーズなどを手掛ける権野元監督(46)がメガホンをとる。長渕が演じるのは、やんちゃで人情味あふれる大工の棟梁(とうりょう)・川崎信吾。「愛と信念」をテーマに、家族の血のつながりや親子の情愛を描く。“当て書き”の脚本に自身も携わり、誕生した川崎の人物像やその背景にある信念について、長渕に話を聞いた。 「僕の中に蓄積している『血のつながりとは何だろう』とか、『子どもとは何だろうか』というのを40周年を機に振り返ってみると、そういうことを非常に深く考えながら毎日生きているなと。そういうテーマならやってみたいと思いました」 親が子を、子を親が平気で殺すような凄惨(せいさん)なニュースが飛び交う昨今、「長渕剛が演じる男」を主人公に、人と人の「愛」を爽快に描く映画の製作を打診された。 「社会に起きたいろんなことをひっくるめて何を表現したいか、スタッフとみんなでひとつずつパズルを組み合わせるような形で脚本が作られていきました。面白い作業でしたね」 映画の主演は、ヤクザ役を演じた「英二」(99年公開)以来。今回演じるのは、神業的な腕を持つ大工の棟梁だ。 「力技でもないし、そんな簡単にはいかないですよ。今道具を集めたりして、僕の知り合いの棟梁クラスの大工さんからのこぎり、金づち、カンナとか使い込んだものに触れさせてもらって、そこから入りますね。ピストルや刃物じゃなくなった分だけよかった(笑)」 川崎は普段はサングラス姿でコワモテだが、おせっかいなほど人情味あふれる男。妻、娘と幸せに暮らす中、不遇な環境にあるシングルマザーとその息子に出会い、この親子のために家を造ろうと思い立つが、家族や弟子たちとの間に不協和音が生じてしまう。 「血のつながりほどやっかいなものはないんだけど、それがあるからこそ頑張っていられるとか、相矛盾した感情と一緒に家族がひとつになって生きている。その中で誰もが感じる温かい声、怒り、悲しみに満ちたものをこの映画の中で表現してみようと監督と話しています」 単純で実直な川崎の「愛」が、不器用で臆病な少年の心を成長させていく。 「例えば母子家庭が増えていくことに対して、保育園をたくさん作ってほしいというのも分かるんだけど、その前に『別れなきゃいいじゃん』という子どもの声を、大人がどう受け止めるかをペーソス交えて描けたらいいなと思います」 映画は4月1日にクランクイン。豪華キャスト陣は後日発表される。 (江川悠) ◆キャリア40年…感慨自身のキャリアも気が付けば40年。「やっぱり妻や子ども…守るべきものができたことで『信念』が大きく変わりましたよね。自分の家族にはやっぱり幸せな思いを少しでもさせてあげたいと思う」。物語に登場する川崎の娘を、自身の長女で女優の文音(31)に重ね合わせながら長渕はしみじみと語った。 文音が1988年に誕生した際、「NEVER CHANGE」という楽曲をリリース。「娘の笑い声を(音源に)入れるために何時間も汗だくになったっけ…。その娘も女優として一生懸命頑張っている姿を見ると、娘のいないところで涙が出たりするわけですよ」 まもなく新たな作品に入る娘からは、20年ぶりの演技について「『大丈夫?』って心配されました」と苦笑しながら「僕と娘が同じくらいの時期に撮影するなんて夢にも思っていなかったので、感慨深いものはあります」と目尻を下げていた。
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